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作成日: 2019.09.30

確定申告を税理士に任せた場合の費用感や手順、税理士選びのポイントを徹底解説

監修:
税理士法人 スバル合同会計
確定申告を税理士に任せた場合の費用感や手順、税理士選びのポイントを徹底解説

確定申告をする際、費用(金額)はどのくらいかかるのでしょうか。実は、どこまでを自分でやるか、税理士さんとの契約形態によって費用感が大きく異なります。 確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリットや、契約形態ごとの費用相場、そしていい税理士を選ぶポイントをまとめてみました。

確定申告で税理士に依頼した場合の報酬(費用)の相場

確定申告を税理士に依頼するとどのぐらいの報酬(費用)が必要なのかをみてみましょう。

全てを税理士に任せる場合と、必要最小限のことだけ依頼する場合とを比べて相場をご紹介します。

主な費用項目

まず、税理士に依頼するとどんなことに費用がかかるのかを確認しておきましょう。

以下の項目は全てを税理士に依頼することもできますが、自分でできることや必要ないもの削ることで税理士の費用を抑えることができます。

  • 申告の書の作成、および提出
  • 記帳の代行、またはチェック
  • 月ごとの試算表に基づく経営アドバイス
  • 税務相談
  • 節税対策のアドバイス
  • 税務調査の立会

これらの他にも、以下の要素によって税理士の報酬(費用)が変わってきます。

  • 申告の形態(個人事業主、サラリーマンの副業など)
  • 白色、青色のどちらで申告するか
  • 不動産所得など給与所得や事業所得以外の所得があるか
  • 住宅ローン減税を利用するかどうか
  • 消費税の確定申告を併せて依頼するかどうか

契約形態(1):顧問契約の場合の費用相場

税理士と顧問契約をすると、その顧問税理士に確定申告も依頼することができますが、毎月の顧問料の他に確定申告代行料がかかるのが通常です。

個人事業主が顧問契約した場合の顧問料と確定申告代行料の相場は、おおよそ以下のとおりです。

年間売上 顧問料月額
(月1回訪問)
記帳代行
(月額)
確定申告代行料 
~1,000万円未満 1万5,000円~ +5,000円~ 顧問料月額の
4~6ヶ月分
1,000万円~
3,000万円未満
2万円~ +5,000円~
3,000万円~
5,000万円未満
2万5,000円~ +1万円~
5,000万円~
1億円未満
3万円~ +1万円~
1億円~ 応相談

年間売上が1,000万円未満の個人事業主で、顧問料月額が1万5,000円だとすると、確定申告代行料は6万円~9万円となります。

記帳代行月額が5,000円だとすると、年間で顧問税理士に支払う報酬総額は30万円~33万円です。

事業の規模が大きくなるほど顧問税理士の必要性が高くなりますが、それほど規模が大きくない個人事業主なら顧問契約をせず、必要なときだけ税理士に相談したり、確定申告だけを依頼することも可能です。

契約形態(2):申告書作成のみを依頼する場合の費用相場

個人事業主が記帳や領収証の整理その他普段の経理業務は自分で行い、確定申告書の作成のみを税理士に依頼する場合の報酬(費用)の相場は、おおよそ以下のとおりです。

年間売上 確定申告代行料
  ~1,000万円未満  5万円~
1,000万円
~3,000万円未満
10万円~
3,000万円~
5,000万円未満
15万円~
5,000万円~ 応相談

顧問税理士に確定申告も依頼する場合に比べて少し安くなる場合もありますが、大きな差はありません。

確定申告代行料を安くする目的で顧問契約をするメリットはあまり大きなものではないでしょう。

税理士の費用を抑える方法とは?

確定申告にかかる税理士の費用の相場が高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、できることなら安く抑えるに越したことはありません。

特に、細々と事業を営んでいる個人事業主なら税金の他に数万円~10万円ほどの税理士費用を支払うのは大変な場合もあるでしょう。

そこで、税理士の費用を少しでも安く抑える方法をみていきましょう。

記帳は自分で行う

まずは、記帳を自分で行うことで確実に税理士の費用を抑えることができます。記帳を代行する場合に比べて半額程度にまで安くできることもあります。

たしかに毎日帳簿をつけるのは面倒なこともありますし、青色申告をするなら複式簿記で記帳しなければならないので大変です。

しかし、自分で記帳をすることでお金の出入りをリアルタイムでしっかりと把握することができて、金銭感覚が磨かれていくというメリットもあります。可能な限り、自分で記帳をしてみましょう。

交渉して単価を下げる

先ほどは税理士費用の相場をご紹介しましたが、上記はあくまでも相場であって、依頼する税理士次第で報酬が相場より高いこともあれば低いこともあります。

税理士は報酬を自由に決めることができます。特に独立開業して個人事業主として営んでいる税理士であれば、依頼案件の具体的内容や依頼者の希望によって柔軟に報酬を増減させることもあります。

つまり、税理士費用は交渉によって単価を下げることができるのです。こちらから希望金額を提示すれば、その通りにはならなくても先方の見積もりより単価が下がる可能性はあります。

初めて税理士に依頼する場合なら、複数の税理士から見積もりを取って比較するのがおすすめです。

以前からお付き合いしている税理士の場合でも、税理士費用の減額を申し出れが減額してくれるケースはよくあります。

会計ソフトを使う

自分で記帳をする場合、手書きの帳簿に記入するのでも、エクセルに入力して保存するのでも構いませんが、会計ソフトを使えば作業が楽になります。

会計ソフトを使って日々のお金の出入りを入力していけば、自動で計算してくれるので正確に帳簿を作成することができます。青色申告に必要な複式簿記の作成も簡単になります。

さらに、確定申告をする際には正確な仕訳帳があればいいというわけではありません。白色申告なら収支内訳書、青色申告なら損益計算書や貸借対照表も作成する必要があります。決算書の元となる総勘定元帳の作成も必要です。

会計ソフトなら、これらの複雑な書類も自動的に作成してくれる機能を備えたものがたくさんあります。

ここまで帳簿類の作成ができたら、自分で確定申告書を作成するのもそれほど難しいことではありません。自分で確定申告ができれば税理士の費用は0円となります。

もちろん、会計ソフトを使って作成した書類を持って税理士に依頼することもできます。その場合は、税理士の作業が大幅に減るので、税理士費用を抑えることができます。会計事務所と連携するのであれば、できれば会計事務所と連携のできる会計ソフトのご利用がいいでしょう。

税務署に聞いて自社(自分)でやることを増やす

確定申告を自分でしたいけれど、分からないことが多いので税理士に依頼する人も多くいます。

税理士に依頼すれば、自分には分からないことも全て代わりにやってもらえますが、分からないことも税務署に聞けば教えてくれることがたくさんあります。

税務署では電話相談を受け付けており、たいていのことは教えてくれます。

参考:国税庁 税についての相談窓口

帳簿の付け方も全然分からないという状態だと電話相談だけで疑問を解消するのは難しいですが、税務署では「記帳指導」も開催されています。

記帳指導では、税理士やパソコン指導員が帳簿の付け方から青色の確定申告書の作成までを無料で教えてくれます。

参考:国税庁  記帳の仕方がわからない方へ

また、毎年確定申告の時期になると各地の税務署で無料相談窓口が開設されるので、そちらも利用することができます。

いろいろなことを自分でやると手間と時間はかかりますが、税務署に聞けば自分でできることはたくさんあります。

自分でできることは自分でやることで、税理士費用を最小限に抑えることができます。

確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット

確定申告は税理士に依頼してやってもらうこともできますし、最初から最後まで自分でやることもできます。

では、税理士に依頼するかどうかはどうやって判断すればよいのでしょうか。確定申告を税理士に依頼するメリットとデメリットをみていきましょう。

税理士に依頼するメリット

税理士に依頼すると安くない費用を負担する必要がありますが、その分メリットもたくさんあります。

正しい税務申告を行うことができる

確定申告をするには細かい作業や複雑な作業が必要なので、自分で行う場合はどうしてもミスが発生しやすくなります。

記帳の段階でミスすることもありますし、確定申告書へ記入する際にミスをすることもあるでしょう。必要な経費を計上していなかったり、逆に計上できない経費を計上してしまうことはよくあるミスです。

