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公開日: 2020.03.03 更新日: 2022.04.21

マンション管理費とは?相場はいくら?修繕積立金との違いについても解説

マンション管理費とは?相場はいくら?修繕積立金との違いについても解説

マンションを購入すると、毎月管理費がかかります。マンションによって管理費の金額は大きく異なりますが、使用目的はどの物件でも同じです。また、管理費と同様に修繕積立金も毎月かかりますが、管理費と何が違うのかご存知でしょうか? ここでは、管理費の利用目的、そして修繕積立金との違いや、管理費の平均相場などについて解説していきます。

マンション管理費とは

マンション管理費は、建物や敷地内を良好な状態で維持できるように管理するための費用です。例えば、マンションのエントランス・廊下・階段・エレベーター(以下、共用部分という)や駐車場などを点検・清掃する際にかかる費用が管理費にあたります。

マンション内は専有部分と共用部分で区分けされています。専有部分とは、区分所有者(以下、オーナーという)や賃借している入居者が専有して使用できる部分のこと。一方、共用部分とは前述したようなエントランス・廊下・階段・エレベーターなどのことで、管理費として支出されるのはこの共用部分が対象となります。

誰が管理費を負担するのか

管理費を負担するのはマンションのオーナーです。マンション管理には、オーナー自らが管理を行う「自主管理タイプ」と、オーナーが不動産管理会社に物件の管理を任せる「委託管理タイプ」の2通りがあります。

もしマンションのオーナーが「委託管理タイプ」を選択している場合は、オーナーから集めた管理費は不動産管理会社に対して支払われ、そこから清掃代や人件費などに使われます。

マンション管理費は日常管理に用いられるもの

マンション管理費は、日常的な維持管理のために使われます。

共用部分や敷地内の定期清掃、エレベーター・電気・給排水設備の点検、管理組合の運営などに使用される費用が「マンション管理費」にあたります。

  • 常駐管理人による清掃・管理費
  • 共用部分から発生する電気代や水道料金
  • 共用部分の電球交換費用
  • ゴミ処分費用
  • 常駐管理人の人件費
  • エレベーターや貯水槽の保守点検費用
  • 共用部分の火災保険やその他損害保険の保険料

さらに、ゴミ置き場の清掃や敷地内植栽の水やり・手入れ、防犯カメラの保守点検などの費用も管理費として支出されます。

もし管理がきちんと行われないと、廊下の電球が切れて暗くなっていたりエントランスや駐車場にゴミが放置されたままになるなど、防犯面を含む住環境の悪化、さらには物件としての価値低下につながりかねません。

住環境が悪いマンションには誰も住みたがらないため、オーナーが貸し出しする場合は入居率にも大きく影響し、結果として住民が少なく管理も行き届いていない荒廃した建物になる可能性があります。そうならないためにも、適切に管理を行っていかなければなりません。

修繕積立金との違い

修繕積立金とは、マンションの将来的な修繕に備えて、一定の金額をあらかじめ積み立てていくものです。外壁の改修工事や駐車場の補修などは修繕積立金から支出されます。

修繕積立金が使用される主な内容は以下の通りです。

  • 外壁改修工事
  • 屋根、屋上の防水改修工事
  • 外装及び内装のペンキ塗り替え
  • 敷地内駐車場及び駐輪場の補修
  • 台風、地震など自然災害による損傷の修繕
  • 集合ポストの取り換え

原則として、修繕積立金は計画的な修繕を行うためのものです。管理費のように、日常的な管理に対して毎月支出するものではありません。なぜなら、一般的に改修工事費用は数百万円単位の大きな金額になるため、計画的に積み立てておかないとすぐに準備できないからです。一般的には10~15年ごとに建物の大規模修繕を行います。

台風や地震などの自然災害による建物・設備の損傷が起きた場合には、修繕に緊急性を要する場合があり迅速な対応が求められます。そのため、管理費とは別会計にして修繕費を積み立てていく必要があるのです。

実際にあった事例として、隣地との境界部分にあるブロック塀が地震で隣地のほうへ傾いてしまい、隣地所有者から「ブロック塀の越境」を指摘され、マンションの管理組合修繕積立金を使用して修繕の対応を行ったケースがあります。

管理準備金とは

管理準備金とは、新築マンションの購入時にかかる一時金のことです。マンション入居後に毎月支払う管理費とは異なります。例えば新築マンションを購入したばかりの段階では、まだ管理組合の資金が十分に確保されていません。

管理を行うための資金がないからといって竣工後の新築マンションを管理せずに放置してしまうと、建物の劣化が早くなりどんどん荒んでいってしまいます。そのため、管理組合が新築マンションを良好に維持・保全していくために、マンション購入者から「管理準備金」として一時的な資金を集め、管理組合がその資金を使って円滑に管理できるようにしています。

マンション管理費の相場

マンション管理費が利用される目的や用途などについて解説しました。では、マンション管理費は実際に毎月いくらぐらいかかっているのでしょうか。

完成年次別のマンション管理費の平均

管理費の相場を見ていきます。

完成年次別 管理費平均相場
平成元年 14,346円
~平成6年 14,997円
~平成11年 16,862円
~平成16年 17,318円
~平成21年 18,327円
~平成26年 18,138円
平成27年以降 19,897円

引用:平成30年度マンション総合調査結果 - 国土交通省管理組合向け調査の結果 p.175

ここでご紹介する管理費は、駐車場使用料や専用庭使用料、ルーフバルコニー使用料などの「使用料・専用使用料」からの充当額を含みます。

もし駐車場を賃借しない方の場合はその分だけ実際にかかる管理費が低くなります。

年次別で見てみると、管理費平均は徐々に上がってきていることが分かります。

年数を追うごとに管理費平均相場が上がってきている理由としては、建物を修繕する際の費用の増加、電気代・水道代・火災保険料などの増加、人件費の増加などが考えられます。

総戸数別のマンション管理費の平均

次に、総戸数規模別で見た管理費平均相場です。

総戸数規模別 管理費平均相場
20戸以下 19,237円
21~30戸 16,997円
31~50戸 15,049円
51~70戸 15,346円
76~100戸 16,455円
101~150戸 15,089円
151~200戸 15,951円
201~300戸 16,365円
301~500戸 17,703円
501戸以上 15,224円

引用:平成30年度マンション総合調査結果 - 国土交通省管理組合向け調査の結果 p.175

一般的に、総戸数が20戸以下の小規模なマンションよりも、総戸数が多い大規模マンションのほうが管理費は低い傾向にあります。なぜなら、管理費を全戸の所有者で按分しているからです。

上の平均相場表を見てみると、301戸~500戸の平均相場だけが17,000円を超えています。理由としては、タワーマンション型や機械式駐車場を導入している場合は、設備の維持管理費や修繕費は多めにかかることが考えられます。

形態別のマンション管理費の平均

建物の形態による管理費の平均相場です。

形態別 管理費平均相場
単棟型 16,213円
3階建以下 14,965円
4~5階建 16,892円
6~10階建 15,307円
11~19階建 16,155円
20階建以上 25,069円
団地型 14,660円
2~3棟 15,128円
4~5棟 15,937円
6~10棟 12,582円
11~20棟 12,335円
20~50棟 8,845円
51棟以上 31,438円

引用:平成30年度マンション総合調査結果 - 国土交通省管理組合向け調査の結果 p.176

単棟型では20階建て以上のタワーマンション型が管理費平均が高い傾向にあります。また、団地型の場合は21~50棟の管理費平均が8,845円となっており、管理する建物が多いほど管理費が低くなっています。ただし、51棟以上の31,438円に関しては、アンケートの回答数が少ないため平均相場が高くなっていることが考えられます。

地域別のマンション管理費の平均

地域別の平均相場です。

地域別 管理費平均相場
北海道 15,190円
東北 16,550円
関東 16,096円
北陸・中部 16,947円
近畿 16,240円
中国・四国 14,590円
九州・沖縄 15,057円

引用:平成30年度マンション総合調査結果 - 国土交通省管理組合向け調査の結果 p.176

地域別では、中国・四国が最も管理費平均相場が低くなっていますが、他の地域はほぼ同じくらいの相場です。地価が高い東京都を含む関東は管理費相場も高いイメージが強いですが、今回のアンケート調査結果では東北や北陸・中部地方よりも低くなっています。

都市圏別のマンション管理費の平均

都市圏別の平均相場です。

都市県別 管理費平均相場
東京圏 16,442円
名古屋圏 16,893円
京阪神圏 16,848円

引用:平成30年度マンション総合調査結果 - 国土交通省管理組合向け調査の結果 p.176

都市県別も同様に、東京圏よりも名古屋圏や京阪神圏のほうが管理費相場は高い、という結果が出ています。

東京圏では、管理費相場が15,000円以下のマンションも多く、そのため平均相場がやや低い傾向にあります。理由としては、東京圏は単身者向けのワンルームタイプや30戸前後の小規模なファミリー向けマンションが他の地域よりも多いことが考えられます。

マンション管理費が値上げされることはあるのか

マンション管理費は、あるタイミングで値上げされる場合があります。例えば、マンション管理の委託先が変わった際に管理費が変更になるケースです。

一般的には、委託管理契約期間の満了時に管理組合の通常総会で委託管理先についての議案があり、管理会社に問題がなければそのまま委託管理契約が更新されます。

ところが、組合員から「管理会社を変更してほしい」という声があれば、総会の普通決議(出席組合員の過半数)によって別の管理会社に変更される場合があります。もし、管理会社が変われば管理費も変動する可能性があるため、場合によっては管理費が値上げになるケースもあるのです。

値上げは拒否できる?

原則として、管理費の値上げを拒否することはできません。前述の通り、管理会社管理費の変更は総会の決議によって決定されるため、もし過半数の賛成があれば可決されてしまいます。もし管理費の値上げについて反対する人が過半数に満たない場合は、拒否をすることができないのです。

マンション管理費を滞納したらどうなる?

管理費は毎月支払わなければなりませんが、もし支払いを遅延・滞納してしまった場合は、まず管理組合から催促の連絡がきます。

直接電話がかかってきたり、携帯電話へSMS(ショートメッセージ)で連絡がきたり、裁判所を通したハガキによる支払督促が送られてくることがあります。

それでも支払わない場合は、強制執行によって滞納者の財産を差し押さえることになります。

基本的に、管理費は区分所有者の全ての人から徴収され、マンション管理の運用に充てなければなりません。もし管理費の滞納者がたくさんいるとマンション管理の水準が低下してしまいます。

そのため、管理組合は定期的に滞納者に対して支払いの催告を行います。また管理費の滞納者については、管理組合総会の議題にも上がる場合があり、総会議事録に滞納者の部屋番号や氏名が記載されるケースもあります。

滞納してしまった管理費は原則として一括払いを求められますが、支払いが困難な人に対しては管理組合と相談して分割払いにできることもあります。

マンション管理費は保守管理するために必要な費用

マンション管理費は、建物や敷地内を保守管理するために必要な費用です。常駐管理人がいるマンションであれば毎日共有部分や駐車場を清掃し、日中の人の出入りをチェックしてくれます。また、共用部分の電球やエレベーター、給排水設備などを定期的に点検して住民の生活に支障がでないようにもしています。

もし管理費が不足してしまうと適切な管理を行うことができず、マンションはどんどん汚れ、損傷し、荒廃していくため、住民の生活を守るためにも必要不可欠な資金と言えるでしょう。

管理費の平均相場は建物の規模によって異なり、戸数が多いほど管理費が低い傾向にあります。ただし、タワーマンションや機械式駐車場があるマンションは設備費用が多めにかかることから、管理費もやや高くなる傾向のため、購入時には確認が必要です。

管理費は値上げされる可能性もあるので、マンションの購入や賃貸借による入居を検討されている方は、多少の値上げも想定しておいたほうがいいでしょう。

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この記事を書いた人

長野久志

不動産専門のライターとして活動。元不動産売買仲介業者であり宅地建物取引士。不動産実務の知識と経験を生かした原稿の作成を行っている。主に不動産売買や不動産投資などについて執筆。

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