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お金と制度
2022.09.12

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?

給与所得者が手にする「手取り額」は、一般的に総支給額の7割~8割といわれています。では、給与から天引きされる社会保険料や税金は、どのように計算するのでしょうか? 貯蓄や資産形成をスタートするにあたり、税金の仕組みや手取り額の計算方法を理解しておきましょう。

手取り額とは

手取り額とは

会社から給与をもらっている「給与所得者」は、「手取り額」の意味を理解しておく必要があります。資産形成や貯蓄、転職を考える際にも、現時点の自分の手取り額がいくらで、どのくらいの社会保険料や税金が差し引かれているか把握しておきましょう。

「差引支給額」のことを指す

手取り額とは、総支給額から社会保険料や各種税金などを差し引いた「差引支給額」のことを指します。「実際に自分が受け取れる金額」と考えるとわかりやすいでしょう。

会社員は、給与から所得税や住民税、社会保険料などが天引きされるため、総支給額がそのまま受け取れるわけではありません。また、額面から天引きすることを「控除」とよびます。

  • 手取り額(差引支給額)=総支給額-控除額

人によって異なりますが、手取り額は総支給額の7割~8割程度が一般的です。総支給額には、主に以下のような項目が含まれます。

  • 基本給
  • 各種手当(住宅手当・通勤手当・家族手当など)
  • 時間外手当

なお「年収」とは、1年間の給与収入の総支給額を指します。

手取り額計算におけるポイント

手取り額計算におけるポイント

所得税や住民税の計算は、年収に税率を掛けて算出するだけの単純なものではありません。給与所得者の場合、あらかじめ「給与所得控除」や「基礎控除額」などが給与額から差し引かれた金額で計算されます。

給与所得控除

「給与所得控除」とは、所得税の算出をする際に、給与所得者が給与収入から差し引かれる控除です。給与収入から給与所得控除を差し引いた金額は「給与所得」とよばれる点も覚えておきましょう。

以下は、2022(令和4)年の給与所得控除額の一覧です。

収入金額 給与所得控除額
162万5,000円まで 55万円
162万5,001円から180万円まで 年収×40%-10万円
180万1円から360万円まで 年収×30%+8万円
360万1円から660万円まで 年収×20%+44万円
660万1円から850万円まで 年収×10%+110万円
850万1円以上 195万円

年収が500万円の場合、給与所得控除額は144万円(500万円×20%+44万円)です。給与所得の金額は356万円(500万円-144万円)ということになります。

年収850万円以上の控除額は一律195万円です。年収が上がれば上がるほど、給与所得控除のメリットを享受しにくくなります。

参考:給与所得者と税|国税庁

最大48万円の基礎控除額

確定申告や年末調整で所得税額の計算をする際は、「基礎控除」が適用されます。合計所得金額から差し引ける控除の一つで、給与所得者はもちろん、個人事業主なども対象です。控除額は、以下の通り納税者本人の合計所得金額に応じて異なります。

納税者の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

基礎控除のように、所得から控除できるものは「所得控除」とよばれます。基礎控除を含め、所得控除は全15種類です。給与所得者の場合、給与所得額から所得控除額を差し引いて「課税所得金額」を算出します。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁
参考:所得税のしくみ|国税庁

配偶者の有無や扶養人数でも差が生じる

15種類の所得控除のうち、配偶者がいる人に適用される控除として、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」があります。

配偶者控除は、納税者の合計所得金額に応じて控除額が変わるのに対し、配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額で控除額が変わるのが特徴です。具体的な控除額や控除対象配偶者となる人の範囲は、国税庁のウェブサイトで確認しましょう。

また、納税者に「所得税法上の控除対象扶養親族」がいる場合は「扶養控除」が適用されます。親族を扶養しなければならない分、税制上の恩恵が受けられます。控除額は、扶養親族の年齢・同居などの有無によって異なります。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁
参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参考:No.1180 扶養控除|国税庁

給与から引かれる税金

給与から引かれる税金

給与所得者の総支給額から天引きされる主な税金として挙げられるのが、「所得税」と「住民税」です。日本では、年収が上がれば上がるほど多くの所得税・住民税が課されます。

所得税

所得税とは、個人の所得に課される税金です。年間の合計所得金額から所得控除額を差し引いた「課税所得金額」に、一定の税率を掛けて税額を計算します。

日本では、基準を超えた部分の所得に高い税率を課す「超過累進税率」を採用しているため、所得が高ければ高いほど納める税金も多くなる仕組みです(最大税率45%)。

給与所得者は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。源泉徴収制度は支払者(会社)が所得発生の源で税額を徴収して国に納付する納税制度です。

源泉徴収はあくまでも仮の納税であるため、年間の所得が確定した年末に再計算をして精算しなければなりません。差額を精算する手続きを「年末調整」とよびます。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

住民税

住民税は「地方税」の一種です。住民税という名称はなく、都道府県が徴収する「道府県民税(東京都は都民税)」と、市区町村が徴収する「区市町村民税(東京都は特別区民税)」の総称を指します。

住民税には、前年の所得金額を基準とする「所得割」と、その地域に住む住人が広く一律に負担する「均等割」があり、それぞれで算出した額を合算して支払うのがルールです。

所得割の税率は一律10%が基本で、道府県民税と市町村民税の分配は以下の通りです。

  • 政令指定都市以外:道府県民税4%・市町村民税6%
  • 政令指定都市:道府県民税2%・市町村民税8%

均等割は通常、5,000円(道府県民税1,500円・市町村民税3,500円)ですが、自治体ごとに多少の違いがあります。

例えば神奈川県では、県民税に追加で「水源環境保全税」を課税しているため、所得割の税率に0.025%、均等割に300円がプラスされています。

参考:地方税制度|個人住民税|総務省
参考:個人の市民税・県民税について|横浜市

社会保険料も差し引かれる

社会保険料も差し引かれる

給与所得者の総支給額からは「社会保険料」が差し引かれます社会保険料とは、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険の5つを指します。

標準報酬月額の決まり方

社会保険料は「標準報酬月額」をベースに算出されます。標準報酬月額とは、報酬月額を区切りのよい幅で区分したものです。

例えば、健康保険の標準報酬月額は50等級に区分されており、該当する報酬月額欄から、「等級」と「標準報酬月額」を求めます。

標準報酬月額はいつ・誰が・どのように決めるのでしょうか? 入社後は、事業主が毎年7月上旬に「定時決定」を実施し、標準報酬月額の見直しを行うのが一般的です。

まず、4月~6月に支払われた給与総額の平均額を算出します。平均額がそのまま標準報酬月額になるわけではなく、保険料額表の等級に当てはめて標準報酬月額を決定します。

決定された標準報酬月額は、その年の9月~翌年8月における保険料の計算で使用され、大幅な給与額の変更がない限り、改定はありません。

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

社会保険料はどのように引かれる?

健康保険料や厚生年金保険料は「標準報酬月額」と「各都道府県の協会などが定めた保険料率」によって決定されます。労使折半が基本で、会社と従業員が半分ずつ負担します。

例えば東京都の場合、全国健康保険協会管掌健康保険料(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)の保険料率は9.81%、厚生年金保険料は18.30%です。労使折半となるため、従業員の負担は健康保険料率が4.905%、厚生年金保険料率が9.15%となります。

  • 健康保険料:標準報酬月額×4.905%
  • 厚生年金保険料:標準報酬月額×9.15%

雇用保険料は「賃金総額×雇用保険料率」で算出します。2022年4月1日~9月30日の雇用保険料率(一般の事業)は9.5/1,000(0.95%)で、負担割合は会社が6.5/1,000(0.65%)、従業員が3/1,000(0.3%)となっています。

  • 雇用保険料:賃金総額×0.3%

実際の保険料は人によって異なるため、保険料額表を確認しましょう。

参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(PDF)|全国健康保険協会
参考:令和4年度雇用保険料率のご案内(PDF)|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

会社員ができる節税

会社員ができる節税

手取り額を増やすポイントは、所得控除を上手に使い、所得税や住民税の負担をできるだけ減らすことです。会社員が活用しやすい所得控除の一例を紹介します。

最大12万円の生命保険料控除を受ける

生命保険に加入すると、最大12万円の「生命保険料控除」が適用されます。

国民皆保険制度が整備されている日本では、「生命保険は不要」という考え方もありますが、生命保険料控除によって軽減される税負担をリターンと考えれば、一般的な金融商品よりも利回りが高いとみることもできます。

以下は、新契約(2012年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額です。

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

なお、保険期間が5年未満の商品の中には、控除の対象外となるものもあります。加入前に確認しましょう。

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

医療費を管理・申告

「医療費控除」や「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」を活用すると、所得税の一部が還付され、翌年の住民税も安くなります。

医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に適用できる制度です。本人はもちろん、生計を同じくする配偶者や親族の医療費も医療費控除の対象となります。

  • 医療費控除の金額=実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(※その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%)

また「セルフメディケーション税制」により、特定のOTC医薬品の購入額が1万2,000円を超えた場合は、超えた部分をその年分の総所得金額より控除することが可能です(上限8万8,000円)。

控除対象となるOTC医薬品には「共通識別マーク」が付いています。ドラッグストアで薬を購入する際は、マークの有無を確認してから購入しましょう。

医療費控除やセルフメディケーション税制を利用する際は、基本的に「確定申告」が必要です。

参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

住宅ローン控除の活用

住宅ローンを利用してマイホームの新築・取得・増改築(以下、取得)をした場合、「住宅借入金等特別控除」や「特定増改築等住宅借入金等特別控除」などが受けられます。住宅借入金等特別控除の控除率は一律0.7%で、控除期間は最長13年間です。

また、住宅ローンを使用しないケースにおいても、要件を満たせば「住宅耐震改修特別控除」「住宅特定改修特別税額控除」「認定住宅新築等特別税額控除」などが適用されます。

控除額の計算方法や手続きの方法は、取得した住宅によって異なります。詳しくは国税庁のウェブサイトを確認しましょう。

参考:マイホームを持ったとき|国税庁

ふるさと納税やiDeCoの節税効果は?

ふるさと納税を節税と考える人もいますが、ふるさと納税では節税や減税はできません。控除上限額内の2,000円を超える部分が、還付または控除の対象となる仕組みで、負担すべき所得税や住民税が減るわけではないのです。

厳密には納税ではなく、自分が応援したい自治体に寄付ができる「寄付制度」である点にも留意しましょう。ふるさと納税の魅力は、自治体から返礼品がもらえることです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、拠出した掛け金を自分で運用する私的年金制度の一つです。掛け金額(毎月の限度額あり)は全額所得控除の対象となるため、積立期間中は所得税と住民税が軽減されるのがメリットです。

iDeCoの受取時は、元本と運用益の全体に対して課税されますが、受け取り方式に応じて「公的年金等控除」または「退職所得控除」が適用となります。

節税以外にも収入を増やす方法を考える

所得控除は全部で15種類ありますが、人によっては「基礎控除以外は対象外」という人も多いはずです。節税のみで収入や貯金額を増やすには限界があるため、「副業」や「投資」も視野に入れましょう。

副業の場合、事業所得として青色申告で確定申告を行えば、最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられるうえ、損失が生じた場合は損益通算による繰越控除が可能です。

投資は、株式投資や不動産投資、FX(外国為替証拠金取引)など、さまざまな種類があります。投資の世界ではリスクとリターンは比例の関係にあり、初心者がハイリスク・ハイリターンの投資に手を出すと、大きな損失を被る可能性があるでしょう。

リスクをコントロールしながら着実に資産を形成したいのであれば、「投資信託」から始めてみるのも一つの手です。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

仕組みを知って賢く手取り額を増やそう

仕組みを知って賢く手取り額を増やそう

手取り額を増やす方法としては、「努力して給与アップを狙う」「所得控除を使う」「副業や投資を行う」などがあります。

いずれの方法を選ぶにしても、現時点での総支給額と手取り額、控除額などをしっかりと把握することが重要です。税金の仕組みを理解したうえで、資産形成や貯蓄をスタートさせましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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