中古マンションのメリット・デメリットとは〜購入と賃貸、ライフステージ別に解説
マンションを購入する際に、新築にするか、それとも中古を選ぶかは悩むところでしょう。新築マンションには、設備が新しい、誰も住んでいない部屋に住むのは気持ちがいい、などのメリットがありますが、中古マンションについてはどうなのでしょうか。今回は中古マンションに焦点を当て、そのメリットについてご紹介します。
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不動産を購入するか、購入せず賃貸にするかを決めるとき、生涯住むことを想定して「どちらが費用的にお得か」と考えることも多いですが、住む人のライフステージやその後の人生設計なども考慮して判断をすることも大切です。
人が住まいを変えるのは、「就職」や「結婚」や「老後」などがきっかけになることが多いと言えます。それぞれのライフステージによって、中古マンションを購入もしくは賃貸するときのメリットとデメリットを考えてみましょう。
中古マンションのメリット
メリット①:価格が安い
中古マンションの価格は、築11年以上の物件であれば、新築時の5割~7割程度と割安です。その要因は、経年的な価格下落のほか、広告宣伝費などが上乗せされていないことも挙げられます。また、中古マンションであれば、価格を交渉することも可能です。
メリット②:実物をチェックして購入できる
新築マンションでは、即入居可能な竣工物件の場合を除き、契約時に物件の実物をチェックできません。そのため、「マンションが完成して住んでみると、イメージと違った」ということもありえます。一方、中古の場合は、物件の実物を見ながら検討できるのがメリットです。間取りはもちろんこと、風通しや採光、眺望などを、事前に自分の目でチェックできます。
さらに、同じマンション内にどのような人が住んでいるのかを知れるのもポイントです。事前情報を知っておけば、コミュニティ内に入り込んでいく心づもりもしやすくなります。また、コミュニティ同様に、管理組合の機能状況についても事前調査が可能です。
加えて、先にマンションに住んでいる人から、実際の住み心地について情報を得ることもできます。交通アクセスや買い物の利便性など、周辺環境についてぜひ聞いておくとよいでしょう。
メリット③:選べる幅が広い
新築の場合は、引っ越したい時、駅や沿線など、住みたいエリアに分譲があるとは限りません。一方、中古の場合は、物件数が豊富なので、住みたいエリア内で物件を選べる可能性が高まります。
中古マンションは立地の面でも有利です。好立地では、新築マンションをすでに建てられないことも多いですが、中古マンションであれば、過去に建てられた好立地の物件を見つけられることもあります。マンションの資産価値において、立地は大きな要因となりますから、そうした面でも中古マンションは有利だといえるでしょう。
メリット④:リフォーム・リノベーションできる
新築は、設備が最新である点がメリットですが、中古でも、リフォームやリノベーションによって、設備を最新のものに変更できます。設備だけでなく、間取りを変更したり、壁紙を張り替えたりなど、自分好みの部屋を作れるのが魅力です。物件が価格が割安な分、予算内でリフォーム・リノベーションすることも可能でしょう。
なお、物件によって、施工できる内容が異なっていたり、施工のための条件があったりするため、リフォーム・リノベーションを検討するのであれば、施工後のイメージをしっかり持ったうえで物件選びをすることも大切です。
また、ディスポーザーなど、リフォーム・リノベーションでは付け加えられない設備もあるため、注意しましょう。
メリット⑤:入居までの日数が短い
新築マンションでは、竣工物件を除き、契約後にマンションの建設がスタートするため、入居までの日数に時間がかかるのが特徴です。場合によっては、契約から入居まで約1年かかることもあります。
これに対して中古マンションでは、契約から1か月ほどで入居できるのがメリットだといえます。今すぐ引っ越したい、という場合には、新築より中古を選んだほうがよいといえるでしょう。
ライフステージ別の中古マンションへの考え方
就職時――住宅ローンを組む難しさや生活スタイルから考える
