マンション購入の注意点8選〜新築?中古?選ぶ際の注意点を解説
マンションを購入する際、どのような点を気をつけるべきなのでしょうか?新築?それとも中古?最近は中古を選ぶ人が増加しているのですが、選ばれる理由も含めて解説します。
CONTENTS目次
失敗しないマンション選びの注意点
購入後に「そんなこと知らなかった」と言っても、後戻は容易なことではありません。しかし大抵のことは、事前に把握していれば対策をすることができます。購入前にチェックしたい、マンション選びの注意点8選を解説します。
立地選び
「マンションは立地がすべて」と言われるのは、「住みやすさ」と「資産価値」の両面で重要になるからです。
都心やターミナル駅まで何分か、最寄り駅まで徒歩何分か、特急や急行が停車する駅なのかといった交通の利便性が特に重要になります。便利な場所に住まうということは、時間を買っているともいえます。生活の利便性や快適性も欠かせません。周辺にスーパーや病院、銀行などはあるか、子供がいる家庭では保育園や学校までの距離も確認しておきたいものです。また、交通や生活の利便性を求めながらも、緑の多い公園や大学が近くにあるという場所も大変人気があります。
予算をはじめとした制約のある中で、全ての条件を満たす理想の立地を探すことはとても難しいものです。自分たちにとって譲れない条件は何か、優先順位を整理していくことがポイントです。
また、これからのマンション選びで特に注意したい点は、現在だけでなく、30年後、40年後の将来を見据えることです。日本全体として人口は減少に転じる中で、街はどのように変わっていくのでしょうか。
人生は100年時代だと言われる中で、70代になった自分はどんな生活を送っているのでしょうか。子供がいる家庭も既に子は巣立ち孫がいるかもしれません、今とは別の仕事をしているかもしれませんし、住み替えを考えているかもわかりません。
街の変化、家族構成やライフスタイルの変化も視野に入れて、立地を考えることも大切です。
災害リスク
マンションの高層階に住まうから、地震や洪水などの災害があっても大丈夫という訳にはいきません。多くのマンションでは、1階にエントランスや共用設備がありますから、浸水してしまえば復旧には多額の費用がかかります。
機械式駐車場の車が出せない、インフラが分断されてしまう場合も考えられますから、あらかじめどんな災害リスクがあるのか確認しておくことが重要です。
各自治体から公開されているハザードマップや防災情報から、津波や液状化の危険性があるのか、河川が氾濫した場合の被害の範囲や浸水した場合の水深などを確認することができます。
古地図から、過去の土地利用形態をチェックすることで、埋め立て地や池、沼、田などであった場所なのかわかります。ハザードマップも古地図も誰でもインターネットで簡単に調べることができますので、購入予定の場所については、あらかじめ確認しておきましょう。
参考: 国土交通省 ハザードマップポータルサイト
歴史的農業環境閲覧システム(昔と現在の土地利用状況が閲覧できる/関東地方のみ)
耐震基準を確認しよう
新耐震基準か、旧耐震基準か
地震大国の日本では、大きな地震が起こる度に建築基準法を改正してきました。耐震性について大きな改定があった1980年6月以前に建築された建物を旧耐震基準、改正後に建築された建物を新耐震基準と呼びます。
マンションが新耐震基準であるかどうかは、確認申請の日付が1980年6月1日以降かを見ることによって確認できます。マンションの建設は、建物の規模にもよりますが数か月から1年以上かかる場合があるため、竣工日が1980年6月1日以降であっても、新耐震基準でつくられているかどうかはわからないのです。また、旧耐震基準で建てられた建物であっても、耐震診断によって耐震性を確認している場合もありますので、管理組合に確認してみましょう。
耐震基準に適合していることが、住宅ローン控除を受ける要件
住宅ローン控除とは、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図る減税制度です。
中古マンション購入の場合は、住宅ローン控除が利用できる場合と利用できない場合があります。下記のいずれかの方法により現行の耐震基準に適合していることが確認された物件については住宅ローン控除を利用することができます。
マンション(耐火建築物)の場合、築25年以内に建築された住宅であること、耐震診断や耐震補強工事の実施により耐震性が確保できていることが確認できた物件では、耐震基準適合証明証や既存住宅性能評価書、または既存住宅売買瑕疵保険に加入していることが要件となっています。
築年数による建物の違い
マンションは建築された年代によって、建物のつくりには傾向や特徴があります。優先順位によって、どの年数の物件から検討可能なのか、あらかじめ想定することができます。
