なぜトップアスリートが引退後に投資家になるのか ~天は二物を与える?~
海外のトップアスリートで引退後に投資家やビジネスオーナーとして華麗なる変身を遂げる人が目立ちます。日本でもサッカー元日本代表の中田英寿や元大リーガーの長谷川滋利が投資家としては有名です。天は彼らに二物を与えたのでしょうか。
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ジーターやマニングが球団オーナーに
ジーターはマーリンズ買収に成功し、球団オーナーに就任しました。買収グループの中にNBAの元スーパースターのマイケル・ジョーダンも入っています。トップアスリートが球団のオーナーになることは日本ではほとんど聞いたことがありませんが、米国では決して珍しいことではありません。ジョーダンはNBAのシャーロット・ホーネッツのオーナーです。ジョーダンと同時代に活躍したマジック・ジョンソンもMLBのロサンゼルス・ドジャースの共同オーナーです。
元NFLで史上最高のクォーターバックと称えられたペイトン・マニングは、2016年にデンバー・ブロンコスでスーパーボールを制した後に引退しました。現役中の2012年には妻アシュリーがNBAのメンフィス・グリズリーズのオーナーとなっています。
同じく2012年にマニングはコロラドの「パパ・ジョンズ・ピザ」のフランチャイズ21店を買収しました。引退後投資家として活躍しそうです。NFLのテネシー・タイタンズのオーナーになるとの噂も浮上しています。
天は二物を与えた?
米国のトップアスリートに投資家が多いのは彼らが桁違いの資産家だからでしょう。世界のスポーツ市場は規模が大きく、スーパースターになれば巨額の年俸が稼げます。ジーターの生涯獲得収入は年俸だけでも約290億円に達し、その他ナイキやゲータレードの大手CMの収入だけでもそれぞれ年間10億円単位の収入があったようです。マジック・ジョーダンは元アスリートとして最高の資産家と言われ、生涯獲得収入は1,900億円に達しています。
2017年6月に米Forbes誌が報じた「世界で最も稼ぐスポーツ選手ランキング(2016年6月からの1年間)」では、トップはサッカーのレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドで約100億円でした。2位のレブロン・ジェームズはバスケットのクリーブランド・キャバリアーズで約90億円、3位のリオネル・メッシはサッカーのFCバルセロナで約90億円の収入でした。
トップ100では、バスケットが32人、野球が22人、アメリカンフットボールが15人、サッカーが9人、テニス7人、ゴルフ5人と名を連ねています。日本人は、テニスの錦織圭が26位の約50億円、ヤンキーズの田中将大が75位の約30億円でランクインしています。
もっとも資産家であることだけが投資家の資質ではありません。米国のアスリートには頭脳明晰なプレーヤーも多いのも事実です。米国ではアスリートに対し文武両道を求めているのに対し、日本は一芸に秀でることを重んじて文武両道を求めてはいません。
その結果、日本では元スポーツ選手に対するビジネス上の評価が低いことが、日本にアスリート出身の投資家を生み出さない理由の一つでもありそうです。世界の最前線で戦ってきたアスリートとしての勝負勘、マインドの強さ、決断力なども投資家の重要な資質の一つでもあるのでしょう。
米国で元スーパースターのビジネスの評価が高いのは、その知名度やネットワークがビジネス上で価値があると知られているからです。ベンチャー企業などのスタートアップ投資において、著名人が加わることは「インフルエンサー」として他の投資家やマスコミの注目を浴びることで大きな意味があります。
新世代の日本のアスリート達
日本でも文武両道で、世界で活躍し大金を得て、投資の世界でも成功する新時代のアスリートが増え始めました。
元サッカー日本代表の中田英寿はその走りでしょう。21歳の若さでイタリアサッカーのペルージャに移籍し活躍しました。2006年のドイツ・ワールドカップ後に29歳の若さで引退、実業家としての道を歩んでいます。サッカー界では、出身地の山梨のフォルトゥナSCやヴァンフォーレ甲府、自身が籍を置いた湘南ベルマーレをサポートしています。また、老舗お菓子メーカーの東ハトの執行役員を務めたり、所属しているスポーツマネジメントの上場会社サニーサイドアップの大株主としても知られています。
元メジャーリーガーの長谷川滋利も新しいタイプの投資家でしょう。長谷川は経済の勉強のために米国に行ったといってはばかりません。当時はロッカーで経済紙ウォールストリートジャーナルを読む唯一のメジャーリーガーだといわれ、英語能力も高く、経済書を愛読しました。現在は、米ロサンゼルスで若者の育成の野球チームを運営しながら投資家をしています。 サッカー日本代表の本田圭佑もそんな新世代の一人でしょう。
投資家のすすめ
資産を持ったトップアスリートだけが投資家にふさわしいわけではありません。ビジネスの将来性を分析できる知識や判断力とネットワークなどがあれば、誰もが投資家になれる可能性があります。現代は情報に満ちあふれています。エマージング市場を飛び越えて、これから発展途上のアフリカなどフロンティア市場に投資することも一考でしょう。
基本は労働の対価による収入ですが、別軸で資本収入を得る方法を探してみてはいかがでしょうか。日本にもソフトバンクの孫社長に続くような世界的な投資家が誕生するのが楽しみです。
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