高校や大学を卒業してどこかの企業や団体などに就職したとき、自宅で親と同居して通勤する場合を除いては、中古マンションを賃貸するというのが一般的でしょう。
就職に合わせて中古マンションに引っ越す場合、さすがに新卒で就職してすぐに不動産を購入するケースは少ないでしょうが、購入と賃貸でどのようなメリットとデメリットがあるのか、あえて比較して考えてみましょう。
まず考慮しなければならないのは、就職したてのときの貯金や生活スタイルです。
一般的に就職したばかりの人は、貯金が多くあるわけではありません。そして、住宅ローンを組むことは決して不可能ではありませんが、勤続年数がまだ浅いため、ハードルが高いとも言えます。
たいていの場合、銀行の住宅ローンは1~3年以上社会人として勤務していることなどが条件となっており、審査を通すことは簡単ではありません。
一方で、国土交通省住宅局と財務省が所管する独立行政法人「住宅金融支援機構」と民間の金融機関が提携して提供している全期間固定金利住宅ローンの「フラット35」では、新卒で勤務期間が短かったり、年収があまり高くなかったりしても、ローンを借りられる可能性があるとされています。
想定外の転勤を迫られることもある
就職後の生活スタイルを考えることも重要です。
社会人1年目では、まだ就職先の企業でどういったキャリアプランが想定されているのか、しっかりと把握することは難しいでしょう。転勤がないという話で就職しても、就職先の企業の事業方針が変われば、転勤を命ぜられることもあるかもしれません。
また、さまざまな理由で就職先の企業で勤務を続けることが難しくなり、退職して新たに就職活動をすることになるかもしれません。
これからのことを考慮すると、就職時に中古マンションに引っ越す場合、賃貸と購入をそれぞれ選んだときに考えられるメリットとデメリットは、下記の通りと言えるでしょう。
就職時に中古マンションを購入する
▼メリット
・不動産を所有することになり、社会人スタート時から自分の住まいを「投資対象」にすることができる。
▼デメリット
・不動産を購入するために住宅ローンを組むことが簡単ではない。
・就職先の状況が把握できないままだと、思わぬ転勤などをしなければならないときがある。
就職時に中古マンションを賃貸する
▼メリット
・年収が決して高くない状況でも、住まいを確保できる
・転勤などをすることになっても、柔軟に住む場所を変えられる
▼デメリット
・賃貸料を支払い続けても住んだ中古物件を将来所有できるわけではないので、入居する住まいは「投資対象」にはならない。
一般的には、就職したての人が中古マンションなどの物件を購入するということは少ないと言えますが、「所有」することにより資産を保有できるという観点では、賃貸料を支払っても資産にならないならもったいない、という考え方もあるでしょう。
また就職先の企業によっては、家賃の補助や寮が用意されていることも考えられます。これらをうまく活用して、将来の住宅購入に備えて節約をするという考え方もあります。
結婚時――忙しさやその後のライフスタイルの変化を考慮
結婚も、人生の中で引っ越しをするタイミングの一つです。就職時のときと同じように、結婚に合わせて中古マンションに住むことを考える場合、購入がよいのか賃貸がよいのか、金銭面の負担とライフスタイルの両面からメリットとデメリットを考えていきましょう。
結婚をすると、結婚式や新婚旅行、夫婦で暮らすための新しい家電や家具などを購入する費用が必要になります。そのため、結婚前後はほかの時期に比べても出費がかさむ時期と考えて間違いないでしょう。
ライフスタイルを考えてみると、結婚前後はご挨拶や結婚式などで忙しい日々が続きます。そのため、夫婦で暮らす住宅について考える十分な時間がないこともあるでしょう。また早く一緒に暮らし始めたいと考えるカップルも多いかもしれません。
結婚後の出産によって、その後のライフスタイルが変わっていくことも考慮した方がよいとでしょう。子育ての費用や教育費を貯めておく必要も出てきます。
これらのことを考慮して、改めて結婚時に中古マンションに住むときの購入・賃貸のメリットとデメリットを考えてみましょう。
結婚時に中古マンションを購入する
▼メリット
・就職時のときと同じように、自分の資産となるという魅力があります。
・資産として保有すれば、夫婦で話し合いながら内装や間取りを改装できます。
