登記簿謄本・登記事項証明書の交付申請書の書き方と記入例
登記簿謄本・登記事項証明書の交付をしてもらいたいと思ったときに記入が必要な交付申請書の書き方を解説します。
CONTENTS目次
法務局で登記簿謄本を取得する際の交付申請書の書き方を解説します。
交付申請書に正しく記入しないと取得したい不動産の登記簿謄本を取得できなかったり、異なる不動産の登記簿謄本を取得してしまって手数料が無駄になることもあるので、書き方をしっかり理解しておきましょう。
登記簿謄本・登記事項証明書の説明、見方については以下の記事で詳しく説明しています。
参考:登記簿謄本・登記事項証明書とは〜取得・閲覧方法、見方までを解説
参考:登記簿謄本・登記事項証明書の閲覧・取得方法(現地&オンライン取得)
参考:登記簿謄本・登記事項証明書の見方
まず交付申請書の取得
交付申請書は法務局に備え置いてあります。法務局へ行って窓口で直接取得申請する場合は、交付申請書を準備する必要はありません。
郵送で交付申請する場合は、法務局のホームページからダウンロードするのが便利です。
交付申請書の必要項目の記入例
では、法務局のホームページに掲載されている記入例を見ながら具体的な書き方を解説していきます。
住所・氏名
申請する人の住所と氏名を記入します。
不動産の種類
登記簿謄本を取得したい不動産の種類を選択します。土地か建物のどちらかにチェックを入れてください。
土地と建物は別々に登記簿が作られています。土地とその上の建物の登記簿謄本をセットで取得したい場合も、土地と建物を分けて記入する必要があります。
不動産の所在
取得したい不動産の所在を正確に記入してください。「郡・市・区」「町・村」「丁目・大字・字」「地番・家屋番号」に分けて記入するようになっています。
注意が必要なのは、地番・家屋番号は住民票上の住所と同じこともありますが、異なっている場合が多いことです。住民票上の住居表示番号と法務局が付けている地番・家屋番号は別です。
法務局が付けている地番・家屋番号を事前に調べて正確に記入しないと、正しく登記簿謄本を取得できないことがあります。
請求通数
同じ登記簿謄本が何通必要なのかを記入する欄です。土地と家の登記簿謄本がワンセット必要なら、土地1通と建物1通の合計2通となります。
共同担保目録の有無
共同担保目録が必要な場合はこの欄に記入することが必要です。ここに記入しないと共同担保目録は付いてこないので注意してください。
必要な登記事項証明書の種類を選ぶ
全部事項証明書が必要なら「登記事項証明書・謄本(土地・建物)」にチェックを入れましょう。
収入印紙
登記簿謄本1通につき600円分の収入印紙が必要です。必要な金額分の収入印紙を収入印紙欄に貼りましょう。割印は押さないでください。
収入印紙は法務局で購入できるので、直接法務局へ行って取得する場合は事前に購入しておく必要はありません。郵送で取り寄せる場合は郵便局などで収入印紙を購入して申請書に貼ってから郵送しましょう。
地番・家屋番号・所有者の調べ方
土地の登記簿謄本を取得する際には地番、建物の登記簿謄本を取得する際には家屋番号または所有者を正確に申請書に記入しなければなりません。
しかし、地番・家屋番号は住居表示番号とは異なる場合が多いです。同じである場合もありますが、同じであるか異なっているのか自体、普通はわからないでしょう。そこで、地番・家屋番号の調べ方を解説します。
固定資産税の課税明細書から調べる
毎年6月頃に、各不動産の所有者宛に固定資産税の納税通知書が送付されます。納税通知書には課税明細書が付いていて、その中に不動産の所在が地番・家屋番号まで正確に記載されています。
固定資産税の課税明細書以外にも、権利証や売買契約書、重要事項説明書などにも地番・家屋番号が記載されています。自分や家族が所有する不動産の登記簿謄本を取得する場合は、まずはこれらの書類を確認しましょう。
法務局へ電話して調べる
法務局へ電話して「住所から地番(または家屋番号)を教えてほしい」と伝えれば、すぐに教えてもらえます。本人確認は必要ありませんし、こちらの氏名や連絡先も聞かれません。
なお、この方法で調べるためにはどこの法務局に電話をしてもいいというわけではなく、登記簿謄本を取得したい不動産の所在地を管轄する法務局に電話をしなければならないので注意してください。
法務局へ行き調べる
法務局にはブルーマップという地図を備え付けているところもあります。ブルーマップとは住宅地図に地番も記載したもので、これを見ることで住所から地番を調べることができます。
ただし、ブルーマップは都市部のみしか発行されていないので、利用できない場合もあります。ブルーマップを利用できない場合は公図で地番を探すことになります。
このようにして自分で調べることもできますが、それよりは管轄の法務局を調べて電話して聞く方が早いでしょう。
登記簿謄本・登記事項証明書の見方
登記簿謄本を取得できても、そこに書かれている情報の意味が理解できなければ困ってしまいます。そこで、ここでは登記簿謄本の見方を解説していきます。
登記簿謄本は、上から順に表題部・権利部(甲区)・権利部(乙区)・共同担保目録という4つのパートから成り立っています。
表題部
表題部には、その物件がどこにあるのか、広さはどうか、誰が所有しているのか(現所有者)といったことが書かれています。
土地と建物で構成が違うので、分けてご説明します。
土地
「所在」と「地番」は分けて表示されますが、この2つの記載を合わせたものが正確な所在地になります。この見本の土地の所在地は「特別区南都町一丁目101番」となります。
「地目」の欄には、宅地・田・畑・山林・公衆用道路・雑種地といった土地の用途が記載されます。
ただし、登記簿謄本の地目の記載と現在の土地の使用状況が異なっていることも多いので、注意が必要です。土地を購入するときなどは登記簿謄本の記載だけを鵜呑みにせず、現地確認などもしっかり行う必要があります。
「地積」の欄にはその土地の面積が記載されますが、この数字が必ずしも正しいとは限りません。この点についても売買などの取引をする際には注意が必要です。
「原因及びその日付[登記の日付]」の欄には、その土地が表示登記された原因と日付が記載されます。表示登記とは、その土地の特定を目的として表題部の登記をすることです。
「所有者」の欄には、その土地が表示登記された時点での所有者の住所と氏名が記載されます。表題部の所有者の欄は不動産の特定を目的として記載されるものなので、ここに所有者と記載されていても第三者に対する対抗力はありません。
見本では所有者の欄に甲野太郎さんの住所と氏名が記載されていますが、その下に下線が引かれています。登記簿謄本には下線がよく登場しますが、下線が引かれた部分は、その内容が変更されたり消滅したりしたことを意味しています。
建物
建物の登記簿謄本の表題部では「所在」の欄に番地まで記載されます。これによって敷地を特定しています。番地とは別に「家屋番号」の記載もあり、これによって建物を特定しています。
「種類」の欄には、居宅・店舗・共同住宅・事務所・倉庫・車庫といった建物の用途が記載されます。
「構造」の欄には、その建物の建築材料、屋根の種類、何階建てなのかという3点を記載することで構造を特定しています。見本では木造で屋根は瓦ぶき、2階建ての住居だということが特定されています。
「床面積」の欄には、各階ごとに計測された面積が記載されます。
見本ではさらに、附属建物として物置の表示が記載されています。1つの建物について1つの登記簿が作られるのが原則ですが、物置や車庫などのように主たる建物と一体となって使用される建物の場合は、この見本のように附属建物として表示されます。
なお、建物の登記簿謄本に記載されている種類・構造・床面積は、土地の地目・地積と同じように、現況と異なる場合も多いので、売買などの取り引きをする際には注意が必要です。
権利部(甲区)
権利部(甲区)には、所有権に関する内容が記載されます。最初の所有者から現在の所有者まで、いつ、どのような原因で所有権が移転したのかがわかるようになっています。
見本では、まず平成20年10月15日に甲野太郎さんがこの不動産の最初の所有者として保存登記をし、その後、平成20年10月27日に「売買」によって所有者が法務五郎さんに変わったことがわかります。
所有権移転の原因としては、売買の他にも相続や贈与などがあります。
競売や差押え、仮登記、買戻特約なども権利部(甲区)に記載されます。そういった記載によって、その不動産が過去に競売されたことがわかったり、現に担保に入っていることがわかったりすることがあります。
そのような場合は、次の権利部(乙区)の記載をじっくり確認しなければなりません。
権利部(乙区)
権利部(乙区)には、所有権以外の権利に関する内容が記載されています。特に注意が必要なのは、抵当権や根抵当権などの担保権に関する記載です。
見本では、平成20年11月4日に法務五郎さんが株式会社南北銀行から4,000万円を借りて、同月12日にその担保としてこの不動産が抵当に入ったことがわかります。
この負債は、法務五郎さんがこの不動産を買うために組んだ住宅ローンかもしれませんが、登記簿謄本を見るだけでは断言できません。また、この負債が現在いくら残っているのかも不明です。
もしこの不動産を買おうとするのであれば、この負債の状況を十分に調査した上で必要な対策を取っておかないと、後で抵当権を実行されてせっかく買った不動産から立ち退かされることにもなりかねません。
共同担保目録は同じ抵当権等がついている他の物件の表示
乙区に表示されている抵当権等について、この物件以外にも共同で担保されている物件があれば、共同担保目録に記載されます。
これから購入しようと思っている不動産の登記簿謄本を見て、乙区と共同担保目録に記載があれば、要注意です。
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