不動産投資
2018/09/25

不動産投資で法人化するメリットは?タイミングや方法について

不動産投資の規模が大きくなってきたら、法人化を検討してみる、という人は多いと思います。ただし法人化するにはベストなタイミングがあり、自分の状況をきちんと把握する必要があります。まずは法人化に関する知識を深めることから始めてみましょう。


不動産投資で法人化とは

不動産投資での法人化とは、「株式会社」もしくは「合同会社」を設立することです。不動産投資を事業化し、また、所有する物件の管理も事業とする場合もあります。

所得税率と法人税率の違いを理解しよう

所得税は、所得が多ければ多いほど税率が上がり、44%まで上がります。法人税は中小法人では利益が800万以上の場合、普通法人では利益に関わらず原則一律で約23%です。

個人の課税総所得金額が800万円程度になると、所得税率と法人税率が逆転するポイントと言われています。例えば、個人の課税総所得が850万円の場合、個人の税率は所得税と住民税をあわせて33%になるのに対し、法人の税率は法人税約23%のほか合わせて実効税率で20%台後半となります(2018年度東京都の場合)。

個人と法人の税率で計算・比較すると、法人化のタイミングが分かりやすくなります。しかし例えば「課税総所得金額が1,000万円を超えたから法人化」と安易に考えず、諸々の条件を考えてベストな選択をしてください。

不動産投資で法人化するメリット

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税率が利益に関わらず一定、というのが所得税と大きく異なる点です。それ以外のメリットをみてみましょう。

所得分散で税が抑えられることも

法人化した場合、その事業を手伝ってもらう家族に給与を支払います。15歳以上の生計を一にする配偶者その他の親族であり、1年の半年を超える期間その事業に専ら従事する場合には、その家族に払われる給与は経費扱いにできます。不動産所得を分散できます。分散によってそれぞれの税率が低く抑えられれば、トータルでの税金はより低くなるでしょう。

経費計上できる範囲が広がる

法人化すると個人の場合のときより経費として計上できる範囲が広がります。

保険料は、個人の場合、生命保険や個人年金を合わせて12万円までしか経費計上できませんが、法人の場合には上限がありません。法人で生命保険に加入した場合、保険料を払った年に計上できるのは支払った額の50%、保険料が実際に支払われる年に50%を計上することが可能です。

保険料のほか、次のような項目を経費計上することができます。

  • 役員報酬

  • 退職金

  • 家賃

家族を役員にして役員報酬を支払った場合も、経費として計上することができます。退職金も同様です。

家賃に関しては、会社とは関係のない場所にある自宅でも「社宅」として扱うことで、50%程度を経費として計上することができます。

欠損金の繰越控除ができる

欠損金とはいわゆる「赤字」のことです。事業開始直後の場合は赤字が出ることが多いです。赤字を出してしまった場合、青色申告でその損失は10年以内(平成30年4月1日以後開始の事業年度からの繰越し期間)に繰り越して、次年度以降の所得から差し引くことができます。欠損金を差し引くことで、法人税を抑えることができるというメリットがあります。

この繰越控除は、個人の場合でも法人の場合でもありますが、繰越できる期間に差があります。個人の繰越控除期間は3年なのに対し、法人は、平成30年4月1日以後開始した事業年度からの繰越し期間は10年繰越控除されます。

5棟10室基準によらず法人化できる

不動産投資による確定申告で、「白色申告」にするか「青色申告」にするかの基準として言われている規模の目安があります。 目安となるのは「5棟10室」です。戸建なら5棟、アパートやマンションなら10室の貸付数があれば、「事業的規模」と認められます。 

合同会社を設立する場合、この「5棟10室」規模は必須ではなく、1区分の所有であっても法人化することは可能です。

不動産投資で法人化するデメリット

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個人よりも法人の方が優遇される印象ですが、デメリットもみていきましょう。法人化するかどうかは、デメリットをきちんと理解したうえで判断してください。

法人住民税がかかる

法人化すると、利益に対して以下の3つの税金が課されます。

  • 法人税:国税

  • 法人住民税:地方税

  • 法人事業税:地方税

法人税と法人事業税は所得があれば課税されるため、不動産所得が0ならば支払う必要はありません。ところが法人住民税は、たとえ不動産所得が0であっても課税されます。

法人住民税均等割は、利益が出なくても7万円の納税が必要になります。なお資本金の規模等によって支払額は決まっているので、事前に確認しておきましょう。

会社設立の費用がかかる

法人化する場合、次のような項目が必要になります。

  • 資本金

  • 法定費用

  • 雑費

資本金は使ってしまうのではなく、会社に持たせるお金なので費用とは言えませんが、会社設立時には必要です。

とはいえ、近年では1円からでも株式会社と認められますし、現物出資を利用して0円でスタートもできます。以前よりも多額のお金を用意する必要はありません。

そのため、かかる経費は会社設立にかかる法定費用です。こちらは会社設立の報酬である「定款認証手数料」、税金の「登録免許税」があります。株式会社で25万円程度、合同会社で15万円程度必要になります。紙の定款を使うなら「収入印紙代」もかかるので注意してください。

雑費は会社の実印を作るなどのお金です。法人化する前に、必要になる費用を事前に確認しておくと無駄がありません。

顧問税理士をつけると費用がかかる

会社を設立すると、確定申告処理等が煩雑になり、個人の手には負えなくなります。税務署の目も厳しくなるため、申告等はプロの税理士に依頼するのがよいでしょう。

詳しくはこちらの記事(不動産投資で法人化するデメリットとは。法人化を考える人必見)をお読みください。

どのタイミングで法人化するか

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不動産投資を法人として行いたい、と決めたら気になるのはタイミングです。タイミングによってメリット・デメリットも変わるので、慎重に決めてください。

物件を購入するとき

法人化するベストタイミングの1つが、物件購入時です。個人から法人へ移行する際に費用がかかります。

登記について、個人名義の不動産を法人名義に変更しなければなりません。すでに支払った「登記にかかる費用」「不動産取得税」を再び支払わなければならないので、あとから法人に移行すると無駄なお金がかかることになります。

しかし法人化が適しているのは不動産所得が多く見込める場合です。まずは少額の不動産からスタートする人や、そこそこの利益しか見込めない人は、不動産所得が増えてきてから検討を始めても遅くはありません。

目的や計画を決め、専門家に相談

法人化のタイミングに迷ったら、税理士など専門家に相談するのもおすすめです。スムーズな話し合いのためには、以下のポイントをクリアにしておきましょう。

  • 不動産投資はメインなのか副業なのか

  • 物件の規模や数はどのくらいか

  • 現在のキャッシュフロー、将来目標とするキャッシュフロー

具体的に考えたことがないという人は、これを機に将来のビジョンをよく考えてみてください。目的や計画がはっきりすれば、専門家のアドバイスも受けやすく、法人化の適したタイミングもわかりやすくなります。

株式会社や合同会社を設立する方法

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法人化すると決めたら、株式会社か、合同会社か、形態を決めて設立します。合同会社は平成18年の法改正で、有限会社が設立できなくなったあとに誕生した会社の形態です。株主等がなく、出資者が少ない個人経営の会社にはぴったりと言われています。

定款認証や設立登記などの手続きを行う

会社設立のためには定款を作成し認証を受けたり、設立のための登記申請を行ったりしなければなりません。一般的な流れを見てみましょう。

  1. 使用禁止商号の調査:法人の称号が使えるかどうかチェックする

  2. 定款作成:ひな形を参考に作成する。収入印紙が必要

  3. 定款認証:定款3部、印鑑証明書1通、身分証明書、手数料が必要

  4. 実印作成

  5. 資本金の入金:必ず定款認証後でなければならない

  6. 登記申請:法務局で書類をもらい、作成する

  7. 登記完了:会社設立完了。謄本・印鑑カード・印鑑証明書を取得する

会社設立の法定費用、定款認証と登記手続きには前述の費用がかかります。

代行を依頼する場合は?

手続きが面倒そう、難しそうという人は、手続きを専門家に依頼しましょう。代行業者はいろいろあるので、その後のつきあい等を考えて選ぶ必要があります。

  • 司法書士

  • 行政書士

  • 税理士

  • 保険代理店

 

副業禁止の会社に勤めている場合は?

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会社によっては、副業を禁止しているところも少なくありません。副業が禁止されている場合はどのように法人化すればいいのでしょうか。

家族を代表にして株主になる方法

副業が会社の規定に反するという人は、自分は出資するだけの株主となり、事業主を家族にするのも1つの方法です。

あらかじめ職場に確認しておくと安心か

法人設立について、勤めている会社に不安がある人は、あらかじめ会社の規定等を精査し、兼業についての項目を確認しておきましょう。調べてもよくわからない場合は職場にきちんと確認し、あとあと問題にならないようにしておくと安心です。

不動産投資で法人化すると融資はどうなる?

個人で不動産投資ローンを組む場合と、法人が不動産投資ローンを組む場合では、何が異なるでしょうか。個人と法人でローンを組む場合では、主に次の2点が異なってきます。

  • ローン金利
  • 借入期間

具体的な数字は金融機関によって異なりますが、金利は個人で組む場合より高くなります。また、借入期間も個人で組む場合良いも短くなります。

審査について、法人の場合はまずその法人の業績を見られます。これから法人化を狙うという場合は実績がないため、金利が高くなる可能性もあります。

  • 不動産投資事業としての評価

個人で借入をする場合は、個人の信用力をみられますが、基本的に法人が不動産投資ローンを借りるときにも基本的に法人の信用力をみられます。資金が十分にあるか、不動産投資業務の業績などが審査の対象になります。詳しくはこちらの記事(不動産投資の法人化を検討する人へ。融資面でのメリットや工夫を紹介)をお読みください。

まとめ

不動産所得が増えるほど、法人化による節税効果が高まります。とはいえ会社を立ち上げるのですから、手間や費用がかかる上、その後の財務処理等も非常に時間がかかるようになるでしょう。

法人化を検討している人はメリット、デメリットを自分のケースで考え、将来的にも無理のないプランとタイミングで、法人化を行ってください。

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