住まい・暮らし
2018/10/11

マンション売却準備のための基本知識。売却前後の費用や税金について

マンションを売却するというのは人生でもとても大きな決断です。少しでも高い金額で売るためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?売却準備のための基本から、必要な費用や税金まで、マンション売却前に知っておきたいポイントを紹介します。


マンションを売却するには

マンションの売却は人生でも一度あるかないかの大きなイベントです。そのため様々な準備や手続きが必要になりますが、そもそも何から始めればいいか分からないという人も多いのではないでしょうか。

まずはマンションを売却する目的の整理や、信頼できる不動産会社の選び方を知ることからはじめましょう。

売却する目的や理由を整理しよう

マンションの売却活動の前に必ず済ませておきたいのが、マンションを売る目的と理由の整理です。

家を売るためには多くの準備や手続きが必要になるため、もっと通勤に便利な場所に住みたい、子供の独立に合わせてもう少し家のサイズを小さくしたい、といった具体的な目的や理由がない限り、売却活動のモチベーションも長続きしません。

マンションを売るための具体的なイメージが定まってきたら、価格などの条件や売却完了までの大まかなスケジュールについて考えてみましょう。

いつまでに、どのくらいの価格で売りたいのかを考えることで、今すべきことが明確になるはずです。

また、マンションの売却価格を決めるにあたって、ローンの残額や預金額のチェックも欠かさず行うようにしましょう。

売却理由に多いのは買い替え

住宅を売却する理由には様々なものが考えられますが、多くの場合は「自宅の買い替え」を目的にしているようです。

買い替えを目的にする場合には、売却予定のマンションだけでなく、新しい住まいについての相場も知る必要があります。

買い替え先の希望のエリアや条件、住宅ローンについても考慮し、ネットや住宅情報誌を活用して相場の下調べをしておきましょう。

不動産会社の選び方を押さえよう

物件の売却を行うには不動産会社と媒介契約(販売活動や売買の仲介のための契約)を結ぶ必要があります。よりよい不動産会社と巡り合うために以下のポイントをチェックしておきましょう。

まずは、その会社がマンション売買に強いかどうかです。どの分野に強いかは取り扱い物件数によってある程度は判断することができるので、なるべくマンションを多く取り扱っている不動産会社を選ぶようにしましょう。

また、会社のウェブサイトを見て、どのような販売活動をしてくれるのかなどをチェックするのも大切です。

ある程度候補を絞った後は、売却価格の相場を知るための査定を複数社に依頼することになります。

その際、査定額が高いからと安直に判断するのではなく、どのような理由からその査定結果になったのかをチェックし、物件の資産価値や自分の買い換えプランに対して、積極的な提案をしてくれる会社を選びましょう。

売却前の準備

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マンションを売る目的の整理や不動産会社の選び方のポイントを押さえたところで、次は実際に売却をするための準備に取りかかりましょう。

現在の住宅ローン残債を把握する

現時点でローンが残っている場合には、その残債を正確に知っておく必要があります。

物件を売却するには抵当権(金融機関が物件を担保にする権利)の解消が求められ、抵当権を解消するにはローンをすべて払い終わる必要があるからです。

ローンの残債金額を把握するため、銀行に残債証明書を出してもらいます。物件を売って得た金額を、そのローンの返済にあてます。

ローンの返済には住宅の売却代金を充てられますが、売却価格がローンの残債を下回ってしまった場合には、不足分を自己資産から用意しなければなりません。

マンションがいくらで売れそうか、新たな住まいを購入する金額はいくらくらいか、現在の預貯金はどのくらい残っているのかなど、自分の経済状況をしっかり把握しておきましょう。

買い替えローンを活用する場合もある

マンションの売却価格がローン残債を下回り、不足分を自己資産から用意できない場合でも、「買い替えローン」を利用することでマンションを売却できるケースがあります。

買い替えローンは、売りに出したいマンションのローン残債を、新居の住宅ローンに含めて借入れするシステムです。

現在のローン残債が多く残っている場合にも買い替えできるケースは少なくないので、諦める前に一度金融機関に相談してみましょう。

ただし、一般的には買い替えローンを利用できる人は限られています。買い替える物件の担保価値にも影響を受けますが、ほとんどは収入にゆとりのある人や、現在のローンの借入時よりも収入が増えた人に限られます。

また、買い替えローンを利用できることになったとして、ローンの支払い額は今より増えることは確実です。現実的に払い続けられるかどうか、慎重に検討してから判断するようにしましょう。

売買契約書などの書類を揃える

マンションの購入希望者が現れたときにスムーズに対応するため、必要となる書類を事前に準備しておきましょう。

一般的には契約の詳細を取り決める「不動産売買契約書」、物件の税額を確認するための「固定資産税納付書・固定資産税評価証明書」のほか、印鑑証明書・住民票・権利書・建築確認済証・検査済証などが必要になります。

さらに、マンションの場合には「管理規約・直近の総会の議事録・長期修繕計画書」の3種類の書類も用意しなければなりません。

必須ではありませんが、購入時のパンフレットがあれば募集広告を出すときもスムーズに進むでしょう。

また、契約を決める際に行う現地での物件確認の後には、登記申請書類も必要になります。基本的には不動産会社が必要書類の一覧表を用意してくれるので、それを参照しながら準備を進めれば大丈夫です。

なお、登記関連の書類については司法書士へ依頼します。抵当権を抹消する登記も忘れないようにしましょう。

マンションの相場の調べ方

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マンションの売却価格を決める有効な手段として、過去に取引された売買価格を参考にできる「土地総合情報システム」と「REINS Market Information」の2つのシステムがあります。

どちらも現在のマンションの想定売却価格が調べられるシステムなので、不動産会社に査定を頼む前に活用しましょう。

あらかじめ下調べを済ませておくことで、提示された査定価格についても安心して質問できるようになります。

土地総合情報システムで相場を知る

国土交通省の「土地総合情報システム」では、エリアごとの不動産の「取引価格情報」が提供されています。

取引価格情報とは、マンション・戸建て・土地などが過去に実際に売買された価格のことです。

築年数や広さ、駅からの距離といった細かい条件まで提示されるので、自分のマンションの売却価格を決めるのに非常に役に立ちます。

土地総合情報システムは、基本的には過去5年間に取引された物件の成約価格が提供されるものです。四半期ごとのデータから比較できるため、そのエリアの昨今の相場を簡単に把握できます。

土地総合情報システム

REINS Market Informationで相場を知る

REINS Market Informationは、過去の成約価格を基にした取引情報の一部をインターネット上で公開し、消費者が適切な相場を把握できるようになっています。

もともと国土交通大臣から指定を受けた指定流通機構(東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4法人)が不動産業者間で物件情報を交換しあうためのコンピュータ・ネットワーク・システムはレインズと呼ばれ、不動産業者が不動産情報をリアルタイムで情報交換できるシステムとなっています。しかしこのシステムは、一般の人はアクセスできないようになっています。

そこで「REINS Market Information」では、物件の所在地などは特定できませんが、不動産業界以外の一般の人が、エリアごとの成約価格を検索して相場を調べることができます。

マンションなのか、戸建てなのかで検索の入り口がわかれています。次のページで「追加検索条件」の欄から、沿線・最寄り駅・築年数・間取り・成約時期まで、細かい検索が可能です。自分のマンションの売却価格の相場を把握したいときに便利です。

REINS Market Information

査定で相場を知る

マンションの売却価格について下調べをした後は、いよいよ不動産会社に査定を依頼しましょう。

物件の査定は1社だけでなく、複数社に依頼するのをおすすめします。各不動産会社によって物件の得意分野が異なるため、1社のみの査定では正しい相場なのかどうか判断が難しいからです。

査定方法には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

机上査定は近隣の成約事例や公示価格などの基礎的なデータに基づき、おおよその売却価格を査定する方法です。現地確認がない分、スピード感ある回答が期待できます。

一方、訪問査定は、机上査定のもとになる基礎的なデータに加え、担当者が現地確認して得た「現地の状況」に基づいて売却価格を査定する方法です。建物の詳細な情報をもとに査定してくれるので、より信用度の高い売却価格が分かります。

まずは、机上査定で大まかな相場や担当者の対応を調べ、その上で信頼できそうな不動産会社に訪問査定を頼むのが一般的です。

マンション売却にかかる費用

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マンションを売却した後の手取り金額は、売却額から税金などの諸費用を差し引いた金額となります。

マンションの売却額をローンの返済や新たな住まいの購入代金に充てたい人は、事前に必要経費を割り出しておくようにしましょう。

不動産会社に支払う仲介手数料

マンション売却にかかる費用で比較的大きいのが、不動産会社に支払う仲介手数料です。仲介手数料は売買価格(税抜)によって上限が変動することになります。

売買価格が200万円以下なら「売買価格×5%」、200万越~400万円以下なら「売買価格×4%+2万円」、400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円」が上限です(税別)。なお、400万円以下の空き家等の物件には現地調査など18万円までの実費報酬も新たに加わりました(税別)。

抵当権抹消にかかる登記費用

現在のマンションの住宅ローンが残っている場合、抵当権抹消のための登記費用が発生します。費用はそこまで高額というわけではなく、抵当権1本につき1万5,000円程度が相場です。

なお、複数の土地の上にマンションが建設されている場合には、不動産の数×1,000円の登録免許税も必要になります。

住宅ローンの繰り上げ返済にかかる手数料

売却代金をローン残債にあてる場合には、ローンを一括で返済するための「繰り上げ返済手数料」も必要になります。

こちらは金融機関によって金額が異なりますが、5,000~1万円程度が一般的です。事前に金融機関に確認しておきましょう。

マンション売却を成功させるポイント

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マンション売却を成功させるためには、なにより内覧の際の買い手の第一印象が大切になります。

少しでも高い価格で物件を購入してもらうには、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか。

家の臭いや汚れを徹底的に清掃

内覧者に良い印象を持ってもらうために、家のニオイや汚れには気をつけるようにしましょう。

最初に目につく玄関はもちろん、押し入れなどの収納スペース、キッチンやトイレといった水まわりは、必ずチェックされることになります。こういった場所を清潔に見せることで、内覧者の購入意識も自然と高まるでしょう。

