「iDeCo」のことが3分でサクッ!とわかる講座
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、一言でいえば「老後資金をつくるのに適した仕組み」。現在の日本は少子高齢化の影響で、老後の不安が大きくなっています。そのため、「老後の資金を自分でカバーする」という考えの方が増加し、iDeCoが注目されているのです。
iDeCoで長期化する老後に備える
iDeCoは、老後の資金不足に対する資産運用の一つとして位置付けられています。日本人は、医療の発達によって長生きできるようになりました。一方で「老後の生活費をどうするか?」という大きな悩みが生まれてきています。例えば、1950年の女性の平均寿命は61.5歳でした。しかし、30年後の1980年には78.76歳になり、さらに30年後の2010年は86.39歳になっています。平均寿命は相対的にどんどん伸びているのです。
老後の生活費がどれくらいかかるかといえば、2017年の総務省の調査では、無職の高齢夫婦の平均生活費は月あたり約23万7,619円です。一方、収入(主に年金)は約20万3,254円となっており、1ヵ月で3万4,365円、1年で約41万2,380円が不足する計算になっています。65~85歳まで20年間この状態が続くと、約824万円不足するだけでなく、入院治療費や介護費用などによって、さらに不足する可能性があるのです。
「iDeCo」のはじめ方は?
この老後の生活費を「毎月積立の資産運用」でカバーするのがiDeCoです。はじめ方は、iDeCoを扱っている金融機関で申し込むだけです。投資対象商品は各金融機関で異なりますが、主に投資信託や保険、定期保険などが一般的といえます。
月々の掛け金の上限額は職種によって異なっていることが特徴です。例えば、企業年金のない会社にお勤めのサラリーマンは月額2万3,000円まで、公務員は月額1万2,000円まで、フリーランスは月額6万8,000円までとなっています。また、老齢給付金としての受取開始は60歳で、原則解約ができないことも特徴の一つです。受取方法には次の選択肢があります。
- 一時金として一括で受け取る
- 年金として受け取る
- 一時金と年金を組み合わせて受け取る
注意ポイントは、すべての人が加入できるわけではないことです。農業者年金の被保険者や、iDeCo加入不可の企業型確定拠出年金の加入者などは、加入できません。また、国民年金の保険料を免除されていたり、納付していなかったりする人もiDeCoに加入はできませんので注意しましょう。
【関連リンク】
・【入門編】投資初心者のための基礎知識〜株式投資、投資信託、ETF、FX、不動産投資、iDeCo〜
・iDeCo(イデコ)とは? 基本的な特徴と6つのメリット、事前に知っておきたい注意点
掛け金控除+運用益非課税のW節税
iDeCoの最大のメリットは節税効果です。積み立てた掛け金は、全額が所得控除となり、所得税や住民税を減らすことができます。さらに、iDeCoの運用益は非課税です。その内容を詳しく見ていきましょう。
まず、所得控除ですが、iDeCoで積み立てた掛け金の全額が所得控除の対象です。その結果、年末調整や確定申告を行うことによって所得控除された分の税金が戻ってきます。例えば、年収500万円の会社員が毎月2万円を積み立てた場合には、年間24万円の拠出金の全額が所得控除されて年間約4万8,000円の節税が可能です。
次に運用益の非課税ですが、通常、金融商品の運用益は20.315%(復興所得税含む)課税が行われます。例えば、運用益が2万円の場合、2万円×20.315%=4,063円の課税対象となるため、2万円と4,063円の差額である1万5,937円が受取金額です。これに対してiDeCoは非課税なので、2万円全額が受け取れ、再投資できます。
さらに、最終的に運用した資産を受け取る場合にも、退職所得控除(または公的年金等控除)が適用されるため、所得税を抑えることが可能です。例えば、65歳未満の人が100万円を10回に分けて年金方式で受け取る場合には、公的年金控除によって1万5,000円の納税で済みます。また、勤続25年の一括で受け取る場合には、1,150万円までが非課税になるため、納税額は0円です。
iDeCoのデメリットは?
大きな節税効果が見込めるiDeCoですが、注意しておきたいデメリットが2つあります。iDeCoで積み立てた資産は、60歳になるまで原則引き出すことができません。そのため、生活や教育にかかる費用などを除いた余剰資金で行うことが必要です。また、口座開設や運用維持にも手数料が発生します。細かい条件は各金融機関によってさまざまですので、じっくり比較したうえで申し込みましょう。
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