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お金と制度
2022.04.12

贈与税の非課税制度を解説。仕組みを理解して相続税を節税しよう

贈与税の非課税制度を解説。仕組みを理解して相続税を節税しよう

相続税の負担を軽減するために、生前贈与により相続財産を減らすことを検討している人も多いと思います。しかし生前贈与には贈与税が課されるケースもあるので、注意が必要です。贈与税の非課税制度について解説します。

2013年度の税制改正で相続税の基礎控除が引き下げ

2013年度の税制改正で相続税の基礎控除が引き下げ

2013年度の税制改正により、相続税基礎控除が引き下げられるまでは、相続税基礎控除は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。

税制改正後は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となりましたが、この基礎控除の引き下げが、相続にどのような影響を与えたのでしょうか?

税制改正の影響や、贈与税相続税の違いについて詳しく説明します。

相続税対策が必要とされている

基礎控除の引き下げは、相続税の課税対象者が増えたということを意味します。例えば相続人が配偶者と子供2人の場合、改正前と改正後の基礎控除を比較すると、改正前は8,000万円、改正後は4,800万円と4割の減少です。

この基礎控除の引き下げによって、相続税の課税対象者が2倍に増加したともいわれており、相続税の負担を軽減するための対策が必要とされています。

贈与税と相続税の違い

相続税とは、資産家に資産が集中することを防ぎ、広く再分配することを目的とした税制度です。課税対象となる財産が多いほど、税率が高くなる超過累進税率が適用されます。相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

贈与税は、生前贈与で相続税の課税逃れを防止するために、相続税を補完する税制度です。贈与税の税率は以下を確認しましょう。

【一般税率】

基礎控除後の課税価格

 
税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

なお、一般税率の対象は、特例税率以外の贈与です。特例税率とは、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の者が、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与で取得した財産に適用される税率です。

参考:No.4155 相続税の税率|国税庁
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与税が非課税となるケース

贈与税が非課税となるケース

相続対策の一つである生前贈与は、基本的に贈与税の課税対象ですが、すべてが贈与税の課税対象というわけではありません贈与税が非課税となるケースについて見ていきましょう。

年間110万円までの贈与(暦年贈与)

生前贈与の方法にはいくつかあり、その一つとして暦年贈与という制度があります。暦年贈与とは、年間110万円までの財産を非課税で贈与できる方法です。

例えば、毎年110万円を20年間にわたって贈与した場合は、2,200万円の財産を非課税で譲り渡せます。そのため、うまく暦年贈与を活用すれば、大幅な節税効果を期待できるでしょう。

暦年贈与の場合は確定申告も不要

暦年贈与を選択すると、毎年の確定申告が必要なのか気になっている人も多いと思います。暦年贈与の場合は、確定申告が不要です。そのため、手間がほとんどかかりません。

ここで「時間と手間をかけずに節税対策ができるのであれば、積極的に暦年贈与を活用しよう」と考えた人は注意が必要です。

例えば、毎年同じ時期に110万円を贈与した場合、暦年贈与ではなく、定期贈与(毎年一定額ずつ実施される贈与)とみなされ、暦年贈与と認められない場合があります。

すると、贈与した合計額に対し贈与税が課されてしまうのです。定期贈与とみなされないためには、贈与契約書の作成や、毎年異なる時期に金額を変えて贈与するなどの工夫が必要になります。正しく節税するためにも、税理士などの専門家に相談しながら取り組みましょう。

贈与税が非課税となる制度・特例

贈与税が非課税となる制度・特例

贈与税が非課税となるのは、暦年贈与だけではありません。制度や特例をうまく利用すれば、非課税もしくは税負担を抑えながら生前贈与することも可能です。どのような制度や特例があるのか、押さえておくべきポイントを見ていきましょう。

夫婦の間で居住用不動産を贈与した

婚姻期間20年以上の夫婦の場合、夫婦間で居住用不動産や居住用不動産を取得するための金銭の贈与について、贈与税基礎控除110万円に加えて最高2,000万円まで控除を受けられます。

控除を受けるには、婚姻期間が20年超、財産が居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭である、贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居して住み続けるなどの条件があります。

条件を満たした場合には最高2,110万円まで非課税となるので、大きな節税効果が期待できるでしょう。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた

2023年12月31日まで、父母や祖父母などの直系尊属から、自分が居住するための住宅用家屋の新築や取得にかかる対価の贈与について、以下のような控除を受けられます。

なお、令和4年度税制改正により非課税措置の期間が2年延長されることになり、2023年12月31日までの贈与に対して以下の金額が非課税となります。

消費税が10%のケース】

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年12月31日 1,500万円 1,000万円
2022年1月1日〜2023年12月31日 1,000万円 500万円


【上記以外】

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~2015年12月31日 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年12月31日 1,000万円 500万円
2022年1月1日〜2023年12月31日 1,000万円 500万円

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
参考:令和4年度税制改正(PDF)|財務省

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた

2023年3月31日までに、30歳未満の人が教育資金に充てるための資金を、父母や祖父母といった受贈者の直系尊属が支払った場合、最高1,500万円まで非課税となります。

この控除を利用するためには、金融機関などとの間で教育資金口座を開設する、金融機関を経由して税務署に申告書を提出するなど、一定の契約が必要です。

また、学校以外に支払われる金銭については、上限が500万円までに引き下げられるので注意しましょう。

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた

2023年3月31日までに、父母や祖父母などの直系尊属から、結婚・子育て資金に使うための贈与を受けた20歳以上50歳未満の人は、最大1,000万円が非課税となります。

こちらも教育資金と同様に、控除を利用するには金融機関などとの間で結婚・子育て資金口座を開設する、金融機関を経由して税務署に申告書を提出するなど、一定の契約が必要です。

結婚に際して支払われる金銭については、上限が300万円という点に注意しましょう。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子または孫に対しての贈与に利用できる制度です。2,500万円までの贈与の贈与税を非課税にすることが可能です。

2,500万円を超えた部分については、一律20%の税金が課されます。2,500万円までの部分は、相続発生時に相続財産と合算されて相続税の課税対象となります。

届け出を忘れないように注意

暦年贈与を除く控除や特例を利用する際は、原則的に手続きが必要です。例えば、相続時精算課税制度を利用するにあたり、届出書の提出を忘れた場合は、贈与財産が課税対象として扱われます。

多額の贈与税を納めなくてはならない可能性があるので注意しましょう。

相続時精算課税制度を利用する際の注意点

相続時精算課税制度を利用する際の注意点

相続時精算課税制度は、ほかの控除や特例と比べると条件が緩いため、制度の利用を検討している人も多いでしょう。

しかし、相続時精算課税制度はすべての人にとって適切な節税方法とは限りません。相続時精算課税制度を利用する際の注意点として、以下の3点が挙げられます。

  • 最終的に相続税の課税対象となる
  • 暦年贈与を選択できなくなる
  • 税負担が増える可能性がある

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

最終的に相続税の課税対象となる

相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税の負担なく2,500万円までの財産を他人に譲り渡せます。

しかし、贈与税は課されずに済むものの、将来的に相続税を支払わなくてはならないため、税金の繰り延べと解釈されます。まったく税金が課されなくなるわけではない点に注意が必要です。

暦年贈与を選択できなくなる

相続時精算課税制度を一度選択すると、暦年課税に戻すことはできません。つまり、年間110万円以内の贈与でも相続時精算課税に含まれるため、将来的に相続税の課税対象となります。

暦年贈与を選択していた方が節税効果が大きかったというケースも少なくないため、相続時精算課税制度はよく考えてから選択しましょう。

税負担が増える可能性がある

相続時精算課税制度では、評価額の算出が相続時ではなく贈与時です。そのため、将来値上がりする可能性のある資産で相続時精算課税制度を選択した場合には、大きな節税効果が期待できます。

ただし、値下がりした場合には、多くの税金が課される点に要注意です。税負担が大きくなる可能性もあるという点を忘れてはなりません。

相続時精算課税制度を利用すべきかよくわからないという人は、税理士などの専門家に相談しながら相続対策を進めましょう。

総合的に判断することが大切

総合的に判断することが大切

相続税基礎控除の引き下げによって相続税が課される人が増えたため、生前贈与による節税対策を検討している人も増えました。

しかし生前贈与による贈与には贈与税が課されるため、うまく節税対策をしないと、思ったより多くの税金を納める結果になるので注意しましょう。

特に相続時精算課税制度を選択すると、評価額が下がったことによりむしろ税負担が大きくなる場合や、暦年課税を選択した方が多くの節税効果が期待できる場合もあります。

状況によって適切な節税対策は異なるため、どのくらいの財産があるのか、どのような控除・特例を利用できるのかなどをもとに総合的に判断しましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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