公開日: 2026.03.30

相続登記に空き家特例……ルールを知っていても動けない!? 第三者の仲介で膠着状態が急展開したケース

相続登記に空き家特例……ルールを知っていても動けない!? 第三者の仲介で膠着状態が急展開したケース

日本国内で起こっている空き家問題。解決に向けた法整備は進んでいますが、実際の現場で何が起こっているかというと……。複雑に絡みあう相続問題がまだまだ横たわっているのが現状です。

20年以上土地活用に従事してきた経験から、問題を起こさない一番の近道は「被相続人がご存命のうちに関係者で財産の配分を決めておくこと」と断言できます。

今回は、お亡くなりになったあとの相続ではありますが、最新のルールにのっとり無事相続がまとまった、めずらしいケースをご紹介します。

コンサルタントの立場から見えてくる土地活用の問題

私は、お客様が所有する土地の活用に関するコンサルタントとして、20年以上活動してきました。コンサルタントの役割は、あくまでも第三者として問題を整理し、当事者間での問題解決のために全方向からサポートすることです。

当事者の方同士が揉めた状態ですと、私たちコンサルタントはそれ以上の関与ができなくなります。膠着状態が続き、何年も問題が放置されてしまう現場にもたくさん立ち会ってきました。

今回は、当事者の方たちがあらかじめ法律を把握していたからこそとも言える、スピーディな問題解決事例をご紹介します。

RENOSY 土地活用の相談窓口

全員が不動産・法律に詳しい、親族同士のケース

ご相談内容と、関係する方々は以下のとおりです。

登場人物
  • 被相続人Z様 
  • 相続人A様(相談者様)
  • 相続人B様
  • 相続人C様
  • 相続人D様
  • コンサルタント小橋

相続発生時の状況
Z様がお亡くなりになり、不動産(土地と建物)の相続が発生。第一順位の子世代がすでに他界されていたため、孫世代のA様・B様・C様・D様に相続が発生。Z様の土地をいとこ同士の孫が相続することに。

ご相談内容
A様より「RENOSY 土地活用の相談窓口」にご連絡をいただきました。
相続開始から丸2年が経過した不動産(空き家)について相続が進んでおらず、困っていらっしゃるとのことでした。

時間だけが過ぎ去った2年間

相続人の4名はそれぞれ国内の遠方に分かれて住んでおり、かつ孫同士ということもあり、日頃の交流もほとんどありませんでした。そのため、主として動こうとする方がおらず、相続後3年目に入ったとのこと。

お互いが「相続した不動産をどうしたいか」を知らないまま、時間だけが経過している状況です。

A様は不動産関係の法律に詳しく、次のようなルールを把握しておられ、時間が迫っているとご相談を受けました。

  • 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
  • 空家等対策の推進に関する特別措置法
  • 不動産の相続登記義務化

参照:住宅:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)| 国土交通省
参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を! | 政府広報オンライン
参照:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記|法務省

事態が動かなければ、不動産が空き家として放置され続けることになります。「特定空き家」とみなされれば、固定資産税が6倍にまでアップします。

土地を売却して、空き家の譲渡所得最大3,000万円の特別控除を受けようとするならば、“相続の開始があった日から3年が過ぎる年の、12月31日までに売る”という期限の縛りがあります。

なお、ハードルは高いですが、4人が共同で建て替え・賃貸経営をするという選択肢もあります。

 
空き家(イメージ)

問題解決の第一歩:状況をフラットに整理、可視化、情報共有

コンサルタントとしてまず第一にすることは、相続対象となっている不動産の現状を把握し、関係者に状況を共有すること。ここで肝となるのが「中立の立場で」という点です。

A様からの相談ではありましたが、あくまで当事者間で問題を解決していただくのがポイントです。私がどなたかに肩入れすることはありませんし、当事者でない私が動いたとしても、うまくまとまりません。

今回のケースでは、A様が主導してアクションを起こすことが問題解決のスタートとなります。A様も「今やるメリット」をしっかり感じていただき、主体的に動いてくださることとなりました。

A様のご意向は、不動産があるエリアの賃貸需要も加味したうえで、売却するという選択です。そこで状況把握のため、私のほうで不動産会社に依頼し土地の売却査定を行い、査定額をA様にお送りしました。B様・C様・D様には、A様を通じて査定額の情報をご共有いただきました。

