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お金と制度
2022.06.15

遺留分とはどんなもの? 遺言書と遺留分の関係を解説

遺留分とはどんなもの? 遺言書と遺留分の関係を解説

被相続人(亡くなった人)が遺言書を作成していた場合、原則的に遺言書の内容に従い相続が行われますが、法定相続人には遺留分という最低限の遺産を相続する権利が認められています。遺言書と遺留分の関係について解説します。

相続の基礎知識

相続の基礎知識

相続が発生した際、速やかに遺産分割を進めるためにも、法定相続人や法定相続分に関する基礎知識を事前に身に付けておくことが大切です。相続に関する基礎知識について見ていきましょう。

法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められている相続人のことです。例えば、以下のような人物が法定相続人に該当します。

  • 配偶者
  • 第1順位:子供やその子供の直系卑属
  • 第2順位:親、祖父母などの直系尊属
  • 第3順位:兄弟姉妹など

被相続人の配偶者は必ず相続人になります。そのほかは、第1順位者がいない場合に第2順位、第2順位がいない場合に第3順位と相続する権利が移ります。

例えば、配偶者と子供がいる人が亡くなった場合には、配偶者と子供が相続人になり、親は相続人になれません。

子供が既に亡くなっていれば直系卑属である孫、直系卑属が誰もいなければ第2順位である親、親が亡くなっていれば直系尊属である祖父母に権利が移ります。

法定相続分とは

法定相続分とは、民法に定められている各相続人に認められた遺産の相続割合です。法定相続分は以下のように決まっています。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子供 配偶者:1/2 子供:1/2
配偶者と親 配偶者:2/3 親:1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4

相続人が配偶者のみの場合は配偶者が100%、子供のみ、親のみの場合はそれぞれで遺産を分け合います(子供2人だけの場合は各自が1/2ずつ)。

遺言書で指定することも可能

相続にあたり、必ず法定相続分に従う必要はありません。被相続人が生前に遺言書を作成していた場合は、法定相続人以外にも遺産を渡せます。

例えば被相続人に配偶者と子供、孫がいる場合、民法に従うと配偶者と子供にしか遺産を渡せません。

しかし、遺言書に孫も相続人に含める旨を明記している場合には、孫にも遺産を渡せます。また、遺言書では血縁関係のない第三者を相続人に指定することも、法定相続分とは異なる割合を指定することも可能です。

遺産分割協議で決めることも可能

被相続人が遺言書を作成していない場合でも、民法で定められた相続方法に必ず従う必要はありません

相続人が集まって遺産分割に関して話し合う遺産分割協議を開催して、相続人全員の同意を得られた場合は、民法の規定とは異なる相続を選択することが可能です。

また、遺言書で法定相続分とは異なる相続割合が指定されている場合でも、遺産分割協議によって別の相続割合を選択できます。

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意、署名・押印が必要です。速やかに成立させるためにも、事前準備をしっかり整えましょう。

遺留分とは

遺留分とは

被相続人が遺言書を作成している場合でも、遺留分を侵害しているような内容だった場合、遺言書の内容通りの相続が実行されない可能性があります。遺留分とは何かについて押さえましょう。

民法で認められた法定相続人の制度

遺留分とは、法定相続人が最低限の遺産を確保できるようにするための制度です。

被相続人は自身の財産を誰に相続させるかを遺言で決めることができますが、残されたパートナーや子供たちの生活を保障するために、法定相続人には一定分を相続する権利が民法上で定められています。

この「最低限の遺産を確保する権利を保障する」制度が、遺留分です。仮に被相続人が法定相続人に対し遺産を一切残さないと遺言書に書いたとしても、遺留分の制度に基づいて、法定相続人は遺産を受け取れるよう申し立てることができます。

遺留分権利者

遺留分は、法定相続人に認められた最低限の遺産を確保できる制度ですが、すべての法定相続人に認められているわけではありません。遺留分権利者は遺留分が認められている相続人のこと。具体的には以下の通りです。

  • 配偶者
  • 子供(代襲相続人を含む)
  • 直系尊属(親や祖父母)※子供がいない場合だけ相続人となり遺留分が認められる

法定相続人に含まれていた兄弟姉妹には遺留分が認められていないので、注意が必要です。

遺留分割合の例

遺留分割合の例

法定相続分と同様に、遺留分は遺留分権利者によって割合が異なります。遺留分権利者ごとの遺留分割合の例を見ていきましょう。

配偶者のみ

相続人が配偶者のみのケースにおける法定相続分は100%ですが、遺留分割合は1/2です。

例えば、被相続人の遺産が5,000万円の場合、配偶者の遺留分は2,500万円です。

被相続人が遺産5,000万円のうち3,000万円を第三者に相続させるという内容の遺言書を作成していた場合、配偶者が受け取れるのは2,000万円と遺留分の割合を下回ります。このようなケースでは、差額の500万円を遺留分として遺留分侵害額請求できます。

配偶者と子供、親、兄弟姉妹

相続人が配偶者と子供または親、兄弟姉妹の場合の遺留分は以下の通りです。

法定相続人 遺留分
配偶者と子供(直系卑属) 配偶者:1/4 子供:1/4
配偶者と親(直系尊属) 配偶者:2/6 親:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:1/2 兄弟姉妹:なし

基本的に遺留分割合は、法定相続分の半分です。そのため、相続人が配偶者と子供の場合の法定相続分は1/2ずつでしたが、遺留分はその半分である1/4ずつになります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、兄弟姉妹は遺留分権利者にならないため、配偶者にのみ1/2の遺留分が認められます。

