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作成日: 2019.11.28

親から土地を相続して15年の不動産投資家がすすめる「ハイブリッド投資」とは

親から土地を相続して15年の不動産投資家がすすめる「ハイブリッド投資」とは

今回からRENOSYマガジンで執筆することになりましたWATANKOと申します。相続をきっかけに不動産を引き継ぎ、不動産投資家を15年以上、本業のサラリーマンと兼業しています。不動産投資から得たリターンを12年で1.7倍にしたハイブリッド投資を、自身の体験からお話したいと思います。

はじめに

親から引き継いだ不動産または引き継ぐ予定の不動産。あなたには、その不動産の活用のストーリーは、出来上がっていますでしょうか…。

50代から60代になると、両親が亡くなり所有していた土地や建物といった不動産を相続する機会に接することがあります。なかにはもっと早く40代、あるいは30代で相続する方もいることでしょう。

かくいう私も37歳の時に父を、45歳の時に母をそれぞれ亡くし、2度にわたって父母の資産を相続しました。

不動産を相続したら

不動産の相続というと一見、資産家への扉が開いたような気持ちになる人もいるかもしれません。しかしながら私が相続した資産の中にはいろいろと問題が起きたり、あるいは課題を抱えた物件がいくつかありました。

私はサラリーマン兼業不動産投資家としておよそ15年以上活動し続け、これらの問題や課題を解決させ、保有する不動産を収益化してきました。

具体的には、保有する土地にアパートを新築したり、田畑を造成工事によって整地して駐車場に仕立てて貸し出したり、古い店舗を解体撤去して更地にして新しい相手に賃貸し直ししたりするなど、いくつかのケースを経験してきました。また中には、賃貸利用を試みたものの借り手が見つからず売却した物件もあります。

そこで、私と同様に親からの相続をトリガーとした不動産活用についてどうするべきかという課題に直面した方に向けて、とるべきステップについて綴ってみたいと思います。

まずは相続対策

「先週、父が倒れて入院した。今のところ意識は戻ったけどもう普通の生活はできそうにもない。認知症の兆候も気になる。今後は父の介護や相続、母の老後費用などがかかる。そこでいっそ駅からだいぶ離れたところだけど土地があるから、そこにアパートを建てて今後の費用をまかなっていこうか…」

いままで元気であった親がけがや病気、はたまた認知症などを患いはじめてくると、親の財産、とりわけ不動産の今後についてどうするかとういった課題が、残された家族の間でにわかにクローズアップされてきます。

当人の配偶者や子ども達はこれらの課題に取り組んでいくことになるわけですが、多分に未経験の領域でありますので、慌てずにじっくり考え抜いて行動を起こす必要があります。

その際には相続と土地活用、この2つの課題にいっぺんに直面した際に、まるで連立方程式を解くがごとく一気に解決を図ろうとすると大変です。ここは相続と、土地活用の2つを分けて順序だてて対処していくのが着実なやり方であります。

まずは相続です。そこで最初にすべきことは、親の資産を登記の確認など法的な裏付けも含めてしっかりと把握することです。

次に税理士に相続税の試算をお願いします。この際に、できれば一方の親が亡くなった場合の相続だけでなく、残る親がさらに亡くなった場合の二次相続の分まで試算できれば、両親からの相続の全容が把握できてよいです。

相続税の試算ができたら、これを納める資金をどう用意するか。または相続税の負担がかなり大きなものであれば節減できる手段はないか。これら対応策を検討します。

その結果、保有する不動産の中には相続税対策として処分するものもでてくるでしょう。そして残った不動産が貴方の活用の対象となる物件です。

相続した不動産の活用ステップ

相続した不動産の活用ステップ

さて次に不動産活用のステップですが、まず何事も前提条件と達成目的を見定めることが大事です。

前提条件とは、不動産活用で一体いくらぐらいの資産形成を狙うべきかを考えるにあたって、把握すべき将来の資金需要です。

まずは親の傷病治療費や介護施設の入居費、葬儀代も含めた今後の老後費用と、相続の結果、保有する資産の税金や保険等の費用を見積もります。

さらに自分、そしてパートナーや子どもがいれば彼らを含めて今後かかる生活、教育にかかるお金もあわせて見積もります。

これが将来の資金需要であり、土地活用の前提条件となること、そしてこの資金需要に対応することが必要最低限の達成目的となります。

もちろん、この資金需要を大きく超えて資産形成を目指すことも当然ながら考えられますが、不動産投資では多額の借り入れを伴うことが多いので、慎重に進める気持ちを忘れてはなりません。

土地活用についてはいろいろな形態があげられます。どれも賃貸でありメジャーなところでは、以下に分類されるでしょう。

  1. アパートや戸建て住宅を建てて個人、法人に賃貸する
  2. 駐車場にして個人、法人に賃貸する。
  3. 更地に建物を建てて事業用物件として法人に賃貸する
  4. 更地のまま事業用物件として法人に賃貸する

1は個人投資家にとって一番主流となる活用方法です。

2は将来において別の用途に転用することも視野にいれた一時的な利用形態ともいえます。

3は1と異なり、賃貸先が特定の法人に限定されるので複数の個人向けの賃貸に比べて注意が必要です。しかし、うまくいけば手間がかからず安定的かつ比較的多額な収益が期待できます。

4は建物がない分リターンは減りますが、建物建築費用の負担がなく、その他のリスクも少ないケースです。

それぞれにメリットがあり、保有する不動産の立地や規模・形状、近隣の商業や住居需要をもとに適切な活用方法の目星をつけます。

上記の1、2であれば、自己の判断で資金を投じて投資に踏み切ることになりますし、3、4であれば不動産業者を活用して借り手を探していきます。

不動産投資は、相手が個人・法人のどちらであっても「相手先の信用状態、自己の資金負担や借り入れ、収支計画を立ててモニタリング」をし、また税務面で節減策を取り入れる、といったさまざまな方策が必要となってきます。

まさにこれは事業ともいうべき側面があります。不動産投資家は不動産事業家といっても過言ではありません。そこでときには思わぬ苦労を伴うことがあるかもしれません。

しかしながら、こうして知恵と行動を重ねて収益を安定的に獲得するスキームが一旦出来上がると、資産形成において不動産投資がとても力強い存在になってきます。

WATANKOも毎月の賃料収入が給与所得の数倍に及ぶので、毎日早起きして眠い身体を引きずりながら通勤する経済的な意味が果たしてあるのか、と考えることもしばしばあります。

【関連リンク】
不動産投資を始めるなら自己資金はいくら必要?

さらに別の投資手法を併用

さて不動産投資から得た賃料収入について、固定資産税や保険料等を差し引いた残りの資金はどうするか。

この資金を元手に、更なる不動産投資を続けていくのもひとつの手段です。しかし不動産投資の件数を増やしていくことは、それだけ投資の手間もまた増えることになります。

サラリーマンと兼業ですすめていくとなると、やがてどこかで時間的、精神的な壁にぶつかりそうです。

それでは不動産投資で得た資金を、もっと楽に更に活用する方法はないものか。

そうなると、発想は自然と証券投資に目が向きます。でも書店等で見かける投資本は、不動産投資以外では個別株やFXなどリスクが高いものばかりです。

世のなかには個別株やFXで利益を上げている人も確かにいますが、自分がその仲間に入ることができるかどうか全く未知数です。

せっかく不動産投資を成功させて得た資金を、個別株やFXなどであっという間に失ってしまっては元も子もありません。

「ああ、決して大儲けはできなくてもいいから、さらにお金を堅実に増やすことができる投資方法はないものか」

そこで私が見つけた投資方法が「インデックス投資」です。

インデックス投資とは

インデックス投資とは何か。それは投資をする際に特定の個別銘柄・対象に絞って投資するのではなく、市場に出回っている対象全てに対して少しずつ分散して投資することです。

