1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. 投資する
  4. 2025年の日本を投資家玉川陽介氏が予測。希望が持てる明日をつくるには

作成日: 2019.10.08

2025年の日本を投資家玉川陽介氏が予測。希望が持てる明日をつくるには

2025年の日本を投資家玉川陽介氏が予測。希望が持てる明日をつくるには

消費税も10%となり消費に対して前向きになれない、と行動がストップしていませんか?東京五輪後の日本を「『面白くない』とは思っていない」という個人投資家玉川陽介氏の著書『常勝投資家が予測する日本の未来』から、スピードを増しながらさまざまに起こる変化に対応できるよう、考え方のヒントを学びましょう。自分たちの資産防衛のため「金融知識を身につけるべき」と玉川氏が言うように、手をこまねいているばかりではなく各個人が考え行動できるようになりましょう。 玉川陽介(2018年)『常勝投資家が予測する日本の未来』光文社から、一部を抜粋してご紹介します。

[2025年の景気動向]日本は再びバブルを経験する

2025年の好景気に沸く日本経済とはどのようなものだろうか。
何も心配することはない。そこには、2018年よりも幸せな未来が待っているはずだ。ただし、それは、日本が直面する多くの問題に正しい処方箋を発行し、問題解決をこなし続けた場合に限る。

東京五輪後は物価、不動産ともに上昇

2025年の日本経済の一幕を描いてみよう。

人々は、幾分、2018年よりせわしなく働くようになるだろう。景気がいいからだ。新卒はどの企業からも引っ張りだこ。大卒新入社員の年収は400万を超えているだろう。フレックスタイムが当たり前となった職場には、優秀なアジア人も多く配属されている。

以前から日本の主要産業である自動車とエレクトロニクス産業は勢いを取り戻した。それに加えて、日本経済の未来を支える新基幹産業の立ち上がりも順調だ。
新産業からの収益により、日本経済にも多少の余裕が生まれるだろう。その利益により、欧州並みの福祉社会の実現に向かう。

そのトリガー(きっかけ)となるのは、少し専門的な話になるが、金融庁による金融検査マニュアルの廃止だ。金融業界以外の読者には、金融庁と検査マニュアルの説明が必要だろう。

昭和のバブル期。銀行が融資先をろくに審査せずに、役人の愛人、反社会勢力などに融資をしたおかげで、市民の大切な貯金は、銀座の夜のシャンパン・タワーに化けた。
このように、文字通り泡となって消えた資金は銀行に返ってくるはずもない。融資基準に客観性がなければ、多くの貸出金は焦げつき、銀行には損失が発生することとなる。そして、その損失が銀行の資本を上回れば、銀行は倒産してしまう。

このような、バブル期の反省から生まれたのが、いまの金融庁の仕事だといっていい。
金融庁の仕事は融資のブレーキ役であったといえる。
バブル崩壊後、親玉である金融庁から見張られている金融機関の仕事は、さながら半官半民の様相だ。

前向きな企画を推進するよりも、融資や投資の焦げつきや不正行為などを排し、過ちを犯さないことが最も重要な仕事となった。ブレーキ役たる金融庁の仕事は、ある意味では秀逸なものだったといえるだろう。

2017年に決定したマニュアル廃止は、金融庁かがブレーキ役から、銀行融資の背中を押す役に変わることを意味する。金融検査マニュアルの廃止により、各金融機関は大判振る舞いで、融資を加速することになるはずだ。
今後は、一般的な不動産融資に加えて、借り手の資産内容や資金使途により大きく金利が変わるローンなど、伝統的なローンとはことなる貸し方が主力になるだろう。

金融緩和が出口を迎えて日本の金利が上がるとき

2025年、国策バブルで再加速した日本経済。


不動産価値と株価は緩やかに上昇を続け、インフレ率2%も軌道に乗ってくる頃だろう。株価は、1989年バブル期の最高値3万8915円を目前に控える。
そうなれば、日本は「良いインフレ」といわれる前向きな経済環境を40年ぶりに取り戻したことになる。2020年で崩壊するといわれた東京五輪バブルは、2025年にも続いているはずだ。厳密にはこれは、東京五輪バブルではなく、国策により作られた金融緩和バブルであったと捉えるのが正しいだろう。


かくして、物価は毎年2%上がり、家賃も上がる。給料も上がることになる。
しかし、給料も上がるが物価も上がるので豊かになった感覚はないだろう。株価は同じ3万8915円でも、その意味合いはまったくことなるのだ。つまり、1万円札を手に入れることは容易になったが、1万円札で買えるものは減ってしまったというわけだ。
このような状況になれば、金融緩和の役目は成功裏に終わったといっていい。

2025年までには、現在進行中の金融緩和の出口戦略が日銀内部でも本格的に論じられるだろう。好景気が日本の隅々にまで行き渡ったとき、日銀が金利を上昇させ、景気に冷や水を浴びせることは、当初からの規定シナリオだ。
今回の金融緩和バブルは、国がコントロールできる範囲内で人々を踊らせ、絶妙なタイミングで冷や水をかけることが重要なのだ。

住宅ローンは固定か変動か

ところで、金融上昇という既定路線のシナリオに対して、個人はどのような備えをするべきだろうか。
たとえば、住宅ローンは固定金利で借入を起こすべきだろうかという問いがある。

結論からいえば、それはおすすめしない。
残債が大幅に減っていれば金利上昇に耐性ができることは、あまり知られていないが重要な事実だ。
固定金利という高すぎる保険料を支払うよりも、歴史的な低金利を最大限に利用して早く借入元本を減らすことが賢明だろう。

さて、近年、「サラリーマン大家」などの言葉を生むほど、広く認知されるようになったアパート投資も金利上昇により変わるだろう。
低金利の借り入れを背景にして拡大したアパート投資だが、借入金利が上がれば、多額の借り入れを起こして不動産を所有しても、家賃収入による利益は生まれなくなる。一方、経済情勢やインフレ率に連動して賃料収入や不動産価格は上昇を続ける可能性がある。
そのため、アパート投資は、家賃収入をエルためのインカムゲイン投資ではなく、タイやドバイなどと同じようにインフレに連動した値上がり益追求目的に変わるはずだ。不景気に慣れ親しんだ日本人から見れば、不動産価格が上がり続けることなど信じられないシナリオだろう。しかし、これは、現実に起こり得る未来だ。多くの大家さんたちは頭を切り換え、金利上昇によるルール変更を理解する必要があるだろう。

バブルとは何か?投資や融資で世界の富が増えるのか?

「投資で世界の富は増えるのか?」

この問いに対して結論から述べると、「投資や融資では富が増えることはない」。
「FXはゼロサムで最後には誰も儲からないが、株はそうではない」。そういわれることもあるが、じつはそれも正しくはない。専門家といわれる人たちも含め、多くの人が勘違いしている点だ。

銀行で借用書にサインしたり、ネット証券でクリックしたりするだけで富が増えるわけではないのは、よくよく考えれば、子どもでも分かることなのだ。世界の富を増やすには、皆がまじめに働き豊かな世界を作るしかない。

しかし、経済を少し勉強したことのある人のあいだでは、信用創造や株式時価総額の増加により世界の富は増えていることいなっている。この誤解を解き、経済を正しく理解してみたい。

まずは、株式の時価総額が増えると何が増えるのかを考えてみよう。
世界の株の時価総額は65兆ドルだが、この株価をつり上げ10倍の650兆ドルにすることは可能だ。
なぜ、証券会社がネット上でデータをやりとりしただけで経済価値が10倍にも増えるのだろうか。世界は一瞬にして10倍も豊かになったのか。
もちろんそんなはずはない。じつは、株式時価総額の多くは会計上の未実現利益であり、その多くは、実際には換金できない架空のものだ。
650兆ドルの時価総額を650兆ドル分の食料や金塊に変えることはできないのだ。その仕組み上、実際にその値段で換金できるのはその一部分にすぎない。
それを全員が利益を得られている状態だと勘違いしたのがバブル相場の正体だ。バブルでは実際には、富が増えているわけではないので、多くの人が株を換金し、その現金をシャンパンや高級車に替えるなど、派手に消費すれば最後には帳尻が合わなくなる。
未開の地を開拓して天然資源や人的資源を拾得し、それにより企業の利益が増えるならば話は別だ。しかし、実態が変わらないのに金融政策や上昇相場で株価が上がるのは、世界の富は一定であるにもかかわらず、架空の評価額が変わったに過ぎない。多くの人たちの予想に反して、株価上昇とは、じつはそれほど意味のあることではないわけだ。
したがって、投資家や証券会社は、お金の流れを最適化したり右から左に動かしたりする仕事であり、富の増加には貢献していないのである。

貨幣の流通を中心とした経済システムでは、お金が余っている人の手元から、いますぐに使いたい人の手元へ瞬時に富の移動がなされ、相互組合のような仕組みになっている。そして、この富の利用権がお金であり、それを管理、仲介するのが銀行融資による信用創造だ。

お金は使って財と交換して、そこで初めて利益確定できる富の利用権だともいえるだろう。
「お金は墓場には持っていかれないんだから、どんどん飲んで、早く使い切ったほうがよい」という酔っ払いの名言は、あながち間違いではないわけだ。

『常勝投資家が予測する日本の未来』光文社新書
『常勝投資家が予測する日本の未来』光文社新書

いかがでしたか

一部の抜粋でしたが、2025年がバブルに沸いている予測をしていることがおわかりいただけましたでしょうか。玉川氏は世界を観察する切り口を「金融経済」「情報技術」「社会システム」の3つと述べています。今回は金融経済の章からのご紹介でした。読みすすめると、最後はスウェーデンの福祉国家についてとの比較で考察がなされています。

社会を受け身でなく能動的に捉えられるように、RENOSYマガジンでは今後も生き方のヒントとなる本の紹介をしていきます。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE