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公開日: 2020.02.27 更新日: 2021.05.21

アパート入居者に更新料の支払いを拒否された時の対処法

アパート入居者に更新料の支払いを拒否された時の対処法

不動産投資を長年手がけていると、いろいろな出来事に遭遇します。10年以上アパートを経営する間に出くわした入居者とのエピソードの中から、今回は「契約更新料」を払ってもらえなくなりそうだったときのことを紹介します。

賃貸管理は管理会社に委託

不動産投資家の中には、私と同じく企業に勤めながら副業として不動産投資を行う方も少なくないと思われます。その場合、日々の物件管理は管理会社に委託しているケースも多いことでしょう。

私もサラリーマンをやっている傍らで、半ば家業ともいえる不動産賃貸業を営んでいます。いくつかの物件を所有しており、その中にはアパートが含まれています。

サラリーマンをやっている身とすれば、自分自身で日々の賃貸運営を行うノウハウも乏しく、時間も到底取れませんので、大手のアパート管理会社に募集と管理を委託しています。

アパートの入居者が契約更新料を未払い

アパート、マンションなど居住用不動産を保有して賃貸に供している場合、時に入居者との間にいろいろなトラブルを抱えることがあります。

私が有するアパートは今年で築11年目を迎え、最近は空室率が徐々に上がる傾向がでてきました。

少しでも手取り収入の低下を抑えるために、賃料の他に入居者に支払ってもらう各種費用の確保や、退去時の修繕費用の自己負担の抑制には注意を払っています。

そんな折、アパート管理会社の担当さんから、入居者のひとりが契約更新料を払ってくれないという連絡を受けました。

担当さんによると、これまでに何度か、電話連絡だけでなく、部屋の郵便受けに支払督促の手紙を差し入れるも相手からの返事は全くなし、何度か訪ねて行ってもどうやら居留守を使っている様子だそうです。

その連絡をうけた私は

WATANKOWATANKO

じゃあ、管理会社としてこれからどうやって契約更新料を得ていくのですか?

と問うと、

管理会社管理会社

法定更新という扱いにして、あきらめるオーナーのケースもありますが……

とすでに白旗を掲げています。

法定更新とは、賃貸契約の期間満了時までに貸主・借主に更新の合意がなく、賃貸契約が締結されない場合、借主の立場を守るために法律によって賃貸契約が更新されることを保証するものです。

その場合は、家賃などの基本的な条件は以前と同じで、期間の定めのない契約が更新された事になります。

法定更新となると、更新料はあきらめることになります。一度法定更新が選ばれると、期間の定めがないためずっと更新料はとれなくなります。

借主からみればデメリットはとくに見当たりません。強いて言えば家賃の値下げ要求ができなくなることぐらいでしょうか。

対策を考える

私は管理会社の担当さんに、

WATANKOWATANKO

そんな簡単にあきらめたりしないで、これからどう対処するのですか?

と再度問いました。すると、

管理会社管理会社

入居者に支払いをお願いし続けるほかありません

と、なんとも頼りない回答しか出てきませんでした。

不動産管理会社としての取り立てのノウハウはないのでしょうか。

管理会社によると、今回の契約更新料が未払いになっている入居者は若い女性で学校の先生とのこと。公務員というと比較的に順法精神があり、職業の対面上、契約など約束事は厳守するイメージを持っていました。しかし今回の入居者はなかなか、「学校の先生」のイメージからは遠いようです。

私は気を取り直して、担当さんと今後の作戦を練ります。

具体的に動いてもらうのは担当さんの役割ですが、このままでは埒があかないので、私から以下のとおりアイデアを出しました。

  • まず、賃貸契約の連帯保証人に連絡して、当人に契約更新料を支払うよう促してもらう。あわせて当人が支払わなければ連帯保証人に請求させてもらう可能性も伝える。
  • (1)でも支払わない場合には、当人の職場(学校)に連絡して、当人を監督する者から当人に支払いを促してもらう。

(2)の提案については、管理会社の担当さんから

管理会社管理会社

勤務先に連絡するのは督促行為としては不法行為にあたるので、できません

という回答がありました。

私からは

WATANKOWATANKO

巷にある弁護士の見解では『どうしても連絡がつかないなど正当な理由があれば可能』とある。これまで何度か連絡を行った記録を踏まえて、勤務先に連絡してほしい

と強く要求しました。でも、担当は極めて及び腰です。

ともかく時間がたってしまうと、入居者からは「更新料は未払いでも構わないんだ。管理会社は督促するばかりでそれ以上は踏み込んでこない」とタカをくくられてしまうことになります。早急に何か手を打ち、当人に支払いさせるようにしなければなりません…。

私は最後に

WATANKOWATANKO

くれぐれも打ち合わせどおり連帯保証人や学校への連絡を行って下さいね。こんな時のために平素から管理委託料を支払っているのですから、何卒よろしくお願いしますよ

と担当さんに念押ししました。

でも担当さんは私の指示通りに動かないだろうなあ…、と心の中で半ばあきらめていました。

その後、私は仕事が忙しくて、この件を半ば忘れており数週間がたちました。その間、担当さんからは何も連絡がありません。

担当さんが打ち合わせ通りの対策をとらず、放置する展開は予想していたので、いよいよ私自身が管理会社に乗り込んで、目の前で担当さんに連帯保証人や学校へ電話をかけてもらおうかと思案していました。

……先生!
 
契約更新料をどうか支払ってください!
 

ところが、事態は急転して解決に向かいます。

急転直下、支払い完了へ

しばらくたって、管理会社の担当さんから、契約更新料が未払いになっていた入居者が、管理会社に突然やって来て契約更新料を支払っていった、との連絡を受けました。

なぜ学校の先生(入居者)は突然、契約更新料の支払いに応じたのか。先生に何が起こったのか。

種明かしをしますと、先生は勤務先(学校)に住居費に対する補助制度を申請するために、賃貸契約を証明する書類に管理会社の記名・捺印が必要となりました。

それをもらうべく管理会社を訪れたのです。

アパート管理会社の記名、捺印をもらおうとするのに、一方で契約更新料を未払いのままとするわけにはいかないと判断したのか、先生は書類と一緒に契約更新料を持参してきたというわけです。

私にとって、これは大変、運が良い展開でありました。

しかし先生は、勤務先の家賃補助の制度をそもそも元から知っていた可能性もあります。

そのうえで、補助制度の申請を滞らせることになりかねない契約更新料の未払いを、なぜ起こしていたのか。それとも家賃補助の申請を出すときに契約更新料を支払うつもりであったのか。

先生が管理会社を訪れた日には、担当さんはお休みであり、別のスタッフが応対したため、このあたりの詳しい事情はわからずじまいでありました。

私がもしもその場に居合わせたなら、

WATANKOWATANKO

なぜ契約更新料を払わなかったのですか

と、その理由を是非とも聞いてみたかったです。

今後に向けた対策

この結末について、管理会社の担当さんは

管理会社管理会社

いやー、支払いがあって本当に良かったですね

とすっかり脳天気な返事がかえってきました。

私はここで担当さんに対して、以下の苦言を程しました。

WATANKOWATANKO

たまたま相手の都合で支払いがなされただけです。アパート管理会社のノウハウや努力があって、それが実った訳ではないですよね。

先生が支払いに応じなかったら一体どうするつもりであったのですか。だいたい打ち合わせたとおりの連帯保証人や学校への連絡はどうなっていたのですか

今回は先生に家賃補助を申請したいという弱み(?)があったからこそ、契約更新料を支払ってもらえましたが、先生はいつまた未払いを再発させるかもしれません。

そういった事態に対して、現在のアパート管理会社の対応は脆弱そのものだと思いました。

そこで私は担当さんに対して、

WATANKOWATANKO

今回の私達の最大の収穫は、先生が家賃補助を受けているという情報を入手したことです。今後、同種のトラブルが発生した際には、この情報を武器に交渉してください

と念押しをしました。

しかし、実際に未払いが再発した際に担当さんがきちんと行動するか、疑わしい面もあります。いざとなれば私が一緒になって行動をおこすほかないかもしれません。

(やれやれ…管理委託料を返してください……)

賃借人のモラル低下が心配

もともと賃借人の大半は、契約に基づき、きちんと賃料を支払っている人達です。

しかし、過去に私は今回のような「賃借人から未払いをくらう」ことがしばしばありました。

賃料の未払いとは、例えるならばファミリーレストランで無銭飲食したり、コンビニで万引きするのと同じくらいの重要な不法行為です。

賃貸人としては、賃借人が度々未払いとなると、当人のモラルを非常に疑います。

電気代、水道代を支払わなければ電気、水道を止められますから、契約者は料金の支払いを滞らせません。

でも住居の賃料は、支払わなくても、すぐに追い出されない。賃借人はひょっとしたら踏み倒せる可能性があるなんて思っているか……とすら思えてきます。

かつて昭和の高度成長期には、都市化による人口集中により住宅が不足し、賃貸住宅の需要がとても高い事情がありました。その頃は契約条件等に関しては住居を貸す側にとって有利な状況が続きました。

それが1992年の借地借家法の制定に伴い、賃借人にとって有利な内容が法定として盛り込まれました。現在はこの流れが進み、住居の賃貸の契約は賃借人にとってなにかと有利になっています。

貸主は、賃借人に一度貸してしまえば、賃料未払いがあったからといって直ちにサービス提供を停止する(住居から追い出す)手段をとるわけにはいきません。要件を満たし、手続きを踏むことで法的手段はとれますが、その場合、たいていは手間と費用倒れに終わります。

賃借人はそんな事情を知ってか、不法・不当な手段をとろうとするのでしょうか…。

私は「賃料未払い事件」に遭遇する度に、賃借人のモラルの低下を懸念します。

不動産賃貸業とは、他人に「生活や商売の場」を貸し出すビジネス。そのビジネスを通して、さまざまな人間の素性や家計事情、経済観念にいやがおうにでも触れることになります。

不動産投資を通して透けて見える他人のさまを、「これもまた楽しいと」咀嚼できるかどうかが、不動産投資を続けられる秘訣のひとつかもしれません。

次回予告

アパートの契約更新料の未払い騒動を起こした先生は、やはりいわくつきの人物ということがわかりました。今回のトラブルがおきてから1年とたたないうちに更なるトラブルを引き起こすのでした。

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この記事を書いた人

WATANKO

首都圏のエネルギー関連企業にて経営企画、経理および子会社管理の業務に従事しつつ、半ば家業ともいうべき不動産投資を行うサラリーマン兼業不動産投資家、さらには国際分散投資を実践するインデックス投資家です。 資産運用でスーパーカーを手に入れよう!

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