中古マンションを購入する前に「給排水管」を徹底チェック!
中古マンションの水回りをチェックするときは、「目に見える設備重視」になりがちです。しかし、重視すべきは給排水管になります。給排水管とは、上下水道を供給するための管のことです。これが傷んでいれば、「床をはがして新しい配管に取り替える」といった大がかりな工事を行う必要があります。
給排水管が原因で漏水が発生、賠償になることも
給排水管の交換が発生すると高額の工事負担も考えられます。例えば、キッチンをリフォームする際、キッチンそのものを交換する費用よりも、配管工事代の方が高いケースもあるのです。想定外の費用を発生させないために、「配管工事が必要かそうでないか」を見極めたうえで中古マンションを購入しましょう。もしメンテナンスが必要なら、それを折り込んだ費用計画をつくる必要があります。
特に給排水管のメンテナンスを警戒しないといけないのは築古マンションです。1997年以前のマンションでは「亜鉛メッキの鋼管」が使われることが大半でした。これは古くなるとサビやすく、赤水といわれるにごった水が出る原因になります。亜鉛メッキ鋼管を使っていない場合でも、一般的に築15年以上のマンションは、配管のメンテナンスが必要なことが多い傾向です。
それを怠ると、蛇口をひねったときにサビの混じった水が出てくる「赤水」と呼ばれる状態になってしまいます。真っ赤な水が出るときは末期症状です。その前段階では、一見、普通の透明な水に見えてもサビが混じっていることもあります。そうなると、気づかないうちに、不要な鉄分をカラダに摂取したり、汚れた水で顔や体を洗っていたりすることになりかねません。
それを放置すると、漏水や配管が割れる原因にもなるでしょう。最悪なケースでは、階下が水浸しになり、賠償責任が発生する可能性もあります。
各戸の持ち主が費用負担するのは専有部分の給排水管
給排水管をしっかりチェックするためにまず「マンションの給排水管は2種類ある」ことを覚えましょう。
- 共用部分の給排水管
- 専有部分(自分が所有する部屋)の給排水管
部屋の近くまで共用部分の給排水管が通っています。そこから先の専有部分における給排水管のメンテナンスは、各戸の持ち主負担となります。サビてしまった配管のメンテナンスには、いくつかの方法があります。代表的なのは、配管の内側に樹脂コーティングを施すものです。また、サビにくい「塩ビライニング鋼管」に丸々交換するのも手です。
さらに、最近はビニール製の柔らかい管を利用した「サヤ管ヘッダー工法」などもあります。どれが最善策かは、メンテナンスを行う水道工事会社と相談しましょう。
給排水管の具体的なチェック方法は?
工事にあたっての注意点としては、「床下構造」を必ず確認しましょう。最近のマンションであれば自室の二重床内を配管が通っているため、比較的メンテナンスがしやすい傾向です。一般的に築20年以上のマンションはメンテナンスがしにくい構造のことが多いでしょう。築古マンションだと床下のコンクリートに配管が埋まっていることも多く、容易に工事ができません。
また、真下の部屋の天井裏を配管が通っていることもあります。このような状態だと工事が大がかりになり、真下の部屋に住む住人の協力なしに進めることは不可能です。なお、床下構造の確認は、設計図書(せっけいとしょ)で確認できます。不動産会社に確認してみましょう。
最後に、給排水管の具体的なチェック方法ですが、直接見ることができないため、不動産会社を通して前の所有者や管理組合から、自室の配管の工事履歴を聞くしかありません。しかし、所有者が変わっていると、確認できないことも考えられます。その場合は、自己判断で実施するしかありません。水道工事会社などの専門業者に相談のうえ、メンテナンスの可否を判断しましょう。
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