公開日: 2026.04.21

相続手続きは時間との戦い。失敗しないスケジュールとステップを徹底解説 |RENOSY(リノシー) 相続わかるラボ

監修:
木村成愛 (日知司法書士事務所代表 司法書士)
相続手続きは時間との戦い。失敗しないスケジュールとステップを徹底解説 |RENOSY(リノシー) 相続わかるラボ

家族や身近な人が亡くなると、悲しみに暮れる間もなく多種多様な手続きが必要になります。死亡届から始まり、預貯金や保険の手続き、相続税の申告、不動産の名義変更など、その項目は多岐にわたります。期限が定められている手続きも多く、遅れると過料が科されたり、税制上のメリットを逃したりする可能性もあります。

本記事では、相続開始から完了までの流れを時系列に沿って、ご説明いたします。いざという時のために、ぜひ最後までご覧ください。

相続手続きの流れ

親族が亡くなると同時に相続が開始されます。相続手続きは、亡くなった直後から数日、数カ月、数年間にわたって続く長いプロセスです。特に不動産や多額の資産が関わる場合、手続きを放置すると後々のトラブルや経済的な不利益につながる恐れがあります。

まずは期限や内容の全体像を把握し、計画的に進めていく必要があります。さっそく、各手続きの期限とそれぞれの内容を確認していきましょう。

 

※記載している期限は目安であり、起算日や期限は個別の事情により異なる場合があります。

相続手続きの具体的なステップ 

できるだけ早くやること(一般的な手続き)

公共料金や金融機関へ連絡

亡くなった方が契約者となっている電気、ガス、水道などの公共料金の契約名義を、速やかに相続人などへ変更する必要があります。

また、クレジットカード会社や金融機関へ連絡をして、カードの利用や口座の入出金を止める手続きを行います。不正に利用されたり勝手に引き出されたりといったリスクを回避するためにも、できるだけ早く連絡をしましょう。

7日以内

死亡届の提出

死亡の事実を知った日から7日以内に、亡くなった方の死亡地・本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場に死亡届を提出します。死亡届と併せて、火葬や埋葬をするための火葬許可証(埋火葬許可証)の申請を求められることもありますので、その際は同時に提出します。

14日以内

年金の受給権者死亡届の提出

年金を受けていた方が亡くなった場合、受給を停止させる手続きが必要です。厚生年金は10日以内に年金事務所または年金相談センターへ、国民年金は14日以内に年金事務所や市区町村役場へ「受給権者死亡届」を提出します。

なお、年金機構に年金受給権者のマイナンバーが収録されている場合には、原則不要となります。

もし、届けを提出せずに年金の振り込みが続いた場合は、余分に振り込まれた分の返還が必要になりますので、遅滞なく提出するようにしましょう。

国民健康保険証の返却と変更手続き

死亡届を提出すると、国民健康保険の資格は喪失します。それによって保険証を返却する必要がありますので、保険証を市区町村役場へ提出してください。

また、世帯主が亡くなった場合で、同一世帯内に他の加入者の方がいる場合は、被保険者証番号や口座の変更も必要になりますので、こちらも併せて行うようにしましょう。

なお、会社で加入している社会保険の手続きは5日以内に行う必要があります。ほとんどの場合、会社の担当者が手続きを行うため、会社へもできるだけ早く報告しましょう。

世帯主の変更

亡くなった方が世帯主であった場合で、その世帯に15歳以上の方が2人以上残っている場合は世帯主の変更手続きが必要となります。亡くなってから14日以内に市区町村役場に世帯主の変更届を提出しましょう。

なお、亡くなった方が1人世帯だった場合や、2人世帯でその世帯に残った方が1人しかいない場合は自動的に世帯主が決まるため、手続きをする必要はありません。

ステップ1. できるだけ早くやること(相続関係の手続き)

次の4項目は、あとに続く相続方法や、相続税の申告などに期限があるため、できるだけ早く進めていく必要があるものです。遅れることによって受けられなくなる特例や制度もありますので、しっかり確認しておきましょう。

