「キタ」でも「ミナミ」でもない!? 新駅や大学新設など話題豊富な大阪の「ヒガシ」が注目される理由|まちの住みやすさ発見
見知らぬ土地に不動産を購入する際は、物件だけでなく周辺の環境を知っておきたいもの。現在の様子はもちろん、未来のまちを事前に把握できると、購入物件の将来の資産価値も予想しやすくなります。たとえば、商業施設やホテルが増えると雇用が創出され、賃貸需要が高まるといったケースも。「まちの住みやすさ発見!」では、さまざまな角度からまちのよさに迫ります。
今回は、大阪市中央区の東部に広がる「ヒガシ」エリア。谷町四丁目駅から谷町六丁目駅、森ノ宮駅、玉造駅周辺をご紹介します。
大阪「ヒガシ」エリアとは
「キタ」「ミナミ」の南北軸を中心に発展してきた大阪。近年、東西軸での広がりが構想される中、注目を集めるのが「ヒガシ」エリアです。上町台地の高台に位置し、大阪城公園という都心では貴重な緑地に隣接します。歴史や自然を感じる環境に加え、谷町筋沿いや玉造・森ノ宮にかけては商店街や個性あるショップが並び、日常の買い物から散策まで楽しめます。さらに2025年には大阪公立大学森之宮キャンパスが開設し、新駅整備とあわせて新たなにぎわいの創出も期待されています。交通利便性の高さも相まって、都市の暮らしやすさと未来への可能性が調和するエリアです。
今回のエリア周辺には、複数の鉄道路線が走ります。南北にOsaka Metro谷町線、東西にOsaka Metro中央線、大阪都心周辺を一周する大阪環状線、また、日本初のリニアモータ駆動地下鉄「リニアメトロ」が走る長堀鶴見緑地線も、概ね東西に走っています。
「ヒガシ」エリア周辺の開発情報
「空飛ぶクルマ」も発着する「森之宮新駅」
大阪城東部地区で進められている「1.5期開発事業」は、2028年完成を目指す大規模プロジェクトです。Osaka Metro中央線の延伸により新設される「森之宮新駅」を中心に、駅前広場や駅ビルを一体的に整備。さらに、約1万人収容の大規模アリーナも計画され、コンサートやスポーツイベントの開催地として期待が高まっています。駅ビル内には商業・交流機能のほか、次世代モビリティの拠点となる「空飛ぶクルマ」の発着場(Vポート)も設けられる計画です。
現在は未来モビリティ体験型テーマパーク「MOBILITY TOWN」が営業中で、自動運転バスの実証実験や、EVカートサーキットなどを楽しめます。鉄道・地上交通・空を結ぶ新たなハブとして、都市の利便性を高めるとともに、観光・ビジネス両面で注目を集める未来志向の街づくりが進められる予定です。
大阪公立大学キャンパスの開設
2025年9月24日に開設された「大阪公立大学森之宮キャンパス」は地上13階建て、高さ約60メートルの大きな施設です。大阪公立大学(OMU)では、学びと挑戦が交差する産学官民共創の司令塔となる「知の森」をコンセプトに、教室・研究室・図書館・アリーナなどを集約し、1年次全学生を含む多様な学部生が学ぶ場となります。柱や壁面には木質調デザインを取り入れ、緑化空間や交流ラウンジを各階に配置することで、森の中で学び合うような環境を実現しています。将来的には「森之宮新駅」へのデッキが整備される計画が想定されています。
森ノ宮駅のグランドリニューアル
Osaka Metroの森ノ宮駅は、地下空間の大規模改革の一環として2025年3月にグランドリニューアルを完了しました。リニューアルは大阪城公園に近い立地を生かした「フォレスト」をコンセプトに、柱や天井に木の枝を思わせる意匠を採用。西改札内にはOsaka Metroの歴史を伝えるギャラリースペースも設けられ、来訪者を迎えます。
駅構内では案内サインやエレベーター・エスカレーター、照明などの更新が行われ、多客時対応や安全性強化も図られています。隣接するJR大阪環状線のJR森ノ宮駅とは徒歩数分で連絡し、案内表示の整備により乗り換え利便性も向上。通勤だけでなく観光でも立ち寄りたくなる“訪れたい駅”へと生まれ変わりました。
「ヒガシ」エリアの基本情報
大阪24区内最大の人口増加
今回の取り扱い駅を主にカバーする、大阪市中央区の2024年の人口は約12万人で、前年から約3,000人、2.8%の増加となっています。増加人数、増加率共に、大阪市行政区内で最大の数値です。
中央区は、総人口のうち0歳~64歳が占める割合が85.6%と、大阪市全体の75.1%よりも高く、また、1世帯当たりの人員が1.51人で、若年層や単身世帯も多く居住していると考えられます。
通勤エリアの企業
大阪ヒガシエリアは、大阪経済の中心地とされる本町・淀屋橋・北浜へもアクセスがしやすく、関西を代表する大手企業への通勤拠点としても最適な立地です。
| 企業名 | 従業員数 |
|---|---|
| 伊藤忠商事株式会社 | 113,733人(連結、2024年3月31日現在) |
| 関西電力株式会社 | 31,428名人(連結、2025年3月31日現在) |
| 大阪ガス株式会社 | 21,404人(連結、2025年3月末現在) |
| ダイキン工業株式会社 | 103,544人(連結、2025年3月31日現在) |
総合商社、金融機関、エネルギー・インフラ企業などの立地、また、谷町四丁目駅周辺は大阪府庁や大阪府警察本部などの行政機関が集積する官庁街でもあります。
現在のまちの様子(2025年9月時点)
谷町四丁目駅
谷町四丁目駅周辺は大阪府庁や大阪府警本部、オフィス、宿泊施設、そして飲食店が並ぶ大阪のビジネス拠点のひとつ。駅の周辺にもビル群が並んでいます。谷町四丁目駅から東に向かい、大阪歴史博物館を越えると視界が開ける場所が「難波宮跡公園」北部ブロックです。1400年前に都が設けられていた場所、難波宮跡地に2025年3月誕生したのが商業施設「なノにわ」。カフェ、ベーカリー、納豆料理、多国籍料理、回転寿司、ワインレストラン、クラフトビールなど全13店舗が営業を開始し、海外からの観光客などでにぎわっています。難波宮南部ブロックは広大な公園として残され市民の憩いの場となっています。また、「難波宮跡公園」の東側にはラグジュアリークラスのホテル「パティーナ大阪」が2025年5月に開業。大阪城を一望する絶好のロケーションが注目されています。
谷町六丁目駅
南北の谷町筋と、東西の長堀通りが交差するのが谷町六丁目交差点。周辺はオフィスビルやマンションが並んでいるエリアで、現在、交差点北東の角地では三井住友銀行の店舗兼社員寮の建設工事が進められています。
交差点から谷町筋を南に進むと見えてくるのが「空堀商店街」です。昭和20年から続くレトロ感あふれる東西約800mの商店街では、鮮魚店、青果店、こんぶ店などの伝統的なお店が並ぶほか、かわいい雑貨ショップやレトロカフェなども並び、地元住民の生活の場となっています。
周辺には古くからの木造建築も残る一方、マンションへと姿を変える場所もあります。「阪急オアシス」といった大型スーパーも進出し、生活利便性が高く、都市生活を満喫できるエリアでもあります。
森ノ宮駅
森ノ宮駅は大阪城公園の最寄り駅でもあり、交差点北西側の地下鉄出口をあがるとすぐに公園のゲートとなり、天守閣まで見渡せます。一方、交差点の南西側には大型商業施設「もりのみやキューズモールBASE」があり、ショッピングやレジャーに訪れる人々でにぎわっています。2階の「まちライブラリー」は、オススメ本を持ち寄って、みんなで育てるライブラリー。読書会、ワークショップなどのイベントも開催されています。屋上の「エアトラック」は景色を見おろしながらランニングができる施設です。隣接する「森ノ宮ピロティホール」は、森の宮遺跡の上に位置しており、遺構や遺物を保存するためピロティ方式(高床式)を採用した珍しい劇場です。さまざまな演劇やステージが披露されています。
玉造駅
JR玉造駅は駅周辺に商店街や飲食店が並ぶ、活気ある街です。駅の西側にすぐの場所には玉造日之出通北商店街など、歴史あるアーケード商店街が連なっています。また、商店街を歩いていると現れる小径を入ると、特色ある飲食店がならび、ちょっとした探険気分が味わえる街でもあります。
駅の東側に少し歩くと、大河ドラマでも有名になった真田丸とゆかりあるエリアになります。三光神社には真田幸村像が建てられ、大阪城へと続く秘密の地下道跡とされる場所もあります。三光神社の隣は旧陸軍墓地があり、国のために戦い命を落とした英霊の墓石が約6,000基ならび、8月15日には蠟燭の火を灯して供養する「万灯会」も行われています。真田山周辺は住環境や教育環境も良く、人気の高い住宅エリアとなっています。
新たな都市軸「ヒガシ」への期待
「キタ」「ミナミ」と並ぶ新たな都市軸として注目される「ヒガシ」エリア。大阪城公園の緑や歴史的資源に囲まれた落ち着いた環境と、再開発や大学キャンパスの誕生による未来のにぎわいが交差し、暮らしや観光の両面で魅力を高めています。新たな発展に期待が高まるエリアです。
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