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作成日: 2020.10.30

効果的に節税? ふるさと納税の仕組みや注意点とは

効果的に節税? ふるさと納税の仕組みや注意点とは

ふるさと納税といえば、「返礼品がもらえる」「節税できる」といった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。メリットも多い一方で、制度の仕組みを正しく理解せずにいると、想定とは違う結果となる可能性もあります。今回は、ふるさと納税のメリットを最大限生かせるように、仕組みや注意点を解説します。

ふるさと納税で住民税が控除される仕組み

ふるさと納税は、居住している自治体以外(生まれ故郷や応援している地域など)に納税することで、返礼品がもらえる。

このように理解している方は多いと思います。そしてその理解は間違っていません。ふるさと納税の成り立ちからも、生まれ育ったふるさとへの貢献をはじめ、現在住んでいなくても“応援したいまち”に税金を納めることはできないだろうか、とはじまった制度です。

【関連リンク】
【初心者向け】ふるさと納税とは? 仕組みや注意点を解説


税金には国税と地方税の2種類があります。地方自治体に納める税金は地方税にあたります。一方で給与など所得に対してかかる税金は国税です。「ふるさとに納税したい」ということは、地方税の支払先を変えたい、ということになります。

国は既存制度のさまざま制約などを考慮した結果、法律上の制度として、寄附金税制を活用することとしました。また地方税の問題として国税と切り離すのではなく、地方自治体と国が双方で役割をになうべきだとして、所得税と住民税のどちらをも対象とする制度となりました。

寄付すると住民税・所得税が安くなる? 

仕組み上は所得税と住民税が控除の対象になります。しかし実際に控除を受けるためには、自らふるさと納税をしたと申請する必要があります。申請の方法は2種類あって「確定申告」か「ワンストップ特例制度」という方法から選びます。

ふるさと納税で寄付をし確定申告をすると、自己負担額の2,000円を除いた寄付金の全額が、所得税および住民税から控除されます。

申告方法を確定申告でなくワンストップ特例を使う場合には、住民税のみから控除されることになります。

いずれの方法でも、もともと支払う税金を、ふるさと納税によって先に納める形、つまり先払いすることなります。所得税については、一度納めた税金から控除分が戻ってくる(還付)形、住民税については翌年支払う分の税金(の一部)を先払いする形となります。

ふるさと納税をしていないときに比べて納税金額は、個人として納める金額には変わりはありません。納め先の自治体が変わるのみです。返礼品が受け取れることが、ふるさと納税の最大のメリットといえます。

また、本来税金を納める必要のない人は、ふるさと納税をしても控除はありません。パートやアルバイトで103万円以下の収入だった場合にも、給与所得控除額の55万円と基礎控除額の48万円で所得税がかからない状態なので、控除がありません。

所得の高い人ほどたくさんふるさと納税ができる

税金をたくさん納める必要のある人、つまり所得の高い人ほど、住民税も高額納税となります。そのために、高額納税者ほど、たくさんふるさと納税制度を活用できることとなります。つまり、日本の税制で数少ない、高額納税者に有利な制度でもあるのです。

この制度をたくさん活用したとしても、税負担が高くなることはありません。もちろん限度額を超えてしまうと、ただ納税しただけとなってしまいますので、どこまでふるさと納税できるかは計算する必要があります。

ふるさと納税を利用するといくら控除される?

ふるさと納税は一年中いつでも行うことが可能です。1月1日から12月31日の1年間のうちに行った分が当年度の所得税から還付され、翌年度の住民税が控除の対象となります。

ふるさと納税を利用したとき、寄付をした合計金額から2,000円を差し引いた分が控除されます。ただし、寄附金控除には限度額があります。上限額を超える寄付を行っても、控除の対象にはなりません。ふるさと納税を利用する前に、自身の限度額を確認しておくことが重要です。

自分で限度額の計算をするのは大変です。ふるさと納税をテーマにしたポータルサイトに控除限度額のシミュレーションができるツールがありますので、そこでチェックしていただくのが簡単です。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」にも目安が書かれています。また計算式の入ったエクセルファイルもダウンロードできます。

例えば、年収600万円の夫婦(ひとりは専業主婦・夫)ならば、全額控除されるふるさと納税額は69,000円、年収600万円の独身ならば77,000円です。

家族構成や、家族の中でふるさと納税をしている人がいるかどうか、また生命保険や地震保険、医療費控除や住宅ローン控除などそのほかの控除があるかどうかによっても控除額が異なります。

控除の確認方法

実際に控除された金額は、毎年5月から6月ごろに配布される納税通知書、もしくは勤務先で引き落とされている場合は「特別徴収税額の決定通知書」で確認ができます。

通知書に「税額控除額(寄附金控除)」の欄があります。市町村民税と道府県民税(都民の場合は区市町村民税と都民税)それぞれにある税額控除額の欄を合計します。

ワンストップ特例を用いて申告した場合は、その合計金額が「寄付金額-2,000円」となっていれば、正しく控除されていることになります。

確定申告をした場合は、一度納めた所得税からの還付もあります。所得税の還付金額と住民税の控除額が「寄付金額-2,000円」となっていれば、正しく控除されていることになります。

通知書にふるさと納税での控除金額そのものが載っているわけではないので注意しましょう。

ワンストップ特例制度とは

通常、ふるさと納税で所得税の還付や住民税の控除を受けるには確定申告が必要です。ただし確定申告はサラリーマンにとっては普段する必要がないので面倒です。2015年4月1日の税制改革で新たに「ワンストップ特例制度」ができました。この制度が使える条件に当てはまっている場合は、確定申告を行わなくても済むようになりました。

ワンストップ特例制度を利用する条件

このワンストップ特例制度を利用するには条件があります。

  1. 給与所得者など、確定申告や住民税の申告が不要な場合
  2. ふるさと納税の寄付先が5自治体以内(年間)

ひとつでもこの条件に当てはまらない場合は確定申告を行う必要があります。例えば6カ所以上の自治体に寄付をしてしまうと確定申告をする必要が出てきます。

ワンストップ特例制度の利用方法

ふるさと納税をする際に、ワンストップ特例制度の申請書を入手します。総務省のサイトにもありますが、ふるさと納税のポータルサイトにワンストップ特例制度の利用の有無をチェックする項目があります。チェックしておくと、自治体から申請書が送られてきます。

申請書に必要事項を記入します。これ以外にも必要な書類があります。本人確認書類です。本人が確認できる書類の写しを申請書と共に提出します。

確認書類として使えるもの

  1. マイナンバーカード
  2. 通知カードもしくは住民票と、運転免許証もしくはパスポート
  3. 通知カードもしくは住民票と、提出先の自治体が認める公的書類(健康保険証や年金手帳など)を2点以上

寄付先の自治体に郵送すれば完了します。通常、ふるさと納税を行った翌年の1月10日必着が締め切りとなるため、忘れずに済ませるようにしましょう。忘れた場合は、確定申告で申告することになります。

上記の手続きは、ふるさと納税をするたびに行わなければなりません。同じ自治体に複数回寄付をした場合、その回数分の申請書と本人確認書類を送付する必要があります。一度にまとめることはできないので注意してくだい。

ワンストップ特例制度を利用する際の注意点

ワンストップ特例制度を利用する際にはいくつか注意しなければならないことがあります。

1. 確定申告するとワンストップ特例制度の申請は無効となる

医療費や住宅ローンの控除で確定申告を行った場合は、ワンストップ特例制度への申請が無効となります。住民ローン減税の初年度は、確定申告が必要なのでワンストップ特例制度は使えません。なお住宅ローン減税で2年目以降も確定申告を利用する場合、場合によっては住宅ローン減税とふるさと納税の恩恵を最大限に受けられないことがあります。両制度の仕組みをよくご確認ください。

【関連リンク】
住宅ローン控除の必要書類で悩まない! 入手方法までの解説

2. ワンストップ特例制度で控除対象になるのは住民税のみ

確定申告でふるさと納税を申告すると、控除は所得税と住民税が対象になります。ワンストップ特例制度で控除対象になるのは住民税のみです。
なお、ワンストップ特例制度を利用した場合でも、確定申告をした場合との控除額に差はありません。

まとめ

ふるさと納税の最大のメリットは、自己負担額の2,000円で、各地の特色ある豊かな返礼品を受け取れること。高額納税者ほど受け取れる返礼品は多くなります。利用すればするほど納める税金が安くなったり節税できたりするというお得な制度ではありません。また、ふるさと納税ができる金額に上限はありませんが、寄附金控除には限度額があります。自分の限度額が超えた分は、純粋な寄付になります。控除の限度額がいくらかは、しっかりと把握しておきましょう。

また、ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告が不要となります。制度が利用できる対象かどうかをあわせて確認しておくことをおすすめします。

仕組みを理解したうえで利用すれば、ふるさと納税はサポートしたい地域の税金の使い方を納税者自身が指定できるというメリットのある仕組みです。もちろん返礼品を楽しみに利用するというのもあります。上手に活用するようにしましょう。

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RENOSYマガジン編集部

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