1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. お金と制度
  4. 住民税のランキングをチェック! 地域差が生じる要因はなに?

作成日: 2022.05.30

住民税のランキングをチェック! 地域差が生じる要因はなに?

住民税のランキングをチェック! 地域差が生じる要因はなに?

会社員は、会社から受け取る給与から所得税や住民税などが天引きされます。住民税に地域差があるかどうか気になっている人も多いのではないでしょうか? 住民税の仕組みと、住民税が高い地域ランキングトップ3を紹介します。

住民税とは

住民税とは

会社員であれば毎月の給与から所得税と住民税が天引き(源泉徴収)されているケースが大半です。住民税がどのような目的で徴収されているのか、また徴収額が変化する理由を知りたい人も多いでしょう。住民税を徴収する目的と住民税が高くなる原因について解説します。

住民税を徴収する目的

所得税と住民税は、前者が国税、後者が地方税であるという点で異なります。

国税の所得税は国の行政サービスを、住民税はそれぞれの自治体が行政サービスを運用する目的で徴収します。

住民税を納めるのは、1月1日時点の住所地の自治体です。そのため、転勤などを理由に3月に引っ越した場合でも、翌年1月1日を迎えるまでは前の住所の自治体に住民税を納めます

住民税が高くなる理由

給与明細を見て、徴収されている住民税が前年よりも高くなっていることに疑問を抱いた人もいるでしょう。住民税が高くなる主な理由は、所得の増加・控除の減少と地域差です。

所得の増加・控除の減少

住民税は前年の所得から各種控除などを踏まえて算出されます。

そのため、基本給が増えた、何らかの特別報酬が発生した、といった理由で前年と比べて所得が増えた場合、翌年の住民税が高くなります

また控除が適用対象外になった場合にも、住民税の算出根拠となる所得額が増加するので住民税が高くなることを覚えておきましょう。

地域差

住民税は、居住地に関係なく一律に課されていると考えている人もいるでしょう。確かに住民税の税率には「標準税率」という基準が定められているため、通常は地域によって大きな差が生じることはありません。

しかし各自治体は、標準税率ではなく、独自の税率を設定することも可能です。そのような自治体では、ほかの地域と比べると住民税の負担が大きくなるので注意しましょう。

住民税の種類

住民税の種類

住民税には大きく分けて所得割と均等割の2種類があり、合算して納税します。それぞれ仕組みが異なるため、違いを事前に理解しておくことが大切です。所得割と均等割の違いを見ていきましょう。

所得割

「所得割」とは、前年の所得に基づいて算出される住民税です。そのため、所得が増えればその翌年の住民税が高くなります

所得割の標準税率は、道府県民税4%と市町村民税6%を合算した10%です。東京都は地方税法上の特例として区分され、都民税4%、市町村民税(特別区民税)6%。政令指定都市の場合、道府県民税2%と市民税8%を合算した10%です。

また、自治体が標準税率に必ず従う必要はありません。そのため、独自の条例によって、標準税率とは異なる税率を設定しているケースもあるので注意が必要です。

均等割

「均等割」とは、所得に関係なく課される住民税です。住民全員が平等に負担します。均等割の標準税率は、道府県民税1,500円と市町村民税3,500円の合計5,000円です。

所得割と同様、こちらも条例を定めて独自の税率を設定している自治体もあるので、税率がどのように設定されているのか気になる人は住所地の自治体に確認しましょう。

住民税の徴収方法

住民税の徴収方法

住民税の徴収方法は、特別徴収と普通徴収の2つに分かれます。各徴収方法の詳細について確認しましょう。

特別徴収

「特別徴収」では、会社が従業員に代わって住民税を納めてくれます。しかし、代わりといっても、会社が負担してくれるわけではありません。

会社は従業員の給与から住民税と所得税を天引きして、翌月10日までに各市町村に納付します。会社員は原則として、住民税を自分で市町村に納める必要はありません。

普通徴収

「普通徴収」では、自分で自治体に住民税を納めます。5月~6月に自宅に届く納税通知書を持参し、コンビニや金融機関の窓口などで現金払いするのが一般的です。

インターネットバンキング、クレジットカード払いなどに対応している自治体もあります。クレジットカード払いであれば、カードのポイントが貯まるのでお得です。

特別徴収とは異なり、個人事業主やフリーランスなどが対象の普通徴収は、住民税を自分で納めなくてはならないので、納付忘れに注意しましょう。

2022年住民税が高い地域ランキング

2022年住民税が高い地域ランキング

独自の条例を制定している自治体の場合には、住民税がほかの自治体と比べて高い可能性があります。住民税が高いトップ3の地域がどこなのか見ていきましょう。

第1位:神奈川県横浜市

神奈川県横浜市は、住民税が高い地域ランキング第1位です。所得割は県民税2.025%、市民税8%の合計10.025%となっています。また均等割は、県民税1,800円、市民税4,400円の合計6,200円です。

横浜市の住民税には、「水源環境保全税(所得割と均等割にそれぞれ都道府県民税0.025%と300円)」が上乗せされており、水源環境の保全・再生のために役立てられています。

また均等割の市民税に、横浜市独自の「横浜みどり税」が900円が乗せられています。

第2位:兵庫県神戸市

兵庫県神戸市は、住民税が高い地域ランキング第2位です。所得割は県民税2%、市民税8%の合計10%なので、政令指定都市の標準税率と変わりません。しかし、均等割は県民税2,300円、市民税3,900円の合計6,200円です。

均等割の県民税には「県民緑税」の負担額800円、市民税には「神戸モデル」の負担額400円が乗せられています。

神戸モデルは神戸市独自の認知症対策の財源、県民緑税は森林整備と都市緑化における財源の確保のために徴収されています。

第2位:宮城県仙台市

宮城県仙台市は、神戸市と同率の住民税が高い地域ランキング第2位です。所得割は県民税2%、市民税8%の合計10%なので、政令指定都市の標準税率と変わりません。しかし均等割は、県民税2,700円、市民税3,500円の合計6,200円です。

均等割の県民税には、「みやぎ環境税」の負担額1,200円が乗せられています。みやぎ環境税が導入されたのは2011年度で、自然環境の保全・環境共生型社会の構築に向けた人材育成や、二酸化炭素排出量の削減などの財源に充てられます。

住民税の負担を軽減する方法

住民税の負担を軽減する方法

住民税の負担を少しでも抑えたいと考えている人も多いでしょう。最後に、住民税の負担を軽減する方法を紹介します。

ふるさと納税の活用

「ふるさと納税」とは、自分で選択した自治体に寄付することで、寄付した金額から2,000円を引いた金額が住民税から控除される制度です。

あくまでも、本来納めるはずだった住民税の一部を別の自治体に寄付しているだけで、納税総額自体が減ったり、寄付した金額が戻ってきたりするわけではありません。

しかし、お礼として自治体独自の返礼品がもらえるため、普通に購入すれば2,000円を超えるような品物が返礼品である場合には、その分が純粋にお得といえます。

各種控除の利用

住民税は、前年の所得から各種控除を差し引いて算出します。そのため、各種控除を受けることで住民税の負担を軽減することが可能です。

例えば扶養家族がいる場合、扶養親族1人あたり33万円の控除が受けられます。また、生命保険に加入している場合は、一定額を所得から控除することが可能です。

ほかにも、年間にかかった医療費が10万円を超える場合には、医療費控除を受けられます。利用できる控除があるにもかかわらず利用しないままだったというものがないか確認してみましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、会社員や個人事業主が老後資金を確保するために資産を運用する手段の一つです。

iDeCoで支払った掛け金については全額が所得控除の対象なので、住民税の負担を軽減することが可能です。

掛け金は加入者それぞれの状況に応じて上限があるものの、月々5,000円から1,000円単位で自由に設定できます。

工夫して住民税の負担を軽減しよう

工夫して住民税の負担を軽減しよう

住民税は所得割と均等割の大きく2つに分かれます。所得割は前年の所得に基づいて算出する住民税、均等割は所得に関係なく平等に課される住民税です。

両者ともに標準税率が決まっていますが、自治体によっては条例を制定して独自の税率を設定しているところもあります。しかし標準税率と比べても大きな差はないため、地域差による住民税の負担の変化はほとんどありません。

住民税の負担が変化する要因の多くは、所得の増加、利用できる各種控除の減少などです。これらの要因によって住民税の負担が大きくなっている場合、ふるさと納税や個人型確定拠出年金などを利用して負担を軽減しましょう。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE