1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. お金と制度
  4. 登録免許税とは? 不動産購入や相続で発生する登録免許税を解説

作成日: 2022.04.21

登録免許税とは? 不動産購入や相続で発生する登録免許税を解説

登録免許税とは? 不動産購入や相続で発生する登録免許税を解説

登録免許税は税金の一種です。金額が大きければ支払えない可能性もあるので、納税額がどのくらいか事前に把握しておくことが大切です。では、登録免許税とは何なのかに加え、納付にあたり押さえておくべきポイントなどを紹介します。

登録免許税とは

登録免許税とは

不動産を購入して所有権移転登記を行う場合には、登録免許税という税金が課されます。しかし、どのようなケースで徴収される税金なのか、正しく理解できていない人も多いかもしれません。

まずは登録免許税がどのようなケースで課されるのか、詳しく見ていきましょう。

登録免許税とは登記や登録、特許などに課される税金

登録免許税とは、以下のような登記や登録、特許、免許、許可、認定、指定などを行う際に課される税金です。

  • 不動産
  • 船舶
  • 航空機
  • 会社
  • 資格(技能証明)

納税義務者は登記や登録などを受ける人で、納税地は納税義務者が行う登記などの事務を担当する登記官署等の所在地です。

登録免許税はいつ支払う?

登録免許税はいつ支払う?

登録免許税をいつ支払えばいいのか、またどのように支払えばいいかわからないという悩みもあるでしょう。登録免許税の納付時期と納付方法について解説します。

登録免許税の納付時期

登録免許税の納付時期は、どのような目的で登録免許税を納めるのかによって異なります。

例えば、相続の場合は期限が特に定められていませんが、抵当権を抹消する場合には、契約の相手方がいるので早めに手続きを進めなくてはなりません。登録免許税は原則的に現金で納付します。金融機関で登録免許税相当額を納付し、その領収書を登記申請書に添付して申請します。

しかし、納付額が3万円以下の場合は、収入印紙を登記申請書に貼付して提出することも可能です。

収入印紙は郵便局や法務局、コンビニなどで手に入りますが、コンビニは高額の収入印紙を扱っていないという点に注意しましょう。

登録免許税の支払いが必要なケース

登録免許税の支払いが必要なケース

登記を行うからといって、必ず登録免許税が課されるわけではありません。

また、登記の内容によって税率が異なるため、どのようなケースで登録免許税を納めなくてはならないのか、事前に調べておくことが重要です。

登録免許税の支払いが必要なケースとして、以下の3つが挙げられます。

  • 不動産の登記
  • 会社の商業登記
  • 個人の商業登記

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

不動産の登記

以下のような不動産の登記を行う際は登録免許税がかかります。

  • 土地の所有権の移転登記
  • 建物の登記

ほかにも、抵当権の登録や抹消にも登録免許税がかかります。

土地の所有権の移転登記

土地の売買や相続、贈与などによって所有権が移転したことを登記する際は、以下のような登録免許税を支払います。

内容 課税標準 税率 軽減税率
売買 不動産の価額 1,000分の20
 
令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15
相続、法人の合併または共有物の分割 不動産の価額 1,000分の4
その他(贈与、交換、収用、競売など) 不動産の価額 1,000分の20

相続により土地の所有権を取得した人が、相続による土地の所有権の移転登記を終える前に死亡した場合、2018年4月1日~2025年3月31日に死亡した人を所有権の登記名義人とするための登記については、登録免許税が課されません。

このような免税措置も用意されているので、内容を事前に確認しておきましょう。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

建物の登記

建物の所有権の保存、贈与などにより所有権が移転したことを登記する際は、以下のような登録免許税を支払います。

内容 課税標準 税率 軽減税率
所有権の保存 不動産の価額 1,000分の4 条件による
売買または競売による所有権の移転 不動産の価額 1,000分の20 条件による
相続または法人の合併による所有権の移転 不動産の価額 1,000分の4
その他の所有権の移転(贈与、交換、収用など) 不動産の価額 1,000分の20

不動産の価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合にはそれが用いられます。価格がない場合は、登記官が認定した価額が使用されます。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

住宅用家屋の軽減税率

床面積が50m2以上であること、新築もしくは取得後1年以内の登記であることといった一定の条件を満たせば、以下のような軽減措置の特例を受けられます。

項目 軽減税率
住宅用家屋の所有権の保存登記 1,000分の1.5
住宅用家屋の所有権の移転登記 1,000分の3
特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等 1,000分の1
認定低炭素住宅の所有権の保存登記等 1,000分の1
特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記 1,000分の1
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記 1,000分の1

原則として登記申請時に住宅が所在する市町村の証明書添付が必要となります。証明書をあとから提出しても軽減税率の適用は受けられないなど、要件が細かく設定されているので、利用できるかどうかよく確認しましょう。

参考:(3)住宅用家屋の軽減税率|No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

配偶者居住権の設定登記

配偶者居住権とは、配偶者の一方が亡くなった場合に、残された配偶者の居住権を保護する権利です。配偶者居住権の設定登記には、以下のような登録免許税を支払います。

内容 課税標準 税率
設定の登記 不動産の価額 1,000分の2

令和2年4月1日以降の相続から新たに認められた制度なので覚えておきましょう。

参考:(4)配偶者居住権の設定登記|No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

会社の商業登記

不動産の登記に限らず、会社の商業登記にも以下のような登録免許税が課されます。

項目 内容 課税標準 税率
株式会社等の設立の登記 株式会社 資本金の額 1,000分の7
合名会社または合資会社 申請件数 1件につき6万円
合同会社 資本金の額 1,000分の7
株式会社または合同会社の資本金増加の登記 増加した資本金の額 1,000分の7

一定の金額に満たない場合は登録免許税が一律になり、また合併や組織変更による登記なども登録免許税が課されます。会社の商業登記を行おうとしているのであれば、全体像を把握しておきましょう。

参考:会社の商業登記等|No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

個人の商業登記

個人で商業登記を行う場合にも、以下のような登録免許税が課されます。

項目 内容 課税標準 税率
商号の登記 商号の新設または取得による変更の登記 申請件数 1件につき3万円
支配人の登記 支配人の選任またはその代理権の消滅の登記 申請件数 1件につき3万円

ほかに未成年者などの営業登記、商号の廃止や更正、変更、消滅などの登記にも、登録免許税が課されます。

参考:個人の商業登記|No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

登録免許税で押さえておくべきポイント

登録免許税で押さえておくべきポイント

登録免許税の税額は、登記の内容によって基準となる課税標準や税率が異なります。そのため、登録免許税に対する理解を深めるには、以下の2つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 登録免許税の計算方法
  • 専門家に相談しながら手続きを進める

それぞれのポイントについて詳しく説明します。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算方法は「課税標準×税率」が基本です。

所有権の保存、移転登記固定資産税評価額、抵当権の設定は債権額などのように、手続きの内容によって計算に使用する課税標準は違います。まずは自分がどのような手続きを行おうとしているのか理解し、課税標準と税率をしっかり確認しましょう。

専門家に相談しながら手続きを進める

登記手続きは自分で行うことも可能です。しかし、手続きに何らかの不備があった場合には再度手続きしなくてはならず、手間と時間がかかります。

司法書士に依頼すれば、費用はかかりますが、確実かつ速やかに手続きを終えられます。特に不動産売却で相手方に迷惑をかけられないようなケースでは、専門家に相談しながら手続きを進めましょう。

手間と時間を考慮して早めの手続きを

手間と時間を考慮して早めの手続きを

登録免許税の税率は、高いものでも1,000分の20に設定されており、そこまで税率の高い税金ではないということがわかりました。そのため、税額そのものを気にする必要はほとんどないといえるでしょう。

しかし、登録免許税を伴う登記手続きには、手間と時間がかかります。特に相手方のいる不動産売買では、抵当権抹消の登記を速やかに行わなければ引き渡しに支障が生じます。

トラブルを未然に回避するためにも、専門家に相談しながら手続きを進めましょう。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

関連キーワード

この記事を書いた人

矢野翔一 宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を生かしながら、ライターとして活動しています。 【保有資格】宅地建物取引士・管理業務主任者・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP) 有限会社アローフィールド

Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE