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更新日: 2020.10.05

費用や注意点は?古い物件をリノベーション・増築して住みやすくしよう

費用や注意点は?古い物件をリノベーション・増築して住みやすくしよう

新築物件の価格が高騰している今、中古物件の価値が改めて見直されています。その中でも注目されているのがリノベーション物件です。リノベーションとは、古くなった住まいを、現在のライフスタイルに合わせてつくりかえて価値を高める工事のことです。

最近はテレビやネットで紹介される機会も増えて、すっかりおなじみの言葉となりました。そこで、今回はリノベーションリフォーム、増築や改築との違いについても整理し、費用や注意点について考えます。

リノベーションとリフォームの違い

リフォームは、経年劣化したフローリングや壁紙を張り替えたり、長年の使用で汚れた風呂場をきれいにしたりして、住まいの状態を改善することです。いわゆる原状回復のようなものですが、こちらは元の状態に戻すこと、つまり劣化で「マイナス」となったものを修復し「ゼロ」に戻すことです。リフォームは単に元に戻すにとどまらず、よりよい状態を目指した改修といえます。

リフォームでは、部屋の間取りやキッチン、トイレなど、専有部分のあり方自体を変えることはありません。つまり、生活環境に大きな変化はなく従来通りとなります。ただ、給湯システムやシャワー付きトイレなどを最新のものに取り替えるのでリフォーム前よりも、ずいぶん便利になるでしょう。

これに対し、リノベーションとは「住人のライフスタイルに合わせて、専有部分のあり方そのものを変えて、使い勝手のよいものにする」ことです。リフォームと大きく異なる点は、住人の住空間に対する価値観や使用目的が明確に存在し、それらを実現するための工事であるということでしょう。

壁紙やフローリングを自然素材のものに取り換える人もいるでしょう。広々とした空間を好む人は、壁を取り払って間取りを変更するかもしれません。小さな子どもを見守り、リビングにいる家族と会話をしながら料理をしたい人は、部屋の隅に追いやられていたキッチンの位置を変えて、リビングを見渡せるようなアイランドキッチンを導入するでしょう。

楽器を楽しみたい人は演奏するための部屋を防音にするかもしれません。またアウトドアが好きな人は、玄関脇の部屋を土間収納(シューズクローゼット)にして、アウトドアグッズを片づけられるようにするのではないでしょうか。既存の住空間に、自分なりの「こだわり」を反映させることで、住宅に付加価値を付け、より楽しく暮らせるようにするのが、リノベーションなのです。

リフォームとリノベのメリット・デメリット

メリットとデメリットという観点から、リフォームリノベーションを比較してみましょう。まず、費用面です。やはり、リフォームよりもリノベーションのほうが一般的に費用としては高くなります。また、いずれも工事なので、それなりに時間もかかれば騒音も発生します。マンションでリフォームが断られるケースは、ほとんどありませんが大規模なリノベーションの場合は断られることがあります。

リフォームリノベーションも、古い住まいを新築のように生まれ変わらせることになりますが、住人のこだわりやライフスタイルをより反映させるのはリノベーションでしょう。新築マンションは、内装が真新しく、設備も最新ですが、住人の好みは取り入れられていません。きっと満足できない部分もあるはずです。しかも、新築物件は価格が高くなります。

しかし、リノベーション物件は、中古の物件価格とリノベーション費用の合計です。新築よりも費用が抑えられて、しかも、自分のこだわりを反映させられます。住人の満足度が高くなるというメリットがあります。リフォームでは、このメリットを得ることはできません。

増築と改築とも違うリノベーション

リフォームリノベーションは、増築や改築と「どこが違うのか」がよく分からないという人もいるでしょう。改築は、建物のすべて、もしくは一部を建て替えることを意味しています。現在の建物をいったんすべて解体し、同じ床面積の建物や部屋を新たに建てます。廃屋のようになって、使えなくなった建物は、改築するしかありません。

一方の増築は、現在の建物を壊すことなく床面積を増やす工事です。「建て増し」ともいわれます。家族が増えたり、楽器演奏など趣味のための部屋や、物を置くための部屋が必要になったり、追加でトイレを設置したりするときに床面積を増やして対応することです。また平屋建てを2階建てにしたり、敷地内で建物を拡張したりします。

そういう意味で、増築はリフォームの一種といえます。改築よりも時間や費用がかからない点がメリットでしょう。ただ、建物がかなり古い場合、耐震性を統一するため、出費がかさむこともあります。また、増築対象面積が10平方メートルを超えると、建築確認の申請を役所に行うことが必要です。

リノベーションできる部分

ところで、マンションのリノベーションはどこまで可能なのでしょうか。基本的に、専有部分はOKで、共用部分はNGということです。ドア外の廊下などがダメなのは誰でもわかることですが、間違いやすいのがベランダです。普段ベランダは洗濯物を干したり、景色を眺めたり、簡単なガーデニングをしたりなど、私的に使用していますが、非常時には仕切り壁を破って避難経路となります。

