不動産やお金の疑問をわかりやすく解決 RENOSY マガジン
  1. RENOSY マガジン
  2. 売る
  3. 家を売るときには知っておきたい3,000万円の特別控除とは
売る

家を売るときには知っておきたい3,000万円の特別控除とは

2019.12.12

この記事を書いた人 RENOSYマガジン編集部

「すべての人に不動産投資という選択肢を」を掲げ、本当にためになる情報だけを提供しているRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で、「不動産投資」を解説し読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。
もっと読む
取材協力:
税理士法人 スバル合同会計
家を売って利益が出れば税金を納めなければなりません。不動産の売却は金額が大きいだけに税金も多額になります。 節税効果が高い「3,000万円の特別控除」というものがありますが、どのような控除なのでしょうか。この記事では、その内容と計算方法や具体例、他の控除や特例と併用できるのかということまで解説します。

3,000万円の特別控除とはどんなときに使える控除なのか

3,000万円の特別控除とは、居住用財産を売ったときに発生する譲渡所得から最高で3,000万円まで控除できる特例のことです。この控除が適用されると、譲渡所得が3,000万円までなら譲渡所得税がかからないことになります。

正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

居住用財産というのは、簡単にいうと自宅(マイホーム)のことです。マイホームの流通性を高めるための国の政策としてこの特例が創設されたと考えられています。

譲渡所得税が軽減されればマイホームを売りやすくなり、マイホームを購入できる人が増えます。売却した人も次のマイホームを購入しやすくなります。この特例によってマイホームの流通が促進されることになります。

この3,000万円の特別控除を受けることができるのは、自分が住んでいる家屋、あるいは家屋とともにその敷地や借地権を売却したときです。以前に自分が住んでいた家屋や敷地、借地権については、住まなくなったときから3年後の12月31日までに売却した場合に限り、対象になります。

なお、マイホームの所有期間の長短は、3,000万円の特別控除の適用には関係ありません。

3,000万円の特別控除適用時の計算方法

マイホームを売ったときの譲渡所得税を算出するときに、3,000万円の特別控除の適用を受ける場合は「譲渡所得」から最高3,000万円を控除して計算します。

譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」によって算出します。

取得費とは、そのマイホームを自分が購入したときの代金とその際にかかった費用のことです。譲渡費用とは、売却した際にかかった、業者への仲介手数料などの費用のことです。

譲渡所得税の計算式は「譲渡所得 × 税率」です。

一般の税率は所有期間が5年以下の場合は39.63%(所得税30.63%、住民税9%)、5年を超える場合は20.315%(所得税15.315%、住民税 5%)です。しかし、マイホームを売却した際の税率は所有期間に関係なく20.315%です。

また所有期間10年超のマイホームを売却した場合には、6,000万円までの譲渡益に対し14.21%の減税された税率が適用されます。

例として、3,800万円(建物価格2,000万円、土地1,800万円)で購入した新築木造のマイホームを、所有期間9年後に4,000万円で売却したケースで、取得価額が3,800万円、譲渡費用が246万円かかったとした場合の譲渡所得税は以下のようになります。

まず、3,000万円の特別控除の適用を受けない通常の場合の所得税額を計算してみましょう。

非事業用資産の譲渡の場合、減価償却の計算に用いる耐用年数は事業用の年数の1.5倍に相当するものとして計算します。

まずは耐用年数を割り出します。所有期間が9年ということで、「耐用年数を一部経過した物件」の場合の計算をします。

耐用年数を一部経過した物件=(法定耐用年数−経過年数)+経過年数 × 20%

(木造22年 × 1.5−9年)+9年 × 20%=24+1.8=25.8 → 25年(見積耐用年数の端数は1年未満切り捨て)

耐用年数が25年と出ました。減価償却資産の償却率表で耐用年数が「25」のところをみると、定額法の償却率は「0.040」となります。

取得費の計算

減価償却費を割り出す計算式は次の通りです。

建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数=減価償却費相当額

建物価格2,000万円 × 0.9 × 0.040 × 9年=648万円(減価償却費)

建物価格ー減価償却費=売却時の建物価格

建物価格2,000万円-減価償却費648万円=1,352万円(売却時の建物価格)

建物を購入する際にかかる仲介手数料や税金をあわせると、取得費は以下のようになります。

土地1,800万円+売却時の建物価格1,352万円+仲介手数料(124.8万円)+印紙税1万円+不動産取得税20万円=3,297.8万円(取得費)

