不動産物件の構造の種類と特徴を知ろう
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木造の特徴
現在、日本国内における新規住宅の着工件数がナンバー1の工法は木造です。柱と梁を組み合わせて構造を支える伝統的な「在来軸組工法」と、北米原産で2×4インチの枠に構造用合板を貼り付けて作ったパネルを組み立てる「ツーバイフォー工法」などに代表される「枠組壁工法」の2種類があります。
在来軸組工法は開放的な間取りに対応しやすく、増改築もしやすいので、狭く変形している土地などの建築物でよく利用されています。一方の枠組壁工法は、気密性と断熱性にすぐれ、「面」で構成されているので、力を分散するため、地震や台風に強いという特徴があります。
「木造は地震に弱いのでは?」というイメージをもつ人もいるかもしれませんが、最近は建築技術が高まり、耐震性も伸びています。構造材や外内装材の種類が幅広く、予算に応じて柔軟に増改築できるのも大きなメリットです。
積算法による資産評価に必要となる耐用年数(減価償却期間)は22年で、再調達原価(1m2あたり)は10~16万円が目安です。
鉄骨造の特徴
鉄骨造とは、柱や梁などの主要構造材を鉄や鋼で作った構造のことです。使う鋼材の厚みが6ミリを超えるものが「重量鉄骨」、6ミリ以下のものが「軽量鉄骨」と呼ばれます。耐用年数と再調達原価(1m2あたり)は、重量鉄骨が34年、13万~18万円、軽量鉄骨は27年、10万~16万円です。
鉄骨造の特徴としては、材料の品質が安定していて、現場での工期が比較的短いことや、柱や梁が頑丈なので、筋交いがいらず、大きな窓や広い空間を作りやすいなどのメリットがある半面、部材が大きいので、面している道路が狭いと建築が難しいことや、建物自体が重くなり、地盤改良が必要な場合があることなどのデメリットがあります。
RC造の特徴
建物には圧縮力が常に上からかかっています。しかし、地震などのときは、下や横からの引っ張り力が働きます。引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートを一体化させて、建物を支える構造が「RC(鉄筋コンクリート)造」です。
特徴はなんといってもすぐれた耐久性で、地震や火事のほか、音や振動にも強いことが挙げられます。ただし、室内の壁もRCで造るので、リフォームの幅に制限が多いことがあります。耐用年数は47年、再取得原価の目安は16万~22万円となっています。
どの構造がお得なのか
金融機関から融資を受ける場合、その期間は耐用年数(減価償却期間)から築年数を差し引いた年数になるというのが基本的な考え方です。ここで価格と築年数を同じにして、利回りと家賃に少し差をつけたサンプルについて、簡単に考えてみましょう。果たしてどちらが狙うべき物件になるのでしょうか。
A 鉄骨造(耐用年数34年):5,000万円 築20年 利回り12% 満室家賃600万円
B RC造 (耐用年数47年):5,000万円 築20年 利回り10% 満室家賃500万円
融資期間はAが「34年-20年=14年」、Bは「47年-20年=27年」になります。金利を2.5%として、年間返済額はAが424万円、Bが255万円です。したがって、キャッシュフローとしてはAが「家賃600万円-424万円=176万円」、Bが「500万円-255万円=245万円」となります。
AはBより利回りが2%も高いのに、キャッシュフローはBのRC造の方が「245万円-176万円=69万円」も高いのです。キャッシュフローの観点からすれば、利回りよりも融資期間の影響が大きく、結論的には耐用年数の長いRC造を選ぶ方がいいという判断になります。
なお、投資としての損益が確定するのは、最終的に物件を売却したときです。出口戦略を考えた場合、売却した物件を次に買う人にとって、耐用年数が長く残っていると融資期間が長くなるので、売りやすいといえます。ただし、再調達価格も高めとなりますから、融資期間と再調達価格のバランスに気をつける必要があります。
最後に、不動産には一つとして同じものはないとよくいわれます。そう考えると、実際にはいろいろな結論が考えられ、ここで示したほど、単純な話にはならないでしょう。できる限り検討材料を集めて、冷静に判断するようにしてください。
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