【FP解説】お金を賢く貯める・増やす方法とは? 教育資金や老後対策で知るべきこと
私がお客様から頻繁にいただく相談として、「お金が貯められない」「お金の貯め方がわからない」「いろいろ情報はあるけど結局なにをすればいいの?」といったものがあります。これらに対してさまざまな方法がありますが、大切なのは目的に合ったものを選択することなので、今回の記事ではライフプランを考えるうえで「必要なお金(資金)」について考えてみましょう。
CONTENTS目次
お金を貯める・増やすのに大切なのは、ゴール設定
とにかくお金を貯めたいとか、銀行に預けっぱなしではもったいないと、漠然と考えてご相談に来る方が多くいます。
お金を貯めたいと考えることは良いことですし、貯めておいて損はないですが、より効率良く貯めていくには、まずゴール、つまりいつ何のために貯めるかという目的を設定することが大切です。
なぜならそのゴールによって最適な貯め方が変わってくるからです。私は「貯金の色分け」とよんでいますが、大きく分けると以下の3つとなります。
年数は目安で記載しておりますので、あくまで参考です。目的によっては短期と中期、中期と長期の境界線が曖昧なものもありますが、そこは状況に応じて判断ください。
動画「リノシーチャンネル」でも解説しています。
1. 短期性資金(現在~5年以内)
現在から5年以内に使う目的のある貯金です。趣味に使うお金や、旅行資金、車の購入や結婚資金、住宅購入の頭金、緊急予備資金等です。
2. 中期性資金(5年超~15年未満)
5年から15年程度先に使う目的の貯金です。代表的なものは教育資金です。住宅ローンの繰り上げ返済資金なども中期性資金の範疇だと考えています。
3. 長期性資金(15年以上~)
15年以上先に使う目的の貯金です。老後の生活資金が代表的な長期性資金です。家庭によっては老後まで賃貸住宅で過ごし、リタイア後に一括払いで住宅購入される場合もあるので、このケースも長期性資金と考えてよいでしょう。
それではそれぞれの資金の性格と、最適な貯め方を見ていきますが、どのような貯め方、商品を使うかの判断基準は、流動性、運用にとれる期間、期待できる運用成果のバランスで判断していくことが基本軸となりますので、この点を考えながら読んでみてください。
短期性資金
短期性資金は比較的直近で使う予定の資金のため、すぐ使える状態にしておかねばなりません。流動性が高い必要があります。
また使う予定の時期が5年以内だと、運用することも困難です。緊急予備資金のように必要な時に減っていたら困る用途もあるため、確実性の高い運用方法が求められますが、現在の低金利下では短期5年以内で増やすことは不可能です。
以上のことから短期性資金については増やすことは考えず、流動性のみを考慮して現預金にしておくのがベストということになります。
中期性資金
中期性資金を考えるには、教育費を例にとって考えるとわかりやすいでしょう。教育費の備えは主に大学進学費用を想定することが多いですが、大体の金額は進路によって想定可能です。そして子供が生まれたときから考えて、18~20年後に使うことがほぼ決まっています。
このことから考えると、短期性資金と違って、すぐ使えない状態にしておいた方がよいでしょう。途中ですぐ引き出せて使えてしまうと、必要な時期に必要な金額が貯まらなくなってしまいます。
また、使うタイミングがほぼ決まっているので、運用成果に大きなブレがある商品で運用することも望ましくありません。つまり大きく増やすことを求めてはいけないのです。ただ15年以上運用に充てる時間があると、元本保証に近い形でも銀行普通預金などと比べて、多少増やすことはできます。
以上のことから、解約という少し面倒な作業をしないと使えない(積立)定期預金や、貯蓄性の生命保険で貯めておくことが良策です。定期預金は流動性が生命保険より高く、生命保険は定期預金より利率が良い(増える)ことが一般的です。
教育資金に特有の性格としては、親御さんに万が一のことがあっても確保しないといけない資金であるため、貯蓄性の保険でしっかり貯めながら親御さんの保障を確保することがベストだと個人的には考えています。
それはご両親どちらかに終身保険や養老保険をかけておく方法です。そうすれば親御さんが大学進学までに亡くなってしまっても死亡保険金が保険会社より支払われますし、何事もなければ大学進学のタイミングで満期になったり解約したりで、中で貯まっていたお金を受け取り、大学進学費用に充てることができます。
一般的に学資保険とよばれているものは、利率が低下して魅力がなくなっていること、死亡保障はお子さんより親御さんにある方が教育資金確保の観点からはよいことなどから、今はあまりおすすめしていません。
長期性資金
長期性資金については、老後資金を例にとって考えてみましょう。かなり先に使う目的の資金のため、後回しになりがちですが、3つの資金の中で最も早く取り組んでおかないと、あとで大きなしわ寄せがくる資金でもあります。
まず、老後にしっかりお金が貯まっていないと困りますから、やはりすぐ使えないように流動性の低い商品で貯めておくべきでしょう。教育資金などに比べて、使う時期や必要な金額が漠然としているため、よりしっかり財布のひもを締めておかないと途中で使ってしまう人がでてきます。
次に老後資金の場合、確実性よりも運用成果を重視しなければなりません。確実性よりも、というのは伸るか反るかというギャンブルに出るということではなく、使う時期を厳密に決めなくてもよいという意味です。
なぜなら何歳からを老後とするかは、極論ご本人の考えで決めることができるからです。運用成果を重視しなければならない理由はいくつかありますが、その一つはインフレ(物価上昇)を考慮する必要があるからです。
仮に先進国が政策として目指している毎年インフレ(物価上昇)率2%で推移したとして考えてみましょう。この場合36年後に物価は今の2倍になります。つまり老後のための資金は少なくとも2倍に増えてくれないと、インフレ(物価上昇)に負けてしまうことになります。
現在の固定金利、元本保証タイプの商品ではインフレ(物価上昇)に勝つことはできません。
運用成果を高めるためには、投資信託に代表されるように元本保証や金利の保証がない代わりに、しっかり増える可能性がある商品で運用することになります。
使う時期が厳密に決まっていなければ、60歳から70歳までの10年程度の期間で一番成績の良いタイミングを選んで現金化すればよいため、失敗するリスクをかなり抑え込むことができます。
そして投資信託の場合、長期で保有するとだんだん成績が平均化し、安定するという特徴もあります。短期性資金や中期性資金と違って、時間という最大の武器を味方につけることができるのが長期性資金の大きな特徴です。
老後資金特有の特徴として、寿命が予測できないためいくら貯めておけばよいかわからないという特徴があります。ですから、投資信託などでしっかり増やし、老後は運用して増やしながら取り崩すという方法が一つです。
もう一つの方法として、投資用不動産を持つことも一つの選択肢です。ローンを組んで物件を買い、その物件を貸し出して得られる賃料でローンを返済し、返済が終わると賃料を毎月受け取ることができます。
現預金は有限のため、いつかは底をつきますが、投資信託や投資不動産を活用すればこのリスクを回避できます。
ただ両者ともメリット・リスクがあるため、信頼できるプロに相談することをお勧めします(「プロ」は会社の看板ではなく、人で選んでください)。
ライフプランをしっかり考えよう
3つに色分けしたそれぞれの資金の性格と、最適な貯め方を見てきましたが、人や家庭によってどこに重点を置くかはもちろん異なります。
ですから、まずはライフプラン(人生の計画)をしっかり考えることから始めてください。すべてゴール、目的から逆算して最適な貯め方や運用の仕方を選択するからです。
そして「プロ」に相談するときは、ライフプランを一緒に考え、ずっと寄り添って継続的にアドバイスをしてくれる人を選んでください。貯金や運用に目的がある以上、始める時と同じくらいかそれ以上に使う時が大切なのですから。
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