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お金と制度
2022.07.30

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説

相続放棄する場合、相続放棄申述書と必要書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。必要書類には、住民票の除票や戸籍謄本などがあり、準備するまでには時間や手間がかかります。相続放棄の流れや必要書類の取得方法を確認しましょう。

相続放棄で必要となる書類

相続放棄で必要となる書類

相続放棄とは相続を自ら放棄し、被相続人(亡くなった人)の一切の財産を引き継がないことです。相続放棄は、家庭裁判所に相続放棄申述書と必要書類を提出して初めて認められるもので、親族に「遺産は要らない」と述べるだけでは不十分です。

必要書類一覧

相続放棄する際は、家庭裁判所に対して「相続放棄の申述」を行います。申述者(放棄する人)は、申述期限までに必要書類を準備し、「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」に提出をしなければなりません。

申述人が「被相続人の子」である場合、以下の書類を準備します

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 被相続人の死亡について記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

相続放棄に共同相続人の同意は必要なく、通知の義務もありません。ただし、相続第1順位である子が放棄をした場合、第2順位の直系尊属(父母・祖父母)や第3順位の兄弟姉妹が相続権を持つことになるため、放棄した旨をすべての相続人に知らせましょう。電話よりも書面で通知するのが望ましいといえます。

相続放棄の条件や期限を確認して手続きを

相続放棄の申述は、「自分に相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」に行うのが原則です。この期間は「熟慮期間」とよばれます。

例えば、被相続人が6月1日に亡くなり、同時に自分が相続人であることを知った場合、3カ月後の9月1日(午前0時)が熟慮期間の期限です。

被相続人とほとんど交流がなく、死亡の半年後に相続を知ったケースでは、そこから3カ月以内に手続きを済ませれば相続放棄は可能です。期限が過ぎると申述書は受理されないため、相続放棄の意思が固まった時点で速やかに手続きを進めましょう。

以下のようなケースでは、単純承認(すべての財産を無条件に引き継ぐ)が成立するため、相続放棄は認められません。

  • 財産の一部または全部を処分した場合
  • 財産に手をつけた場合
  • 財産を隠蔽した場合

相続放棄申述書とは

相続放棄申述書とは

手続きで最も重要な書類といえるのが、「相続放棄申述書」です。必要書類がそろっても、本人(相続放棄したい人)の申述書がなければ相続の放棄は認められません。相続放棄申述書は、どこでどのように入手すればよいのでしょうか?

裁判所に相続放棄を認めてもらうための書類

相続放棄申述書は、家庭裁判所に相続放棄を受理してもらうために必要な書類です。申述人(相続放棄したい人)と被相続人の情報や申述の趣旨などを明記したうえで記名(署名)・押印し、その他の必要書類と一緒に提出します。

提出後は家庭裁判所で審査が行われ、「放棄に問題がない」とされた場合に相続放棄が成立します。申述書や必要書類に不備や誤りがあると、訂正や追加提出を求められるため、時間に余裕を持って作成しましょう。

相続放棄申述書は家庭裁判所の窓口で入手できますが、裁判所のウェブサイトからダウンロードも可能です。

収入印紙を貼り、予納郵券を添える

申述書には「収入印紙(申述人1人につき800円分)」を貼付し、「予納郵券(郵便切手)」を添付します。

収入印紙とは、税金や各種手数料を徴収する目的で国が発行している証票です。郵便局やコンビニで800円分の収入印紙を購入後、申述書の貼り付け欄に貼付します。

予納郵券とは、家庭裁判所との連絡用に使用される郵便切手のことで、「相続放棄申述受理通知書」や「照会書(回答書)」を郵送するために使用されます。金額の詳細は申述先の家庭裁判所に確認しましょう。

予納郵券の送り方に決まりはありませんが、小さな袋に入れたうえで、申述書の上部にクリップで留めておくと紛失が防げます。使用されなかった切手は、相続放棄申述受理通知書と一緒に返却されるのが通常です。

相続放棄申述書に記載する内容

相続放棄申述書に記載する内容

相続放棄申述書には書式があり、記載すべき内容もあらかじめ決まっています。細かいルールがあるため、家庭裁判所のウェブサイトにある「記入例」には必ず目を通しておきましょう。

申述人の氏名や相続に関する情報

相続放棄申述書の書式を入手したら、まずは申述人の氏名や相続に関する情報を記入します。

  • 申述書を提出する裁判所名
  • 申述人の情報
  • 法定代理人の情報(申述人が未成年の場合など)
  • 被相続人の情報
  • 相続の開始を知った日

申述書を提出する家庭裁判所は申述人の居住エリアにある家庭裁判所ではなく、「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。

被相続人の情報欄には、本籍・最後の住所・死亡年月日などを記載しなければならないため、事前に確認しておきましょう。

「相続の開始を知った日」は、複数の項目から当てはまるものを選ぶ選択式です。自分が相続人であることを知った日は、必ずしも被相続人の死亡当日であるとは限りません。

放棄の理由

「放棄の理由」は、相続放棄をする理由を1~6の選択肢から選びます。選択肢は、以下の通りです。

  1.  被相続人から生前に贈与を受けている
  2.  生活が安定している
  3.  遺産が少ない
  4.  遺産を分散させたくない
  5.  債務超過のため
  6.  その他

実際のところ、選んだ理由によって審査結果が大きく変わることはないようです。裁判所が公開する司法統計(2020年度)によると、既済事件の総数 23万3,325件に対し、却下件数は426件でした。

却下率は0.18%と低く、明らかな却下理由がない限りは受理されることがわかります。

参考:家事令和2年度 3 家事審判事件の受理・既済・未済手続別事件別件数 全家庭裁判所|裁判所 - Courts in Japan

相続財産の概略

「相続財産の概略」の欄には、「被相続人の全財産」を記載します。相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産と、債務や借金などのマイナスの財産があります。自分が引き継ぐ予定の財産だけでなく、全財産を記載しましょう。

詳細がわからないときは、現時点で把握しているものだけで構いません。遺産の調査前で見当がつかない場合は、空欄で提出しても問題はないでしょう。空欄で提出したからといって、家庭裁判所に調査や再提出を求められることはないようです。

被相続人の住民票の除票とは

被相続人の住民票の除票とは

相続放棄の必要書類の一つに「被相続人の住民票の除票」があります。「除票」という言葉を初めて耳にする人もいるのではないでしょうか? 住民票の除票の取得方法や注意点を解説します。

住民登録が抹消された住民票

親族や同居人が死亡した場合、役所(市役所・区役所・町役場など)に死亡届を提出するのがルールです。死亡届を提出すると、自動的に住民登録の抹消が行われます。

「住民票の除票(写し)」とは、転出や死亡などで住民登録が抹消された住民票のことで、相続放棄の手続きでは「被相続人が死亡したこと」や「住民登録をしていたこと」などを証明するために提出します。

自治体によっても異なりますが、住所地で死亡届が受理された場合は、約1週間で取得が可能となるでしょう。届け出の処理状況によっては、すぐに取得できるケースもあります。

最後の住所地を管轄する役所で取得

被相続人の住民票の除票は、「被相続人が最後に住んでいた住所地」を管轄する役所に請求をします。

請求ができるのは、被相続人と利害関係がある人で、かつ自己の権利行使や義務履行のために住民票の除票が必要な人に限られる点に注意しましょう。請求に当たり、以下のような書類が必要です。

  • 住民票の写しの申請書
  • 被相続人と取得者の関係性が証明できるもの
  • 請求者の本人確認書類

請求方法は「窓口」または「郵送」の2パターンがあります。「住民票の写しの申請書」は窓口のほか、各自治体のウェブサイトからもダウンロードが可能です。郵送請求の詳細については、窓口に問い合わせましょう。

他の相続人がすでに提出していれば省略可能

自分以外にも相続放棄をする人が存在し、住民票の除票がすでに家庭裁判所に提出されている場合には、重複して取得・提出する必要はありません。

例えば、兄と妹の両方が相続放棄をする場合、兄が先に住民票の除票を提出していれば、妹は提出が不要です。

住民票の除票の取得には、1通300円の手数料がかかります。親族内に相続放棄をする人が複数人いる場合は、前もって相談しておくと、準備にかかる手間やコストを省けるでしょう。

戸籍謄本による関係の証明も必要

戸籍謄本による関係の証明も必要

相続放棄の手続きでは、「戸籍謄本」が必要です。戸籍謄本とは、戸籍に記録されている全員の内容を証明するもので、「戸籍全部事項証明書」ともよばれています。

親子間における相続放棄の場合

相続放棄の手続きでは「相続人と被相続人の関係性を証明する目的」で、戸籍謄本を提出します。申述人が「被相続人の子」であれば、用意する戸籍謄本は以下の2つです。

  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
  • 申述人(子)の戸籍謄本

「被相続人の死亡が記載された戸籍謄本」に、申述人の名前が記載されている場合は、「申述人(子)の戸籍謄本」を取得する必要はありません。

配偶者以外の相続人には「相続の順位」があります。被相続人の子が第1順位、父母・祖父母が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となり、上位順位がいない場合に下位順位に相続権が移行するルールです。

被相続人の父母・祖父母・兄弟姉妹が申述する場合は、上の順位の相続人がいないことを証明しなければなりません。例えば、被相続人の子が他界しており父母に相続権が移る場合、被相続人と他界した子の出生時から死亡時までの戸籍謄本が必要です。

誰が申述人になるかによって、取得すべき戸籍謄本の数や範囲が異なる点に注意しましょう。

役所やコンビニなどで取得

戸籍謄本は、本籍地の役場(市役所・区役所・町役場など)で取得できます。本籍地と居住地が離れている際は、郵送による取得も可能です。

被相続人の本籍地がわからない場合は、「住民票の除票」を確認しましょう。最後の住所地のほかに、前住所や本籍地も記載されています。

なお、エリアによっては「コンビニ交付」が活用できます。市区町村が発行する各種証明書を全国のキオスク端末(マルチコピー機など)で取得できるサービスで、利用には「マイナンバーカード」が必要です。

現住所と本籍地が異なる場合、キオスク端末またはICカードリーダーを装備したパソコンで事前申請を行います。申し込みから取得までは5日ほどかかるため、余裕を持って申し込みをしましょう。

参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】 | 本籍地の戸籍証明書取得方法

申述後に必要な書類

申述後に必要な書類

相続放棄は、相続放棄申述書を提出すれば終わりではありません。相続放棄の照会書が届いた場合は回答をし、相続放棄申述受理通知書を受け取って初めて相続放棄が成立します。

相続放棄の照会書が届いた場合

相続放棄申述書と必要書類を提出すると、約1~2週間後に「相続放棄の照会書(回答書)」が送付されるケースがあります。内容は、相続放棄する意思や被相続人の死亡を知った日、相続放棄の理由の確認など、基本的な事項が中心です。

事実の通りに回答をし、家庭裁判所に返送しましょう。内容が長くなりそうな場合は、別紙を添付することも可能です。不備や誤りがないように記入し、速やかに返送しましょう。

内容に問題がなければ、数週間後に「相続放棄申述受理通知書」が郵送され、相続放棄の手続きは完了です。

債権者から証明書を求められた場合

相続放棄を行うのは、被相続人に借金や債務があったケースが大半です。相続放棄が受理されると、被相続人の一切の財産を放棄したことになり、仮に借金があっても支払いの義務は生じません。

ただ、債権者には相続放棄をした事実が通知されないため、自分宛に督促状が届くケースがあります。債権者に相続放棄の事実を証明するよう求められた際は、「相続放棄申述受理通知書のコピー」を送付しましょう。

相続放棄申述受理通知書の再発行はできません。原本を渡したり、紛失したりしないように注意が必要です。

書類の取得や手続きは専門家に依頼できる

書類の取得や手続きは専門家に依頼できる

相続放棄の手続きは、3カ月間の熟慮期間内に完了させなければなりません。3カ月は長いように思えますが、書類の収集や手続きであっという間に時間は過ぎてしまいます。手続きを円滑に進めるためにも、専門家への依頼を検討しましょう。

司法書士に書類の収集や作成を依頼できる

相続放棄の手続きは、司法書士や弁護士に依頼が可能です。特に司法書士は、法律事務手続きのプロなので、必要書類の収集から申述書の書き方までを一貫してサポートしてくれます。素人にありがちな「書類の不備」や「記入ミス」がなく、手続きがスムーズに進むでしょう。

司法書士への依頼費用は、申述人1人につき3万~5万円が相場です。費用(報酬)には、戸籍収集や申述書作成、代理手数料など相続放棄のサポートが含まれます。

また、初回の相談は無料でも、2回目以降は相談料がかかる場合もあります。そもそも1回目は無料かどうか、2回目以降の相談料がいくらかかかるのかも、事前に確認しておきましょう。

弁護士は代理人としても頼れる

司法書士ができる業務は書類の作成のみにとどまりますが、弁護士には家事事件の代理権があるため、手続きのすべてを委任できます。

相続が決まった時点において、「相続放棄をすべきかどうか」で迷う場合は、最初に弁護士に相談することをおすすめします。もめ事が起こったときの代理人にもなってくれるため、初めて手続きをする人にとっては心強いでしょう。

弁護士費用の相場は、申述人1人につき5万~10万円です。以前は弁護士の費用の方が高めでしたが、近年、差がなくなってきています。

相続放棄は書類の不備に注意しよう

相続放棄は書類の不備に注意しよう

相続放棄の手続きで最も手間がかかるのが、書類の準備です。申請時に書類の不備や回答の誤りがあれば、修正したうえで再提出しなければならず、思った以上に時間がかかります。人によっては3カ月間がすぐに過ぎてしまうでしょう。

期限内に手続きを確実に完了させるために、スケジュールには余裕を持たせるのが望ましいといえます。司法書士や弁護士への依頼も検討しましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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