互いに「お見合い」を続ける相続人たち

B様・C様・D様に査定額の情報は伝わっているはずですが、腰が重いのか、数週間どなたからも動きが見えません。

このままだと、事態が動かないまま再び時間が過ぎることが懸念されます。事態を動かすにはスピードとタイミングも非常に大切で、関係性の薄い4人が一堂に会する場を設け、集中して一気に解決する必要があると考えました。

ことを動かす打開策

「査定を依頼した会社へ返信をしたい」という名目で、コンサルタントの連絡先として私の電話番号をA様からB様・C様・D様に伝えていただきます。そして私から、まずB様に電話をかけました。

すると、B様も不動産と法律にお詳しい方でした。またなんと、C様、D様、いずれも不動産と法律に精通していることがわかります。いずれも財閥系の会社に勤務、または会社社長をされる方でした。それぞれの頭の中では、解決すべき問題の期限が迫っていることは理解されていることがわかりました。

すぐに、地理的に近いB様とD様にお集まりいただくことで合意を得て、私もB様のご自宅に伺うご了承を得ました。ここでの肝は「一度に関係者が合意する」こと。もし「私(B)から(D)に伝えておきます」などと言われてしまうと、変化なく時間だけがかかることにもなるからです。

B様とD様との面談が決まりました。

核心に触れる大切さ

事前に、「売却するかどうかの核心には触れず、まずは関係者の意向を聞きたい」とA様からご相談を受けていました。しかしそれでは期限が迫っている事態を動かすことはできません。

A様には、最初から核心に触れたほうがよい旨をお伝えしました。核心とは、相続割合の合意と、売却金額の合意です。

B様とD様がお会いになる日の私の役割は、核心に切り込むことです。B様のお宅で、D様と私の3人が集まりました。

私は売却査定額を関係者にお見せし、A様、B様、C様、D様それぞれの法定の相続割合を提示しました。また売却金額の妥当性についてお示ししました。その場にいらしたB様とD様は状況を把握し、合意がすぐさま取れそうな空気感です。

A様とC様は遠方のため、この日の面談には参加されない予定でしたが、A様に連絡をし、急遽電話で会議に参加していただきました。

 

関係者全員が法律を理解していたため、この日の会合で、空き家を解体、土地を売却し、それぞれ定められた割合(法定相続分)を相続することで合意が取れました。遠方のC様にも連絡をとり、後日リアルに対面することで大枠の了承を得ることができました。

相続開始後、一度も話し合いが行われなかったのですが、この1度の話し合いで合意、数日後には全員が一堂に会し、遺産分割協議書に署名捺印の運びとなったのです。

 

相続問題を1カ月でスピード解決

ことを動かしたのは、実質1カ月です。1度の話し合いで、1億円以上の相続問題が決着したことになります。

1月中旬 A様からご相談いただく
1月中旬の同一週 売却査定額を不動産会社に依頼
2月中旬 B様とお電話で初会話
5日後 B様、D様がリアル集合、A様は電話で会議参加。B様からC様に別途連絡
3日後 相続人4名全員が揃い、遺産分割協議書に署名捺印
3月上旬 売買契約締結
6月下旬 決済(相続開始から3年以内)

背中を押す第三者、コンサルタントの存在

いくら不動産や法律に詳しいプロとはいえ、いとこ同士という関係性と大きな金額が動くことから、当人同士での話し合いは動き出すこともできずに膠着状態でした。

コンサルタントが入ることの意義は、「お客様に主体的に意思決定をしていただくために情報提供をすること」です。

結果、関係者それぞれの意見を平等に取りまとめ、納得の形で結論に結びつけることができました。

A様が最初の一歩を踏み出していただいたから、B様・C様・D様も動くことができた。誰かが言い出さなくては、スケジュール調整をしなくては、と頭でわかっていても、自分ごととなるとなかなか動き出しができない。そのような事例でした。

いざ「自分ごと」となると、冷静にもなりきれない相続問題

 

このたびのケースでは、当事者のみなさまが相続ルールを十分に把握されていたため、比較的スムーズに着地点を見出すことができた事例といえます。とはいっても、事態が動き出すまでには2年の休止期間がありました。

事態を動かすことができる、関係者の背中を押すことができるのがコンサルタントだと思っています。これから相続を迎える方のお役に立てれば幸いです。

RENOSY 土地活用の相談窓口

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

小橋龍治

東証プライム上場企業に新卒入社し建築営業に従事。事業所長・エリア統轄責任者等を経て、土地活用部門開設に伴い2022年GA technologiesに入社。お客様のために「最大節税・最高収益プラン」の実現を目指します。

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