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お金と制度
2022.03.10

遺産相続で押さえておくべきポイント。手続きや税金についても解説

遺産相続で押さえておくべきポイント。手続きや税金についても解説

遺産相続の知識は、相続が発生してから身に付ければいいと考えている人もいるかもしれません。しかし期限が定められている手続きもあり、対応が遅れればトラブルに発展する可能性もあります。遺産相続に必要な知識は、早めに得ておきましょう。

どのような財産が遺産相続に含まれる?

どのような財産が遺産相続に含まれる?

被相続人(故人)が有する財産の全てが遺産相続の対象になるわけではありません。相続時のトラブルを未然に防ぐために、まずはどのような財産が遺産相続に含まれるか把握しておくことが大切です。

遺産相続に含まれる財産と含まれない財産について見ていきましょう。

遺産相続に含まれる財産

遺産相続に含まれる財産として、以下のようなものが挙げられます。

  • 現金や有価証券
  • 動産や不動産
  • 権利
  • 債務など

現金や有価証券とは、預貯金や株券、貸付金、小切手などです。動産とは家財や自動車、船舶、骨董品、宝石品など、不動産には宅地や建物だけでなく、借家権といった権利も含まれます。

権利とは、電話加入権やゴルフ会員権、著作権などです。債務とは、ローンや借金、未払い家賃、滞納中の税金などのことです。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も遺産相続に含まれるという点を把握しておきましょう。

遺産相続に含まれない財産

遺産相続に含まれない財産として、以下の3点が挙げられます。

  • 一身専属権
  • 保険金や年金
  • 祭祀財産

一身専属権とは、特定の人物のみにしか帰属しない、もしくは行使できない権利のことです。例えば代理権、雇用契約上の地位、組合員の地位、生活保護受給権などは一身専属権に該当し、遺産相続に含まれません。

生命保険金や遺族年金などは、相続の発生によって受給権が発生するため、一見相続財産に含まれそうですが、これらは受取人に指定された人に固有の権利です。相続財産には含まず、受け取った人が個別に相続税を納めることになります。

祭祀財産とは、仏壇や位牌などの祭具、墓地や墓石などの祭祀に用いるための財産です。これらは祭祀を主催する人が承継するものなので、相続財産には含まれません。

相続順位によって遺産分割に割合は異なる

相続順位によって遺産分割に割合は異なる

遺産相続に含まれる財産がわかったところで、相続人同士で被相続人の財産をどのように分割すればいいか見当がつかないという人も多いと思います。続いて遺産分割の方法について見ていきましょう。

相続順位ごとの遺産分割割合

相続が発生した場合、基本的には相続順位に従って被相続人の財産を分け合います。民法で定められた相続順位は以下の通りです。被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。

  • 第1順位:被相続人の子供とその代襲相続人
  • 第2順位:被相続人の直系尊属
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹とその代襲相続人

第1順位の子供が既に亡くなっている場合、子供の直系卑属(子供や孫)に相続する権利が移行します。この直系卑属が「代襲相続人」になります。

第2順位の直系尊属とは、父母や祖父母のことです。上位の相続人がいる場合には、下位は相続人になれないという点を覚えておきましょう。

法定相続分は、相続順位の組み合わせによって以下のように異なります。

  • 配偶者と第1相続人:配偶者1/2、第1相続人1/2
  • 配偶者と第2相続人:配偶者2/3、第1相続人1/3
  • 配偶者と第3相続人:配偶者3/4、第1相続人1/4

例えば、配偶者と第1相続人の子供2人が4,000万円を相続した場合、配偶者は2,000万円、子供は1人あたり1,000万円を相続します。

遺言で分割方法を指定することも可能

遺言で分割方法を指定することも可能

遺言書に遺産分割に関する記載があれば、法定相続分に従わなくても問題ありません。もし被相続人が遺言書を作成し、法定相続分と異なる指示をしていた場合、故人の遺志を尊重してその内容に従います。

遺言書がある場合でも、相続人全員が同意すれば、遺言書通りの分割ではなく、遺産分割協議を通して分割方法を決定することも可能です。

遺留分に注意が必要

「遺留分」とは、法律で定められている各相続人の最低限の法定相続分です。

被相続人は遺言書において自由に相続割合を決めることが可能ですが、遺留分を侵害している場合は、相続人が遺留分侵害額を請求してトラブルに発展するケースもあります。

遺産相続のトラブルを軽減するためにも、各相続人の遺留分を侵害しない範囲で遺言書を作成することが大切です。

話し合いがまとまらなければ遺産分割調停

遺言書が作成されていない場合、相続人同士で遺産分割について話し合いますが、必ずしも法定相続分に基づく必要はありません。

「遺産分割協議」という相続人全員が参加する遺産分割についての話し合いの場で全員の同意が得られた場合は、その内容で遺産分割を行うことも可能です。

遺産分割協議を行ったにもかかわらず、話し合いがうまくまとまらないようなケースでは、家庭裁判所に「遺産分割調停」または「遺産分割審判」を申し立てます。

調停では、調停委員会や裁判官が各相続人の主張を聞いて妥協点を探ります。それでも解決が困難な場合は審判へと移行しますが、解決までに時間がかかる点に注意が必要です。

遺産相続の期限

遺産相続の期限

遺産相続が発生しても、各相続人が急いでいないのであれば、時間をかけて遺産分割協議を実施すればいいと考えている人も多いでしょう。しかし遺産相続には期限が定められている手続きもあり、速やかに遺産相続を進めなくてはなりません。

3カ月以内に必要な手続き

遺産相続が発生した場合、発生したことを知った日から3カ月以内に、相続するかどうかを決めなくてはなりません。

もし「相続放棄」や「限定承認」といった、相続以外の選択肢を検討している場合には、相続開始を知った日から3カ月以内に申し出なければならないので、早めの決断が求められます。

4カ月以内に必要な手続き

「準確定申告」が必要なケースでは、相続開始を知った日から4カ月以内の手続きが必要です。準確定申告とは、以下のようなケースで実施される被相続人の生前の所得について確定申告を行うことを指します。

  • 被相続人が事業主として事業を行っていた
  • 被相続人が本業以外で収入を得ていた(申告義務ありの場合)
  • 被相続人の給与が2,000万円以上だった

上記いずれかに該当する場合、準確定申告が必要となる可能性が高いため、早めに手続きを進めましょう。

10カ月以内に必要な手続き

相続放棄や限定承認をするつもりがない、また準確定申告が不要なケースでも、相続税の申告や納税は、相続開始を知った日から10カ月以内に手続きしなくてはなりません。

「少しくらい遅れても平気では?」と考える人もいるかもしれませんが、納期を少しでも超えれば、無申告加算税や延滞税などのペナルティの対象になります。

無駄な税金を納めることを回避するためにも、わからない場合は税理士など専門家に相談しながら納税手続きを進めましょう。

遺産相続の流れ

遺産相続の流れ

遺産相続を速やかに行うには、事前に遺産相続の流れを把握しておくことが大切です。遺産相続の流れは以下の4つのステップに分けられます。

  1.  相続財産の確定
  2.  相続人の確定
  3.  遺産分割協議
  4.  遺産分割協議書の作成

各ステップについて詳しく見ていきましょう。

相続財産の確定

遺産相続では、まず相続財産を確定させる必要があります。前述の通り、相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。

申告時に不備を生じさせない、またトラブルを未然に防ぐためにも、財産をしっかり特定させましょう。

相続人の確定

相続財産の確定とほぼ並行しながら、相続人の確定を進めます。相続人を確定する際には、被相続人の戸籍謄本を集めるのが一般的です。戸籍を確認し、両親・子供・兄弟姉妹など、相続人になりうる人物を確定させます。

また、遺言書が作成されている場合もあるので、遺言書の有無を確認することも重要です。遺産分割協議は相続人全員で話し合わなくてはならず、全員が参加していなかった場合は協議が無効になります。そのため相続人を確定させることが必要なのです。

遺産分割協議

相続人・相続財産を確定させた後は、いよいよ遺産分割協議です。遺産分割協議では以下の2点に注意しましょう。

  • 相続人全員が参加する
  • 協議結果を書類に残す

遺産分割協議を有効に成立させるためには、相続人全員の参加が必須です。遺産分割協議の参加方法は、特定の場所に集まらなければならないわけではなく、電話や手紙による参加でも問題ありません。

また、協議が有効に成立したことを証明するために、話し合われた内容や相続人全員の署名・押印が必要です。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書に特定の書式はありませんが、内容が不十分だった場合は有効な遺産分割協議書として認めてもらえない可能性があるので注意しましょう。遺産分割協議書を作成する際は、以下の4つのポイントを盛り込むことが大切です。

  • 遺産分割協議書であることが明確にわかるタイトル
  • 誰のどのような遺産を誰にどのように分割するのか
  • 協議を行った日付
  • 相続人全員の署名・押印

遺産分割協議書は、手書きでもパソコンで作成してもどちらでも問題ありません。無効にならないか不安な場合は、弁護士などの専門家に相談して作成してもらいましょう。

相続したくない場合の対処法

相続したくない場合の対処法

相続人の中には、相続財産に占める借金といったマイナスの遺産が多い場合など、相続したくないと考えている人もいるでしょう。相続したくない場合の対処法として、限定承認と相続放棄の2つの方法が挙げられます。それぞれについて確認しましょう。

限定承認

「限定承認」とは、財産の一部を相続する方法です。財産の一部を取得するといっても、自分で自由に財産を選択できるわけではありません。プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続するのが、限定承認の特徴です。

例えば、被相続人に多くのマイナスの財産があり、プラスの財産と比べてどちらが多いのか判断が難しいようなケースで選択されます。

限定承認は個々に選択できるものではなく、相続人全員で家庭裁判所に申述が必要な点に注意が必要です。

相続放棄

「相続放棄」とは、全ての財産の相続を放棄する方法です。マイナスの財産だけでなく、プラスの財産も放棄することになるのが特徴です。

そのため、マイナスの財産がプラスの財産を明確に上回っているというケースを除いて、基本的に選択されません。

相続放棄をした場合、次の相続人に相続権が移行します。全員が相続放棄したい場合には、相続人全員が相続放棄を選択しなければならないという点も覚えておきましょう。

相続させたくない場合は廃除

相続が発生した場合に、特定の相続人に遺産を相続させたくないと考えている人もいるかもしれません。

そのようなケースでは、「相続廃除」制度を利用すれば相続権を消失させることが可能です。しかし、廃除制度はどのようなケースでも利用できるわけではありません。

被相続人に対して虐待をした、重大な侮辱を加えた、推定相続人に著しい非行があったなど、相続人になるべきでない人物であることが制度利用の条件です。家庭裁判所に請求して審判で認められなければ、相続権を消失させられないので注意しましょう。

相続税の確認方法

相続税の確認方法

相続税は必ず課されるわけではありません。相続税が課されない場合もあるため、相続税が課されるのかどうか確認しておくことが大切です。相続税が課されないケースについて解説します。

基礎控除内であれば非課税

相続税を算出する場合、プラスの財産、マイナスの財産に基づいて算出した遺産総額から、基礎控除を差し引きます。そのため、基礎控除が遺産総額を上回っているケースでは、基本的に相続税が課されません。

相続税基礎控除の計算式は以下の通りです。

  • 3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、妻と子供2人が相続人の場合は「3,000万円+1,800万円=4,800万円」となり、4,800万円までは相続税が課されません。

まずは基礎控除と遺産総額を比較して、相続税が課されるのか確認しましょう。

各種控除内であれば非課税

相続税を算出する際には、各種控除を適用できます。控除により課税遺産総額が0円かマイナスになった場合は、相続税が課されません。相続税を算出する際に利用できる控除として、以下のようなものが挙げられます。

  • 配偶者の税額控除
  • 未成年者控除
  • 障害者控除

「配偶者の税額控除」とは、被相続人の配偶者であれば1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分のいずれか多い金額まで相続税が免除される制度です。

未成年者控除では、相続人が未成年者の場合、満20歳(2022年4月1日以降は18歳)になるまで1年あたり10万円が控除されます。

障害者控除とは、相続人が85歳未満の障害者の場合に、満85歳になるまで1年あたり10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除される制度です。

これらの制度を利用できれば相続税の負担を軽減できるので、利用できないか必ずチェックしましょう。

相続税を納められない場合の対処法

相続税を納められない場合の対処法

相続税は相続した財産から納めればいい」と考えている人もいるでしょうが、現金化が困難な遺産が多いケースでは、相続税を納められない可能性があります。

相続税を期限までに納められなかった場合は、無申告加算税や延滞税などによって多額の税金を納めなくてはなりません。

このような税金トラブルを未然に防ぐには、相続税を納められない場合における対処法を事前に把握しておくことが大切です。対処法としては、延納と物納の2つが挙げられます。それぞれの対処法について見ていきましょう。

延納

「延納」とは、その名の通り納税を延期することです。相続税は一括払いが通常ですが、延納が認められた場合は分割払いが認められます。

しかし、必ず延納が認められるわけではありません。以下のような条件を満たした場合のみ、延納が認められます。

  • 相続税額が10万円超
  • 金銭での納付が困難かつ納付が困難な金額の範囲である
  • 延納税額および利子税額に相当する担保を提供する
  • 延納申請にかかる相続税の期限または納付日までに「延納申請書」に「担保提供関係書類」を添付して税務署長に出す

相続が発生した日から10カ月以内の手続きが必要なので、忘れないよう注意しましょう。

物納

「物納」とは、相続税を現金ではなく現金以外の財産で納付する方法です。こちらも必ず認められるとは限らず、以下のような条件を満たした場合にのみ物納を認められます。

  • 延納をしても現金による納付が困難
  • 物納可能な資産を有している
  • 物納申請にかかる相続税の期限または納付日までに「物納申請書」を提出する

物納が認められるのは、現金での納付が困難な金額のみに限られています。また、どのような財産でも認められているわけではなく、財産の優先順位が以下のように決まっています。

  1.  不動産、船舶、国債証券、上場株式など
  2.  不動産、上場株式のうち物納劣後財産に該当する財産
  3.  非上場株式など
  4.  非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
  5.  動産

「物納劣後財産」とは、物納に適していない財産のことです。上位の財産がない場合のみ下位の財産による物納が認められるという点を理解しておきましょう。

遺産相続に対する理解を深めておこう

遺産相続に対する理解を深めておこう

遺産相続は誰もが一度は経験します。何も備えずにいると、いざ遺産相続が発生した場合に速やかに対応できず、トラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。

遺産相続を円滑に終えるためには、事前準備が欠かせません。遺産相続に必要な知識を事前に確認し、遺産相続に備えましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

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