子供のみ、親のみ、兄弟姉妹のみ

相続人が子供のみ、親のみ、兄弟姉妹のみの場合の遺留分は以下の通りです。

法定相続人 遺留分
子供のみ(直系卑属のみ) 1/2
親のみ(直系尊属のみ) 1/3
兄弟姉妹のみ なし

法定相続分は子供のみ、親のみ、兄弟姉妹のみの場合、遺産を人数で分割します。しかし、遺留分は子供のみで遺産の1/2、親のみで1/3です。

兄弟姉妹は遺留分権利者ではないため、この場合でも遺留分は認められていません。

遺留分が認められない人

遺留分が認められない人

遺留分権利者でも「相続欠格者」「相続廃除された者」「相続放棄者」「包括受遺者」である場合は、遺留分が認められないので注意しましょう。それぞれがどのような人なのか、詳しく説明します。

相続欠格者

相続欠格者とは、相続のために被相続人やほかの相続人を死亡させるまたは死亡させようとしたり、詐欺や脅迫などの過ちを犯したりした人です。

そのような人物には、遺留分権利者であっても遺留分が認められません。

相続廃除された者

相続廃除とは、被相続人を虐待したり極度の屈辱を与えたりしていた人を被相続人の意思で相続権を失わせることができる制度のことです。

相続廃除された人物にも、遺留分が認められません。

また、被相続人の財産を不当に処分した、ギャンブルなどを繰り返して被相続人に多額の借金を背負わせた、重大な犯罪を起こして有罪判決を受けたといった場合も、相続廃除の事由に該当します。

相続放棄者

相続放棄者とは、相続を放棄した人です。相続放棄とは、マイナスの遺産がプラスの遺産を上回っている場合などに選ばれる選択肢の一つで、相続放棄をすることでマイナスの遺産を相続せずに済みます。

相続放棄の場合、最初から相続人ではなかった者として扱われるので、遺留分を取得する権利自体も喪失します。

包括受遺者

包括受遺者とは、渡す財産の種類や金額を遺言書で具体的に特定せず、「遺産の40%」「財産の1/2」のように割合で遺贈された人物が該当します。

このような包括受遺者にも遺留分が認められていないという点を覚えておきましょう。

遺留分侵害額請求の流れ

遺留分侵害額請求の流れ

被相続人の作成した遺言書の内容が遺留分を侵害していた場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求が可能です。遺留分侵害額請求の流れについて確認しましょう。

話し合う

遺言書の内容が遺留分を侵害しているからといって、即座に遺留分侵害額請求を行うわけではありません。遺留分を侵害している事実について、ほかの相続人が認識していない可能性があるためです。

まずは遺留分侵害が発生している事実に関して、ほかの相続人と話し合います。合意できた場合は遺留分侵害額についての合意書を作成し、合意書の内容に従って相続を行います。

調停

ほかの相続人と遺留分侵害について話し合ったものの合意に至らなかった場合、遺留分侵害額の請求調停を家庭裁判所に申し立てます。

申し立てを行うのは、自分の住所地ではなく相手の住所地を管轄している家庭裁判所なので注意しましょう。

調停を申し立てると、家庭裁判所の裁判官1人と調停委員2人で調整を進めます。遺留分侵害額や支払い方法などの合意が得られた場合には、調停調書が作成されて調書に基づいて手続きが進められます。

訴訟

調停を通しても合意に至らなかった場合、遺留分侵害額請求訴訟となります。裁判所が遺産を評価、遺留分を計算してから、相手方に支払い命令を下します。

ただし、遺留分侵害についての主張が裁判所に認められなくてはなりません。個人では対応が難しい可能性もあるため、弁護士に相談するのがおすすめです。

遺言書作成にあたっての注意点

遺言書作成にあたっての注意点

遺留分の侵害が起こっていると、トラブルに発展する可能性が高いため、万が一の事態に向けてこれから遺言書を作成しようと考えている人は、注意点を押さえたうえで行いましょう。遺言書作成にあたっての注意点を紹介します。

相続人への配慮を忘れない

相続が発生した場合は、法定相続人による法定相続分での相続か遺産分割協議による相続のいずれかを選択するのが一般的です。

しかし遺言書を作成することによって、法定相続人以外に相続したり、法定相続分と異なる割合での相続を指示することが可能です。

遺言書には、相続方法を指示することで遺産分割を速やかに行いやすいというメリットがあります。一方で、遺留分侵害や第三者の登場により、遺言書の内容に納得できない相続人同士が遺産分割に関して争う恐れがあるという点がデメリットです。

トラブルを回避するためにも、遺留分に配慮した内容にする、話し合いができるのであれば生前に遺言書の内容について話し合うといったように、遺言書を作成する際は相続人への配慮を忘れないようにしましょう。

遺留分の仕組みをしっかり理解しよう

遺留分の仕組みをしっかり理解しよう

被相続人の作成した遺言書で自身の遺留分を侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を行うことにより、侵害された遺産を取り返すことが可能です。

しかし、遺留分侵害額請求で主張できるのは法定相続分ではなく、遺留分が侵害されている範囲のみで、遺言書の内容が無効になるわけではないので注意しましょう。

遺留分を侵害した遺言書の内容は、遺産分割の際にトラブルに発展する可能性が高いため、自身が遺言書を作成する際にも、相続人に配慮しながら作成する必要があります。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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