不動産投資
2018/09/14

不動産投資と節税に関わる減価償却とは。計算方法と注意点

不動産投資を始めると、さまざまな経費が生じます。計上できる重要な経費項目のひとつ「減価償却費」について、計算方法や注意点などをまとめました。


不動産投資の減価償却費の概要

不動産投資に関わる費用を経費として計上する場合、不動産購入時にかかった物件購入価格を一括で経費として計上することはできません。不動産は高価で一度購入すると長く保有するものですし価値が長く続くものと考えられます。ですので、不動産購入費を経費として計上するときには、その価格の目減り分を減価償却と呼ばれる一定の方法で減価償却費として計算し、計上していきます。

建物の価値は築年数を経るごとに低下していくという考えのもと、物件の構造に応じて定められた耐用年数と償却率をもとに計算します。

減価償却費の計算方法

減価償却費を計算する時に、まず注意することは、土地の金額は含まないということです。土地は建物と違って劣化が起こらないので、減価償却されないのです。ですからまずは建物だけの価格を割り出す必要があります。

不動産の売買契約書を見ると、土地の価格と建物の価格が明記されている場合がありますが、この場合は明記されている建物の価格を使って計算します。

売買契約書に明記されていない場合は、固定資産税評価額を使って以下の公式の通りに計算します。

  • 建物の価格=買い取った価格×(建物の固定資産税評価額÷物件の固定資産税評価額)

または物件購入時に課された消費税額から建物価格を逆算する方法もあります。不動産購入価格のうち、消費税が課税されるのは建物部分だけのためです。その場合には、消費税率が8%の場合、以下の算式により計算します。

  • 建物の価格=消費税額×(1.08/0.08)

ちなみに不動産購入価格から建物の価格を差し引いた残りが土地の価格ということになります。

固定資産税評価額が解らない場合は、不動産会社に問い合わせてみましょう。建物の価格が解ったら、以下の公式を使って減価償却費を調べます。

  • 減価償却費=建物の価格×償却率

減価償却費を計算するには、その建物に応じた償却率を調べる必要があります。償却率は、建物の取得時期、建物の種類、耐用年数によっても違います。

耐用年数については、国税庁発表の「耐用年数(建物・建物付属)一覧表」で調べることが出来ます。

耐用年数(建物・建物附属設備)

木造は22年、鉄筋コンクリート(RC)は47年であることがわかります。

次に国税庁の「減価償却資産の償却率表」を見ます。新築の物件ならば、この表にそのまま当てはめて確認すれば償却率が解ります。

減価償却資産の償却率表

中古物件の場合は、また別の計算をします。これは耐用年数を経過してしまったものと、一部経過したものでも違います。耐用年数を経過した物件の場合は、

  • 耐用年数を経過した物件=耐用年数一覧表の年数×0.2

の計算式で、年数を割り出します。例えば木造の耐用年数は22年ですので、22×0.2=4.4となり、耐用年数は4年(端数は切り捨て)となります。償却率表の4年のところを見ると、0.250だとわかります。

耐用年数を一部経過した物件の場合は以下の計算をします。

  • 耐用年数を一部経過した物件=(法定耐用年数—経過年数)+経過年数×0.2

例えば10年経過した木造の場合は(22-10)+10×0.2で耐用年数を割り出し、償却率を出します。

法人の場合は任意償却が可能

所有する不動産がある程度の規模に成長すると、法人化を考える方も出てくると思います。個人と法人の大きな違いは、減価償却費の計上を、任意で計上できる点です。たとえば減価償却費計上前には黒字だったが、減価償却費を計上すると赤字に転落するような場合、追加融資を受けるために当期は黒字にしておきたいような場合、今期の減価償却費の計上を見送ることができます。

減価償却費が節税に重要な理由

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ここからは減価償却費が節税に重要な理由を解説します。

経費でありながら支出を伴わない

減価償却費が他の経費と大きく違うのは、実際の支出がない、ということでしょう。実際にお金が動くのは最初の年だけで、翌年からはお金は動かないのです。ですので減価償却費を計上することで、実際にお金を使わなくても、節税になるのです。

減価償却費 = お金の支出を伴わない経費

減価償却費以外の経費 = お金の支出を伴う経費

減価償却を活用した損益通算による節税

不動産投資の場合、特に物件購入時(購入初年度およびその後数年程度)は経費が不動産物件からの収入を上回ってしまい、損失が生ずることがあります。そんな時でも、勤めている会社の給与収入(給与所得)から不動産投資から生じた損失と通算することで、結果的に税金を安く抑えることが可能です。これが「損益通算」です。

押さえておきたいポイント

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ここからは減価償却費を上手に利用するためのポイントをお話しします。

建物価格の割合が高い物件が狙い目?

減価償却費を経費として計上すれば、節税になります。したがって不動産購入価格のうちに占める建物価格が高いほど減価償却費が高くなるため、それだけ節税の効果が上がるのです。

出口戦略をしっかりと

ですがただ減価償却費を出せばよい、という甘い話でもありません。ただ高額な物件というだけでは、立地などから将来転売が難しいという場合もあります。年数が経過すると、修繕積立金などの費用も多めになりがちです。

ただやみくもに高額な物件を狙うのではなく、不動産投資に慣れた会社のアドバイスを受けるなど、投資は戦略を持って行いましょう。

デッドクロスにご用心

不動産を購入する場合、多くの方が不動産投資ローンを組むと思います。不動産投資ローンで「元利均等返済方式」の場合、月々の返済額は同一ですが、その金額の中の元金と利息の割合は変わっていきます。そして元本を経費にすることが出来ません。ローンの利息と減価償却費を経費として計上し節税ができる間はよいのですが、やがて経費が減少し、元本の返済額が増えると、節税効果が小さくなる「デッドクロス」と呼ばれる状態になります。 減価償却費ばかりを気にして物件を選ばないようにしましょう。

まとめ

減価償却費は、不動産投資をはじめて数年は節税効果があるかもしれません。あくまでも不動産投資をするときは物件の空室が出ないよう、事業として成り立つ物件かどうかを考慮して、物件を選ぶようにしましょう。

取材協力:佐野比呂之税理士事務所 代表税理士 佐野比呂之

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