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作成日: 2021.01.20

2021年の仮想通貨の見通し、基礎知識と過去の推移から今後を予想

2021年の仮想通貨の見通し、基礎知識と過去の推移から今後を予想

2020年から2021年にかけて価格が上昇し、これまでの最高値を大幅に更新した仮想通貨。価格上昇の流れに乗り、投資したいと考えているものの、仮想通貨についてあまりわかっておらず、なかなか一歩を踏み出せずにいる方も多いと思います。

この記事では、仮想通貨とは何なのかを簡単に解説するほか、2020年から2021年にかけて何が起きているか、これからの価格変動を予想します。仮想通貨投資に参入すべきかどうか悩んでいる方は参考にしてください。

そもそも仮想通貨とは何なのか

仮想通貨とは何か

仮想通貨は仕組みが複雑なので、違いをわかりやすくするために米ドルや日本円といった法定通貨とよく比較されます。仮想通貨と法定通貨の主な違いをまとめると以下の通りです。

法定通貨 仮想通貨
発行者 国家 不存在
利用方法 現物・オンライン オンラインのみ

法定通貨と仮想通貨の違いについて詳しく見ていきましょう。

法定通貨と仮想通貨の違い

法定通貨は国家が発行しており、経済状況を確認しながら供給量を調整しています。銀行に預けている場合、実際に引き出して現金として利用、インターネットで送金または支払いに充てることも可能です。

対して仮想通貨は、発行者が存在しません。仮想通貨に組み込まれたプログラムに基づいて新たな仮想通貨が生み出される仕組みとなっています。実際に引き出して利用することはできず、多くはインターネットでの利用に限定されているのが大きな特徴です。

法定通貨の価値は、発行者である国家の信頼性に基づきます。信頼性の高い先進国の通貨は価値が高く、信頼性の低い発展途上国の通貨は価値が低いという傾向があります。基本的に国家が存在している限り、価値がゼロになるということはありません。

仮想通貨は、発行者がいないため、法定通貨のように価値が発行者の信頼性に基づきません。仮想通貨の代表格であるビットコインは、採掘量が年々減少することで価値が高まる金と同様、人工的に生成量を減少させて価値を高めています。

また、ビットコインの生成には電気代や設備投資などのコストがかかりますが、通貨価格がコストを下回れば生成に取り組む人がいなくなるため、コストが価値を下支えしているといわれています。

しかし、仮想通貨の価値は誰かが保証してくれるものではありません。最悪の場合、価値がゼロになる可能性もあるということを覚えておきましょう。

2017年の仮想通貨バブルと2018年のバブル崩壊

2017年の仮想通貨バブルと2018年のバブル崩壊引用:CoinMarketCap

仮想通貨にバブルが到来したのは今回が初めてではありません。仮想通貨が大きな注目を集めた2017年は「仮想通貨元年」とよばれており、ビットコイン価格は1年で10万円から20倍の200万円に上昇する仮想通貨バブルとなりました。

しかし、翌年の2018年1月には仮想通貨の将来を不安視するイベントが相次いだため、最高値を更新したわずか1カ月に100万円、年末には40万円とバブルが崩壊しました。

現状を知るためには、まずは2017年から2018年になぜバブルが到来して崩壊したのかを把握しておくことが重要です。バブル到来と崩壊の要因を詳しく見ていきましょう。

改正資金決済法が施行

仮想通貨が広く認知されることになったことで、仮想通貨の定義づけや、利益を得た場合の課税をどうするのかといった法律の制定を急ピッチで進める必要が生じました。その結果、2017年4月1日に世界に先駆けて日本で制定されたのが改正資金決済法です。

これによって政府が仮想通貨の存在を認めなかった場合は、仮想通貨の取引が禁止されることで価値が大幅に下落する可能性がありました。

しかし、政府が存在を認めて、共存するための法律を制定したことから仮想通貨の信頼度が大幅に上昇し、それに応じて価格も上昇しました。

ビットコインの分裂

2017年8月、ビットコインを改善するために人為的な分裂(仕様変更)が行われました。この分裂によって生まれたのがビットコインキャッシュです。

ビットコインの保有者は、保有割合に応じてビットコインキャッシュが割り振られました。仮にビットコインが2倍に増えたと考えると、1ビットコインあたりの価値は下がるため、資産が増えるということはありません。

しかし、新たに誕生したビットコインキャッシュの価値が上昇したことで、「分裂=資産が増える」という構図ができました。

その結果、2回目の分裂が2017年11月に起こると予想されていたこともあり、分裂狙いの購入で11月に仮想通貨の価格が上昇しました。

「億り人」の登場

億り人(おくりびと)」とは、資産運用によって保有資産が1億円を超えた人です。2017年の仮想通貨バブルでは、資産が100倍以上になる仮想通貨も多かったため、億り人が多く誕生した年といわれています。

仮想通貨以外の資産運用で億り人となるには、ある程度の資金と時間を要するため、資金が少なくても短期間で大幅に資産が増える可能性の高い仮想通貨が注目を集めました。

「億り人になれる次の仮想通貨はどれなのか」という買いが買いを呼ぶ展開となった結果、安値では買われる構図となり、底値の堅い価格変動が続きました。

先物取引の開始

先物取引とは、将来のある時点において売買する仮想通貨の量や価格を現時点で約束する取引です。将来のある時点の価格がいくらになっていても、約束した価格で取引できるため、先物取引では価格変動リスクを抑える効果が期待できます。

先物取引が始まるまでの価格変動は、「○月に分裂が起きるので価格が上昇する」といった臆測や根拠のない噂に基づくものでした。しかし、先物取引が始まったことによって将来の価格変動の見通しを立てやすくなりました。

そのため、2017年12月10日に世界有数の取引を誇るシカゴ・オプション取引所、18日に北米最大のシカゴ・マーカンタイル取引所で先物取引が始まったことは、仮想通貨にとってプラスといえます。

しかし、実際の先物取引では、仮想通貨の将来性が不安視されて先物価格が下落したため、明確な価格の指標がなかった仮想通貨は先物価格の下落に合わせて価値を下げていきました。

ハッキングの発生

仮想通貨はハッキングの被害と隣り合わせにあります。2014年にはマウントゴックス社がハッキング被害に遭い、ビットコインと預かり金が大量流出。

その結果、ハッキング被害を受けたマウントゴックス社は莫大な負債を背負うことになり、事実上の経営破綻となりました。

2018年1月26日には、日本の仮想通貨取引所の1つであるコインチェック社が外部からのハッキング攻撃を受けて、大量のネムを盗難されました。

コインチェック社の管理体制の不備が原因によるハッキング被害といっても、仮想通貨のリスクが改めて注目されたため、価格下落後は上値の重い展開が続くことになりました。

世界各地の取引規制

仮想通貨は匿名性が高いため、麻薬取引や犯罪で取得した不正資金、違法な手段で取得したお金などのマネーロンダリングに利用される可能性が高いと指摘されていました。

また、自国の通貨を仮想通貨に交換することは、国内から資本が流出することを意味します。そのため、国が資本管理を行う中国では、直接資本を管理できなくなるので仮想通貨規制に踏み切りました。それまでビットコイン取引のシェアの9割以上を占めていたといわれている中国で規制されたことが、仮想通貨の上値を抑える大きな要因になりました。

さらに中国だけでなく、韓国やインドなど世界各地で仮想通貨の取引規制が行われたことを受けて、仮想通貨の将来を不安視する人がますます増加していきました。

大手SNSの仮想通貨関連広告禁止

2017年の仮想通貨バブル時には、FacebookやTwitterといった大手SNSで仮想通貨の取引所の広告を見かけた方も多いと思います。

テレビCMや大手SNSの広告は仮想通貨が広く認知されるきっかけを作ったといえるため、仮想通貨バブルを後押ししていたといっても過言ではありません。

しかし、世界各地で仮想通貨が規制される流れとなった2018年は、まずFacebook、続いてTwitter、Googleも仮想通貨関連の広告を禁止しました。

価格の大幅下落による不安、仮想通貨関連の広告を見かけなくなったことで、新規に口座を開設して仮想通貨取引を行う人が減ったこともバブル崩壊の要因といえるでしょう。

ICOの失敗・詐欺

株式投資では、未上場企業が株式市場に上場する前にIPO(新規公開株)による株主募集が行われます。株式市場に上場される際はIPO価格を上回って取引が始まることが多いため、IPOの抽選に参加する人は数多くいます。

ICOはIPOの仮想通貨版です。仮想通貨の代表格であるイーサリアムも、過去にICOによる募集が行われました。仮想通貨元年の2017年は多くのICOによる募集が行われましたが、募集価格を上回った通貨は多くなく、ほとんどの投資家が損をする結果となりました。

また、一獲千金を狙おうとする投機的な資金がICOに流入しやすい状況を利用した悪質な詐欺ICOが多く登場し、「仮想通貨=危険」という構図ができたことも、仮想通貨の上値を抑える要因になったといえるでしょう。

2020年から2021年の仮想通貨バブル再燃

2020年から2021年の仮想通貨バブル再燃引用:CoinMarketCap

2017年から2018年にかけてバブルの到来と崩壊を経験した仮想通貨ですが、なぜ2020年に再度バブルが到来したのでしょうか。

2020年の仮想通貨バブルを「市場状況」と仮想通貨の特徴である「希少性」という2つの観点から紐解いてみましょう。

コロナ禍の市場混乱

2020年は新型コロナウイルスの影響によって、世界経済は大きなダメージを受けました。景気が悪化した場合は、株式を手放して現金化し、金といった現物資産に資金を移動させる流れが目立つようになります。

資金の移動先に仮想通貨も選ばれたことで1月の初値が70万円台だったにもかかわらず、2月中旬には110万円台に突入。

しかし、コロナウイルスが世界に与えた影響が想像を上回るものであり、日本でも「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の一部を改正する法律が3月14日施行、緊急事態宣言が4月7日に発令されたことで、2月下旬から3月末にかけて40万円台に下落しました。

この下落は一時的で、「コロナウイルス撲滅」から経済活動を行いながらコロナウイルスと共存する「ウィズコロナ(withコロナ)」になり、底堅い推移を続けることになりました。

給付金の流入

新型コロナウイルスが経済に与えた影響は大きく、コロナウイルスが原因で収入が減った、会社が破綻して職を失ったという人も増えました。

コロナウイルスの対策は国によってさまざまですが、日本やアメリカなどでは国民に給付金を支給されました。

アメリカで給付金が支給された日にはビットコインの価格が10%上昇したため、給付金の一部が資産運用に回り、ビットコインの価格を押し上げたと考えられます。これによって「給付金が支給される=ビットコイン価格が上昇する」という構図が完成しました。

「また給付金が支給されるのでは?」という思惑による先買いが発生したため、2017年と同様、仮想通貨が盛り上がりを見せたといえるでしょう。

半減期の到来

各国の政府は新型コロナウイルスの対策として、財政出動や金融緩和といった経済対策を行いました。これらの経済対策で市場に出回る通貨が増えたため、通貨価値が下がりました。

通貨の希少性が下がることで浮上したのがです。コロナ禍で金は最高値を更新しており、改めて不況時に希少性の高い金が強いということが認識されました。

一方、2020年5月にビットコインは半減期を迎えました。半減期とは、マイニングというブロックの生成によって得られるビットコインの量が半減することです。

半減することによって生成されるビットコインの量が減少するということは、金と同様に希少性が高くなることを意味します。

通貨の希少性が下がったコロナ禍では希少性の高いものに資金が流入するため、2020年は半減期の到来によって希少性が高まった仮想通貨も価格が上昇したと考えられます。

過去の推移から今後を読み解く

過去の推移から今後を読み解く

仮想通貨は投資目的ではなく、本来は実用目的で作られました。仮想通貨の主なメリットは「24時間365日取引できる」「海外送金や決済を手軽かつ安価に行える」という点です。

グローバル化が進む昨今は、国をまたいだお金のやり取りが増えました。しかし、海外への送金は時間がかかる、手数料が高いため、企業にとっては大きな課題です。

仮想通貨はこれらの課題を解決する通貨として登場しましたが、まだその役割をきちんと果たせていません。しかし、最近は銀行が仮想通貨の開発に着手するケースもでてきており、今後は実需が仮想通貨の価格を支える可能性が高いといえるでしょう。

また、仮想通貨が確固たる地位を築き始めていることから、ETF(上場投資信託)の承認を得られる可能性が高まっています。

【関連リンク】
ETFとは一体何? 仕組みや投資信託との違いも解説

ETFの承認が得られれば、多くの資金が仮想通貨に流入するため、底値が堅く、高値更新も期待されます。しかし、2020年の下旬から2021年にかけて急激に価格が上昇しているので過熱感は否めません。

直近の動きに翻弄されるのではなく、仮想通貨関連のニュースを確認しながら投資戦略を練ることが重要といえるでしょう。

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この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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