1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. 投資する
  4. FXと不動産投資のメリット・デメリットを比較!それぞれのリスクや初期費用を解説

更新日: 2022.07.19

FXと不動産投資のメリット・デメリットを比較!それぞれのリスクや初期費用を解説

監修:
伏屋慶二 (日本ファイナンシャルプランニング株式会社 代表取締役社長)
FXと不動産投資のメリット・デメリットを比較!それぞれのリスクや初期費用を解説

将来の資産を築くための投資にはさまざまな種類がありますが、それぞれどんな特徴があるのかわからず、最初の一歩が踏み出せない方も多いと思います。この記事では、投資の中でもFXと不動産投資について比較をしながら、メリットデメリットを解説します。

FXと不動産投資、初期費用の比較

投資を始めるにあたって最初に立ちはだかるのが、「投資に使えるお金はどれくらいあるか?」という問題です。初期費用の壁です。

FXはインターネットのサービスに登録すれば、初期投資ほぼゼロで始めることができます。これは大きなメリットといえます。用意するものといえば、最初に取引に使うために、FX用の口座に入れるお金くらいです。

サービスにもよりますが、1通貨から取引できるところであれば、10円以下から取引を試してみることができる場合もあります。

なお、サイトの運営費は、取引の際に発生する売り買いの価格の差(スプレッドといいます)により、このスプレッド部分が実質の手数料として機能しています。

不動産投資は、物件の価格と取引相手にもよりますが一般的には数十万円は必要です。物件を手に入れて運用を開始する前に、頭金、登記費用、仲介手数料などがかかるからです。

自己資金でなく金融機関から借入をして物件購入することも多いのが不動産投資ですが、初期費用までもローンでカバーできるオーバーローンなどの方法が紹介されることがあります。しかしオーバーローンは物件の資産価値やご自身の属性に左右される部分も多いため、期待しすぎない方がよいでしょう。

FXに比べてまとまったお金を手元に用意しなければスタートラインに立てないのは、不動産投資のデメリットといえます。

なお不動産投資では、初期費用のほかにも、もしもの事態に備えて常に資金を確保しておくことも必要です。設備が故障した時の修理費は、予測できないタイミングで発生します。また入居者に魅力的に感じてもらうため壁紙を貼り替える、入居者を見つけるために広告費を使うなどでもお金はかかるものです。賃借人がつかず部屋が埋まらない時にも賃料収入が途切れるため、持ち出しが発生することもあります。

FXと不動産投資、流動性の比較

FXも不動産投資も「資産を増やす」目的で行いますが、どのくらいの期間をかけて増やすか?は、投資目的によっても異なります。そして増やした資金が「いつ必要になるのか?」についても考えていきます。

投資の世界では、流動性という言葉がよく用いられますが、これは市場の回転のよさを表します。流動性が高いほど、すぐ買えて、すぐ売れるということになります。

FXは、基本的に週末を除いて24時間取引が可能です。1ドルはどの1ドルでも1ドルなので、不動産のように内見や、現況の確認も発生しません。取引も活発で、売りたい人も買いたい人も常に一定以上いるため、マッチングが即座に行われ、パソコン上でスピーディーに取引を行うことができます。

流動性の高さはFXのメリットです。なお、FX用の口座から、銀行口座開設へお金を出す際のタイムラグが数日発生することはあります。

不動産投資で流動性が語られるのは、所有する物件を手放すとき、つまり売却をするときです。FXと比べて流動性は高くありません。不動産は特定の土地に物理的に存在するため、その地域に興味のある人しか相手にできず、市場が限られます。また買いたいという人が現れても、融資付け、登記など、越えなければいけないハードルや手続きがあり、すぐに換金とはいきません。

さらに需要のないところにある不動産だと、いくら待っても買い手が全くつかないというケースもあるようです。FXと比べたとき、流動性の低さはデメリットといえるでしょう。

FXと不動産投資、運用の手間がかかるのは?

FXと一口にいっても、取引のスタイルによって投資期間が数時間から数年と幅があります。FXの取引スタイルのうち、スキャルピングとよばれる方式では、小さい利益を数分で積み重ねていくことから、パソコンに張り付いている必要があります。

また、それ以外のスタイルでも、暴落や暴騰のリスクと常に戦わねばならず、いかなる時も為替の動きを押さえておかなければならないという手間と、気づいたら一文無しにもなりかねないという心理的なストレスはあり、これは流動性の裏返しともいえますが、デメリットと捉えることもできます。

しかし相場を読んで状況を判断するという以外には、特にこれといった運用の手間がありません。想定通りに相場が推移しているかを確認し、リスクが大きくなりすぎないようにコントロールするくらいです。普段忙しいサラリーマンでも夜間などにパソコンを開いて参入できることは、FXのメリットの一つといえるでしょう。

自分の使える時間に合わせた取引スタイルを選ぶとよいでしょう。

一方の不動産投資は、所有する不動産の数と規模の違いよりも、不動産の建物管理と賃貸業務を自ら行うかどうかによって、手間のかかり具合は大きく変わります。

所有する建物の管理と賃貸業務を第三者に業務委託していれば、手間はほとんどかかりません。しかし自分で管理を行おうとすると、入居者とのコミュニケーションや入退去のタイミングで発生するクリーニング、入居者探し、毎月の集金や家賃滞納があった場合の催促など、管理業務は多岐にわたります。

また、建物を扱う関係上、建物が劣化するので、定期的な外壁の塗り替えや、マンションであればエレベータや配管などの大規模な修繕が発生します。

さらに建物が時代に合わなくなってきたら間取りやお風呂などの設備を新しくするリフォームが必要になる時もあります。

建物管理と賃貸業務を自分自身で行おうとするのは、品質管理の知識、コスト感覚やときにセンスを必要とし、関係するいくつもの業者と調整したり、現地にも頻繁に足を運ぶという手間と時間ががかかります。

レバレッジ効果の大きさは?

レバレッジは「てこの原理」という意味です。FXでは、少ない手持ちの資金(証拠金)で大きな金額の取引ができることを意味します。利用するサービスによりシステムはさまざまですが、口座さえ開いてしまえば、一般に特にこれといった手続きなしでレバレッジを25倍(国内の事業者に限る)までかけることが可能です。

この手軽さがメリットとなりますが、十分気を付けてリスク管理をしないと、資金が減っていくのも早いので、一長一短ともいえます。

不動産投資におけるレバレッジは、借り入れを利用することで、収益を高める効果が期待できることを意味します。金融機関からの融資によりレバレッジをかけます。不動産投資ローンは一般的に収入の8倍くらいまで融資がおりるといわれていますが、手持ちの資金をどの程度使って不動産を購入するかによってもレバレッジが何倍になるかは異なります。8,000万円の不動産を自己資金1,000万円、借り入れ7,000万円で購入したとすれば、自己資金で投資するときの8倍となります。

キャピタルゲインの得やすさ

売買時の価格差によって利益を出す、キャピタルゲインの得やすさはどうでしょうか。

FXでは、キャピタルゲインは為替変動により発生します。値動きは通貨にもよりますが、比較的激しく、ハイリスクハイリターンといわれています。取引が迅速に行われることと、繰り返し取引が可能なこと、値動きが激しいことなどから、比較的キャピタルゲインが得やすいことはメリットといえます。

不動産投資では、購入時の価格よりも高い価格で売却することを狙うものですが、築年数に伴い建物の価値は一般的には下がるといわれており、ただ持っているだけで価格が上がるということは起こりづらいです。ただし、特定地域の地価が上昇した場合や、業者が複数の土地をまとめて一つの大きな土地にしたいなどの事情により高値で売ることができた場合、またリノベーションでバリューアップした後に売却する場合などに、キャピタルゲインによる利益が発生することがあります。

確率で考えるとキャピタルゲインを狙うなら、FXの方が現実的といえます。

インカムゲインの得やすさ

FXにおけるインカムゲインは、通貨ごとに金利差があることから、金利の高い通貨を持っている場合に得られるお金がインカムゲインとなります。これをスワップポイント、スワップ金利といいます。

例えば、金利0.01%の日本円で金利20%のトルコリラを買います。金利差は19.99%です。100万円分を1年預けていれば約20万円の利益を得ることができます。

ただ為替変動で通貨の価値が下がるとスワップポイントも安くなることに注意が必要です。

不動産投資におけるインカムゲインは「家賃収入」です。現代における不動産投資ではこのインカムゲインを目的に行われます。

部屋が常に入居者で埋まっていれば安定した額となり、外貨為替のように激しく値動きもしないため、収支の想定が立てやすいのがメリットといえます。

不動産投資の代表的なリスク

空室リスク

不動産投資では、家賃収入が主な収入源となります。そのため、賃借人が退去してしまい空室が発生すると、収入が途絶え、ローンを利用している場合は、その返済の支払いに家賃収入を当てられずに持ち出しとなってしまいまうというリスクがあります。

災害リスク

不動産が負うこととなる災害もリスクの一つです。代表例として火災、地震、台風等の天災をはじめとしたリスクが挙げられます。

参考:不動産投資の主な9つのリスク

周辺環境と変化の予測

立地は、住まい選びの重要なファクターです。だからこそ、投資不動産を所有する場合は、周辺環境の変化に目を光らせなければなりません。周辺環境の変化によって、エリアの人気が落ちて、空室だらけになってしまうということもあるからです。周辺環境の変化の例としては、会社員や学生を顧客として見込んでいたのに、企業や大学が撤退したというケースや、便利なお店の閉店、嫌悪施設が新たに立つケースなどがあげられます。

都市計画やお店の経営方針など、ヒントとなる情報は公開されていることもあります。調べられることに関しては、事前によく調査して購入するようにしましょう。

金利変動

多くの場合、不動産投資では銀行から借り入れを行うことになります。この時、選択することになるのが、変動金利と固定金利です。変動金利は金利が安い反面、経済政策や景気の波に応じて金利が変化します。反面固定金利は、変動金利よりはやや金利が高くなるものの、返済が終わるまで一定の金利が適用されます。

変動金利を選んだ場合、金利は安くなることもありますが、高くなることもあります。今のところ金利上昇の目立った動きはないものの、可能性としては無視できません。

FXの代表的なリスク

為替変動リスク

FXのリスクといえば、なんといっても為替リスクです。為替は世界情勢やその国の中でのテロ、原油価格や統計的な要因によって、目まぐるしく変化します。FXでは、買い、もしくは売りを行った状態のことを「ポジションを持つ」といいますが、ポジションを持った後は、この為替変動リスクのために、常に気を抜けない状態が続き、ともすれば一気に暴落、暴騰で1文無しになってしまうこともあります。

FXをやる際は、世界情勢やテクニカル分析などにより、リスクを分析したうえで臨むのがよいでしょう。

高レバレッジに注意

先に、FXは口座を開いてしまえば特にこれといった手続きなしでレバレッジを25倍までかけられると説明しました。これはメリットですが、適切なリスク管理を行わないと、大きな危険を伴います。

具体的に説明します。話を簡単にするために1ドル100円のレートで1,000ドル購入した時場合を考えてみましょう。レバレッジ1倍で購入した時、ドルの価値が100円下がると、保有資産は0円となります。しかし、レバレッジ2倍で購入した場合、その半分の50円下がったところで、資産は0となり、それ以降は赤字になってしまいます。レバレッジ4倍だと25円、さらに25倍で購入した場合は、たったの4円下がった時点で資産が0になる計算です(なお、わかりやすくするために買値と売値の差であるスプレッドはないものとしています)。

為替は時に大きく動くものです。高レバレッジの取引では、少しの値動きだけで、赤字に転落してしまうリスクがあることがお分かりいただけたでしょうか。

時間を取られてしまう

為替は常に変動します。そのため、小刻みに取引を繰り返すスキャルピングではもちろん、そのほかの取引スタイルでも、常に為替の動きを気にかける必要があります。突然の暴落暴騰への不安により、本業の勤務時間の最中でも相場が気になってしまうというケースの方もいるようです。

いついかなる時も相場をチェックしていないとストレスを感じることや、結果的に相場につきっきりになってしまい、時間を取られてしまうようになるというのはリスクといえます。

FXは短期、不動産投資は中長期に特性のある投資

FXは短期的かつハイリスクハイリターンの投資不動産投資は中長期かつ安定した収入を得られる投資であるということがおわかりいただけたでしょうか。資産を増やす目的に応じて、自分に合った投資の方法を検討してみてください。

なお、FXの中にはスイングトレードやスキャルピング、不動産投資には区分マンション、マンション一棟、戸建て、などの手法があります。それぞれ少しずつ違ったメリットデメリットがあります。

【関連リンク】
不動産投資はFIREの大きな助けに! 不動産投資の成功に欠かせない2つのポイント

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

伏屋慶二 日本ファイナンシャルプランニング株式会社 代表取締役社長

1980年生まれ・愛知県出身。不動産販売会社→外資系金融機関→独立系ファイナンシャルプランナーの会社を設立。これまでに2,000世帯以上の家計改善を行う。得意分野は資産形成で、株式・投資信託・イデコ・積立ニーサ・個人年金など幅広く実践している。不動産投資にも積極的で自身で19部屋を所有し満室経営中。千葉テレビ・日本経済新聞にも出演

Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE