マンション経営で失敗に陥るケースや事前に知っておきたいリスク回避法
マンション経営と聞くと、毎月安定した収入が得られるイメージがあり、老後の不労所得として確実なものと思うかもしれません。しかし、マンション経営を始めた方のなかには、経営がうまくいかずに失敗するケースもあります。
本記事では、マンション経営で失敗するとはどういうことなのか、失敗してしまう原因や回避するための対策方法についても解説します。
マンション経営の失敗とはどういう状態をいう?
マンション経営の失敗とは、「マンションを所有し貸し出す事業」の継続が困難になることです。
「想定通りの収益を得られなかった」「空室が改善できなかった」などの状態を指します。
収支の読みが甘いと修繕費や税金などのコストが想定以上にかかり、当初の予想よりも手元に残る利益が少なくなる可能性などがあります。そのため、マンション経営を始める際には、収支シミュレーションをしたうえで出口戦略までを考えるのが成功への鍵となります。
マンション経営でよくある!失敗事例になりやすい7つのケース
マンション経営において、失敗事例になりやすいケースは、以下の7つです。
- 空室が多く想定した家賃収入が得られなかった
- シミュレーションと実際の収支に大きなズレが発生した
- 周辺環境が大きく変化した
- 購入後に管理費・修繕積立金の負担が想定以上に増加した
- 入居者同士のトラブルに悩まされた
- 契約関連でのトラブル
- 売却しようとしても買い手が現れなかった
それぞれ詳しく解説します。
1. 空室が多く想定した家賃収入が得られなかった
マンション経営に限らず、不動産投資において空室の問題やリスクは避けて通れません。空室の発生には、以下のような要因が挙げられます。
- 周辺の相場と乖離した家賃設定
- 物件の老朽化
- 競合物件の増加
- 周辺環境の悪化(公共交通機関の縮小や嫌悪施設の新設など)
- ずさんな建物管理による価値低減 など
空室が続くことによって家賃収入が得られないと、収支計画が大きくズレてしまいます。空室の発生は、シミュレーションの甘さが起因するかもしれませんし、環境変化によるものかもしれません。理由によらず、空室が発生したら、速やかに対策を取ることが大切です。
2. シミュレーションと実際の収支に大きなズレが発生した
事前のシミュレーションをもとに見込んでいた収益予想に対し、実際にマンション経営を始めると、想定以上にお金がかかる可能性があります。
たとえば、社会情勢や不動産市場の変化により、シミュレーション作成時よりも諸費用が高騰したりするケースです。要因はほかにもありますが、想定通りに利益を得られず、場合によってはマンション経営自体が難しくなる事態になるケースも起こり得ます。
シミュレーションは複数のシナリオで出してみて、自分のリスク許容度と照らし合わせることが大切です。
3. 周辺環境が大きく変化した
周辺環境の変化により、入居者が大きく減るケースがあります。たとえば、購入時には付近に大学のキャンパスがあり学生の入居が見込まれていたにもかかわらず、キャンパスの移転に伴いターゲットとなる入居者がいなくなり、空室が増えるパターンです。
また、商業施設の閉店や交通インフラの変更による生活環境の変化によって、エリアとしての魅力が減少し、入居者の退去につながるケースも考えられます。競合物件が増加して家賃相場が下落したり、入居者の確保が困難になったりする可能性もあります。
周辺環境が変化するリスクに備えるためにも、地域の開発計画や人口動態などを事前に調査し、環境変化にも対応できる柔軟な経営戦略を持つことが重要です。
4. 購入後に管理費・修繕積立金の負担が想定以上に増加した
マンション経営では、一人で一棟を所有する場合を除き、複数の所有者が共同でマンションの維持・管理をする必要があります。そのため、ルールを決めるなどの目的でマンションの管理組合があります。
複数の所有者でさまざまなルールが決定されるので、1区分所有者の意向が通るとは限らず、予想とは異なる範囲で、管理費や修繕積立金が増加してしまう可能性もあり得ます。
購入前にマンションの長期修繕計画に目を通しても、その通りに計画が進むとは限らないことを前提にリスクを加味する必要があります。
安定したマンション経営のためにも、修繕積立金の将来的な増額も視野に入れた余裕ある資金計画が必要になります。
5. 入居者同士のトラブルに悩まされた
マンションの入居者による近隣トラブルが、マンション経営の失敗を招くこともあります。たとえば、以下のようなトラブルが挙げられます。
- 騒音問題
- ごみ出しのルール違反
- 共用スペースへの私物放置 など
このようなトラブルによって居住環境が悪化すると、入居者が引っ越したり、悪評が広まり借り手が現れにくくなったりして、収入の減少につながります。また、入居者による賃料の滞納も、よくあるトラブルの一つです。
入居者トラブルを未然に防ぐには、入居者選びと適切な管理体制の構築が欠かせません。そのためには、信頼できる管理会社と連携し、物件選びや入居中の対応、運営管理をサポートしてもらうことが大切です。
6. 契約関連でのトラブル
マンション経営を継続する上で、管理会社を変えたいなど、契約内容を見直したい時期が出てくるかもしれません。その際、好きなタイミングで解除できない契約であったり、マンションの所有者に不利な契約内容になっていたりすると、マンション経営がうまくいかない原因のひとつにもなり得ます。
売買契約のほか、管理に関する契約についても、一方的に不利な内容になっていないかなどしっかり確認することが大切です。
7. 売却しようとしても買い手が現れなかった
マンション経営の出口戦略として売却を検討していても、買い手が見つかるとは限りません。「築年数が古い」「賃貸需要が少ない地域に立地している」などのマンションは、買い手がつきにくく、希望通りの条件で売却できない可能性もあります。
また、いくらで売却できるかは経済状況や需給バランスなども影響します。
将来の売却を見据えて、需要が見込める立地の物件を選び適切な維持管理を行うことが、資産価値の維持・向上につながります。
マンション経営で失敗する3つの原因
マンション経営で失敗する原因には、以下の3つが挙げられます。
- 適切な収支シミュレーションを作れていない
- マンション経営のリスクを理解できていない
- 信頼できる不動産投資会社に依頼できていない
それぞれ詳しく解説します。
1. 適切な収支シミュレーションを作れていない
マンション経営を行う際は、事前に入念な収支計画を立てておくことが大切です。収支を考えずに安易に購入を決断してしまうと、空室や運用コストが増えた場合に、ローンの返済や税金の支払いなどが難しくなります。
楽観的なシミュレーションだけをみるのではなく、厳しい条件が重なった場合のシミュレーションまで、複数のシナリオでシミュレーションを立て、どこまで許容できるかを確認することが大切です。
2. マンション経営のリスクを理解できていない
マンション経営で失敗してしまう主な原因は、リスクの理解不足です。不動産投資の具体的なリスクには、以下のようなものがあります。
- 空室リスク
- 修繕リスク
- 金利上昇リスク
- 家賃滞納リスク
- 自然災害リスク
- 火災リスク
- 管理会社の倒産リスク
- 家賃下落リスク
- 不動産価値の下落リスク
これらのリスクがあることを事前に理解し、備えておかないと、想定外の出費や収入減少に対応できなくなる恐れがあります。特に初めてのマンション経営では、空室期間を短く見積もりすぎたり、将来的な修繕費用を考慮していなかったりなど、見通しが甘くなることが考えられます。その結果、マンション経営の継続が難しくなる可能性があります。
マンション経営を成功させるためにも、適切なリスク管理が欠かせません。きちんと備えれば、万が一の事態にも冷静に対応でき、長期的に安定した運用が可能になります。
3. 信頼できる不動産投資会社に依頼できていない
初めてマンション経営に関わろうとするときは、不動産の専門家の方が詳しいのは確かです。ただし、なかには不動産会社と偽って、詐欺的な目的で近づいてくるケースもあります。