・持ち家を持つことに対する充実感を得られます。
▼デメリット
・結婚前後は忙しい日々が続くことがあり、落ち着いて物件を選ぶ時間が確保することができない場合もあります。そのために、夫婦で同居を実際にスタートするまで、3~4カ月ほど要することもあります。
・ライフスタイルが変わっていった場合、賃貸のときよりも住まいを変えにくいという側面があります。
結婚時に中古マンションを賃貸する
▼メリット
・物件購入時に比べて、初期費用が安く、手続きに必要な時間も短くて済みます。そのため、結婚後すぐに夫婦で同居したい場合などは、賃貸の方がお手軽であるとも言えます。
・ライフスタイルの変化や転勤などに合わせて、柔軟に賃貸する中古マンションを変えることができます。
▼デメリット
・就職時と同じように、賃貸料を支払い続けても住んだ中古物件が将来所有できるわけではないので、入居する住まいは「投資対象」にはなりません。
結婚に伴って中古マンションを賃貸または購入するときのメリットとデメリットを比較してみました。もちろんこのほかにも、新築マンションの賃貸または購入という選択肢や、新居を建てるという方法を選ぶこともできます。
夫婦でそれぞれのメリットとデメリットをしっかり話し合い、お互いに納得できる形態を決めることも重要でしょう。
老後――バリアフリーや病気のリスクのことなどを考慮
老後の住まいとして中古マンションを検討するケースについて、就職時と結婚時と同じように、金銭面とライフスタイル面からメリットとデメリットを考えてみましょう。
金銭面を考えると、世帯収入を得ていた人が退職した後のことを考えると、主な収入源は年金となることが推測されます。その場合、夫婦の両方が健在の場合は夫婦の年金が世帯の「収入」になりますが、どちらかが亡くなった場合は、以後亡くなった方の年金は受け取れませんので、収入が減るということになります。
ライフスタイルを考えてみれば、老後は病気のリスクもそれまでより高まることを念頭に置いておいた方がよいでしょう。介護が必要な場合やどちらかが亡くなって一人暮らしになった場合は、老人ホームなどに入居することも考えられます。
それまで持ち家に住んでいたか、賃貸で住んでいたか、子供たちと同居しているか、なども加味して検討した方がよいです。
老後に中古マンションを賃貸する
▼メリット
・高齢になると階段や段差などが無いバリアフリー住宅の方が住みやすいと言えます。賃貸の場合、初期費用が中古マンションの購入よりも安い上に、バリアフリーの物件をうまく見つければ、生活しやすい環境が費用を抑えて整えられるという利点があります。
・老人ホームなどに入居することになっても、賃貸の場合は退去手続きも簡単です。
・既に退職をしていることを考えると、好きな地域に引っ越すことができるのは、老後ならではのメリットと言えます。例えば海の近くや田舎など、数年ごとに引っ越しをするなどし、現役時代に叶えられなかった夢を夫婦で叶えていくこともできるでしょう。
▼デメリット
・高齢者になると、賃貸住宅を新たに貸してもらえなくなるのではないかという不安も出てきます。そういったケースを想定した場合、それまで住んでいる持ち家や賃貸住宅に住み続けた方がよい、という考え方も出てくるでしょう。
老後に中古マンションを購入する
▼メリット
・就職時や結婚時などと同じように、資産として保有できるメリットがあります。老後のライフスタイルに合わせて、物件のバリアフリー化などの改修もしやすいことも、中古マンションを購入するメリットの一つであると言えるでしょう。
▼デメリット
・老後は年金生活になることを考えると、出費はできるだけ抑えたいところです。一方で中古マンションによっては、修繕積立金が年々高くなっていくことも考えられます。そうなると、年金生活をする高齢者にとっては家計の負担が増え、生活自体が厳しくなっていくことも考えられます。
ここまで、中古マンションを購入するか賃貸するか検討するときに、ライフステージの変化という観点でメリットとデメリットを考えることの重要性について説明してきました。
住まいを変えることは、その後人生にも大きく影響してきます。冷静にそれぞれの形態を比較し、判断することが重要です。
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