このため、実は手を加えてはならない場所なのです。また、窓や窓枠も共用部分と考えるマンションが多いため、リノベーションはできません。玄関ドアもそうですが、内側の色を塗り替えたり、ドアスコープに監視カメラを取り付けたり、カギの交換をする程度ならOKです。

専有部分では、床、壁、天井と基本OKです。ただフローリングに関しては、騒音防止のために禁止しているマンションもあります。楽器を楽しみたい人や、小さな子供がいる人、ペットを飼っている人の多くは、騒音・遮音のためのリノベーションを考えるでしょう。壁や床にそうした機能を高めるための方法はさまざまあります。マンションの管理規約に抵触しない方法を検討しましょう。

一方、戸建ての場合はリノベーションの実施箇所に制約はありません。しかし、壁を壊して間取りを変更する際に、木造住宅の場合は注意が必要です。戸建て住宅に多い「木造軸組工法」のように、柱とで構造が組まれる工法の家だと、壁を取り払うことに、問題はありません。しかし、「2×4工法」と呼ばれる壁で建物を支える構造だと、取り払えない壁が存在するので、間取り変更が希望通りにいかないことがあります。

戸建ての増改築は行政への確認申請が必要

増改築をする場合、その内容が建築基準法や地域独自の条例などの法令に抵触するおそれがあります。このため、改築と床面積が10平方メートルを超える増築をする場合、その建築内容が建築基準法に適合しているかどうかを、役所に見てもらうための「確認申請」という手続きが必要になります。これは民間の建築確認審査機関でも可能です。

増築部分別の費用について

1Fのみ
例えば、中庭にしていた部分を居室につくりかえるため、増設するケースなどが考えられます。建築確認の申請手続きをしなくて済むように、面積を9.9平方メートルにして、屋根をルーフバルコニーとした場合、一般的に施工費用は150万円前後になるのではないでしょうか。設備・建材としてはフローリング材、サッシ、断熱材などに約20万円、残りが内装・基礎・電気・外壁などの工事費です。

1Fと2F
同じく確認申請の手続きを行わないように、1階、2階ともに4.95平方メートルで居室を増築した場合、施工費用は一般的に250万~300万円程度になるでしょう。形状によって2階のバルコニーを拡張した場合は、費用が余分にかかることになります。設備・建材費が約60万円、残りは工事費です。工事が2階に及ぶと、足場を組む必要や工事箇所が増えるので、その分、費用も増加します。

ベランダ
2階のベランダを増築する場合、強度を統一するためにも、既存部分は撤去して、新設するのが良いでしょう。10平方メートル未満の広さでアルミ製バルコニーを設置するのに、工事費と合わせて80万円程度かかるようす。

耐震補強工事も忘れずに

国内の耐震基準は1981年6月を境に「新耐震」と「旧耐震」に分かれます。新耐震だと、震度6~7クラスの大地震でも、倒壊の恐れがないような設計となっているのですが、旧耐震だと、それほどの強度が確保されていません。

建物が古いと現行の耐震基準を満たしていない可能性があるのです。これを既存不適格建築物といいます。既存箇所が基準を満たしていないと、増築後に建物全体の耐震バランスが統一されていないことになります。一般的に、建物の耐震バランスが不統一だと、倒壊のリスクが高まる傾向です。確認しないままにすると極めて危険といえます。増築時には耐震調査をしてもらい、必要であれば耐震補強工事をしたほうがいいでしょう。

増築前に安く済む「間取り変更」を検討しよう

居住部分の床面積を増やすことは、手狭になった家を広くするのに、最も効果が高い方法ですが、ただ費用がかさみます。基礎、柱、、壁といった根幹部分に手を加え、窓や建具、電気設備などを一新すると数百万円から、場合によっては、数千万円の費用がかかることもあります。工事が大掛かりになり、工事期間が長引くことも懸念されるでしょう。

増築の目的によって異なりますが、「間取り変更」のリノベーションでも、十分に目的が達成できることがあります。リノベーションを選択することで、費用や工事期間を圧縮できるかもしれません。求めていたものが、広さよりも開放感だった場合、仕切られた壁をなくして、明るく機能的な間取りに変更するだけでも、十分に満足がいくものになるでしょう。あまり使っていない廊下部分を部屋に組み入れると広さも確保できます。

逆に、人数が増えた家族の個室を設けたいなら、一つの部屋を区切ってプライベートを確保するという方法もあります。ロフトを設置すれば、子供が寝るスペースを作り出すことも可能です。最近はリノベーション技術が向上し、施工会社もアイデアやノウハウを豊富に持っています。あなたにとって最適なリノベーションを提案してくれるかもしれません。大掛かりな工事で費用もかかる増築よりも、リノベーションが適していないかどうか、前もって検討することをおすすめします。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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