1970年代:
スラブ(コンクリ―ト床)の厚さ12~15cm程度。直床、直天井、天井高2.5m程度が多い。
1980年代:
スラブの厚さ15~18cm程度、リビングとDKが別々、水回りとリビングの床に段差あり。断熱性能の高い、ペアガラスや樹脂サッシはまだほとんどない。
1990年代:
スラブの厚さ20cm程度、耐火性能が向上、オートロックの登場。
2000年代:
スラブの厚さ20cm、二重床、二重天井が主流に。室内の小梁をなくしたボイドスラブの増加。住宅の品室確保の促進等の法律により、売主による瑕疵担保責任が最長10年に。
耐震性を基準に考えるなら1980年代以降の物件から候補に考えられますが、床の遮音性能が低く天井高も低いので、水回りの位置を変えるリノベーションには注意が必要です。
また、断熱性能に基準を置くのであれば、2000年以降の物件が一つの目安になります。
建物の管理状況
「マンションは管理を買え」といわれるくらい、マンションにとって管理状況はとても大事なチェックポイントです。
建物は、年数の経過によって少しずつ劣化していくため、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に外壁や屋上などでは、防水が切れてひび割れが発生したまま放置されれば、建物の寿命を縮めてしまいます。ひび割れから水が入れば、コンクリートなど構造自体が劣化し強度が保てないこともあるかもしれませんし、居室内に水漏れがあれば生活にも影響を及ぼします。
また、修繕積立金が十分な額を集められていなければ適切な大規模修繕が実施できないこともありえます。これまでの修繕積立金の残高、滞納の有無や、大規模修繕計画の実施状況や今後の見通しについても、あらかじめ確認しておきましょう。
また、共有部分の利用状況や清掃状況にも、注意が必要です。エントランスやゴミ置き場はきれいであるか、ルールは守られているか、などチェックしておきましょう。多数の人と共同で暮らすマンション生活では、自由にできる専有部分よりも、一人の意向でどうにもすることができない、共有部分により注意を払う必要があります。
資産価値が落ちにくい物件なのか
100年におよぶかもしれない長い人生では、終の棲み処と思って購入しても、様々なライフスタイルの変化、今はまだ想像することのできない事情などにより売却したいと思うときが来るかもわかりません。
資産価値とは、売買できる価格のこと。資産価値が落ちにくい物件を選んでおくことで、いざというときには一定のお金に換えられるということは、長期的なライフプランの中で選択肢を広げることになります。これからの時代、資産価値が長期的にわたってどのように変化するのかということを考えて物件を選ぶことがより大切になります。
資産価値は、需要と供給のバランスによって決まります。これから人口減少が予測されている日本では、多くの箇所で不動産の供給量に対して、需要の方が段々と小さくなっていくことが想像できます。そうした中で選ばれ続けるマンションは、どんな物件なのでしょうか。次の要素が大きく影響が大きくなります。
人口が減っても選ばれるマンションの共通点
- 立地。災害に強く、利便性の良い場所であるかどうか。
- 建物。マンションは堅固な構造でつくられていますが、建築された年代によって、少しずつ構造や性能に差があります。これから何十年も使用していくにあたっては、どういった構造になっているのかも重要になります。
- 管理状況。いくら堅固につくられていても適切なメンテナンスがなされていなければ、傷んでしまいます。また、マナーや清掃状況のよろしくないマンションを購入したいと思うでしょうか。
これらのチェックポイント全てが資産価値を考える上でも重要な要素なのです。
専有部分の設備におかしい部分はないか
現地には販売図面だけではわからない情報が沢山あります。内覧では、そんな見ないとわからないポイントをチェックする絶好のチャンスです。引渡しの後に知らなかったとならないように、専有部分はもちろんのこと、共有部分や周辺環境についてもしっかりと確認しておきましょう。見る際のポイントをいくつかご紹介します。
専有部分については、エアコンや給湯器といった設備はそのまま使うことができそうか、給排水管からの水漏れの有無、床に傾き・ひび割れはないか、雨漏りや結露の跡がないかといった部分は念入りに見ておきたいものです。
窓から周辺を見渡して新しく建物が建ちそうな場所はないかもチェックしておきましょう。
もし、実際の居住者から話を聞けることができるなら、見た目にわかりにくい音の問題や管理や居住者同士にトラブルはないかなどについても聞いてみるとよいでしょう。
共有部分では、外壁にひび割れはないか、エントランスやゴミ置き場、駐輪場などの様子もチェックしましょう。
実際に現地で見る人間の目が増えれば、気がつくことも多くなります。家族など複数人で内覧できるなら、できるだけ多くの人数で内覧することが効果的です。見落としがないか心配な場合には、建築や不動産のプロが内覧時に立会いチェックしてくれる有料のサービスもありますので、利用するのも一つの方法です。
資金計画に無理はないか
差が出る住宅ローンの組み方とは
リノベ―ション費用の融資を受ける場合には、住宅ローンと一緒に借りることができるリフォーム一体型ローンがおすすめです。
一般のリフォームローンは、住宅ローンに比べて金利は割高で返済期間も短く、負担が大きくなります。一方、リフォーム一体型ローンでは、住宅ローンと同じ金利、同じ借入期間で借りることができるため、とてもお得なのです。
しかし利用に際しては、ローンの審査時に工事費用の見積を提出する必要があるため、あらかじめリノベーションの依頼先を探しておく必要があります。早めの準備で差が出ますので、中古マンションの購入を考えはじめたら物件探しと平行して、リノベーションの依頼先についても調べておきましょう。
売主が個人か事業者かで、諸費用が変わる
中古マンションの購入では、売主が個人か事業者かによって、消費税や仲介手数料の有無が変わります。諸費用としては物件価格の6~10%程度は見込んでおくとよいでしょう。
事業者が売主の場合:
消費税(建物のみ)あり、仲介手数料なし。
※不動産業者が売主となったリノベーション済物件など
個人が売主の場合:
消費税なし、仲介手数料あり。
※消費税を支払った場合に給付されるすまいの給付金を受けることはできません。
中古マンションを選ぶ人が増えている理由
今まで日本においては、新築人気が根強く、中古マンションを選ぶ人は新築に比べて少ないのが実情でした。しかしその状況が2016年から変わってきました。
データ参照:
首都圏不動産流通市場の動向(2018年)
≪首都圏マンション市場動向≫
2016年から3年連続で中古マンションの販売件数が新築マンションを上回るという前代未聞の事態が起きています。
では、なぜ中古マンションの販売件数が増えているのでしょうか。
新築に比べて購入価格が安い
中古マンションの魅力は、なんといっても購入価格が安いこと。日本の住宅市場では、建物の築年数が経過する毎に価格が下がるのが一般的で、新築から築20年くらいまでの価格の下がり方が大きくなっています。
また新築マンションの価格には、土地の価格や建物の建設費だけでなく、広告宣伝費やモデルルームの建設費、販売会社の手数料など余分な経費が上乗せされているため割高です。
一方で中古マンションの価格は、買いたい人がどれだけいるのか、売り出し物件の数はどれくらいなのかといった需要と供給のバランスによって決まります。新築マンションに比べて、より適正な価格で購入しやすいのが中古マンションなのです。
すでに完成している物件を見れる
新築マンションは、青田買いといって建物の完成を見る前に売買契約することが多々あります。中古マンションでは、実際の様子をしっかり確認しながら、選ぶことができる点も大きな魅力です。特に、マンションは共同住宅ですから、建物の状態の他、管理体制や入居状況などといった要素もとても重要です。
新築マンションでは全ての入居者が入居前であるため購入前にわかりえないことも、中古マンションであれば、どんな管理体制にあるのか、隣人や他の居住者について、実際の状況を確認することができる点で安心です。
リノベーションで家づくり
中古マンションでは、自分好みにカスタマイズできる点も人気の一つとなっています。新築マンションでは、あらかじめ間取りが決まっており、必要のない設備まで備え付けられている場合も多々あります。
中古マンションのリノベーションでは、堅固な構造はそのままに、室内の間取りや設備を自分好みに一新できるため、コストパフォーマンスのよい家づくりを楽しむことができます。
まとめ
中古マンションの魅力は、価格が安いこと、実際の建物や周辺環境を確認しながら購入判断ができること、そしてリノベーションで家づくりを楽しめることです。一方で、築年数などの建物の状態や管理状況などは1つ1つ異なりますから、二つとして同じ条件の物件はありません。
いいと思った物件は、速やかにチェックし購入判断をしなければ、魅力的な物件であるほど僅差で他の購入希望者に先取りされてしまうということもあります。優良な物件を見分けるポイントを抑えつつ、自分たちの優先順位をしっかり整理しておくことが、いい物件を購入できる鍵となるのです。
この記事で紹介したポイントに注意しながら、納得できる中古マンションを選びましょう。
※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
関連キーワード