自動車税の支払いはいつ? 自動車税の基礎知識と節税方法を紹介
自動車を所有したら、毎年自動車税を納めなくてはなりません。しかし、いつどれだけ納めるのかわからない人もいるのではないでしょうか。そこで自動車税の全体像や個々の税金の種類、さらには利用できる控除などについて解説します。
自動車税とは
不動産を所有している場合は固定資産税、商品を購入する場合は消費税など、何かと税金が課される機会が身の回りには多いものです。
自動車を購入した場合も自動車税という税金が課されますが、具体的にどのような税金なのかわからないという人も多いでしょう。自動車税とは何なのか、詳しく見ていきます。
自動車税とは自動車の所有者が負担する税金
自動車税とは、自動車の所有者が負担する税金のことです。自動車を購入するときや所有している間は、以下の4種類の税金が課されます。
- 自動車税種別割・軽自動車税種別割
- 自動車重量税
- 環境性能割
- 消費税
自動車税種別割・軽自動車税種別割
自動車税種別割・軽自動車税種別割とは、所有する自動車の排気量によって納付額が異なる税金です。2019年10月の税制改正により、自動車税は「自動車税種別割」に、軽自動車税は「軽自動車税種別割」に変更となりました。
このため、新車登録のタイミングによって、2019年9月以前に購入した車と2019年10月以降に購入した車では、税額が以下のように異なります。
【自動車税種別割】
総排気量 | 2019年9月30日以前の登録 | 2019年10月1日以降の登録 |
---|---|---|
1L以下 | 2万9,500円 | 2万5,000円 |
1L超1.5L以下 | 3万4,500円 | 3万500円 |
1.5L超2.0L以下 | 3万9,500円 | 3万6,000円 |
2.0L超2.5L以下 | 4万5,000円 | 4万3,500円 |
2.5L超3.0L以下 | 5万1,000円 | 5万円 |
3.0L超3.5L以下 | 5万8,000円 | 5万7,000円 |
3.5L超4.0L以下 | 6万6,500円 | 6万5,500円 |
4.0L超4.5L以下 | 7万6,500円 | 7万5,500円 |
4.5L超6.0L以下 | 8万8,000円 | 8万7,000円 |
6.0L超 | 11万1,000円 | 11万円 |
【軽自動車税種別割】
総排気量 | 2019年9月30日以前の登録 | 2019年10月1日以降の登録 |
---|---|---|
一律 | 1万800円 | 1万800円 |
自動車重量税
自動車重量税とは、自動車の重量により納付額が異なる税金です。新車登録時は3年分を支払い、車検時に2年分支払います。
【自家用乗用車】
車両重量 | 新車(※新規登録時3年自家用) | 車検(※継続検査時2年自家用) |
---|---|---|
0.5t以下 | 1万2,300円 | 8,200円 |
0.5t超1.0t以下 | 2万4,600円 | 1万6,400円 |
1.0t超1.5t以下 | 3万6,900円 | 2万4,600円 |
1.5t超2.0t以下 | 4万9,200円 | 3万2,800円 |
2.0t超2.5t以下 | 6万1,500円 | 4万1,000円 |
2.5t超3.0t以下 | 7万3,800円 | 4万9,200円 |
【軽自動車】
車両重量 | 新車(※新規登録時3年自家用) | 車検(※継続検査時2年自家用) |
---|---|---|
一律 | 9,900円 | 6,600円 |
環境性能割
環境性能割とは、所有する自動車の燃費性能によって納付額が異なる税金です。2019年10月の税制改正で自動車取得税に代わって導入されました。
例えば電気自動車や燃料電池自動車、天然ガス自動車は、自家用・営業用ともに非課税です。一方、2030年基準の達成度が低いガソリン車やハイブリッド車は徐々に税率が高くなり、普通車(登録車)で達成度60%未満の場合は3%の税金が課されます。
少しでも税負担を抑えたいのであれば、非課税となる電気自動車や燃料電池自動車、基準達成度が高いガソリン車を取得しましょう。
消費税
消費税は、所有する自動車の価格によって納付額が異なる税金です。日常生活で課される一般的な消費税と同様、車両価格に対して10%の税金が課されます。
2019年10月に税率8%から10%に引き上げられたため、以前よりも2%分負担が大きくなりました。500万円の自動車の場合、50万円が上乗せされることになるので、税抜きなのか税込みなのかは事前に確認しておきましょう。
自動車税はいつ支払うのか
自動車税をいつ支払うのか理解しておかなければ、いざというときに資金不足で支払いを完了できない、納付漏れによって延滞金を請求されるといった可能性があるので注意が必要です。自動車税の支払い時期、支払い方法について確認しましょう。
自動車税の支払い時期
自動車重量税は新車購入時と車検時、環境性能割と消費税は新車購入時の支払いのため、納付するタイミングは人によって異なります。
一方、自動車税種別割と軽自動車税種別割は、毎年4月1日時点における自動車の所有者(名義人)が1年分を前払いで納めます。
5月上旬に納付書が届き、原則として同月末の5月31日が支払期限です。納付が遅れると延滞金が課されるため注意しましょう。
自動車税の支払い方法
自動車税の支払い方法は主に以下の4つです。
- 現金払い
- 口座振替
- クレジットカード払い
- インターネットバンキング(ペイジー)
現金払いは、届いた納付書を各金融機関や郵便局、コンビニなどに持って行き現金で支払う方法です。口座振替を選択しておけば、自動引き落としが可能になるので、払い忘れを未然に防げます。
クレジットカード払いにするとポイントが貯まるのでお得だと思うかもしれませんが、手数料が発生するケースもあるので注意しましょう。
インターネットバンキングだと、金融機関の窓口が閉まっている時間でも手続きできるので便利です。自治体によって選択できる支払い方法が異なるので、事前に確認しましょう。
自動車税の支払いで利用できる減税制度・特例
自動車税の負担を軽減するためには、利用できる減税制度や特例をうまく活用することが大切です。グリーン化特例とエコカー減税について、それぞれ詳しく説明します。
グリーン化特例
グリーン化特例とは、燃費性能や排ガス性能に優れた新車を購入した場合に、翌年度の自動車税や軽自動車税が軽減される特例です。
2023年3月31日までに新規登録を行った場合は、一定の基準を満たしている電気自動車であれば翌年度の税金が75%軽減されます。
エコカー減税
エコカー減税では、環境性能に優れた自動車を購入した場合に、自動車重量税が軽減されます。自動車重量税は、2021年5月1日~2023年4月30日に新車登録または最初の車検を受ける自動車が対象です。
最大で自動車重量税が全額免除となるので、大きな節税効果が期待できるでしょう。
自動車を手放した場合に必要な手続き
先払いしているのであれば、自動車を手放した場合に自動車税の払い戻しを受けられると考える人も多いと思います。
確かに、自動車を手放した(廃車にした)場合は、必要な手続きを行うことにより自動車税が還付されるケースがあります。どのようなケースで手続きが必要になるのか詳しく見ていきましょう。
自動車を廃車にする場合は手続きで還付可能
自動車税は4月1日時点の自動車の所有者に対して課される税金です。4月~翌年3月までの分を前払いしているため、その間に廃車にした場合には自動車税の還付を受けられます。
自動車税の還付を受けるためには、登録車を完全に解体・廃車にする永久抹消登録、もしくは一時的に登録車を使用できなくする一時抹消登録のいずれかが必要です。
軽自動車も同じ手続きを行えば還付を受けられると思うかもしれませんが、軽自動車には還付制度がないので注意しましょう。
自動車を売却する場合は還付不可
車両を売却した場合も自分が所有者ではなくなるため、手続きを行えば自動車税の還付を受けられると考えるかもしれません。
しかし、売却は廃車とは異なり抹消登録を行うわけではありません。そのため自動車税の還付は受けられないので注意しましょう。
ただし、自動車買取店やディーラーによっては、売却後の自動車税分を査定額に上乗せしてくれることがあるため、売却を検討している人は担当者に確認することをおすすめします。
自動車税の納付を遅延した場合のペナルティ
自動車税は原則、5月に納付書が到着し、5月末までに納付しなくてはならないというように、期限にあまり余裕がありません。
「遅れても数日程度であれば特に問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、ペナルティがあるので注意が必要です。遅延した場合のペナルティと、遅延しそうな場合の対処法について確認しましょう。
延滞金の支払い
納付期限までに自動車税を納めなかった場合、完納した日まで延滞金が上乗せされます。1カ月以内に納付した場合は、本来支払うべき自動車税の税額に2.5%上乗せ、それ以上の滞納については8.8%の上乗せです。
1カ月以降は延滞金の上乗せ分が大幅に引き上げられるので、納付忘れに気づいた場合はすぐ納付しましょう。
車検・廃車手続きに支障が生じる
自動車を購入したあとは、定期的に車検を受けなくてはなりません。納税と車検にどんな関係があるか気になった人もいるでしょうが、車検を受けるための前提条件として納税が義務化されています。
つまり、滞納した状態では車検を受けられないということです。車検の有効期限が切れた自動車を運転していた場合、道路交通法違反で免許の取り消しや処罰の対象となるので注意しましょう。
早めに自治体に相談することが大切
納付忘れであれば、速やかに納付すればペナルティを最小限に抑えられますが、資金不足が原因の場合にはすぐに納付できません。
そのような場合は放置しても状況が悪化するだけなので、早めに自治体に相談することが大切です。
自治体に相談すれば、一括ではなく分割払い、支払いの猶予などの無理のない返済プランを提示してもらえる可能性があるでしょう。
自動車税の納付・還付忘れに注意しよう
自動車を購入する際は、購入時だけでなく所有している間も税金が課されます。特に4月1日時点の所有者に対して課される自動車税は、納付書の到着から支払いまでの期日が短いため、きちんと準備しておかないと延滞するリスクを伴います。
自動車税を滞納しない、余裕を持って納付するためにもどのような税金が課されるか、いつ納付するのか事前にしっかり確認しておきましょう。
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