譲渡所得の計算

譲渡所得および譲渡所得税額は以下の式から計算します。

売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

譲渡所得 × 税率(所得税+住民税)=譲渡所得税額

売却価格4,000万円-(取得費3,297.8万円+譲渡費用246万円)=456.2万円(譲渡所得)

譲渡所得456.2万円 × 20.315%=926,770.3円 →926,700円(譲渡所得税額)

3,000万円の特別控除の適用を受ける場合は、譲渡所得から最高3,000万円を控除して計算します。

譲渡所得456.2万円-3,000万円=0円
→譲渡所得税額=0円

3,000万円の特別控除の適用を受けることで、100万円近くかかる譲渡所得税額の支払いがなくなりました。このように、3,000万円の特別控除には大きな節税効果があります。

なお、マイホームが共有名義の場合は、譲渡所得を持ち分で按分して譲渡所得税額を計算します。控除額は共有者全員で合計3,000万円ではなく、共有者一人あたり最高3,000万円まで認められます。

【新設】相続した空き家を売ったときに受けられる3,000万円の控除

自分が住んでいる居住用財産でなくても、相続した空き家については、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却した場合に限り、一定の要件を満たす場合に譲渡所得から最高3,000万円を控除することができます。

この特例の正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

近年、空き家が増加していることが社会問題化したことから、空き家を減らすための国の政策の一環としてこの特例が新設されました。

この特例の適用を受けるための要件は非常に複雑に定められていますが、簡潔に述べると以下のようになります。

特例の対象となる家屋、敷地等の要件

  • 昭和56年5月31日建築された、区分所有建物以外の建物であること
  • 相続開始直前に被相続人が1人で住んでいた家屋であること
  • 売却する時点で一定の耐震基準を満たしていること
  • 相続開始から売却のときまで居住の用やその他の用として使用されていないこと
  • 相続開始直前に被相続人居住用家屋の敷地であった土地またはその土地上に設定されている権利であること

特例の適用要件

  • 相続または遺贈によって取得した被相続人居住用家屋、または家屋と敷地等を売却すること
  • 相続または遺贈によって取得した被相続人居住用家屋を全部取壊し等した後にその敷地等を売却すること。
  • 相続開始から3年後の12月31日までに売却したこと
  • 1億円以下の代金で売却すること
  • 併用不可とされている他の特例の適用を受けていないこと
  • 同一の被相続人から相続または遺贈で取得した他の不動産についてこの特例の適用を受けていないこと
  • 夫婦や親子など特別な関係のある人への売却ではないこと

なお、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには確定申告をすることが必要で、その際に以下の書類を添付しなければなりません。

  • 売買契約書の写し
  • 譲渡所得の内訳書
  • 登記事項証明書等
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し

3,000万円の特別控除を受けるための条件

前述したとおり、3,000万円の特別控除はマイホームの流通性を高めるための政策です。その観点から、この特例の適用を受けるためには以下のような条件が定められています。

(1)自分が住んでいる家屋、あるいは家屋とともにその敷地や借地権を売却したこと

前述したとおり、以前に自分が住んでいた家屋や敷地、借地権についても、住まなくなったときから3年後の12月31日までに売却した場合は適用されます。

また、家屋を取り壊して敷地を売却した場合も、以下の条件を満たす場合は適用されます。

  • 家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約が締結されたこと
  • 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却が完了したこと
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約の締結日までの間、その敷地が他の用途に使用されていないこと

なお、災害によって家屋が滅失した場合は、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却すればこの特例の適用を受けることができます。

(2)他の特例の適用を受けていないこと

既に一定の優遇措置を受けている場合は、3,000万円の特別控除を併用することは認められていません。そのため、以下の条件が定められています。

  • 売却した年の前年及び前々年に、この特例またはマイホームの譲渡損失の特例の適用を受けていないこと
  • 売却した年、その前年及び前々年に、マイホームの買換え・交換の特例の適用を受けていないこと
  • その他、売却した家屋や敷地について併用不可とされている他の特例の適用を受けていないこと

(3)売主と買主が一定の特別な関係でないこと

特別な関係とは、夫婦や親子、その他生計を一にする親族、売却後にその家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特別な関係にある法人(売主や以上の親族等を代表者とする会社など)です。

