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作成日: 2018.07.19

中古マンションが買える年収倍率は? 新築は高すぎる?

中古マンションが買える年収倍率は? 新築は高すぎる?

都心にある新築マンションの価格が高騰し、普通のサラリーマンでも、もはや「高根の花」となりつつあります。しかし、中古マンションであれば、立地が良く利便性が高い物件が、まだ買えるかもしれません。その際、年収の何倍程度の予算をみておけば良いのでしょうか。

ここ数年で新築価格が高騰

2017年の新築マンション価格は全国平均で1戸当たり4,739万円(前年比3.9%上昇)で1973年の調査開始以来、過去最高を更新しました。2018年3月に株式会社不動団経済研究所が発表した資料によるもので、2017年度の首都圏の新築マンション平均価格は、5,908万円(同7.6%上昇)と6,000万円台に迫る勢いです。東京23区にいたっては7,089万円(同6.9%上昇)と7,000万円台の大台に乗りました。

ここまでくると、普通の若いサラリーマンが都内の新築マンションを「高根の花」と思っても不思議ではありません。これまで少し背伸びして、購入していた層にとっても、もはや諦めざるを得ないような状況です。価格上昇の理由としては、土地価格や建築資材の価格、建設現場の人手不足による人件費などの高騰が、新築マンションの販売価格にはね返っていると考えられます。

中古マンションの平均価格。取引も新築を上まわる

一方の中古マンション市場はどうなっているのでしょうか。公益財団法人東日本不動産流通機構によると、2017年度の首都圏の中古マンション成約価格は3,253万円で、前年比5.7%増となり、底値だった2012年から一貫して上昇しています。東京23区においては、4,341万円で同6.6%の増加です。中古マンションの価格は相対取引で決まるもので、明確な値付けの基準はありません。しかし、新築マンション価格の上昇に呼応するように、中古マンションの成約価格が上昇しています。

それでも新築より大幅に価格が安いことに変わりはなく、新築に手が出せない層が中古市場に流れ込んでいます。2017年の首都圏における新築マンションの販売戸数が3万5,898戸だったのに対して、中古マンションの成約件数は3万7,172件と、初めて逆転した前年に引き続き、中古が新築を上回っています。

中古も年収倍率は上昇中

購入する住宅の価格が年収の何倍であるかを「年収倍率」と呼びます。住宅ローンは約8倍まで借りられるようですが、一般的に無理なく返済することが可能な住宅ローンの額は、年収の約5倍とされてきました。例えば、年収600万円の人なら3,000万円です。ボーナスは2ヵ月分、年金や組合費などの天引きなどを考慮すると、手取り年収約450万円、毎月の手取り額は約33万円になります。

仮に、借入金額が3,000万円で返済期間35年、金利2.5%だと総返済額は約4,500万円、月々の返済額は約11万円となります(ボーナス返済はしない場合)。この返済額は、上記の例における手取り額約33万円の3分の1です。子どもの数や生活環境で、必要経費や可処分所得は変わりますが、配偶者に子ども2人だとすると「5倍」でも、かなりギリギリの数字ではないでしょうか。

そのため、年収倍率は額面の5倍ではなく、手取り額の5倍にするともっと楽になるという意見もあります。たしかに、手取りだと年に約450万円ですから、借入額は5倍の2,250万円です。同じ条件なら、毎月の返済額は約8万円ですから、少し余裕が出ます。

ところが首都圏では、すでにこの「5倍」を上回る数字が出ています。東京カンテイが2017年7月に出した「築10年中古マンションの年収倍率」に関するプレスリリースによると、2016年の年収倍率は首都圏で7.13倍。(前年比0.44ポイント上昇)また、最高値の東京都では9.13倍(同0.56ポイント上昇)でした。年々、この倍率は上昇しています。

先述した通り、中古マンションの価格は上昇していています。今後、どこまで価格が上昇するかは、今のところはっきりしません。このままではエリアや築年数で、かなり妥協しないと、中古マンションでも、なかなか手が出なくなってしまうかもしれません。

中古住宅の平均築年数は長期化

野村総合研究所の調査によると、既存住宅の平均築年数は2013年には「22年」だったのが、年々延び続け、2030年には「29年」になる見通しです。野村総合研究所は、増え続ける空き家問題を解消するためには、新築の抑制が必要と考えているようで、さまざまな対策案を提言しています。そうした状況からも、今後、中古住宅の割合は増加すると予想されます。

公益社団法人東日本不動産流通機構によると、成約した中古マンションの平均築年数は、ここ10年では2008年を底に年々、伸びています。2017年は築20.75年でした。築年別構成比率をみても、築5年以下は10.0%、6~10年は16.3%、11~15年は17.5%、16~20年は13.4%、21~25年は9.3%、26~30年は8.4%、31年以上は25.0%でした。過去と比べると、築10年までの割合が減少し、築10年超の割合が増加傾向にあります。

これは成約価格とも関連しています。上述の築年帯の順に価格(1平方メートル単価)は5,105(76.97)万円、4,486(65.53)万円、4,083(58.65)万円、3,411(49.67)万円、2,183(34.95)万円、1,686(29.49)万円、1,759(31.19)万円でした。

築16年を過ぎれば平方メートル単価はガクンと下がり、築31年を超えると平方メートル単価は微増していました。築10年で約1,000万円下がることが読み取れます。今後、年収倍率の上昇を避けるために、築年数の経った物件を選ぶ傾向はさらに強まるのではないでしょうか。

ただし、築30年以上などの築古物件を購入する場合は、必ず、建物の劣化状況を調べておくようにしましょう。具体的には、直近の大規模修繕や改修工事の記録、共用部分の管理状況、耐震基準が1981年以前の旧耐震構造でないかどうかなどを確認してください。2018年から実施されたホームインスペクションによる診断を入れると、修繕箇所が明確になるので安心です。

中古物件を買うメリット

  1. 中古は立地がよいものが多い
    東京カンテイが発表した「首都圏新築一戸建てと新築マンションの比較」によると、2017年に新たに供給された首都圏マンションの最寄り駅までの徒歩時間で最も多かったのは「5分」で、6,261戸でした。これに次いだのが、「4分」(5,228戸)、そして、「3分」(4,020戸)、「8分」(3,637戸)、7分(3,410戸)、6分(2,926戸)の順でした。「10分」が出てくるのはこの後で、10分を超えると、供給戸数はガクンと減ります。

    勝負できる新築マンションの立地は「駅から10分未満」であり、消費者も「駅近」を求める傾向は強いようです。ただ、マンションの用地確保は難しく、駅に近い好立地はなかなか見つかりません。裏を返すと、すでに建築済みの中古マンションは、新築よりも有利な立地にある場合が多く、しかも、同じ立地なら新築よりも確実に割安なのです。
     
  2. マンション管理の良し悪しがわかる
    「マンションは管理を買え」という言葉があるほど、管理業務は重要です。建物のメンテナンス、廊下やゴミ置き場など、共用部分が常に清潔に保たれていて、入居者のマナーが高いマンションは、建物の劣化が少なく、空室も出にくいので、資産価値が落ちにくくなります。

    また、管理組合が機能しているマンションでは、住人が協力し合いながら、マンション全体の美化や防犯活動に取り組んでいますし、長期修繕計画や、それに基づく修繕積立金の管理も適切に行われています。新築マンションは、どのような管理が行われるのか、まったく未知数ですが、中古マンションの場合、事前チェックをすることで、管理状況は分かります。
     
  3. 施工の良し悪しが分かる
    以前、施工会社のずさんな工事が原因でマンションが傾いてしまい、大きなニュースになったことがあります。遡れば、構造計算書を偽装することで、耐震性能が低いマンションが建築、販売された事件もありました。新築マンションの場合、こうした不正を見抜くのは、不可能といわれるほど難しいことです。

    しかし、施工不良が原因のトラブルは、築5~10年で表面化することが多く、施工の良し悪しは、中古マンションのほうが分かりやすいという面があります。
     
  4. リフォームで新築同然に
    国土交通省が2015年に行った「住生活に関する意識調査の結果概要」によると、アンケートに答えた人の約30%が、自宅マンションのリフォームを経験していました。キッチンのリフォームが20%超と最も多く、洗面・トイレ、浴室といった水回りのほかに、リビングをリフォームする人が多い傾向です。いずれも頻繁に使用する場所であり、前所有者の使用感が残っているところを新調してしまえば、新築とほとんど変わらない印象を与えることができます。

    最近では、リノベーションという言葉もすっかり浸透してきました。リノベーションでは、専有部分の給排水、ガスの配管や天井・壁・床の下地まで、全面的に新設する大規模工事になる場合も少なくありません。

    最近では、バスユニットや便器、洗面台などを最新のものに交換するだけでなく、音声やセンサー、スマホ操作で稼働するいわゆる「スマートハウス」化したり、壁をぶち抜いて間取りを変更したりすることで、古さを感じさせず、時には新築以上に魅力ある物件に変身させます。中古の手ごろさと新築並みの快適さの両方を実現したリノベーション済み物件が人気を集めています。

かつての「地ぐらい」よりも実利を取る

国土交通省が2018年3月に発表した公示地価では、それまで人気が決して高くはなかった下町エリアの荒川区が、最も地価の伸び率が高かったことで話題となりました。下町エリアということでいえば、足立区の北千住、北区の赤羽なども、住みたい街の人気ランキングで上位に顔を出すようになりました。

こうした「地ぐらい」が決して高くはないとされてきたエリアでも、複数路線が乗り入れ、都心や郊外へのアクセスが良くなったり、駅前の再開発で大型の商業施設が誘致されたりしています。また、メディアで取り上げられることで人が集まってきている傾向です。

たしかに「地ぐらい」の高いエリアに住めば、周りから「オシャレ」といわれるかもしれません。しかし、下町は物価が安いですし、交通アクセスも良ければはるかに実利は高くなります。下町にあるリノベーション済みの中古物件こそが、最も投資効率が高い物件なのかもしれません。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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