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公開日: 2025.04.30

ワンルームマンション投資は節税できる? 仕組みや恩恵を受けやすい人の特徴を解説

監修:
中井哲也 (中井哲也公認会計士税理士事務所 公認会計士・税理士)
ワンルームマンション投資は節税できる? 仕組みや恩恵を受けやすい人の特徴を解説

「ワンルームマンション投資は節税になるからお得と聞いたが本当だろうか?」このように、節税効果の有無に関して気になっている方も多いのではないでしょうか。

ワンルームマンション投資の節税効果は、年収や投資先の物件によって異なります。節税効果の大きさは人によって異なるため、投資家全員が必ずしも魅力的なメリットになるわけではありません。

本記事では、ワンルームマンション投資が節税になる仕組みや恩恵を受けやすい人の特徴、よくある質問などを詳しく解説します。

ワンルームマンション投資に節税効果はある?

不動産投資を活用することで、漏れのない経費計上・損益通算を通じて、税金の負担を軽減できる可能性があります。負担を軽減できる可能性のある税金は、「所得税」「住民税」、そして現金を不動産という資産に換えておくことで「相続税贈与税」にも影響があります。

ただし、運用中の節税効果は人によって差があり、納税額の多い人ほど効果が大きくなる傾向にあります。そのため、もともとの所得が少ない場合や納税額が小さい場合は、大きなメリットを感じられない可能性もあります。

ワンルームマンション投資には節税効果があるものの、平等に恩恵を受けられるわけではなく、所得に対する納税額によって差があると覚えておきましょう。

ワンルームマンション投資の節税の仕組み

ワンルームマンション投資における節税の仕組みを理解するために、以下の項目について把握しておきましょう。

  1. ワンルームマンション投資の収入源
  2. 計上できる経費
  3. 損益通算
  4. 減価償却

これらの基本を押さえることで、ワンルームマンション投資で期待できる節税効果への理解が深まります。

1. ワンルームマンション投資の収入源

ワンルームマンション投資から得られる収入は、主に以下の2つに分けられます。

  • インカムゲイン
  • キャピタルゲイン

インカムゲインとは、家賃収入のような継続的な収入のことです。ワンルームマンションを購入して賃貸物件として貸し出せば、毎月安定した家賃収入が入ってきます。たとえば、月々7万円の家賃収入があれば、年間で84万円のインカムゲインが発生します。

一方、キャピタルゲインとは、所有不動産を購入時よりも高い価格で売却する際に得られる利益のことです。ワンルームマンション投資と聞くと、家賃収入のような不労所得をイメージする人も多いですが、売却によって数十万〜数百万円の利益をあげることも可能です。

具体例として、2,000万円で購入した物件の価値が上昇し2,500万円で売却した場合、その差額の500万円がキャピタルゲインとなります。

2. 計上できる経費

不動産投資で得た所得で課税対象となるのは、収入そのものではなく、収入から経費を差し引いた残りの金額です。適切に経費を計上し課税対象となる所得額を引き下げることで、結果として納税額の軽減につながります。計上できる経費の代表例として、以下のようなものがあります。

  • 管理費修繕積立金
  • ローンの金利
  • 不動産会社への管理委託費
  • 物件の修繕費
  • 保険料
  • 固定資産税都市計画
  • 減価償却

前提として、経費になるのは「不動産事業に関わるもの」だけです。私的な目的で使用したものは経費として認められないため、区分けを明確にしておく必要があります。

【関連リンク】
不動産投資の経費どこまで落とせる? 計上できる経費とNGまとめ

3. 損益通算

損益通算とは、給与所得と不動産投資の赤字を相殺できる仕組みのことです。この仕組みにより、不動産投資によって生じた赤字を給与所得から差し引いて、課税所得を減らすことが可能になります。

たとえば、課税所得700万円のサラリーマンで考えてみましょう。その年の不動産所得が最終的に100万円の赤字を出した場合、給与所得との損益通算を行うことで、課税対象となる所得が「700万円-100万円」で600万円まで圧縮されます。本来700万円に対して課税されていた税金が600万円に対して課されるため、差額100万円に対する所得税率分の節税効果があるといわれています。

4. 減価償却

建物を含む固定資産は、時間の経過とともに価値が減少していきます。時間の経過による価値の減少を減価償却といい、物件を所有し運用する間に毎年減少していく建物の価値を、経費として計上することが可能です。

たとえば、2,000万円の建物部分を法定耐用年数47年で減価償却すると、単純計算で年間約42万円を経費として計上できます。この減価償却費は実際にはキャッシュアウト(現金の流出)を伴わない費用ですが、会計上は経費として認められるため、所得を減らし税金を軽減する効果があります。

重要なのは、減価償却は土地ではなく建物部分にのみ適用される点です。土地は時間が経過しても価値が減少しないと考えられているため、減価償却の対象とはなりません。

【関連リンク】
不動産投資をするなら必ず理解したい、減価償却費とは?【基礎編】

ワンルームマンション投資で節税効果を得られる税金の種類

ワンルームマンション投資では、以下の4種類の税金に対して節税効果を得られる可能性があります。それぞれの税金について、どのように節税効果が得られるのか詳しく解説します。

  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 相続税贈与税

1. 所得税

ワンルームマンション投資における所得税の節税効果は、特に購入初期に得られるケースが多いです。

主に減価償却と損益通算が関係しています。

減価償却費を含めた経費が家賃収入を上回り、不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得と損益通算することが可能です。これにより、課税対象となる課税所得を圧縮でき、所得税の納税額を軽減できます。

特に購入初年度は、不動産取得税や登記費用などの初期費用も経費に計上できるため、大きな赤字が出やすく、所得税の節税効果が高くなる傾向があります。

2. 住民税

所得税をもとに計算される住民税についても、所得税と連動して納税額を抑えられる可能性があります。

住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、不動産投資による所得の圧縮効果は翌年の住民税に影響します。

3. 相続税・贈与税

ワンルームマンション投資の不動産を所有するということは、自分の資産を次の世代へ引き継ぐ手段としても有効なケースがあります。

自身の生前にワンルームマンションを子どもなどに贈与する場合、贈与税のほか不動産取得税および登録免許税がかかります。死亡後に財産を相続する際にはかからない不動産取得税がかかることはデメリットです。

しかし、所得を自分と子どもに分散させることができます。ワンルームマンション贈与後、マンションからの所得は自身に対しては増えず、代わりに子どもが早い時期から家賃収入を得て資産を増やすことができるため、相続税対策にもなるケースがあります。

不動産が相続税対策になるといわれている理由は、現金で相続するよりも、不動産投資によって「賃貸用不動産」として相続した場合のほうが、財産の相続税計算上の価値が下がる、つまり相続税を低くすることが可能になるケースがあるためです。

相続時の不動産の評価は、物件の実際の価格よりも低く評価されるのが一般的です。不動産の相続税評価額は、市場価格(時価)の6割程度で評価されています。

ただし、マンションの評価額の計算は複雑です。贈与税相続税トータルで租税負担を減らすタイミングを含め、税理士など専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

ワンルームマンション投資で節税の恩恵を受けやすい人の特徴

ワンルームマンション投資による節税効果は、すべての人に同じように恩恵をもたらすわけではありません。特に以下のような特徴を持つ人は、節税効果を大きく享受できる可能性があります。

  1. 所得税の税率40%、45%にかかる人
  2. 相続税対策をしたい人

これらのケースについて詳しく解説します。

1. 所得税の税率40%、45%にかかる人

ワンルームマンション投資で節税の恩恵を受けやすい人は、所得税の税率が高い人、特に40%以上の人です。所得税は累進課税制度が採用されており、以下のように課税所得が多いほど税率が高くなります。

所得税の速算表(平成27年以後)

課税所得が1,800万円以上に対しては所得税率が40%以上となり、不動産投資による節税効果が特に大きくなります。

ただし、課税所得が1,800万円未満で所得税の税率が33%以下の所得についても、全く節税効果が期待できないわけではありません。不動産投資で赤字になった場合には、サラリーマンの場合は給与所得との損益通算により、課税所得を圧縮可能です。どの所得帯の人でも、程度の差はあれ節税効果を得ることは可能です。

また、不動産を売却した際には譲渡所得税が課されますが、以下のように保有期間によって、税率が異なります。

  • 所有期間5年超:20%
  • 所有期間5年以下:39%

所得税率が33%以上(課税所得900万円以上)の人であれば、5年より多くの期間保有して売却することで、給与所得として課税されるよりも不動産売却益として課税されるほうが税負担が少なくなります。

2. 相続税対策をしたい人

相続税は相続する財産の種類によって税率が異なり、現金よりも不動産のほうが財産価値は低く見積もられます。特に賃貸用不動産であれば、さらに相続税の評価額は下げられるため、相続税対策として効果的なケースがあります。

たとえば、1億円の現金を相続する場合と、同額の賃貸用不動産を相続する場合では、後者のほうが相続税評価額が低くなり、支払う相続税も少なくなります。また、早い段階で贈与した場合、不動産投資によって生み出される家賃収入は、贈与を受けた方が継続的に得られるため、その収入を未来の相続税の納税資金として確保しやすくなるというメリットもあります。

相続税の負担が大きくなりそうな資産家や事業主の方は、ワンルームマンション投資を相続税対策の一環として検討する価値があるのではないでしょうか。

ワンルームマンション投資で節税できる人とできない人の特徴

ワンルームマンション投資による節税効果は、人によって大きく異なります。ここでは、節税できる人とできない人の特徴について解説します。

節税できる人の特徴

ワンルームマンション投資で効果的に節税できる人には、以下のような共通点があります。

  • 給与の所得税をたくさん納めている人
  • 税金の仕組みを知っている人

所得税は累進課税制度であるため、所得が多いほど税率が高くなります。そのため、高所得者ほど不動産投資による損益通算の恩恵を受けやすくなります。

また、税金の仕組みを知っている人も効果的に節税可能です。不動産投資における税金の仕組みを理解していれば、適切なタイミングでの物件購入・物件売却や、最適な経費計上方法を選択できます。これにより、合法的に節税効果を得ることが可能になります。

節税できない人の特徴

一方で、以下のような人は、ワンルームマンション投資による節税効果をあまり得られない可能性があります。

  • 給与所得の税率が高くない人
  • 税金の仕組みを知らない人

所得税率が低い場合、不動産投資で赤字が出ても損益通算による節税効果は限定的であるため、節税効果を感じにくいといえます。

また、税金の仕組みを知らない人も効果的な節税が難しくなります。不動産所得に関する税制を理解していないと、経費計上のミスや不適切な判断をしてしまう可能性があります。結果として、本来得られるはずの節税効果を十分に享受できない可能性もあります。

ワンルームマンション投資の節税に関してよくある質問

ワンルームマンション投資の節税に関して、以下のような質問が挙げられます。

  1. サラリーマンでも節税できますか?
  2. ワンルームマンションの節税効果は所有している限りいつまでも続きますか?

それぞれ詳しく解説します。

1. サラリーマンでも節税できますか?

サラリーマンでも節税できます。むしろ、給与所得を持つサラリーマンこそ、不動産投資による節税効果を享受しやすいといえます。

サラリーマンが不動産投資を行う場合、不動産所得の赤字と給与所得を相殺する損益通算を活用することで、課税所得を圧縮可能です。これにより、支払う所得税や住民税を減らす効果が期待できます。

特に、給与所得が高いサラリーマンほど税率も高くなるため、節税効果も大きくなります。また、サラリーマンは安定した収入があるため、金融機関からの融資も受けやすく、不動産投資を始めやすい点もメリットです。

2. ワンルームマンションの節税効果は所有している限りいつまでも続きますか?

節税効果はいつまでも同じように続くわけではありません。特に節税効果が得られるのは、物件購入後の初期段階です。

物件購入時の初期費用がかかる初めの年は、不動産投資をすることで多くのケースで一定の節税効果が得られます。不動産取得税などの初期費用は、その年の経費として計上できるため、初年度は大きな赤字が出やすくなります。

しかし、2年目以降は同一の投資物件に対して初期費用ほどの経費は一般的にはかからず、節税効果は1年目よりも弱まることも珍しくありません。また、減価償却費は毎年同じ金額が計上されますが、ローン返済が進むにつれて金利部分の経費は減少していきます。

ただし、適切な物件管理と新たな投資戦略によって、長期的な節税効果を維持することも可能です。たとえば、計画的に複数の物件を購入していくことで、常に初期費用による節税効果を得続けられます。

ワンルームマンション投資で節税に成功した事例

1. 事例詳細

課税所得が2,100万円の会社員が、ワンルームマンションを6件購入。初年度は、1件につき100万円の赤字、赤字の合計が600万円でした。給与の課税所得2,100万円から600万円をマイナス(損益通算)し、所得税率の高い区分の所得をカット(40.840%と33.693%の一部)でき、合計約233万円の節税効果が得られました。

2. 事例詳細

課税所得が1,000万円の会社員が、ワンルームマンションを1件購入。初年度に100万円の赤字が発生しました。課税所得金額を100万円減らすこととなり、33%という高い税率がかかっていた部分をカットでき、納める税額が33万円ほど減らせるということになりました。

ワンルームマンション投資の節税効果は専門家によく相談しよう

ワンルームマンション投資には確かに節税効果があり、所得税・住民税、さらには相続税贈与税の負担を軽減することが可能です。特に高所得者は節税効果を実感しやすいでしょう。

しかし、ワンルームマンション投資を始める際には節税効果だけでなく、物件の収益性や将来的な価値変動なども総合的に考慮して投資判断することが大切です。短期的な節税メリットに目を奪われて、長期的に不利な投資判断をしないよう注意しましょう。

適切な知識と戦略に基づいたワンルームマンション投資は、資産形成と節税の両面で効果的です。自分の状況をしっかりと分析し、専門家のサポートを受けながら、賢明な投資判断をしていきましょう。

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「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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