1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. 投資する
  4. 不動産投資で一括購入するメリット・デメリットは? 向いている人の特徴も解説

公開日: 2025.12.10

不動産投資で一括購入するメリット・デメリットは? 向いている人の特徴も解説

監修:
柴田充輝 (1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士)
不動産投資で一括購入するメリット・デメリットは? 向いている人の特徴も解説

「不動産投資を始めたいけれど、一括購入とローン利用、どちらを選べばいいのだろう」

このような悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

不動産投資における物件の購入方法は、投資戦略全体を左右する重要な選択です。一括購入には金利負担がないという明確なメリットがある一方で、資金効率やレバレッジの観点ではデメリットも存在します。

本記事では、不動産投資で一括購入するメリット・デメリットや、一括購入に向いている人の特徴などを詳しく解説します。

不動産投資で物件を一括購入するメリット

 

不動産投資で物件を一括購入するメリットは、以下のとおりです。

  1. 金利負担がなく総支払額を抑えられる
  2. ローン審査が不要でスムーズに購入できる
  3. 購入直後から収入が手元に残る
  4. ローン返済のプレッシャーがない

それぞれ詳しく解説します。

1. 金利負担がなく総支払額を抑えられる

不動産投資ローンを利用する場合、借入れた元本に加えて借入期間中の金利を支払う必要があります。

たとえば3,000万円の物件を金利2%、期間25年のローンで購入した場合、総返済額は約3,800万円となり、金利だけで約800万円の負担が生じます。一括購入ならこの金利負担がゼロとなり、物件価格そのものだけで購入が完了するわけです。

特に長期保有を前提とする場合、金利上昇リスクの影響も受けず、市中金利の動向に悩まされる心配もありません。

2. ローン審査が不要でスムーズに購入できる

通常、ローン審査には収入証明や勤務先情報、ほかの借入状況などの詳細な書類提出が求められ、審査に数週間かかることも珍しくありません。

審査結果によっては希望額の融資が受けられなかったり、条件面で不利な提示を受けたりするケースもあります。一括購入であれば、こうした融資に関する審査プロセスを完全に省略でき、売主との合意さえ得られれば迅速に購入を進めることが可能です。

好条件の物件が出た際に、迅速に購入判断ができることで投資機会を逃さず確保できる点は大きなアドバンテージといえます。また、築年数が古い物件や法的制限のある物件など、通常は融資対象外となる物件でも購入できます。

【関連リンク】
不動産投資ローンの融資額と必要な年収は?年収別の金融機関も公開

3. 購入直後から収入が手元に残る

ローンを利用している場合、家賃収入の多くはローン返済に充てられるため、実際にキャッシュフローとして残る金額は限定的です。

一括購入なら家賃収入から管理費修繕積立金固定資産税などの必要経費を差し引いた金額が、そのまま手取り収入となります。ローン返済がある場合と比べて、キャッシュフローは大きく改善されるため、次の投資資金の蓄積がしやすくなります。

4. ローン返済のプレッシャーがない

ローン返済がある場合、契約内容に基づいた返済義務が生じるため、空室が発生すると自己資金から返済しなければなりません。一括購入であれば、空室が続いても返済に追われることがなく、焦って入居者募集の条件を下げる必要もありません。

時間をかけて適切な入居者を見極められれば、滞納トラブルなどのリスクを軽減でき、結果として質の高い賃貸経営が実現します。

不動産投資で物件を一括購入するデメリット

 

不動産投資で物件を一括購入するデメリットは、以下のとおりです。

  1. レバレッジ効果を活用できない
  2. 団体信用生命保険の恩恵が受けられない
  3. 手元資金が大幅に減少する

それぞれ詳しく解説します。

1. レバレッジ効果を活用できない

レバレッジ効果とは、ローンを利用し、少ない自己資金で大きな投資効果を得る仕組みのことです。不動産投資の大きな魅力の一つは、このレバレッジ効果を活用して資産を効率的に増やせる点にあります。

たとえば1,000万円の自己資金がある場合、一括購入では1,000万円の物件しか購入できません。しかしローンを活用すれば、その1,000万円を頭金として、3,000万円や5,000万円といった手元資金よりも大きな額の物件を購入可能です。これにより、投資規模を拡大し、より高い家賃収入や資産形成効果が期待できます。

【関連リンク】
不動産投資のレバレッジ効果とは? リスクと目安、効果を高めるコツを解説

2. 団体信用生命保険の恩恵が受けられない

不動産投資ローンを活用しようとする際に、付随して加入が求められることの多い「団体信用生命保険」(団信)の恩恵が受けられなくなることもデメリットのひとつです。団信に加入することで、不動産購入後に万が一死亡などに至った場合には、借金が完済された状態の不動産という資産を残すことができます。現金で一括購入すると、ローンを活用しないため、この恩恵が受けられなくなります。

3. 手元資金が大幅に減少する

一括購入では数千万円単位の資金を一度に投入するため、手元の流動資金が大幅に減少します。不動産は必要なときにすぐ現金化できるとは限りません。査定、売却して現金化するまでに時間や手間がかかり、急いで売却したい場合などは、希望価格で売却できない可能性もあります。

ほかに十分な金融資産や収入源がない場合、空室が発生したときや修繕が発生したとき、資金繰りに窮する可能性もあります。

不動産投資で一括購入に向いている人の特徴

 

一括購入が適しているかどうかは、個々の資産状況や属性によって異なります。不動産投資で一括購入に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  1. 資金繰りに不安がない人
  2. ローンの審査が通りにくい人
  3. ローンが通りにくい物件を購入したい人