1. 遺言書の確認

相続において遺言書があるかないかが最も重要であるといっても過言ではありません。これによって流れが大きく変わってきますので、まずは遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書があればその遺言書の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)によって必要な手続きを行います。遺言書がない場合には法定相続など別の手続きを行うこととなります。

遺言書の種類による手続きの内容については、以下の記事で詳しく紹介していますので、そちらもご覧ください。

【関連リンク】
遺言相続とは? 法定相続との違いや遺言書の活用法を解説|RENOSY 相続わかるラボ

2. 相続人の確認、確定

遺言書があり、その遺言書が有効であると認められた場合は、記載されている相続人を確認します。遺言書がなく法定相続となる場合は、民法によって定められた範囲と順位によって相続人が確定しますので、誰が法定相続人となるのかしっかりと調査を行います。法定相続人全員で相続財産の分配について話し合う必要がありますので、この相続人調査はとても重要です。

実際の相続人の調査は、亡くなった方の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を取得することから始まります。そこから必要な人の戸籍謄本を順次取得して確認しますが、離婚や養子縁組、法定相続人となるはずの人の死亡など、さまざまな条件により取得する謄本の範囲が変わってきますので、不安な場合は専門家に相談することをお勧めします。

3. 相続財産の確認、確定

相続人の調査と並行して、相続財産の調査も必要になります。法定相続の場合はもちろん、遺言書があったとしても、記載されていない財産がある可能性もあります。後から負債が見つかるといったことがないようにするためにも、調査は丁寧に行いましょう。

相続財産には、主に現金や預貯金、不動産や車、貴金属、株式などの有価証券、知的財産権などのプラスの財産と、ローンや借入金、未払いの税金や損害賠償債務などのマイナスの財産があります。金融機関や市区町村役場などに問い合わせて財産調査を行ってください。

財産を調査することで、相続を承認するのか相続放棄するのかの判断ができるようになります。

4. 遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)

相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で財産をどのように分割するのかを話し合います。これを遺産分割協議といい、相続人の誰か1人でも欠けている状態で行われた遺産分割協議は無効となります。

この遺産分割協議は法定相続の場合や遺言書に記載のない財産が見つかった場合に行う必要がありますが、遺言書に不備がない場合であっても遺産分割協議を行い、相続人全員の合意があれば遺言書とは違う分割方法にすることも可能です。

義務ではありませんが、話し合いによって確定した内容は、遺産分割協議書を作成して後々にトラブルにならないようにすることが望ましいです。

ステップ2.3カ月以内にやること

相続方法の検討

相続人や相続財産が確定したら、実際に相続をするのかどうかの判断をします。

相続の方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3つがありますが、このうち限定承認と相続放棄については自分が相続人となったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。

  • 単純承認:プラスの財産、マイナスの財産全てを相続する
  • 限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する
  • 相続放棄:一切の財産を相続しない

亡くなった方に多額の債務がある場合や、債務の金額がわからない場合などは相続放棄や限定承認を選択することが可能です。ただし、相続放棄は個人での選択が可能ですが、限定承認は相続人全員の同意が必要となるため、実際には選択されにくい方法です。

何もしなかった場合は単純承認をしたとしてみなされますので、期限が過ぎてしまわないように気をつけましょう。詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。

【関連リンク】
相続の選択肢は3つ|単純承認・限定承認・相続放棄の違いと選択期限を解説

ステップ3.4カ月以内にやること

被相続人の準確定申告、納税

亡くなった方が本来行うべき生前の確定申告を、相続人が代理で行う必要があります。これを準確定申告といい、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告しなければなりません。

対象になるのは亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得です。申告とあわせて納税も済ませる必要があります。これを怠ると、延滞税などが発生する可能性がありますので、期限内に必ず手続きを行いましょう。

ステップ4.10カ月以内にやること

相続税の申告

相続した財産の総額が基礎控除額を下回る場合には申告の必要はありませんが、基礎控除額を超える場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告納税手続きが必要になります。

相続税基礎控除額:「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」

基礎控除以外の「特例」や「別の控除」などを受けるためには、相続税がゼロの場合であっても申告が必要になりますので、「基礎控除額より低い=申告しない」とは捉えないように注意してください。

ステップ5.1年以内にやること

遺留分侵害額請求

遺留分とは、遺言書などで相続人として指定されなかった法定相続人に対して最低限保証される財産の取り分のことをいいます。

遺言による贈与(遺贈)に限らず、生前にされた1年以内の贈与や10年以内の生計の資本としての贈与も対象となり、それらが自身の遺留分を侵害されている場合に、民法によって定められた範囲の財産額を請求できる権利です。これを遺留分侵害額請求権といい、この権利は相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年が経過すると時効によって消滅してしまいます。

気づいた時には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

ステップ6.2年以内にやること

死亡一時金の請求

死亡一時金とは、国民年金を納めていた方が亡くなったときに、故人と生計を共にしていた遺族が受け取れる給付金のことです。給付を受けるには一定の条件があり、給付金額も故人の保険加入期間によって変動します。

また、国民健康保険や社会保険などに加入していた方が亡くなって葬儀などを行った際には、葬祭費1万~7万円や埋葬料5万円の給付を受けることもできます。こちらも亡くなってから2年以内が請求期限となっています。

同居していた家族が亡くなった時には、お住まいの市区町村役場へ問い合わせてみましょう。

ステップ7.3年以内にやること

不動産の相続登記

相続登記とは、遺産分割協議などで相続した土地、建物について、不動産登記簿の名義を変更することです。相続人が単独で申請する場合と相続人が共同でする場合があります。

2024年(令和6年)4月1日より、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記することが義務化されました。登記しなかった場合には10万円以下の過料を請求されることもありますので、忘れずに必ず手続きを済ませましょう。

生命保険の請求

亡くなった方が生命保険に加入していた場合、保険受取人は保険会社に死亡保険金の請求ができます。亡くなった日の翌日から3年が経過すると時効によって請求権が消滅しますので、早めに請求手続きをしましょう。

ステップ8.5年以内にやること

遺族年金の申請

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者であった方が亡くなった際、その方に生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、被保険者の加入状況など条件を満たしている場合、どちらか一方もしくは両方を受給することができます。

これも被保険者が亡くなってから5年経過すると時効によって請求権が消滅しますので、必ず確認をとって手続きを行いましょう。

未支給年金の請求

未支給年金とは、年金を受け取る権利はあったものの、実際に受け取る前に亡く

なったときに、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族が受け取れる年金のことです。

未支給年金も亡くなってから5年以内は、一定の条件を満たせば受け取れますので、忘れずに手続きを行いましょう。

計画的な相続準備と専門家の活用を

相続に関わる手続きには、たくさんの種類や期限があります。知らずに大きく損をしてしまうこともあります。期限をしっかりと把握して、それぞれ着実に準備を進めていくことが大切です。

今、相続の手続きを進められている方はもちろん、まだ関係ないと思っている人も事前に準備や対策ができることもたくさんありますので、いざという時のためにしっかり備えておきましょう。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

平城智隆 上級相続診断士・不動産証券化マスター・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・貸金業務取扱主任者

中央大学卒業後、SEとしてキャリアをスタート。その後、カルチュア・コンビニエンス・クラブでの企画職やITベンチャーの起業を経て、不動産業界へ転身。不動産小口化商品、リースバック事業、ファンド組成運用など幅広い実務経験を活かし、現在はGA technologiesにて「専門知識を親しみやすく」をモットーに、実務経験に裏打ちされた視点で信頼できる情報を発信している。

この記事を監修した人

木村成愛 木村成愛 日知司法書士事務所代表 司法書士

日知司法書士事務所は不動産に関する売買、贈与、相続、遺言作成等に加え、事業承継、信託、シンジケートローン等に関連する渉外も含め、幅広い分野で相談から具体的な解決に向けたアクションまでを行うことを得意としている。 また、依頼者の気持ちに寄り添い、単なる手続きにとどまらない関連事項をも丁寧に説明したサービス提供が相談者の信頼を集めている。 日知司法書士事務所

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