他にも、適用できる「控除」を適用し忘れたりなど、さまざまなミスが発生する恐れがあります。

ミスによって申告納税額が本来の納税額よりも低くなってしまうと、故意ではなくても過少申告となり、追徴課税を納付しなければならなくなることもあります。

逆に、ミスによって過大に納税した場合は税務署は何も言ってこず、ペナルティもありませんが、修正申告をして還付を受けなければ損をすることになります。

専門家である税理士に依頼すれば、ミスなく正確に税務申告をしてくれます。それによって、税金も過不足なく正確な金額を納付することができます。

専門家から税務のアドバイスをもらうことができる

税理士に依頼した場合、税務に関するさまざまなアドバイスをもらうことができます。確定申告をする際に節税できるポイントがあれば教えてもらえますし、その他にも確定申告に有利になるような記帳の仕方などを教えてもらうことができます。

顧問契約をしている場合は普段から適宜アドバイスをもらえますが、確定申告書の作成のみの依頼であっても、通常は申告後に確定申告書の控えを見ながら簡単な報告と説明があるので、その際にいろいろなアドバイスをもらうことができます。

経費にできるものとできないものを教えてもらえたり、適用可能な控除について教えてもらえたり、今後の節税対策についてもアドバイスしてもらえます。

もちろん、確定申告に関することであればこちらから質問をして教えてもらうこともできます。

基本的には自分で確定申告をしようと思っている人でも、専門家からアドバイスをもらうという目的で一度は税理士に依頼してみるのもよいでしょう。

事務処理の手間を省くことができる

小規模な個人事業主であっても、確定申告を自分でするためにはかなりの手間と時間がかかります。早くても丸1日~数日間は時間を取られるのが通常です。

確定申告書の作成ができても、それを提出するのにも手間がかかります。直接提出しに行く場合は税務署の提出窓口まで出かけなければなりません。

郵送でも提出できますが、そのためにも管轄の税務署を調べるなど多少の事務作業が必要になります。

e-Tax(イータックス)を利用すればパソコン1台で確定申告が完了しますが、電子証明書や利用者識別番号等の取得や、ICカードリーダライタか専用ソフトの設定など事前準備にそれなりに手間がかかってしまいます。

税理士に依頼すれば、確定申告書の作成から提出までを代行してくれるので、少なくとも丸1日~数日分の事務処理の手間を省くことができます。

自分のビジネスに専念できる

税理士に確定申告を依頼して事務処理の手間を省くことができれば、浮いた手間と時間は自分のビジネスのために費やすことができます。

個人事業主の中には、日頃の記帳を怠って、確定申告の時期になって慌てて1年分の領収証や請求書、通帳などを集めて記帳をし、それから確定申告書を作成する人も少なくありません。

このような状況では1週間以上も確定申告の作業にかかり切りになることもあるでしょう。その間、自分のビジネスがストップするか停滞してしまいます。

たしかに、日頃の記帳は面倒で手間もかかります。日頃の記帳を怠ってしまうのは、自分のビジネスに専念したいからこそだともいえます。

税理士には記帳も含めて丸投げすることもできます。そうすれば、面倒な経理作業から解放されて自分のビジネスに全力を注ぐことができるのです。

税理士に依頼するデメリット

税理士に確定申告を依頼するにはデメリットもあります。依頼して後悔しないよう、確認しておきましょう。

金銭感覚が身につかない

確定申告を自分で行わないと、自分がどれだけのお金を稼いで、どれだけの経費を使い、どれだけの利益を上げたのかを把握しにくくなります。

確定申告をするときには、まず1年間の売上総額を集計し、そこから経費やさまざまな控除を差し引いて「課税所得金額」を割り出します。そこからさらに控除できるものがあれば差し引き、税率を掛けて納税額を算出します。

その結果は確定申告書の控えに書かれていますし、依頼した税理士も説明はしてくれます。しかし、結果を見るだけではどこか他人事のようで理解が浅くなりがちです。自分で作業をして算出すれば、その過程で自分の収支状況を深く理解することができます。

また、記帳を税理士に丸投げしている場合は日々のお金の出入りのチェックも甘くなりがちです。無駄な経費を支払いすぎていても気づきにくくなりますし、自分のビジネスの報酬単価が適正かどうかも見極める目も甘くなりがちです。

日頃から自分で記帳をしていれば、「この経費は削れるかもしれない」「この仕事は単価が低すぎた。もっと上げるべきだ」というように収支を厳しく見つめるきっかけになります。

税理士に丸投げをしていると、金銭感覚を磨く機会を失ってしまうということは意識しておく必要があります。

報酬金額が高い

確定申告を税理士に依頼した場合の経費の相場は前述しましたが、小規模の個人事業主ほど負担感は大きくなるでしょう。

税理士に支払った報酬は経費控除(売上から経費として差し引くこと)できますが、小規模の個人事業主にとってはキャッシュフローが生命線ともいえるので、税理士費用が数万円であっても一度に支払うのは負担が大きい場合もあります。

税理士費用を支払ってでも確定申告を依頼することで自分のビジネスに専念し、支出に見合う利益を上げることができるのかを検討することが大切です。

失敗しない税理士選びのポイント

税理士はたくさんいますが、能力や業務内容は人それぞれ、ピンからキリまでいます。せっかく依頼するならできるだけよい税理士を選びたいですよね。

そこで、失敗しない税理士選びのポイントをご紹介しておきます。

報酬額

報酬額は安いに越したことはありませんが、安さばかりを求めていると失敗する恐れがあります。

税理士は依頼者との協議によって自由に報酬額を決めることができますが、経験が少なくて自信がないために安くしている税理士や、安い代わりに必要最低限の作業しかしない税理士もいます。

とはいえ、薄利多売で精力的に仕事をする税理士もたくさんいますし、依頼する前から報酬額の高低だけで税理士の優劣を見抜くことはできないのも正直なところです。

ただ、安さを売りにしている税理士がいたら、なぜ安くしているのかを探ってみた方がよいでしょう。

取扱い分野

税理士にも得意分野と苦手分野があり、取扱い分野は税理士ごとに違います。

個人事業主の所得税の確定申告ならほぼ全ての税理士が正しく処理できますが、中には確定申告が苦手だったり、好まないという税理士もいます。

税理士の得手不得手を依頼前に見分けるのも困難ですが、確定申告の取扱いが多い税理士を選ぶのが無難ということはいえます。

人格

確定申告という機械的な作業を依頼するのに人格は関係ないと思われるかもしれませんが、士業に仕事を依頼するときには意外に人格が重要な要素になります。

特に、分からないことがあるから依頼する場合には、いろいろなことを教えてもらいたいわけですから、何でも話せる人柄かどうかという点が重要です。

税理士との相性が合わなければ話しにくく、貴重なアドバイスをもらえなくて損をしてしまう恐れもあります。

報酬額や業務の能力も重要ですが、せっかく依頼するなら相手の人格にも注意して、相性の良い税理士を選びたいところです。

まとめ

確定申告は、「皆が税理士に依頼しているから自分も依頼する」とか「お金がもったいないから自分でやる」といった考え方で税理士に依頼するかどうかを決めても問題はありません。

しかし、もっと戦略的に考えることで自分のビジネスに活かすこともできます。

「経理を学びたいから最初は自分で確定申告をする」
「忙しくなってきたから税理士に任せて本業に専念する」
「顧問税理士がいるけど、金銭感覚を磨くために数年に一度は自分で申告する」

このように、自分のビジネスの状況に応じて、必要に応じて税理士を活用するとよいでしょう。

税理士を活用するに際して、この記事をぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

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