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リバースモーゲージ
りばーすもーげーじ
リバースモーゲージとは、高齢者が自己所有する自宅を担保にして、必要な資金を借りることができる融資商品の名称です。もともとは、公的年金だけでは生活費が充分に賄えない高齢者世帯のために、自治体が自宅を担保にして貸付けたのが始まりです。その後信託銀行や銀行、信用金庫など金融機関でも取り扱うようになりました。
リバースは「逆」、モーゲージ(モーゲッジ)は「担保」「抵当」「抵当権」という意味です。住宅ローンに代表される有担保のローンは、借入をするときに自宅を担保(抵当権=モーゲージ)にし、返済が続くと借入残高が減っていく仕組みです。これに対しリバースモーゲージでは、借入を利用すると借入残高が増えていく、つまり通常のローンと逆(リバース)なのでこのような名前になっています。
リバースモーゲージは金融機関によって取り扱いが千差万別でわかりにくいので、特徴を列挙し、詳細説明がある項目については次の番号と連動して解説をします。
<リバースモーゲージの特徴を簡潔に>
- 自宅を担保(根抵当権)にする。担保は一戸建て、マンションなど自己所有不動産で、借家や共有名義は原則不可
- 「〇〇円以上の担保評価(銀行が評価)が必要」のように不動産評価の最低基準があり、それ以下では借入できない
(例:土地評価額は2,000万円以上~みずほ銀行の場合) - 不動産を売却することを想定しているので、価格に加え不動産の流通が活発な地域でないと担保にできない
(例:「不動産は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に限る」~みずほ銀行の場合 三井住友銀行は上記に加えて京都府、大阪府なども可能) - 不動産評価をもとに「貸越極度額」を決め、この貸越極度額に基づく「利用可能額」の範囲で借入が可能
- 借入返済については、毎月元金も返済はなく、利息も利用可能額範囲内なら累積するだけで支払は不要。利用可能額を超えた分だけ、利息を払えばよいという形態が多い。
- 利率は変動金利で、銀行独自の基準金利に上乗せ〇%という形式
(例:「短期プライムレート(基準金利)+年2.0%」~みずほ銀行の場合) - 契約期間は1年の自動更新。ただし契約更新してもらえない場合や、利用可能額が変更されて、返済を迫られる場合もある。
- 申込み年齢は50歳~60歳以上、逆に申込時の年齢上限は決まっていないところもある。
- 最終返済期限は「本人が死亡した場合」が多い。
- 本人が死亡した場合に借入を返す方法は数種類ある
(1)自宅は銀行の担保になりますが、そのまま住むことはもちろん可能です。保証会社の保証付き融資ですが、住宅ローンは保証会社が担保設定するのに対し、リバースモーゲージに関して担保は銀行が設定するところが住宅ローンと違う点です。
(3)リバースモーゲージは高齢者を対象にしたローンで、債務者本人が死亡したら担保不動産を売却(競売)して債務を回収するのが基本的な構成となっています。夫婦住まいなら妻を連帯債務者や連帯保証人にして、本人が死亡したあと債務を引き継がせるケースもありますが、一人暮らしの場合などは売却してローンを回収すると最初に契約します。
(4)不動産の評価は一般的な相場の50~60%程度で、個別に決まります。相場の50%程度を「貸越極度額」とし、さらにその半分程度が「利用可能額」となる形式が多いです。例えば相場2,000万円の土地は、銀行の担保評価は50%の1,000万円なので貸越極度額も1,000万円になり、「利用可能額」更にその50%で500万円といった具合です。
(7)返済は利用可能額範囲内なら必要ないのですが、ギリギリまで借りて利息が範囲を超えた場合は支払が発生します。この支払が遅れると、住宅ローンなどと同様に延滞になります。延滞が重なると保証会社に代位弁済されてしまいます。延滞があると、1年後の更新時に更新してもらえない場合もあります。その場合借入があれば即時全額返済しなければいけません。
また、不動産の下落で評価が下がり、担保再評価で貸越極度額(4)が減額されると、連動して利用可能額も減る場合があります。このとき借入があれば、超過した分の返済が必要になります。
(10)本人が死亡して担保処分をするときには、相続人全員の署名や書類が必要になり、相続人は銀行手続きに協力しなければいけません。そのため、後日のトラブルを防ぐため融資の契約をするときには相続人全員に来店してもらい、債務者の申込みに立ち会い、上記のように担保処分もあり得ることの了解を得ます。「承諾書」「確認書」といった書類に、将来相続人となる全員が署名しないと契約できません。
死亡保険金で残額返済する場合や、相続人が代わりに全額返済して担保処分を免れる場合もあります。いずれにしても相続人から「銀行が自分に断りなく、高齢の親に借金をさせて、あげく借金のカタに親の自宅を取り上げた」などと言われないように、将来相続人になる人からは全員承諾を得る必要があるのです。