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確定申告はオンラインにシフトするのがいい。2020年分から青色申告特別控除も変わる

2019.12.23

この記事を書いた人 RENOSYマガジン編集部

「すべての人に不動産投資という選択肢を」を掲げ、本当にためになる情報だけを提供しているRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で、「不動産投資」を解説し読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。
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紙や対面でのやりとりなど、アナログ時代から引き継がれている行政サービス。政府は「デジタル・ガバメント」の実現を目指しており、各種手続きもオンラインでのやりとりが基本となる日がやってきます。確定申告のオンライン化の取り組みも進み、近い将来スマホがあれば確定申告がすべて完了する社会もくるでしょう。過渡期のいま、どのような申告方法があるのかを紹介します。

青色申告特別控除が65万円から55万円に。e-Taxで65万円をキープ

2020年分以降の所得税の確定申告から、青色申告特別控除の最高額は、現行の65万円から55万円に引き下げられます。

一見、個人事業主の所得税が増額されるように見えますが、実はオンラインで確定申告などをすることによって65万円の青色申告特別控除をキープすることができ、減税効果も受けることができます。

詳しくみていきましょう。

平成30年度税制改正で青色申告特別控除額が変わった

平成30年度の税制改正では、政府が推進している「働き方改革」を後押しすべく、個人の所得課税の見直しが行われました。

「平成30年度税制改正」(平成30年4月発行) : 財務省出所: 「平成30年度税制改正」(平成30年4月発行) : 財務省

つまり、働き方が多様化しつつある現状を踏まえて、さまざまなスタイルで働く人を税制面で応援するような改正が行われたのです。

具体的にはまず、基礎控除が一律10万円引き上げられ、現行の38万円から48万円に変更されます。他方で、給与所得控除と公的年金控除は一律10万円引き下げられます。

これだけをみると個人事業主に有利な税制改正ですが、同時に青色申告特別控除の最高額も10万円引き下げられます。

基礎控除の10万円引き上げと青色申告特別控除の10万円引き下げによってプラスマイナスゼロになります。

しかし、青色申告特別控除については、一定の適用要件を満たせば10万円の引き下げを回避することができます。

青色申告をする個人事業主にとっては、現行の65万円の控除を維持することができれば、基礎控除が10万円引き上げられるぶん減税効果を受けることができると言えます。

では、青色申告特別控除の10万円の引き下げを回避して現行の65万円の控除を維持するためには、どのような適用要件があるのでしょうか。

適用要件を満たせば、改正前の65万円の控除が維持できる

令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額 基礎控除額が変わります出所: 令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額 基礎控除額が変わります- 国税庁

今回の税制改正後も、改正前の65万円の青色申告特別控除を維持するためには、現行の適用要件を満たしていることに加えて、さらに次のいずれかの要件を満たすことが必要です。

(1)e-Taxによって確定申告を行うこと
(2)電子帳簿保存を行うこと

なお、現行の適用要件は、以下の3つです。

(3)不動産所得または事業所得が発生する事業を営んでいること
(4)正規の簿記(一般的には複式簿記)の方式で記帳していること
(5)その記帳に基づいて貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告書に添付して法定申告期限内に提出すること

以下、新たに必要となる(1)と(2)の要件について詳しくご説明します。

(1)e-Taxによって確定申告書を行うこと

e-Tax(イータックス)とは、正式には「国税電子申告・納税システム」と呼ばれる国税庁のシステムです。

以前の確定申告は紙媒体でのみ行うことができましたが、2004年からe-Taxが導入され、自宅やオフィスにいながらオンラインで確定申告ができるようになりました。

ただ、従来はe-Taxを利用して確定申告を行うためには、事前準備が大変でした。マイナンバーカードを取得したり、「電子申告等開始届出書」を税務署に提出したり、ICカードリーダライタを購入したりなど、さまざまな準備が必要でした。

しかし、2019年1月から従来よりも簡略化された申請方法が導入されました。

「ID・パスワード方式」という申請方法です。

この方式なら、マイナンバーカードもICカードリーダライタも必要ありません。ただし事前に1度、「電子申告等開始届出書」を税務署に提出して職員との対面による本人確認が必要になります。

本人確認を済ませればその場でIDとパスワードが発行されます。

なおID・パスワード方式は、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定措置として一時的に導入された方式です。

e-Taxで確定申告をすることには、オンラインで手続きが完結することのほかにもいくつかのメリットがあります。

まず、源泉徴収票や領収証などの提出・提示を省略することができます。ただし、これらの書類を一定期間保管しておくことは必要です。

また、通常の確定申告期間は2月16日から始まりますが(2020年は2月17日から)、e-Taxを利用すれば1月上旬から申告できるので、早めに確定申告を済ませることができます。

さらに、還付がある場合は紙媒体で申告した場合よりも早い時期に還付される場合もあるようです。

もちろん確定申告時期の混み合う税務署で長時間待つということもありません。

(2)電子帳簿保存を行うこと

この方法であれば、e-Taxの利用は必須というわけではありません

確定申告をする年中の事業にかかる仕訳帳と総勘定元帳について、電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを使って、記帳した帳簿を電子データとして備え付け、保管しておくことによっても、青色申告特別控除の65万円の控除を維持することができます。

ただし、この方式による帳簿の備え付けを始める日の3ヶ月前までに税務署に申請書を提出し、税務署長の承認を受けておく必要があります。

承認を受けず、単にパソコンで帳簿を作成・保管しているだけでは「電子帳簿保存」として認められず、青色申告特別控除の65万円の控除を維持することもできないので、注意が必要です。

なお2020年分の確定申告に限っては、2020年9月30日までに承認申請書を提出して同年中に税務署長の承認を受け、同年12月31日までに仕訳帳と総勘定元帳の「電子帳簿保存」を行えば、青色申告特別控除の65万円の控除を維持することができます。

ID・パスワード方式なら、カードリーダーを購入しなくてもオンライン申告できる

手軽に適用要件を満たしたい方におすすめなのは、ID・パスワード方式でe-Taxを利用することです。

この方式なら、マイナンバーカードの取得やICカードリーダライタの購入は必要ありません。

最寄りの税務署まで出向いて職員との対面での本人確認をすると、即日、「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらえます。

この通知書にIDとパスワードが記載されているので、その日にでもe-Taxによる確定申告が可能になります。

ICカードリーダライタを購入しなくていいので、置き場を考えたり新たな出費なく、e-Taxを利用できるようになります。

マイナンバーカードとICカードリーダライタが普及するまでの暫定的対応

ただし、ID・パスワード方式はずっと利用できる方法ではなく、国税庁はあくまでもマイナンバーカードおよびICカードリーダライタを使用した「マイナンバーカード方式」という申請方法を推奨しています。

マイナンバーカードやICカードリーダライタが国民の間に十分に普及している状況ではないため、もっと普及するまでの暫定的対応として導入されたのがID・パスワード方式です。

この暫定措置は2019年からおおむね3年間とされています。3年間できっぱりとID・パスワード方式の運用が終了するかどうかはまだ分かりませんが、いずれはマイナンバーカード方式に絞られる方向であることは意識しておく必要があります。

したがって、お試しとしてID・パスワード方式を利用するのはおすすめですが、マイナンバーカード方式への移行があることは忘れない方がいいでしょう。

マイナンバーカード方式をいますぐ使うメリットは

将来はマイナンバーカード方式に統一が図られる予定ですが、現時点で、マイナンバーカード方式はどのくらい敷居が低くなっているでしょうか。

マイナンバーカード方式を利用するには、マイナンバーカードを持っていることが前提となります。通知カードはマイナンバーカード方式では使えません。

マイナンバーカードの取得は、交付申請から1カ月程度かかるので注意が必要です。マイナンバーカード方式では、データを送信するためのICカードリーダライタが必要です。

これらの前提がある上で、2019年1月から導入された変更で、少しハードルが下がりました。

マイナンバーカード方式では、「電子申告等開始届出書」を税務署に提出せずにe-Taxを利用できるようになりました。また、e-TaxのIDやパスワードの取得もいらなくなりました。

そして、導入のハードルとなっているICカードリーダライタについては何か変化があったかを確認していきます。

スマホがICカードリーダライタ代わりになる

以前は専用のカードリーダーの購入が必須でしたが、2017年からはスマホをICカードリーダライタ代わりに使えるようになりました。マイナンバーカードが採用する無線通信規格やマイナンバーカード対応NFCスマートフォンが対象です。

対応しているスマホはAndroidだけでしたが、2019年秋よりiPhoneでも使える機種が登場しています。iOS13以降のOSをインストールしたiPhone7以降の機種です。Androidでも一部、対応していない機種があります。

iPhoneからマイナポータルを利用する方法

最新の対応機種については、以下の資料で確認できます。

マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧 | 公的個人認証サービス ポータルサイト

Windowsパソコンも必要

スマホをICカードリーダライタ代わりにしてオンライン申請するためには、「Bluetooth」を搭載したパソコンが必要になります。

実際にオンライン申請をするときは、まず、スマホに「JRKI利用者ソフト」という専用アプリをダウンロードします。

続いてパソコンにも「JRKI利用者ソフト」をインストールした上で、「ICカードリーダライタ設定」を行います。

これらの作業をすることによってスマホとパソコンがペアリングされ、ICカードリーダライタなしでパソコンとスマホのみでオンライン申請ができるようになります。

このように、一度各ツールの設定が必要になります。スマホだけで完結はしないので、マイナンバーカード方式は「パソコンによる申請」方法だと理解した方がいいようです。

スマホだけでどこまでできるの? 令和元年の確定申告はスマホだけで完結する?

2020年1月からは、スマホとマイナンバーカードでe-Taxが利用できるという案内がされています。「スマートフォンでの申告が更に便利に!」と書かれています。

スマートフォン × マイナンバーカードでe-Tax!進化するスマート申告!│国税庁出所: スマートフォン × マイナンバーカードでe-Tax!進化するスマート申告!│国税庁

マイナンバーカード方式による申告は、Android、iPhoneともに2020年1月31日からとなっています。

同ページでは、「作成」「送信(提出)」ができると案内されています。実際に確定申告受付時期になってどこまで簡単になるか、ぜひ試してみたいところです。

まとめ

確定申告のオンライン申請はe-Taxによる申請方法が簡略化されたり、スマホの利用範囲が拡大されるなどの改善が進んでいます。しかし、まだまだ過渡期であり、今後も数年はさまざまな変更が予想されます。

税制改正とe-Taxの利用方法の変更の双方をこまめにチェックしつつ、青色申告特別控除65万円の維持など、確定申告で受けられる控除を見逃さないようにしましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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