それぞれ詳しく解説します。

1. 資金繰りに不安がない人

一括購入に適しているのは、物件購入後も生活費や緊急資金を十分に確保できる資産を持つ方です。具体的な必要資金は、家族構成や生活スタイル、購入物件などによって異なるため、一概にはいえません。

しかし余裕資金があることで、突発的な支出や物件の修繕費用、空室期間中の生活費などに柔軟に対応できます。資金繰りの健全性に関して自分で判断できない場合には、ファイナンシャルプランナーなどの、資産運用のプロに相談してみるのもおすすめです。

2. ローンの審査が通りにくい人

金融機関のローン審査では、年齢や勤務形態、収入安定性などが重視されます。自営業者やフリーランス、会社役員、転職直後の会社員などは、審査が厳しくなる傾向があります。

また金融機関によっては「融資実行時の年齢が50歳や51歳以下」などの年齢制限を設けており、年齢によって新規借入が困難となるケースもあります。完済時年齢の上限も75歳から80歳程度に設定され、年齢が上がるにつれ借入期間が短くなり、月々の返済額が増加します。こうした属性の方にとって、審査不要の一括購入は、確実に物件を取得できる現実的な選択肢です。

また、すでに複数の借入れがある方や、過去に返済遅延があった方なども新規融資が難しくなる場合があります。信用情報に問題がある場合、どれだけ資産があっても金融機関は融資の判断が慎重になる傾向にあります。こうした方々にとって、現金での一括購入は不動産投資を実現するための有効な手段です。

【関連リンク】
不動産投資に年齢制限はある? 始める最適なタイミングと年齢に応じた不動産投資戦略

3. ローンが通りにくい物件を購入したい人

金融機関は融資の際、物件自体の担保価値も評価します。築年数が古い物件や再建築不可物件、接道義務を満たしていない物件などは、担保価値が低いと判断されローン審査が通りません。また、市街化調整区域内の物件や法的制限のある物件も、融資対象外となることが一般的です。

しかし、こうした物件のなかには価格が割安で利回りが高いものも存在します。立地は良いものの建物の築年数が古いため融資が受けられないといったケースでは、一括購入することで優良物件を割安に取得できる可能性があります。

不動産投資で一括購入とローン利用、どちらを選ぶべきか?

 

一括購入とローン利用のどちらを選ぶべきかは、個人の属性や投資目的によって判断が分かれます。ここでは、選択を判断する際の2つの重要な基準を解説します。

1. 金融機関からの融資がおりやすい職業かどうか

購入方法を選択する際の重要な判断基準は、自分がローン審査に通りやすい属性かどうかです。上場企業の正社員や公務員など、金融機関からの信用を得やすい職業に就いている方は、ローンを活用した方が投資効率は高まります。こうした安定した職業の方は、低金利で長期の融資を受けられる可能性が高く、レバレッジ効果を最大限に活用できます。

一方、自営業者やフリーランスなどローン審査に通りにくい職業の方は、一括購入が有力な選択肢です。審査に通らない場合や通っても条件が悪い場合は、無理にローンを組むよりも現金で購入する方が合理的です。

【関連リンク】
不動産投資はリスクが高い? 空室や修繕など9つのリスクと5つの回避策

2. レバレッジを効かせるならローン活用

将来的に複数の投資物件を所有し、ポートフォリオを拡大したい計画がある場合は、ローン活用が有利になる可能性が高いです。融資を使うことで少ない自己資金で複数物件に分散投資できるため、リスク分散と収益機会の拡大を同時に実現できます。

また、融資を受けて返済をしたという実績を示すことで金融機関の信用力が上がり、次の融資が受けやすくなるという好循環も生まれます。融資の審査に通過した事実と安定的な返済実績があれば、将来的な投資物件の追加購入をする際に有利です。

ただし、現実的には金融機関の融資枠や審査基準があるため、無制限に複数物件を購入できるわけではありません。それでも、資産規模の拡大を目指す方にとって、ローン活用は不可欠な戦略といえます。

【関連リンク】
不動産投資における分散投資とは? メリット・デメリットや成功のポイントを解説

不動産投資の物件購入の際には専門家のアドバイスを受けることが大切

 

不動産投資で特に一括購入のような大きな決断をする際は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。以下のような専門家は、多角的な視点から物件の収益性分析や税務面でのメリット・デメリット、資産全体の最適化などについてアドバイスを行ってくれます。

  • 不動産投資会社
  • ファイナンシャルプランナー
  • 税理士 など

たとえば一括購入した場合の減価償却費の扱いや、ローン控除が使えないことによる税負担の違いなど、税務面での影響は複雑です。専門家に相談することで、目的に応じた購入方法となるかどうかを把握できます。

独自判断でのリスクを避け、専門家の知見を活用することで、より確実で効率的な投資が実現できます。

不動産投資の一括購入は実績豊富な不動産投資会社への相談がおすすめ

不動産投資における一括購入は、金利負担がなく精神的な安心感が得られる一方で、レバレッジ効果を活用できないというデメリットもあります。資金繰りに余裕があり、ローン審査に通りにくい属性の方には適した選択肢ですが、投資規模の拡大を目指す方にはローン利用が有利です。

どちらの方法を選ぶべきかは、個人の状況や投資目的によって異なるため、安易に判断せず慎重に検討することが重要です。実績豊富な不動産投資会社に相談することで、客観的な視点から最適な購入方法を見極められます。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

関連キーワード

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

柴田充輝 柴田充輝 1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

LINE Instagram Youtube Facebook X