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作成日: 2022.05.30

住民税が高いのはなぜ? 住民税の仕組みと高くなった理由について解説

住民税が高いのはなぜ? 住民税の仕組みと高くなった理由について解説

会社に勤めている人の場合、源泉徴収によって所得税と住民税が毎月の給与から差し引かれます。なかには、住民税の負担が前年より増えたことに疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。住民税の仕組みや高くなった原因について解説します。

住民税とは

住民税とは

会社の給与からは、所得税や住民税が源泉徴収によって毎月引かれていますが、何のために住民税が徴収されているのか気になっている人もいるでしょう。まずは住民税が徴収される目的、住民税の種類について説明します。

住民税には所得割と均等割があり、合算して納税します。それぞれ目的や税率が異なりますので、この違いについても解説します。

住民税が徴収される目的

住民税は地方税で、市町村などの自治体における行政サービスを運用する目的で徴収されます。一方、所得税は給与から差し引かれる国税で、国の行政サービスを運用する目的で徴収されるという点で異なります。

住民税は自治体にとって、教育、福祉、消防、救急、ゴミ処理といった、人々の暮らしに関係するサービスを充実させるために欠かせない重要な財源です。

所得割

「所得割」とは、前年の所得に応じて算出される住民税です。所得割の税率は道府県民税4%と市町村民税6%(政令指定都市は道府県民税2%、市民税8%)を合算した10%です。

全国一律ではなく、条例で自治体が税率を変更している地域もあるので注意しましょう。

均等割

「均等割」とは、所得に関係なく一律の負担が定められている住民税です。均等割の税率は、道府県民税1,500円と市町村民税3,500円を合算した5,000円が標準です。

しかしこちらも全国一律ではありません。所得割と同様、自治体によっては標準税率とは異なる税率を設定している地域もあります

自分の居住地が標準税率とは異なっている可能性もあるため、所得割や均等割がいくらに設定されているのか詳しく知りたい場合は、自治体に確認しましょう。

住民税の徴収方法

住民税の徴収方法

住民税の徴収方法は、どのように所得を得ているのかによって異なります。続いて住民税の徴収方法について詳しく解説します。

普通徴収

「普通徴収」は、個人事業主やフリーランスなどが対象です。1年分の住民税を一括または分割(4回)で自ら納税します。

個人事業主やフリーランスなどは、前年分の所得を2月~3月に確定申告して1年分の所得税を納税します。その後「住民税決定通知書兼納付書」が5月~6月に届くため、6月末までに一括または6月末・8月末・10月​​末・翌年1月末に分けて住民税を納めます。

特別徴収

「特別徴収」は、給与所得を受け取っているサラリーマンが対象です。住民税は給与から天引き(源泉徴収)されます。

普通徴収のように自分で住民税を納める必要はなく、勤務先が代わりに納めてくれるので納税の手間を省けます。しかし納税方法が源泉徴収に限られているので、ほかの納税方法を選択できないという点はデメリットといえるでしょう。

住民税が高い理由

住民税が高い理由

前年と比較すると住民税の額が大きくなっていて、なぜ住民税が高くなったのか疑問を抱いている人も多いと思います。住民税が高くなった理由について見ていきましょう。

所得が増えた

住民税の均等割は所得に関係なく一律の負担なので、変化することは基本的にありません。しかし所得割は、前年の所得に基づいて算出されます。つまり、前年の所得が大きかった場合、翌年の住民税が高くなるということです。

前年に基本給が上がった、ボーナスなど何らかの特別手当をもらったという場合は、翌年の住民税の負担が大きくなるので注意しましょう。

転職や退職によって所得が減少した場合、住民税は前年の所得に基づいているので、住民税の負担が大きくなったように感じやすくなります。

利用可能な各種控除が少ない

住民税を計算する際は、所得から各種控除を差し引いて算出します。例えば、社会保険料や扶養家族などの各種控除を受けられれば、住民税の負担は軽減が可能です。

しかし、何らかの理由によって控除対象外になった場合は、控除を受けられなくなるため、住民税の負担が大きくなったように感じやすいでしょう。

所得が変わっていないにもかかわらず住民税の負担が大きくなったと感じた場合は、各種控除の対象外になっていないか確認しましょう。

住民税の高い地域

住民税の高い地域

住民税は前年の所得や各種控除などの影響を受けるほか、地域差もあります。最後に住民税の高い地域を確認しましょう。

神奈川県横浜市

神奈川県横浜市の住民税の負担は以下の通りです。

県民税 市民税 合計
所得割 2.025% 8% 10.025%
均等割 1,800円 4,400円 6,200円

横浜市の住民税が高く設定されている理由は、水源の環境の保全・再生を目的とする「水源環境保全税(所得割0.025%、均等割300円)」が上乗せされているためです。

また、横浜市独自の「横浜みどり税」が均等割に900円上乗せされていることもあり、均等割が標準税率よりも1,200円高くなっています。

兵庫県神戸市

兵庫県神戸市の住民税の負担は以下の通りです。

県民税 市民税 合計
所得割 2% 8% 10%
均等割 2,300円 3,900円 6,200円

所得割の税率は政令指定都市の標準税率ですが、市民税には認知症「神戸モデル」の負担額400円、県民税には「県民緑税」の800円が上乗せされており、標準税率よりも1,200円高くなっています。

「神戸モデル」は市独自の認知症対策に充て、「県民緑税」は森林整備と都市緑化のために徴収されています。

宮城県仙台市

宮城県仙台市の住民税の負担は以下の通りです。

県民税 市民税 合計
所得割 2% 8% 10%
均等割 2,700円 3,500円 6,200円

所得割の税率は政令指定都市の標準税率ですが、県民税には「みやぎ環境税」が含まれており、標準税率と比べて1,200円高くなっています。

「みやぎ環境税」は自然豊かな環境を次世代に引き継いでいくため2011年度に導入されました。

住民税の仕組みを理解しよう

住民税の仕組みを理解しよう

住民税は所得割と均等割に大きく分かれます。均等割は所得に関係なく一律で徴収される住民税です。所得割は前年の所得に基づいて算出されるので、所得が大きく変化した場合、住民税の負担が大きいと感じられるかもしれません。

自治体によっては、条例によって住民税の負担を引き上げているところもあるため、引っ越し先によっては住民税の負担が大きく感じられる可能性もあります。

普通徴収か特別徴収か、住民税の徴収方法も人によって異なります。普通徴収は自ら住民税を納めなくてはならないので、納付期限を忘れないように注意しましょう。

【関連リンク】
不動産投資による所得と住民税の関係。計算の仕組みと納税のポイント

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この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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