アメリカ不動産投資のメリット・デメリット
税金対策や資産形成、インフレへの備えの選択肢として、アメリカ不動産投資に関心を持つ方が増えています。一方で、為替や投資エリア、融資、購入後の管理など、日本国内の不動産投資とは異なる点も少なくありません。
本記事では、アメリカ不動産投資が注目される理由から、メリット・デメリット、向いている人・向いていない人、投資先を選ぶ際の注意点まで、わかりやすく解説します。
アメリカ不動産投資とは? 基本をおさらい
アメリカ不動産は、日本の高所得者層や富裕層からも検討されている投資先の一つです。減価償却費を計上できることや将来の売却益を目指せることに加え、ドル建て資産を持つことで資産の通貨分散ができる点などが注目されています。
アメリカ不動産投資の目的と注目される理由
アメリカ不動産投資の主な目的は、ドル建て資産の形成、賃料収入や売却益、減価償却です。
ドル建て資産を持つことは、円資産に偏ったポートフォリオを見直す選択肢になります。また、賃貸運用による収入や将来の売却益を目指せます。
さらに、税負担への影響の観点からも注目されています。不動産投資では、建物に対する減価償却費を経費計上することで、課税所得を圧縮できます。アメリカ不動産は日本に比べて建物割合が高いため、減価償却費も大きく、結果として日本国内の所得税や住民税の負担を軽減する「節税効果」が生まれます。
日本人がアメリカ不動産を買う意味
アメリカでは中古住宅の流通が活発で、建物を修繕しながら長く利用する文化があります。物件によっては価格に占める建物部分の割合が日本より高くなるケースが多いので、減価償却を検討するうえで特徴の一つとなります。
日本とアメリカの土地建物割合比較
| アメリカ | 日本 | |
|---|---|---|
| 建物 |
約80% (4,000万円) |
約20% (1,000万円) |
| 土地 | 約20% (1,000万円) |
約80% (4,000万円) |
※築22年を経過した木造住宅の土地建物の合計が5,000万円の場合
2020年の税制改正と個人投資家の制約
令和2年度(2020年度)税制改正により、令和3年(2021年)以後、個人が保有する国外中古建物の不動産所得について、簡便法等で計算した減価償却費に由来する損失の一定部分は、ほかの所得との損益通算が制限されました。
そのため、従来の海外中古不動産を用いた税負担軽減策を、そのまま利用できるとは限りません。
コストセグリゲーションによる節税効果
コストセグリゲーションとは、建物を構成する資産を、建物本体、付属設備、構築物などに区分し、それぞれの耐用年数に応じて減価償却を行う考え方です。購入初期の減価償却費が大きくなる場合があります。
たとえば、課税所得2,000万円の個人が物件価格6,479万円(築22年、建物割合71.9%)のアメリカ不動産を購入しコストセグリゲーション法を用いた場合、初年度に年間790万円の減価償却費を計上できます。実効税率を36.6%とすると、初年度に約397万円の節税効果が期待できます。
※不動産投資の税効果は物件や諸条件により異なります。また、効果を保証するものではありません。節税効果を検討する場合は、日本の税務に精通した税理士へ確認してください。
なぜアメリカなのか
アメリカは世界有数の経済規模を持ち、中古住宅市場も発達しています。人口、雇用、住宅供給、地域ごとの産業構造などが住宅需要を支える要素になります。また、日本人投資家にとってはドル建て資産を保有できることも特徴です。
アメリカへの世界投資総額の推移
2010年から2023年にかけて世界の投資総額はおよそ2.2倍に拡大し、2023年時点の投資額は5兆3,940億ドル(800兆円)に達しました。
アメリカ不動産投資のメリット・デメリット
メリット
住宅価格が30年で6倍に上昇
アメリカの住宅価格は約30年の間、上昇を続けています。全米の住宅価格動向を示す代表的な指標の一つである、米国連邦住宅金融庁(FHFA)の「全米住宅価格指数(All-Transactions House Price Index)」を見ると、過去45年で約7倍になっていることがわかります。
■住宅価格指数の推移 (1980〜2025年)
今後も賃料上昇と資産価値上昇が期待できる
今後も人口増加と経済成長及びインフレが続くと想定されることから、資産価値の向上が期待できます。
人口は今後も長期にわたって増加し続け、住宅需要を下支えすると期待されています。2024年時点の人口は約3.4億人でしたが、2060年時点では約4.2億人まで増加する見込みです。そのため、これからも安定した住宅需要が見込まれます。
■将来人口の予測 (単位:万人, 1900年 〜 2060年)
さらにアメリカは、力強い経済成長が続いている国です。一人当たりGDPでみると、下図のとおり2000年時点の36,312ドルから、2024年には85,812ドルへ増加、2030年には105,371ドルまで増加する見通しです。
アメリカの一人当たりGDPの推移・見通し(2026年以降はIMF予測)
経済成長が土台となる形で、物価も継続的に上昇しています。2000年時点とくらべて、物価水準はおよそ1.8倍となりました。
アメリカの消費者物価指数(CPI)の推移
参照: Bureau of Labor Statistics (.gov):CPI Homeを基にRENOSYマガジン編集部にて作成
カントリーリスクが低い
アメリカは、先進国の中でも政治的・経済的なリスクが小さい国です。不動産市場も発達しているため、より公正な価格での売買が期待できます。新興国のように、突然法制度が変わって不利になるリスクも低いでしょう。
世界最大の総合不動産サービス会社の一つであるジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)社が集計するグローバル不動産透明度インデックス(2026年度)では、アメリカはイギリス、フランス、オーストラリアに次いで4位となっています。
ちなみに日本は12位なので、アメリカの不動産市場は、透明性の観点で日本より優れていると評価されています。
外国人も不動産を所有できる
アメリカは外国人による不動産の購入・所有に対する規制が緩やかなのが特徴です。一部存在する規制も、どちらかというと企業による事業目的での所有を想定したもので、個人による不動産投資という観点では取り組みやすい国といえます。
東南アジア諸国や中国など、外国人の不動産取得が規制されている国も多い中で、アメリカは日本人を含む外国人が不動産投資しやすい国の一つです。
建物を長く利用する中古市場が発達している
アメリカでは中古の不動産市場が発達していて、一つの不動産が何度も中古市場に出回り、中古物件をリフォームして、長く住み続けるのが一般的です。そのため、日本と比べて経年による価格下落が起きにくいという特徴があります。
好立地で都市の発展が進む地域であれば、経年の影響よりエリアの不動産価格の高騰やインフレの影響が大きくなり、売却価格が購入価格を上回って売却益を得られるチャンスも十分にあります。
デメリット
投資エリアの見極めが必要
アメリカは日本と比べて国土が広く、不動産市況における地域差が大きくなっています。さらに、日本からでは投資に関する情報も得にくいなかで、投資エリアを慎重に見極めなければなりません。
近年は下図のとおり、一部の大都市では不動産価格の高騰が顕著になっています。さらに、日本人の場合は円安の影響をうけるため、平均1億円を超える地域が多く存在します。
物件価格を1ドル150円で円に換算し、円ベースで購入にあたり必要な費用を確認してみると、サンフランシスコが約2.36億円、ロサンゼルスが約1.35億円、ニューヨークが約1.1億円となっています。中央値でこの価格ですので、日本人にとってアメリカへの不動産投資は従来より手が届きにくくなっており、投資エリアの見極めが必要です。
■物件の販売価格 (中央値)
| 都市名 | 物件価格 | 物件価格(円) |
|---|---|---|
| サンフランシスコ | 158.8万ドル | 2.38億円 |
| ロサンゼルス | 105.5万ドル | 1.58億円 |
| ニューヨーク | 87万ドル | 1.31億円 |
| ボストン | 86万ドル | 1.29億円 |
| ホノルル | 61.5万ドル | 9.2千万円 |
| ダラス | 45万ドル | 6.8千万円 |
| 全米平均 | 43.7万ドル | 6.5千万円 |
参照:Housing Market Data(Redfin, 2026年4月時点)
※日本円価格は1ドル150円として計算
米国不動産担保ローンを利用しても多額の自己資金が必要
日本国内の不動産投資では、通常金融機関から不動産を担保に融資を受けられるため、自己資金を多く用意する必要はありません。しかし、アメリカ不動産を担保とした融資に応じる国内金融機関は少ないのが現状です。アメリカ不動産を担保とした融資を受けられたとしても国内不動産より融資比率が低い傾向にあるため、数千万円の自己資金が必要となる場合があります。
契約・交渉における英語対応のハードルがある
アメリカ不動産に投資する際には、現地の担当者との取引交渉や入居者への対応が必要となり、英語でのやりとりは避けられません。また、売買契約書をはじめとする重要な契約書類もすべて英語であるため、日本語でも難解な法律や不動産用語を英語で理解するには高い語学力が求められます。内容を十分に理解しないまま契約しないよう、日本語で説明を受けられる体制や専門家の支援を確認する必要があります。
言語や文化の違い、時差による管理の難しさ
アメリカでは日本の常識が通用しないことが多く、手続きや運営においても文化や言語の違いからトラブルが生じる可能性が増します。さらに、日本とアメリカの時差が影響し、管理会社との連絡が取りにくいなど、管理に支障が出ることが少なくありません。また、現地の管理会社の対応水準も日本と異なる場合があるため、こうした違いを理解しておくことが大切です。報告頻度、緊急時対応、費用の承認フローを事前に確認しましょう。
狙い目の投資エリアは?
狙い目の投資エリアの一つが「テキサス州ダラス・フォートワースエリア」です。
テキサス州は、州の法人税ゼロ・個人所得税ゼロといった、法人にとって魅力的な税制優遇措置が取られています。そのため、フォーチュン500社のうち、57社がテキサス州、さらにそのうち24社がダラスフォートワース地域(Dallas-Fort Worth Metroplex)に拠点を置いています。日本では、トヨタが2014年に北米拠点を移転したことでも話題となりました。
ニューヨーク・サンフランシスコの双方に飛行機で3~4時間程度でアクセスでき、さらに都市のインフラも発展しています。金融テクノロジー企業Smart Asset「全米の安全な都市ランキング(2023年)」では、テキサス州の都市が5つTOP10にランクインしています。犯罪率が低く警察署や教育施設の整備が進んでおり、ファミリー層が安心して暮らせる地域です。
そのうえ、ほかの大都市と比べると、まだまだ不動産価格が低いのも魅力です。たとえばニューヨークと比べると、世帯年収は150万円程度しか差がないのに対して、住宅価格の中央値は半分程度となっています。
住宅価格・世帯年収の中央値比較
優位な価格で不動産を取得できるのが、投資家にとっての魅力です。
また、住居費や相対的な生活コストの低さを受けて、他地域から多くの人が移り住んできています。テキサス州は長期にわたり人口増加が続いていて、たとえば、2000年に約2,090万⼈だった⼈⼝は、2023年には約3,050万⼈まで増加しました。
以上のような市場環境を背景に、テキサス州が投資家の注目を集めています。
どんな人におすすめ? 向いている人・向いていない人
向いている人の特徴
- 個人の所得税対策や法人税対策を行いたい方
- 不動産価格の上昇による売却益や安定した家賃収入を得たい方
- 分散投資によりポートフォリオのリスクを分散させたい方
- アメリカ不動産を購入する資金力や借り入れ余力のある方
向いていない人の特徴
- 短期間で確実な利益を得ることを前提にしている方
- 生活防衛資金を圧迫する資金計画になっている方
- 為替、空室、修繕、流動性リスクを許容しにくい方
- 少額の自己資金で資産形成を行いたい方
投資経験が少ない方でも検討できますが、国内不動産とは異なる為替、税務、契約、管理の仕組みを理解し、日本語で相談できる事業者や専門家の支援体制を確認することが重要です。
RENOSYアメリカ不動産投資サービスの特長
RENOSYでは、アメリカ不動産の物件選定から購入、賃貸管理、売却までを一貫して支援しています。日本語で相談できる窓口と現地グループ会社の運用体制を組み合わせ、契約や管理を遠隔で行う負担の軽減を目指します。
資金計画では、取引先金融機関が提供する米国不動産担保ローンを利用できる場合があります。また、物件価格を検討する際には、第三者機関の鑑定評価書を用いて確認できる仕組みを用意しています。
現地の賃貸管理はグループ会社と連携して行っており、物件の仕入れ、修繕、入居者募集、賃貸管理、売却についても日本語で相談できます。
物件選定、資金計画、購入後の管理、売却までの仕組みを詳しく確認したい方は、RENOSYアメリカ不動産投資のサービス資料をご覧ください。
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