ニオイについては予想以上に五感を刺激するので、内覧の前には消臭剤を設置したり窓を全開にして換気をするようにしましょう。

特に、ペットを飼っていたりタバコを吸ったりする人は、ニオイに鈍感になっている場合があり、十分な注意が必要になります。

ハウスクリーニングという方法も

マンションに住んでいる年数が長い人は、業者にハウスクリーニングを頼むことも検討してみるとよいでしょう。プロの手で家の汚れを落とすことで、マンションの売却価格が上がるケースも見受けられます。

特に、ハウスクリーニングをした方がいい場所は、浴室・洗面台・トイレ・キッチン・レンジフードです。全て依頼した場合には4~10万円ほどかかります。

ハウスクリーニングをするメリットとしては、「値引き交渉の理由にされない」「売れ残り物件になりにくい」という2点が挙げられます。

物件を売りに出してから成約するまでには平均して数週間から3カ月ほどかかりますが、それ以上時間がかかると極端に売れにくくなります。そうなると物件の希望売却価格を下げるという選択肢も生まれてしまいます。

ハウスクリーニング代は決して安くはありませんが、結果的にマンションがより納得のいく価格で売却できることに繋がるので、一度検討してみましょう。

なお、ハウスクリーニングすべきかどうかは、今まで様々な物件を見てきた不動産会社の担当者に相談することをおすすめします。

内覧に向け、物件の特徴をまとめておく

内覧の際は買い手がゆっくり物件を吟味できるようにあまり話しかけないのが大切ですが、質問についてはスムーズに答える必要があります。

実際に住んでみてよかったところなど、あらかじめセールスポイントしっかりまとめておきましょう。

特に、「間取りのよさ」「家事動線の利点」「家具の置きやすさ」「収納スペースやコンセントの位置・数」については、問題なく答えられるようにしておきましょう。

そのほか、スーパーや学校までの距離や周辺の騒音についても整理しておくことが大切です。

自分のマンションに対する親しみ度合いを分かってもらうことで、買い手によい印象を与えることにつながります。

売却益が出たときに発生する税金

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自分がマンションを購入した時よりも高い金額で売れた場合、「譲渡所得税」が発生することになります。譲渡所得税は不動産の所有期間により税額が変わるものですが、いったいどのくらいの税額になるのでしょうか。

譲渡所得にかかる税の計算方法

譲渡所得にかかる税金を算出するために、まずは譲渡所得そのものを計算する必要があります。譲渡所得は以下の計算方法で導き出すことが可能です。

  • 譲渡所得金額=売却金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額(3,000万円)

譲渡所得金額を算出したら、次はマンションの所有期間に応じて税額を導き出しましょう。

所有期間5年超のマンションを売った時

所有期間が5年を超えるマンションを売った時の税額は、「譲渡所得金額×15%+住民税5%」となります。

所有期間5年以下のマンションを売った時

所有期間が5年以下のマンションを売った時の税額は、「譲渡所得金額×30%+住民税9%」となります。

マンションの取得費、譲渡費用とは

「取得費」は物件の購入時の金額や仲介手数料、印紙税、登記費用、リフォーム代金などを合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額のことです。

一方「譲渡費用」は、不動産を売却する時に使用した代金のことで、仲介手数料や印紙代、測量費などが含まれます。

売却後のお金の疑問

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晴れてマンションの売却が決まった後も、気をつけなければ無駄な出費がかさむことになります。特に、「固定資産税」と「修繕積立金」については、曖昧なままにしておくと後々大変なので、しっかり疑問を解消しておきましょう。

固定資産税は買主に請求できる?

マンション売却の際に気になるものの1つに、固定資産税の問題があります。固定資産を所有している人に必ず課税されますが、マンションを売却し終わった後には、売り手と買い手のどちらに課税の義務があるのでしょうか。

結論からいうと、その年の固定資産税は来年の1月1日まではマンションの所有者(売り手)に納税の義務があります。

そのため、マンションの持ち主が変わったとしても、来年の1月1日までは、売り手側が固定資産税を納め続けなければなりません。

対策法としては固定資産税を日割り計算し、売却金額に日割り分の固定資産税を含ませることがほとんどです。

ただし、法的な決まりはないので、実際にどのように負担しあうのかは契約書などでしっかり取り決めるようにしましょう。

修繕積立金は返してもらえる?

マンションを購入した際、毎月支払い続けるものの1つに、「修繕積立金」があります。

修繕積立金は、マンション共用部などの修繕や大規模な工事が必要になったときのために、管理組合に積立金としてキープしておく費用です。

マンション売却後には返してもらえるのかと考えがちですが、修繕積立金の返還が管理規約に記されている場合を除き、売却時に返還されることはほとんどありません。

マンションの売却価格を決めるときには、支払った修繕積立金も考慮するとよいでしょう。

まとめ

マンション売却を成功させるためには、あらかじめ必要となる準備や手順、税金についてきちんと把握しておくことが重要です。

より納得のいく額でマンションを売却できるように、売却活動のポイントをしっかり押さえておきましょう。

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