一方、以下の場合にはこの特例を適用することは認められていません。

(1)売主がこの特例を受けることだけを目的としてその家屋に入居した場合

この特例はマイホームの所有期間の長短を問わず適用されますが、このような目的が認められる場合は適用が除外されます。

(2)一時的な目的のために入居した場合

マイホームを新築する間だけ仮住まいとして使用した家屋などにはこの特例は適用されません。

(3)趣味や娯楽、保養を主な目的として所有している家屋

別荘などは適用除外とされています。この特例はあくまでも日常的に居住するマイホームが対象です。

10年以上所有しているなら「10年超所有軽減税率の特例」も併用可

マイホームを売却したときの特例には3,000万円の特別控除の他にもいくつかあります。基本的には併用は認められていませんが、「10年超所有軽減税率の特例」は併用が認められています。

10年超所有軽減税率の特例とは、居住用財産を売却したときに、その家屋や敷地を10年超所有している場合は譲渡所得税の税率が軽減されるものです。

10年超所有軽減税率の特例が適用される場合は、譲渡所得6,000万円以下の部分について税率が14.21%に軽減されます。

例えばマイホームの売却価格7,000万円、取得費3,242万円、譲渡費用300万円のケースで、所有期間が10年を超える場合であれば、3,000万円の特別控除と10年超所有軽減税率の特例が併用されることで譲渡所得税は以下のようになります。

7,000万円-(3,242万円+300万円)-3,000万円=458万円
458万円×14.21%=650,818円

仮に10年超所有軽減税率の特例を適用せず、税率20.315%で計算すると譲渡所得税額は930,427円となります。

10年超所有軽減税率の特例を併用することで譲渡所得税額が30万円近く軽減されます。節税効果が高いので、条件を満たす場合は忘れずに適用を受けるようにしましょう。

なお、10年超所有軽減税率の特例にも以下のような適用条件が定められています。

  1. 自分が住んでいる家屋、あるいは家屋とともにその敷地を売却したこと
    以前に住んでいた家屋や敷地、家屋を取り壊した場合、災害で家屋が滅失した場合については3,000万円の特別控除と同様の適用条件があります。
  2. 売却した年の1月1日時点で家屋・敷地の所有期間がいずれも10年を超えていること
  3. 売却した年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  4. 売却した家屋及び敷地について3,000万円の特別控除以外の特例の適用をうけていないこと
  5. 夫婦や親子など特別な関係がある人に対する売却でないこと

3,000万円の特別控除と住宅ローン控除は併用できないのか

マイホームを購入するとき、古いマイホームを売却した上で、新しいマイホームを購入するために住宅ローンを組む人も多いことでしょう。

このような場合、3,000万円の特別控除も住宅ローン控除も適用の対象となるケースがありますが、この2つの控除を併用することは基本的にできません。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを取得した場合に、一定の要件を満たすときは居住を開始した年以降の所得税が軽減される制度です。令和元年10月1日から令和2年12月31日までに居住を開始した場合、13年間にわたって年間で最大40万円、トータルで最大520万円が減税されます。

新しいマイホームに居住を開始した年と、その前後2年の合計5年の間に3,000万円の特別控除の適用を受けている場合は、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。

逆にいえば、上記の5年の間に3,000万円の特別控除の適用を受けていなければ、それ以外の時期に3,000万円の特別控除を受けていても、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

したがって、以下のようなケースであれば2つの特例が併用して適用されることになります。

  • 古い住宅を売却した後、その翌々年が過ぎるまでは賃貸住宅などで生活し、その後に新しいマイホームを取得する場合
  • 新しいマイホームに転居した後も古いマイホームを所有し続け、転居の翌々年が過ぎてから古いマイホームを売却する場合

しかし、実際にはこのようなケースが発生するのは稀でしょう。これらのケースに該当する場合以外は、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除のどちらが有利なのかをシミュレーションして比較した上、選択する必要があります。

ただ、住宅ローン控除は収入が少ないと所得税や住民税から控除できる枠が少ないか存在しないため、減税の効果を十分に受けられないことがあります。また、13年以内に新しいマイホームを手放す可能性もあるでしょう。

一方、3,000万円の特別控除は譲渡益があれば一度に大きな減税効果を受けることができます。ケースバイケースではありますが、3,000万円の特別控除を選択した方が確実に減税効果を受けることができる場合も多いものです。

まとめ

3,000万円の特別控除には大きな減税効果がありますが、適用を受けるためにはさまざまな条件を満たさなければなりません。また「10年超所有軽減税率の特例」以外の他の特例とは基本的に併用することができません。特例の内容や適用条件を正しく理解し、最もメリットの大きい特例の適用を受けるようにしましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

私のマンション、いくらで売れるの?
かんたん45秒のスピード売却査定

私のマンション、いくらで売れるの? 無料売却査定
無料売却査定をする
facebook twitter