手付

てつけ

手付について民法では次のように説明しています。

「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」

出所: 民法557条(民法 第3編債権 第2章契約 第3節売買 第1款総則│電子政府の総合窓口e-Gov)

「手付」という文字を見て、まず浮かぶイメージは不動産の売買だと思います。またディーラーから自動車を買うときに手付を払った人もいるでしょうし、そのほかにも自宅新築やリフォームで工事業者と契約する「工事請負契約」や、アパートを借りるとき一時的にその部屋を押さえてもらうため、手付を払うケースもあります。

ここまでまとめますと手付とは
「売買契約(不動産取引や自動車の購入など)や、それ以外の有償契約(工事請負契約や賃貸契約のこと)などの契約をするときに、当事者の一方が相手に対して差し出すお金のこと」といえます。

一般的には代金に対して10%~20%以内の金額を手付とするケースが多いようです。また差し出すと説明したのは、契約が成立した場合手付がそのまま代金の一部になるからです。例えば1,000万円でマンションを買う場合、10%の100万円を手付として相手(売主)に渡しますが、これはもちろんプレゼントではなく契約が成立するまでのあいだ差し出すお金ですので、売買の時には残金900万円を支払えばよいことになります。

ここまでは当たり前といえば当たり前の話ですが、手付が重要になるのは契約がうまくまとまらなかったときです。その点は以下「手付 3つの性格」で説明します。

<手付 3つの性格>
●証約手付
手付を払うことで契約成立の証拠になり、これを「証約手付」といいます。

●解約手付
冒頭引用した民法のとおり、買主は手付を放棄すれば(これを「手付流し」ともいいます)、あるいは手付の倍額を買主に支払えば(「手付倍返し」)契約を解除できるというもので、これを解約手付といいます。

●違約手付
買主か売主のどちらかに契約違反(違約)があった場合に手付が没収されてしまう場合があり、これを「違約手付」といいます。不動産取引ですと「売買のときまでに物置をこわす約束だったのに壊していなかった」とか「建物に重大な欠陥があるのに隠していた」といった事態になると取引が成立しないだけでなく、損害賠償請求にまで発展する場合もあります。このとき手付金は損害賠償とは別にされ「罰」として没収されることもある、という意味です。

不動産取引では重要事項説明書で事前に物件について説明することが義務づけられていますので、買主になるときはしっかりと自分の目で確認することが大事になります。

頭文字から用語を調べる

50音で探す

アルファベットで探す

数字で探す

  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE