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お金と制度
2022.03.19

相続税の計算は難しい? 相続税に関する基本情報や計算方法を紹介

監修:
白石真敬 (税理士)
相続税の計算は難しい? 相続税に関する基本情報や計算方法を紹介

相続が発生した場合、遺産総額によっては相続税を納めなくてはなりません。ただ、どのくらい相続税がかかるかわからず困っている人も多いと思います。そうした悩みを解消できるよう、相続の基本知識、相続税の計算方法などをわかりやすく解説します。

相続の基本知識

相続の基本知識

相続が発生した場合、遺産分割を行います。遺産分割の際は、遺産総額によっては相続税を納めなくてはなりません。

相続税は遺産から拠出すればいい」と考えている人も多いかもしれませんが、相続財産が現金化しにくいものだった場合、相続税を支払うための資金を確保する必要があります。

そのため、相続が発生してから困ることがないように、相続税がどのくらいかかるか事前に把握することが大切です。

相続税を計算する際は、専門用語が多数登場します。相続税の計算を速やかに行うためにも、まずは相続の基礎知識を身に付けましょう。

法定相続人とは

被相続人(故人)の遺産を相続できるのは、遺言書などで指定がない限り、基本的に法定相続人だけです。法定相続人の範囲は以下の通りです。

  • 第1順位:被相続人の子供
  • 第2順位:被相続人の直系尊属
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。第1順位の子供が既に死亡している場合は、子供の直系卑属(子供や孫)が相続人としての地位を受け継ぎます。

第2順位の直系尊属とは、被相続人の父母や祖父母のことで、原則として第1順位がいない場合しか相続人になれません。第3順位の兄弟姉妹も、第1順位、第2順位がいない場合しか原則的に相続人にはなれないので覚えておきましょう。

法定相続分とは

法定相続分とは、遺言書などでどのように遺産を相続するのか指定されていない場合の基準となる、相続人ごとの遺産分割の割合です。法定相続分は、以下の通り決められています。

  • 配偶者と子供:配偶者1/2、子供1/2
  • 配偶者と直系尊属:配偶者2/3、直系尊属1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

子供が2人いるようなケースでは、財産の1/2を分け合うことになるため、子供1人につき1/4ずつ相続します。相続人が誰になるのか、どのような割合で相続するのかをまずは理解しましょう。

相続税の対象はすべての財産ではない

相続税の対象はすべての財産ではない

相続税の課税対象となるのは、被相続人のすべての財産と考えている人も多いと思いますが、すべてではありません。相続税を計算する際は、どのような財産が相続税の対象となるのか、正確に把握することも大切です。

相続税の対象となる財産、対象にならない財産について詳しく見ていきましょう。

相続税の対象となる財産

相続税の課税対象となる財産として、以下のようなものが挙げられます。

  • 現金・証券
  • 動産・不動産
  • 権利
  • 債務など

現金や証券には、現金そのもの、預貯金や株券、貸付金、小切手などが含まれます。また動産や不動産は、自動車や船舶、家財・宝石・貴金属、住宅・土地、建物や店舗などです。権利とは、電話加入権やゴルフ会員権、著作権、慰謝料請求権などです。

プラスの財産だけでなく、借金、住宅ローン、買掛金、未払いの税金といったマイナスの財産(債務)も、相続税を計算する際の控除対象となるので覚えておきましょう。

相続税の対象にならない財産

相続税の対象にならない財産として、以下の3つが挙げられます。

  • 一身専属権
  • 保険金・退職金・年金
  • 祭祀財産

一身専属権とは、代理権や使用貸借における借主の地位、親権など、特定の者に帰属または特定の者が行使できる権利のことです。

生命保険金や遺族年金なども相続財産に含まれると考えている人も多いかもしれませんが、受取人に帰属する権利なので、相続財産には基本的に含まれません。しかし受け取ると、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となるので注意が必要です。

祭祀財産とは、仏壇や位牌などの祭具、墓地や墓石といった墳墓など祭祀に必要なものです。相続人全員の財産というよりも、代表者が受け継ぐものなので相続財産からは省かれます。

相続税の計算方法

相続税の計算方法

相続税の計算を速やかに行うためには、計算の流れを把握しておくことが大切です。相続税の計算の流れは、以下の4つのステップに分けられます。

  1.  相続財産を特定する
  2.  遺産総額から基礎控除額を引く
  3.  相続税額を算出する
  4.  各相続人の相続税を算出する

各ステップについて詳しく見ていきましょう。

相続財産を特定する

まず被相続人(故人)がどのような財産を所有していたのか、相続財産を特定します。前述の相続税の対象となる財産で取り上げたものだけでなく、以下のようなものも相続財産に含まれます。

  • 相続開始前の3年以内に相続人に行われた贈与財産
  • 相続時精算課税制度を利用して贈与された贈与財産

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれるので、しっかり洗い出しましょう。

遺産総額から基礎控除を引く

被相続人の相続財産のすべてに課税されるわけではありません。基礎控除を差し引いて残った財産が、相続税の課税対象となります。相続税基礎控除は、以下のように法定相続人の数によって異なります。

  • 3,000万円+600万円×法定相続人の数

基礎控除を差し引いてマイナスになった場合、相続税は課されません。

相続税額を算出する

基礎控除を差し引いて残った財産を、法定相続分に基づいて分割します。

例えば、基礎控除を差し引いて残った財産が4,000万円として、配偶者と子供2人が相続する場合、配偶者が2,000万円、子供がそれぞれ1,000万円ずつ相続します

そして各自の相続財産に基づいて相続税を算出します。相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

各自が課される相続税は以下の通りです。

  • 配偶者:2,000万円×15%-50万円=250万円
  • 子供(1人あたり):1,000万円×10%=100万円

相続税の総額は、配偶者の250万円に子供2人分の200万円を加えた450万円となります。

参考:相続税の税率|国税庁

各相続人の相続税を算出する

各自が負担する相続税は、実際の取り分によって変化します。

例えば、配偶者が40%、子供が30%ずつ相続した場合における各相続人の相続税は以下の通りです。

  • 配偶者:450万円×40%=180万円
  • 子供(1人あたり):450万円×30%=135万円

どのように分けるかによって、各自が負担する相続税が異なる点に注意が必要です。

相続財産別シミュレーション

相続財産別シミュレーション

相続税をどうすれば算出できるかわかったものの、計算が苦手でもっと簡単におおよその相続税額を知りたいと考えている人も多いでしょう。

以下のシミュレーションを使うことで、誰でも簡単におおよその相続税を把握できます。配偶者なしの場合と配偶者ありの2つのパターンを確認しましょう。

配偶者なしの計算例

配偶者なしで、子供のみが相続人の場合における遺産総額別の相続税は、以下の通りです。

遺産総額 子供1人 子供2人 子供3人
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億5,000万円

相続人が少なく遺産の金額が大きい場合、相続税額が遺産総額の半分程度を占めるようになります。

配偶者ありの計算例

配偶者と子供が相続する場合における遺産総額別の相続税は、以下の通りです。

遺産総額 配偶者と子供1人 配偶者と子供2人 配偶者と子供3人
5,000万円 40万円 10万円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円
1億円 385万円 315万円 262万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,962万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,635万円

配偶者がいない場合と比べて相続税額が小さくなるのは、配偶者の軽減制度を利用できるためです。そのため、配偶者がいない場合は税負担が大きくなるので注意しましょう。

相続税の計算で注意すべきポイント

相続税の計算で注意すべきポイント

相続税の計算は自身で行うことも可能ですが、不安な人は税理士に相談するのも選択肢の一つです。相続税を自分で計算する際は、以下の3点に注意が必要です。

  • 控除できる財産や費用を把握する
  • 生前贈与の反映忘れに注意する
  • 非課税財産の差し引きを忘れない

それぞれのポイントを見ていきましょう。

控除できる財産や費用を把握する

相続税を計算する際に、プラスの財産だけをチェックしている人も多いかもしれませんが、マイナスの財産や葬式費用のチェックも忘れてはなりません。マイナスの財産や葬式費用は、相続税を計算する際に控除できるためです。

マイナスの財産や葬式費用として控除できる費用の一例は、以下の通りです。

  • マイナスの財産:借入金、未払い金、公租公課(所得税や住民税など)
  • 葬式費用:遺体や遺骨の移送費用、通夜や告別式・火葬・納骨にかかる費用

税負担を少しでも軽減するためにも、上記の費用は必ずチェックしましょう。

生前贈与の反映忘れに注意する

生前贈与とは、被相続人が生前に財産を贈与することです。生前贈与は通常、贈与税の対象となりますが、相続開始前3年以内の生前贈与は、相続財産に含められて相続税の対象になるので注意しましょう。

また、贈与時ではなく相続時に税金を課す「相続時精算課税制度」を利用した贈与財産も、相続財産に含まれます。申告漏れがあるとペナルティの対象となる可能性もあるため、上記に該当していないかしっかり確認しましょう。

非課税財産の差し引きを忘れない

控除できるのは、マイナスの財産や葬式費用だけではありません。以下のような各種控除や費用なども、非課税財産として差し引きできるので注意が必要です。

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 弔慰金
  • 寄付金
  • 日常礼拝に使用するもの

生命保険金と死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」までの控除を受けられます。また、国や地方公共団体などへの寄付金や弔慰金、墓地や墓石といった日常礼拝に使用する財産も、非課税財産として差し引けるので覚えておきましょう。

相続税の計算で利用できる主な控除

相続税の計算で利用できる主な控除

2015年1月の法改正によって、相続税基礎控除は現在の水準に引き下げられました。基礎控除の引き下げによって相続税の課税対象となる人が増えたため、少しでも相続税を削減するためには、利用できる控除をうまく活用することが大切です。

相続税の計算で利用できる、主な控除を確認しましょう。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が相続する際に、以下のいずれかのうち多い金額まで相続税が課されないという制度です。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

配偶者の税額軽減の金額は大きいため、相続税を課されることはほぼありません。しかし相続税を課されないからといって、手続きが不要というわけではないので注意が必要です。

控除によって相続税額が0円の場合も相続税申告の手続きが必要なので、忘れないように注意しましょう。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、事業用または居住用として使用していた宅地などを相続する際、最大80%まで課税価格の軽減を受けられる特例です。

この特例は、建物により減額される割合や限度面積が異なるため、利用を希望している場合は、事前に内容をしっかり確認する必要があります。

また特例を利用するのが同居親族の場合には、申告期限までの宅地所有と居住の継続、別居親族の場合には配偶者や同居姻族がいない、持ち家がない、申告期限までの宅地所有といった要件を満たさなくてはなりません。

詳しくは以下の国税庁ホームページを確認しましょう。

参考:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

その他の控除

ほかにも以下のような控除を利用できる可能性があります。

  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除

未成年者控除とは、20歳未満(2022年4月1日以降は18歳未満)の法定相続人が遺産を相続する際に利用できる控除です。「10万円×20歳(18歳)になるまでの年数」の控除を受けられます。

障害者控除とは、障害を持っている法定相続人が遺産を相続する際に利用できる控除です。「10万円(特別障害者は20万円)×85歳になるまでの年数」の控除を受けられます。相次相続控除とは、10年以内に二次相続が発生した場合に利用できる控除です。

控除を利用することで税負担を軽減できますが、要件を満たさなくてはならない、手続きが必要など、利用するのはそれほど容易ではありません。何をどうすればいいかわからず困っているなら、税理士などの専門家に相談しましょう。

相続税の知識を身に付けて万が一に備えよう

相続税の知識を身に付けて万が一に備えよう

法改正によって基礎控除が引き下げられたため、相続税の課税対象になる人が増えました。相続財産の大半を現金化が容易な資産が占めている場合には、現金化することで相続税の支払いに充てられます。

しかし、現金化が困難な財産が多い場合は、相続税の支払いができない可能性もあるため、相続税がどのくらい課されるのか把握しておくことが大切です。

相続税の計算方法を知るには、まずは相続の基本的な知識を身に付けなくてはなりません。この記事に書かれている内容やシミュレーションを参考にしつつ、どのくらいの相続税が課されるのかチェックしてみましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

監修:
白石真敬 (税理士)

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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