インデックス投資は、特定の投資対象に集中して資金を投じるものではありません。投資対象を広く分散してリスクを分散させるものです。

よくいわれる例え話に「卵を一つのかごに入れるな」があります。全ての卵をたった一つのかごに全て入れて持ち運ぼうとしたとき、転んでかごを落としてしまえば卵は全て割れてしまいます。

これに対して、卵をいくつかのかごに分けて持ち運ぶことによって、一つのかごを落としても全ての卵を一度に失ってしまうことが避けられます。

このように値動きが異なる複数の対象に投資元本を分散して投じることによって、全てを一度に失ってしまうリスクを回避することが分散投資の基本です。

もう少し具体的に言えば、株式市場であれば市場全体の値動きを表すインデックス(株価指標)に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を購入し、長期にわたって保有し続けることを指します。

さらにいえば、日本だけでなく海外の先進国や新興国に対しても同様に各国の株式インデックスに連動する商品も購入、保有していきます。

また株式だけでなく債券やREIT(不動産投資信託。不動産事業を証券化したもの)などさまざまな投資対象も候補にあがります。

インデックス投資とは、こうして世界中に市場が形成されている投資対象に満遍なく幅広く投資することによって世界経済の全体の拡大、成長に沿って資産を増やす方法なのです。

インデックス投資とは

日本にずっと居住していると、ここ30年くらいは経済成長を実感する機会が少ないですが、世界に目を転じてみれば、米国をはじめとした各国の実質GDPや株式時価総額は一時的には下落する局面もあるものの、中長期的に見れば右肩上がりを続けています。

特定の銘柄を選んだ結果、自分だけがこの成長の波に乗り遅れるといった事態を避け、市場全体に投資することによって世界の経済成長の波に着実に乗っていくのがインデックス投資の本質なのです。

ハイブリッド投資のすすめ

不動産投資とは一つの物件に多額の投資をする集中投資、地域も自分の目が行き届くところに集中しがち、投資物件の種類も単一になりがちです。

そうなりますと最近の例でいえば台風や大雨の影響によって保有する不動産が一斉にダメージを受けるなんてリスクもあることでしょう。

こうした集中投資のリスクの側面を持つ不動産投資と組み合わせる投資方法、個人の収益を下支えする併用投資方法として分散投資、すなわちインデックス投資がマッチします。

不動産投資(集中投資)とインデックス投資(分散投資)を併用することでそれぞれのメリットを得る一方で、お互いが持つデメリットを緩和していきます。

それはちょうどガソリンエンジンと電気モーターの良いところを組み合わせた、効率に優れた動力源であるハイブリッド車と同じです。不動産投資+インデックス投資はさながら「ハイブリッド投資」とよべるでしょう。

私はこのハイブリッド投資を2008年から12年近く続けてきており、不動産投資から得たリターンをインデックス投資によっておよそ1.7倍に増やしてきました。

個人が資産形成に割くことができる時間と労力には限りがあります。それらは不動産投資の新規物件立ち上げや既存物件のフォローに投じる一方、手間いらずのインデックス投資を併用することで、あなたの資産形成はさらにもう一段、厚みが増したものへと発展していくことでしょう。

次回予告

私は飲食店舗、戸建て、駐車場などいろいろな不動産投資と管理をおこなってきましたが、その中でアパートについて取り上げます。

アパートの建築時に考えたことやアパート経営をやっていて体験したエピソード、アパート経営を検討している方へのアドバイスを綴ってみたいと思います。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

WATANKO

首都圏のエネルギー関連企業にて経営企画、経理および子会社管理の業務に従事しつつ、半ば家業ともいうべき不動産投資を行うサラリーマン兼業不動産投資家、さらには国際分散投資を実践するインデックス投資家です。 資産運用でスーパーカーを手に入れよう!

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