悪質な相手に遭遇した結果、莫大な借金だけを抱える可能性もあるため、信頼できる会社かどうかを見極めることが重要です。
特に不動産投資初心者の場合は、充実したサポート体制のある会社かを事前に確認しましょう。実績があり、信頼できる不動産投資会社に出会えれば、長期的な投資の成功につながります。
マンション経営で失敗を避ける3つの方法
マンション経営で失敗を避ける方法は以下の3つです。
- マンション経営の仕組みを自分なりに勉強しておく
- リノベーションを選択肢に入れておく
- 不動産投資会社は慎重に選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
1. マンション経営の仕組みを自分なりに勉強しておく
マンション経営の仕組みを学ぶことで、不動産投資会社から説明を受けるなかで、疑問や質問が浮かびやすくなります。営業トークに惑わされず、自分なりの判断ができるようにもなるでしょう。
また、「マンション経営に関するリスクは何か」「そのリスクに対応するために、どのような対策が必要か」など、積極的に質問することも不可欠です。納得できる回答が得られない場合「信頼できない会社」と判断でき、自分の大切な資産を守ることにつながります。
不動産投資で収益が上がる仕組みや表面利回りと実質利回りの違い、初期費用と維持費用など、基礎的な内容を理解しておくだけでも十分です。基礎知識を身につけるには、セミナーに参加したり書籍やWebサイトなどを活用したりするとよいでしょう。
不動産投資の情報収集方法は? 信頼できる情報源やポイントを解説
2. リノベーションを選択肢に入れておく
仮に空室が発生して入居者を募集する際には、内覧写真の印象が大きく影響するため、見た目の整備も重要なポイントです。古い物件であっても、リノベーションによって空室が続いていた状態から人気物件へと変わるケースも見られます。
このように、リノベーションは長期的な入居促進を目指すだけでなく、空室期間を短縮する観点からも有効な選択肢となり得ます。リノベーション費用を比較的低額に抑えられるサービスも登場しており、コストを意識しながら改善を進めることも可能です。
3. 不動産投資会社は慎重に選ぶ
マンション経営を始める際には、不動産投資会社選びが非常に重要です。優良でない会社を選んでしまうと、以下のようなリスクが生じます。
- 空室対策やトラブル対応が不十分な可能性がある
- サポートが十分に受けられない
- 出口戦略の提案がなく、売却時に困ってしまう
一方、信頼できる会社であれば、物件選定から運用・売却まで一貫してサポートを受けられ、安定した収益が期待できます。そのため、以下のようなポイントに注目した不動産投資会社選びが重要です。
- 実績の豊富さ
- 実際の顧客の声や評価
- 対応しているエリア
- 担当者の専門性
- サポート内容 など
ただマンションを販売して終わる会社ではなく、運用中や出口戦略までをサポートしてくれる会社であれば、万が一空室が発生した際にも対策を相談できます。1社だけではなく複数社のサービスを比較検討し、信頼できる会社を選ぶことが不動産投資の成功には欠かせません。
マンション経営では失敗事例につながる原因を把握して対策しよう
マンション経営の失敗を避けるためには、典型的な失敗事例を知り、その原因を理解することが不可欠です。空室問題や収支のズレ、環境変化といった失敗事例から学び、リスクの把握や適切な対策をする重要性を認識しましょう。
成功するマンション経営の鍵は、正確な知識の習得と十分な準備にあります。自己学習により基礎知識を身につけつつ、信頼できる不動産投資会社を見つけて依頼することがポイントです。
また、物件の魅力向上による空室対策や、将来を見据えた出口戦略の計画も欠かせません。失敗事例から学び、適切な対策を講じながらリスクを最小限に抑えることで、安定した収益を得られるマンション経営を実現させられます。
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